きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

映画ドラえもん のび太の地球交響曲

国民的アニメ「ドラえもん」の長編映画43作目で、原作者である藤子・F・不二雄の生誕90周年記念作品。「音楽」をテーマに、ドラえもんのび太たちが地球を救うための壮大な冒険を繰り広げる。
学校の音楽会に向けて、苦手なリコーダーの練習をしているのび太の前に、不思議な少女ミッカが現れる。のび太の奏でるのんびりとした音色が気に入ったミッカは、音楽がエネルギーになる惑星でつくられた「音楽(ファーレ)の殿堂」にドラえもんのび太たちを招待する。ミッカはファーレの殿堂を復活させるために必要な音楽を一緒に演奏する、音楽の達人を探していたのだ。ドラえもんたちはひみつ道具「音楽家ライセンス」を使って殿堂の復活のため音楽を奏でるが、そこへ世界から音楽を消してしまう不気味な生命体が迫ってくる。
海外で音楽活動をしている歌姫という設定のゲストキャラクター、ミーナ役で芳根京子が声優出演。主題歌は、アニメ映画主題歌はこれが初めてとなるVaundyが担当。監督は「映画ドラえもん のび太の宝島」「映画ドラえもん のび太の新恐竜」の今井一暁。(映画・comより)

毎年恒例のドラえもん映画の季節がやって参りました!今年のテーマは音楽という事で音楽と映画の親和性が高いなんて事は私なんかが説明する必要はないわけですが、まぁ楽しみにしていたんですよ!

そして3月1日の公開日。前回の『マッチング』と合わせて松江東宝5で鑑賞して参りました。

さて、今作の監督は今井一暁氏。これまでのドラえもん映画だと『映画ドラえもん のび太の宝島』(2018)、『映画ドラえもん のび太の新恐竜』(2020)の監督、また2017年の『映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険』以降のドラえもん映画では毎作ドラえもん映画の製作に携わっています。つまりここ近年のドラえもん映画には欠かせないクリエイターである事は間違いありません。果たして新作は?

今作での特徴としては音楽が軸となっていますが、安易にミュージカルにしたり『ONE PIECE FILM RED』に見られた様な神曲モリモリな仕様にしなかった事です。近年の音楽を強調した作品だとこういった作りが顕著ですよね。ここ数年の興行収入100億円を超えた映画の多くは映画としての面白さはもちろんそこに如何に音楽でのせていくかがかなり作品に影響を与えます。もちろんドラえもんでもこの作りは可能だったと思います。しかし主題歌のVaundyがあるくらいでそれ以外の部分ではこれまでのドラえもん映画としての世界を崩さずお馴染みののび太達の冒険譚の中に音楽というテーマを盛り込んだに過ぎません。いや何だったらこの世界から音楽が消えてしまったらという仮想空間まで見せている。音楽をテーマにしながら音楽のない世界を写すんですからね。

でもこの視点って重要で我々の生活の中に如何に音楽が浸透していてそれによって日々の活力に繋がっているかという事をしっかりと伝えてくれる。この手法があったかと音楽映画の新しい形を見せてくれた感がありますよ。

また、ファーレの殿堂であるキャラクターは歴史上の音楽偉人をモデルにしてる辺りも面白かった。バッハにベートーヴェンワーグナーモーツァルト滝廉太郎まで居るというね。

そんな中でしっかりと音楽の楽しさも伝えてくれる。古今東西様々な音楽映画がある中である作品は歌を通してある作品はダンスを通じて音楽の魅力を見せてくれていましたが、この作品ではジャイアンスネ夫・静香ちゃんそれぞれのキャラクターに合った楽器をドラえもんの秘密道具音楽家ライセンスによって魂を持った楽器と心を通わせながら腕前を高めていく。てか静香ちゃんはバイオリンじゃないんだなんて思いつつ…。で、のび太はと言うとこれが縦笛なんですよね。よりによって音楽の授業で苦手としていた縦笛ですよ。でもこれがストーリーの中では活きてくるんですよね。縦笛がなかなか吹けないのび太が練習の末上手くなっていく。その成長過程が見所なんですよね。

私事ですが、年明けから尺八を習っているんですがなかなか良い音が出ないんですよね、のび太君を見習って僕も練習頑張ろって思いましたもん。それからのび太達が皆で楽器を演奏する姿は月並みですけど、やっぱり音楽っていいなって思いましたね。

ただこの様に見所も満載だしメッセージ性もあったのですが、近年のドラえもん映画の中ではややボリュームに欠けてしまったかなというのが正直な印象でして、うん確かに音楽がうまく作品にのってたとは思うのですがどうにもストーリーの運びがやや平坦だった感が否めなくて…。山場はいくつかあるんですがそれによって感情が大きく動かされたかというと疑問なんですよね。それから絶対的な敵キャラが不在だったのもその要因だったかなと思っています。

題材は良かっただけに色々勿体ない印象が残ってしまいましたね。

ただだからと言って悪い作品だとは思っていなくて例えば新海誠作品や『ONE PIECE FILM RED』ばりのここぞという時にギアを入れる様な曲をふんだんに用意した音楽の使い方もありだとは思いますが、そこに頼らずドラえもんの世界に寄り添いながらしっかりと音楽というテーマを描いていった試みは作品で十分感じられたしそこに潔さを感じました。来年以降のドラえもん映画にも期待したいです!

エンドロール後にはその来年の映画を想像させるドラえもんからのメッセージが今年もしっかりと用意されていました。う〜ん、来年はこうくるか〜。

まずは今年の映画ドラえもん。是非劇場でご覧下さい!