きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

マッチング

「ミッドナイトスワン」の内田英治が原作・脚本・監督を務め、マッチングアプリによる出会いから始まる恐怖をオリジナルストーリーで描いたサスペンススリラー。
ウェディングプランナーとして働く輪花は恋愛に奥手で、親友で同僚の尚美に勧められてマッチングアプリに登録することに。マッチングした相手・吐夢と会ってみたものの、現れたのはプロフィールとは別人のように暗い男だった。それ以来、吐夢は輪花のストーカーと化し、恐怖を感じた輪花は取引先であるマッチングアプリ運営会社のプログラマー・影山に助けを求める。同じ頃、“アプリ婚”した夫婦を狙った連続殺人事件が起こる。輪花を取り巻く人々の本当の顔が次々と明らかになっていく中、輪花の身にも事件の魔の手が迫る。
主人公・輪花を土屋太鳳、狂気のストーカー・吐夢をアイドルグループ「Snow Man」の佐久間大介、輪花を助けるプログラマー・影山を金子ノブアキが演じる。(映画・comより)

マッチングアプリ。今や男女の出会いのツールとして定着した感があります。私?利用した事はなくはないです。ただまぁ、あまり良い出会いはなくて…なんて事はどうでもよくそんなマッチングアプリを題材としたサイコサスペンスという事で興味津々。3月1日に松江東宝5にて鑑賞して参りました。

さて、マッチングアプリを使って一体どんなスリリングな展開を見せてくれるのか。そこに関してはとにかく前半部分で怒涛の様に見せられます。マッチングアプリで結ばれたカップル達が次々に殺されてしまう。かなり猟奇的な見せ方なのでグロが苦手な人にはオススメ出来ないかもしれません。それと並行して明らかに怪しい叶夢という人物。ここは佐久間大介くんなかなかの快演を見せてくれます。土屋太鳳演じる輪花がそんな叶夢に追われてしまうストーカーと接する恐怖と猟奇的な連続殺人事件が並行して描かれる為に前半部分のサイコな世界観の構築はバツグンです!

果たしてこの恐怖の展開はどの様に進んでいくのか見ている人を作品に引きずり込んでいくその脚本は見事です!

またプログラマー・影山の存在も大きく金子ノブアキの演技が光ります。また彼の存在感が見ている人に安心感を与えてくれます。

そして中盤に劇的な展開を迎え思わず息を飲み込んでしまいます。まさか…まさか…まさかって感じで。

サスペンスなのでいつも以上にネタバレに注意が必要なのでこれ以上は触れませんが、スリリングな作風が好きな方、見て損はしないと思います。

一方では過去の破滅的な出来事が作品によりボリュームを生んでいるので終始に渡って目が離せないですね。また、この辺りではリストカットの場面がガッツリ出てくるので視聴注意とお伝えしておきます。また、セリフ多めの名のあるキャストだって容赦なく殺されますが、割と死を映す場面はショッキングです。

それにしてもこの内田監督。何とも物語の舞台設定がうまい。とりわけ廃墟のアパート更にそこの残留物だらけの荒んだ一室を使っての惨劇なんてのは見ていて絶望しかありませんからね。また、後半での淀んだ空気感のロッジそしてそこに潜む目の座った女性、彼女が押す車椅子の女性(ここのキャスト名は伏せます。)負のオーラしかありません。

なんてこれまで伝えた内容だとかなりヘビーな作品なのでは?と思うかもしれませんが、はいその通りです。だから佐久間大介くんを目当てに見に来た女性ファン耐性あるのかな?なんて思いました。ところで内田監督といえば『サイレント・ラブ』では山田涼介出演のラブストーリーかと思いきや…実はバイオレンス強めでしたなんてのが記憶に新しいですが、旧ジャニの女性ファンを二作品続けてショック与えるというなかなか攻めた事してやしませんかね(笑)

ところでこの作品を見て気になった事がありまして。確かに前半ではマッチングアプリを題材にした事件を出していますが、中盤から後半にかけてはもはやマッチングアプリ関係なくね?という流れに変わっているんですが、まぁ面白かったからいっか…。

それから今作での土屋太鳳ちゃんは恐怖に怯えながら逃げ続けるはたまた間近で殺人を目撃した際に絶叫するという場面が多いですが、時折お得意のアクションを見せたりあの人物に思いっきりカウンターを食らわせるシーンがあったりとしっかり彼女を活かしてるな〜なんてにんまり顔で見ておりました。

これまでお伝えした様に全体を通して陰惨とした空気に包まれた鬱映画ではあります。しかし、ラストはこの先の一縷の光をしっかりと見せていたのは良かったと思います。

見る人を選ぶ映画だとは思いますが、刺激のあるサスペンスを求める人にはオススメ出来ます。

是非劇場でご覧下さい!

マダム・ウェブ

マーベル・コミックスのキャラクター、マダム・ウェブを主役に描くミステリーサスペンス。原作コミックでは未来予知の能力でスパイダーマンを救う役割を担い、知性を武器にする点でもほかのヒーローとは一線を画するキャラクターとして知られるマダム・ウェブの若かりし頃の物語を描く。
ニューヨークで救命士として働くキャシー・ウェブは、生死の境をさまよう大事故にあったことをきっかけに、未来を予知する能力を手にする。突如覚醒した能力に戸惑うキャシーだったが、ある時、偶然出会った3人の少女が、黒いマスクとスーツに身を包んだ謎の男に殺される悪夢のような未来を見たことから、図らずもその男から少女たちを守ることになる。
主人公キャシー・ウェブ/マダム・ウェブ役は「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」「サスペリア」のダコタ・ジョンソン。キャシーが未来を救おうとする3人の少女を、「リアリティ」のシドニー・スウィーニー、「ゴーストバスターズ アフターライフ」のセレステ・オコナー、「トランスフォーマー 最後の騎士王」のイザベラ・メルセドがそれぞれ演じる。監督はテレシリーズ「Marvel ジェシカ・ジョーンズ」などを手がけてきたS・J・クラークソン。(映画・comより)

ハイ、久しぶりのマーベル映画ですね。とは言えワタクシこのところのマーベル作品に食傷気味でして、昨年11月に見た「マーベルズ」も期待しながら見に行きましたが、これがなかなか残念な内容でして番組でも割と酷評気味に感想をお伝えしたところです。

そんな事もあって今作は正直あまり惹かれなかったのですが、しかし長年MCUを見てきた身として更に今作は後のスパイダーマンにとって重要な役割を担うマダム・ウェブの単独作との事で結局見て参りました。先日紹介した『劇場版ハイキュー‼︎ ゴミ捨て場の決戦』と同日の2月23日天皇誕生日。MOVIX日吉津で鑑賞。事前に鑑賞を躊躇した割にはちゃっかり公開日に見ております。

さて、今作はマダム・ウェブがスパイダーマンを救うよりもずっと前の話し。ピーター・パーカーのスパイダーマンだってまだ存在していません。なのでスパイダーマンシリーズと直接の結びつきがないので一人の女性ヒーローが誕生するオリジンストーリーなので特に予備知識必要なしで楽しめるのがポイント。

最近のマーベル作品って他の作品とのユニバースがある為、追っていくのが大変。劇場公開作を抑えるだけではなくディズニープラスで配信されるストーリーもあるので全てを把握するのはかなり困難です。更に末期の「ドラゴンボール」かってくらい強さのインフレ状態だったりでそこに辟易してる人もフラットな視点更にはまだヒーローになる前の女性のストーリーですからその辺のフレッシュさに感情が乗せやすいというのもあります。

更には物語の舞台が冒頭が1973年の南米ペルーに始まりますが、これは後のマダム・ウェブの出生のエピソードとして描かれます。そんな彼女が30代を迎えた2003年。この時代が今作での主要な舞台となります。それもあって当時のヒット曲が流れると僕もテンションが上がりました!ニューヨークのビルにはビヨンセの巨大看板。ブリトニーの「TOXIC」が単に作品を盛り上げる挿入歌として使われるだけではなくこの曲を使ったトリッキーな映像的な演出等細やかなこだわりが映画を盛り上げてくれます。更には映画としてのまとめ方も00年代っぽいんですよね。決して無駄な場面は用意せずにサクサクとストーリーを進めていく辺りとか。ここ最近のハリウッド映画って長尺の物が多いじゃないですか?もちろんその全てが悪いとは言いませんが集中力が続かない問題があるし、監督のあれもこれも入れちゃいたいという良くも悪くもな貪欲さが足を引っ張る結果になった作品だって枚挙にいとまがない。逆に『マーベルズ』はここ昨今のマーベル作品にしては珍しいくらいの短い尺。で、僕は番組でも言った様に今度は逆にもっと尺を使って欲しかった場面をコンパクトにしてしまったせいで作品としての深みが足りなくなってしまったと指摘しました。

さて、今作はどうでしょう?

これがね〜、すごい絶妙な塩梅なんですよ。だれる場面もなくかと言って物語としての説明不足感もなく。00年代舞台の映画という事でこの時代の雰囲気を出しつつ映画のスタイルもそこに寄せていったのが功を奏したのではないかと思っています。

また、マダム・ウェブが救う三人のティーンエイジャーのキャラクターの描き方も良かったですね!同じ年頃の彼女達ではあるが、それぞれ異なる性格や属性。もしも同じクラスなら交わる事の薄いであろう彼女達がマダム・ウェブに助けられる事によって共同で過ごす事に。もしやモデルはTLC?なんて思いましたが、TLCは90年代か…とすればアメリカのPerfumeって事で…って無理やりだな、オイ!さておきこんな彼女達が今後彼女達がヒーローとして覚醒する展開になるわけですから今後のシリーズを考えるとなかなか胸熱ですね!

それからマダム・ウェブことキャシー・ウェブのキャラクターについて。彼女はマダム・ウェブになる前はニューヨークで救急救命士として働いています。つまりマダム・ウェブのヒーロー的な救助と形は違えど日常的に人命の救助を行なっているんですね。この辺りはこれまでのアメコミヒーローでありそうでなかった設定ですよね?救命士としての知識を活かしながらヒーローとして人を助ける場面更には件の三人の少女達にそのスキルを伝授する等の設定が生かされていましたね。

また、去年のアカデミー受賞作『エブリシング・エブリホエア・オールアット・ワンス』(通称・エブエブ)を思わせる様な予見や予知にデジャブ現象等をバラエティに富んだ表現で楽しませてくれました。

それから女性の主人公だからと安易に恋愛描写を盛り込まなかった点も良かったですね。はじめは救命士の同僚の彼とそんな展開になるかなと思いましたが、彼はあくまで同僚であり良き友人また様々なトラブルに力を貸すサポーターでもあるという非常にバランスの取れたキャラクターでしたね。

それから「ん?これはもしや後のスパイダーマン?ピーターパーカー?」なんて予見させる様な場面もあったりします。ここはファンならおっ!ってなっちゃうんじゃないですかね?

冒頭で述べた様にMCUのシリーズに対してこのところネガティブな印象を持っていた僕。

この新シリーズはかなり久しぶりに当たりがきたなと感じました!

今後の展開にワクワクします!マダム・ウェブの活躍にアメリカ版Perfume?ではないけど三人のガールズの成長にそしてどのタイミングでスパイダーマンとクロスしていくのか楽しみです!

是非劇場でご覧下さい!

劇場版ハイキュー‼︎ ゴミ捨て場の決戦

バレーボールにかける高校生たちの熱い青春を描いた古舘春一の人気漫画を原作とする大ヒットアニメ「ハイキュー!!」の続編となる劇場版2部作の第1部。原作の中でも屈指の人気エピソード「烏野高校VS音駒高校」を映画化。
強豪ひしめく春高バレー宮城県予選を勝ち上がり、優勝候補のひとつとされていた兵庫県代表・稲荷崎高校を破って3回戦に進出した烏野高校。対戦相手となる音駒高校はかつて烏野とライバル関係にあり、一時は交流が減ったものの日向たちが入部してからは再び合宿や練習試合で共に汗を流す良き仲間となっていた。その戦いは校名についた「カラス」と「ネコ」の名前から「ゴミ捨て場の決戦」と呼ばれる。プレースタイルも真逆で、超攻撃型の烏野に対し、音駒は「つなぎ」をモットーにする守りのチーム。ついに現メンバーでの公式戦初対決に臨むことになった彼らは、全国大会の舞台で白熱の試合を繰り広げる。
テレビアニメに続いてProduction I.Gがアニメーション制作を手がけ、テレビアニメ第1~3期の監督を務めた満仲勧が監督・脚本を担当。(映画・comより)

どうやら人気あるみたいですね〜、「ハイキュー」って。それくらいの浅い認識で予備知識は全くなし。今回の劇場版から初見。果たして大丈夫なのか?アニメに詳しいパーソナリティ仲間の情報ではアニメ未見だと大変らしいですよと教えてもらいとりあえずアマゾンプライムビデオで配信されている「ハイキュー‼︎」のアニメを何話か見た上で鑑賞。僕なりの臨戦体制を整え先週の金曜日、2月23日の天皇誕生日にMOVIX日吉津にて鑑賞して参りました。さすがに祝日とあってたくさんの人が入っていましたが、僕みたいなおじさんよりも圧倒的に若い人の姿が多い。これまで見てきたジャンプ原作の映画の中でも特に客層がはっきりしていた印象です。

さて、原作ファンに人気の高い烏野高校 VS 音駒高校の戦いいわゆるゴミ捨て場の決戦を描いた今作。高校生がスポーツに打ち込む姿を描き、大ヒットとなったあの作品がまず頭に浮かびました。それは『THE FIRST SLAMDUNK』。かたやバスケかたやバレーボールで競技は違えど白熱する試合を軸にストーリーを展開していくという共通点がある為、どうしても比較対象としてスラダンの存在がありました。

なるほど劇的な試合展開を見せる為に細かい技法や見せ方にはこだわりがあります。激しく打ち込むスパイクやスローモーションを積極的に取り込みながら両校の熱戦が実際のバレーボールの試合さながらに描かれていく。一方で幼馴染でありながらライバルとして対戦する翔陽と研磨のサイドストーリーを盛り込みながら二人の友情そして現在のそれぞれの視点を捉えながらドラマティックに見ている人の感情をうまくのせていきます。僕なんかは今回初めて『ハイキュー‼︎』に触れた超初心者ですが、ジャンプ漫画王道の勇気・友情・努力がバレーという球技にのってうまく表されているな。そりゃ人気あるわなんておじさん目線で感心して見ていました。

ただ、やはりおじさんはおじさん。エモーションな感情で全編楽しめたかというとそれはごめんなさい。若い人向けだなと感じてしまいました。それはやはりスラムダンクと比べると…という事でして。もちろん自分の場合はスラダンの世代だからというのもありますが、それ抜きにして学生時代バスケはおろかスポーツすらしていない僕が何故『THE FIRST SLAMDUNK』にあそこまでハマったんだろう?それはまず湘北高校目線で見た場合のアウェイ感と絶体絶命からの逆転劇というところ。後は試合の一方で描かれたサイドストーリーの深さなんですよね。それはリョータの過去の悲劇であったり喧嘩に明け暮れた不良達が今はバスケットボールというひとつの競技によって打倒山王高校を掲げ一丸となる姿等等ストーリーにドラマがあったんですよね。『ハイキュー‼︎』にももちろんドラマチックなシーンはありましたし、研磨のラストの場面はこれまでの伏線が効いた上での名シーンだと思います。しかし、それ以外にも厚みのある人間ドラマ描写があれば尚良かったのにとおじさんは思うんです。それには尺があまりに少な過ぎる。本編の時間が84分ですもん。一般的な映画が120〜130分とするならば後30〜40分くらいの尺は取れたのでは?と。その時間に音駒と烏野両校のこれまでの軌跡をダイジェストででも挿入出来ただろうしサイドストーリーをあといくつか盛り込む事も出来たのでは?と思いました。

後、惜しむらくは『THE FIRST SLAMDUNK』における「LOVE ROCKET」や「第ゼロ感」の様な神曲が欲しかったな。特にスラダンでの試合展開が劇的に盛り上がるシーンで流れた「第ゼロ感」の様な曲があればと。今作ではインストによる劇的な劇伴は流れはしましたけどね。

と個人的には言いたい事が多々ありましたが、スポーツ系アニメが好きな人にはハマる要素はふんだんに盛り込まれているかとは思います。

是非劇場でご覧下さい!

身代わり忠臣蔵

時代劇「忠臣蔵」をベースに「身代わり」という設定を加えてコミカルに描いた土橋章宏の同名小説を、ムロツヨシ主演で映画化。
嫌われ者の旗本・吉良上野介からの陰湿ないじめに耐えかねた赤穂藩主が、江戸城内で吉良に斬りかかった。赤穂藩主は当然切腹となったが、実は斬られた吉良も逃げ傷で瀕死の状態に陥っていた。逃げて死んだとなれば武士の恥、お家取り潰しも免れない。そこで吉良家家臣の提案により、上野介にそっくりな弟・孝証を身代わりにして幕府を騙し抜こうという前代未聞の作戦が実行されることに。一方、切腹した赤穂藩主の部下・大石内蔵助は、仇討ちの機会をうかがっているように見えたが……。
正反対の性格を持つ吉良上野介と孝証の兄弟をムロが1人2役で演じ分け、永山瑛太大石内蔵助役で共演。川口春奈林遣都北村一輝柄本明が脇を固める。原作者・土橋章宏が自ら脚本を手がけ、「総理の夫」「かぐや様は告らせたい 天才たちの恋愛頭脳戦」の河合勇人監督がメガホンをとった。(映画・comより)

ここ最近の時代劇映画といえばシリアス寄りなものよりすっかりコメディタッチの物が増えてきましたよね。記憶に新しいところだと昨年の『大名倒産』の様な。歌舞伎等の題材としてクラシカルな人気を持つ「忠臣蔵」だって2019年の『決算!忠臣蔵』の様にコメディ寄りになったりそれがいいか悪いかはともかくかつての様にシリアスタッチの時代劇にしてしまうとなかなか客足が伸びないのかもしれませんね。

そして今作は忠臣蔵赤穂浪士の目線で見ると悪役として描かれる吉良上野介の身代わりとなるお坊さんが奔走するドタバタコメディとなっています。

主演はムロツヨシ。で、ムロさんのコメディといえば福田監督かなと思いきや河合勇人監督。これまで『俺物語』、『チア⭐︎ダン』、『かぐや様は告らせたい』等若者を対象とした青春モノや恋愛映画を撮ってきたイメージ。しかし2021年の『総理の夫』では永田町の政治家を題材に新基軸を打ち出していったのは記憶に新しいところ。今作は監督にとっては初の時代劇。果たして内容は如何に?

2月12日の月曜日。建国記念日の振替休日を利用してMOVIX日吉津で見て参りました。

さて、今作の大きなポイントから触れていきます。これまでの忠臣蔵といえば大石内蔵助を中心とした赤穂浪士の目線で描かれる事が多かったです。いわゆる赤穂事件と呼ばれる吉良家の討ち入り。その発端となった松の廊下の刃傷沙汰だって浅野内匠頭は不当な扱いを受けた被害者であり加害者である吉良はとにかく嫌味たっぷりなパワハラ野郎。近年の研究では実際の吉良は民衆からも慕われていて忠臣蔵の物語でイメージするよりもずっと常識的な人物だったと伝わっています。しかしそれは誰の目線で見るかによって見方は変わるものであってトラブルに巻き込まれた主君を思う赤穂の家臣から見れば吉良は憎たらしい存在になるものです。だから物語の文脈的には浪士達は主君の無念を晴らすために仇討ちをした忠義の士、一方の吉良を憎たらしく描いた方が勧善懲悪大好きな日本人の琴線に触れやすいというのはあると思います。

それを敢えての身代わりの形を取りながら吉良目線にしたのはこれまでにはないパターンだなと思いました。

そして兄である吉良上野介、身代わりを務める弟の孝証をムロツヨシ一人二役で演じます。面白いのが兄の上野介はこれまでの忠臣蔵のイメージ通りの嫌〜なヤツ。自分の事しか考えないし、家臣達には常に恫喝やパワハラの繰り返し、お付きの女性にはセクハラをする…なかなかのクズ野郎です。一方の弟・孝証はどうか?実は彼もなかなかのクズであるのがわかります。そもそも身代わりを務めるのだって金に目がくらんでですし、お坊さんでありながらかなりのなまくらなんですよ。だけど同じクズでも兄貴と違うのは人への情が深いというところ。自己中極まりない兄貴と比べて人を大切にするからこそやがて周囲の人達も彼への目の向け方も変わっていき…なんてなかなか人情喜劇として物語がうまく転がされていくんですね。また、永山瑛太演じる大石内蔵助との関係にも注目。もちろん彼は主君の仇討ちとお家再興に燃えるのですが、吉良の身代わりと明かさない孝証と仲良くなってしまうんですね。だからこそ仇討ちはどうなっていくのか?をハラハラしながら見届けていく事になります。

それからコメディですから当然笑ってなんぼのギャグ描写もてんこ盛り。やはりムロツヨシさんが主演ですから福田組でのこれまでの持ち味を活かしながらとことんムロさんを面白く見せていきます。更には北野武監督のあの作品じゃないですが、首をコメディの材料にしてしまいます。そこは賛否両論あると思うんですよ。人の首をあんな扱いするのはいくら映画と言えどもやり過ぎではないかとか悪ふざけが過ぎるとか。でも僕は逆ですね。そもそもこの首にしたってまさに北野武監督が描いた首を取る為に血眼になる武士・侍の悲哀みたいなものが背景にあるわけであって。単なるおふざけシーンに見えるかもしれないですが、テーマやメッセージも内包してるんですよね。それにこのシーンに限らず割と不謹慎なんですよ、コメディ場面が。死体をいじりながらのブラックユーモアがあるし遊郭での場面はなかなかお下品です。(この辺りは大石蔵之介が遊郭通をしていた史実とうまく絡ませているんですね。)昨今はコンプライアンスで締め付け過ぎなところがあってエロやグロをユーモアに変えるのは不謹慎という声があります。ただ地上波ならともかく映画の中だけではせめてこういった表現があってもいいんじゃないかなと思うんですよね。少なくとも僕はこの試みは支持したいと思います。

それにしてもキャストの面々も良かったです。主演のムロツヨシさんはもちろん永山瑛太さんも。先日見た『福田村事件』の印象があまりに強かったからコメディでの瑛太さんを見て和みましたよ。また、川口春奈ちゃんも光っていましたね。彼女は2020年の大河ドラマ麒麟の翼』もそうでしたが、時代劇との相性が良いんですよね。欲を言えばナレーションも彼女にしてほしかった…ナレーションをしていた森七菜さんがダメというわけではないですよ、彼女の場合はナレーションをしたなら劇中に出演もしてほしかったなと思いました。

時代劇はちょっと…忠臣蔵知らないし…という人でも十分楽しめる痛快コメディ時代劇です。

是非劇場でご覧下さい!

ワールドツアー上映 鬼滅の刃 絆の奇跡、そして柱稽古へ

集英社週刊少年ジャンプ」で連載された吾峠呼世晴の同名コミックを原作とする大ヒットアニメ「鬼滅の刃」のテレビアニメ第4期「柱稽古編」の2024年春の放送開始に先駆け、23年に放送された第3期「刀鍛冶の里編」の第11話と「柱稽古編」の第1話を劇場上映。
家族を鬼に殺され、鬼になった妹・禰󠄀豆子を人間に戻すため「鬼殺隊」に入隊した少年・竈門炭治郎。「刀鍛冶の里編」の最終話にあたる第11話では、炭治郎と上弦の肆・半天狗との激闘の決着と、禰󠄀豆子の太陽克服を描く。「柱稽古編」第1話では、宿敵・鬼舞辻無惨との決戦に向けて行われる鬼殺隊士たちの過酷な修行・柱稽古が幕を開ける。
劇場上映のために全編4Kアップコンバートを施し、音楽も劇場のフォーマットに合わせて最適化されている。(映画・com)

一時期は社会現象ともなっていた『鬼滅の刃』。あの当時に比べると人気も落ち着いた感はありますが、それでも『鬼滅の刃』とタイトルにあれば大ヒットとなるそんな根強い人気を誇っています。昨年の『鬼滅の刃 上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』に続き今年もこのワールドツアー上映となりました。映画ランキングでも初週は1位となり、安定したヒットとなっている辺りに『鬼滅』のブランド力の高さを感じさせてくれます。

さて、実は昨年の『上弦集結、』。番組でこそ扱っていませんが、実は劇場で観に行っているんですよね。番組でやらなかったのには理由がありまして、遊郭編の総集編プラス最終話そこに刀鍛冶の里編1話という構成で映画として扱っていいのか?という迷いがあったんですよ。時期同じくして『RRR』がロングラン上映されていたので結果そちらを優先しました。

さて、そんなワールドツアー上映の第二弾となる今作。前回も紹介こそしませんでしたが、映画館で見て感動した事もあって今年も鑑賞。

先週の土曜日2月10日。MOVIX日吉津。昼の回でしたが、さすがは鬼滅ですね。二週目の週末でしたが、非常にたくさんの人が入っていました。それでは今回のワールドツアー上映如何なものか?お話ししていきましょう!

実は前回の「上弦集結…」で不満点がありました。それはTV放送時に流れていたであろうCMの入りと明けに使われていたインサートの挿入。これをそのまま使っていた事です。また、1話終わる毎にエンディングそして次の回にオープニングの映像といった具合にTVシリーズから編集をせずにそのまま使っていたんですね。

するとどうなるか?一回一回その都度停止させられてしまうんですね。元々はTVシリーズですからテレビで見るなりスキップが出来る配信サービスならいいのですが、映画館だとこの停止時間が勿体なく感じてしまう。

ところがそんな不満の声が寄せられたのでしょうか?今作ではその辺りがうまく編集されていました。したがって連続したストーリーをひとつの映画として鑑賞出来る。つまり作品に集中出来るんですね。それもあってストレスなく鑑賞に臨めました。

で、そもそも遠からずテレビで視聴出来るものを映画館で見る価値はあるのか?ズバリ言います。あります!

それは躍動感溢れるアクションシーンであったり鬼滅の刃ならではの感情を刺激する劇的なシーンであったりとそこかしこで感じる事が出来るんですね。

アクションと涙腺を刺激するドラマ場面。これこそが『鬼滅の刃』の特に支持される要素じゃないですか?特に今作では禰豆子がアレする場面があるのですが、劇伴の『竈門禰豆子の歌』も相まって涙腺が刺激される事必至。このドラマチックな場面はテレビやスマホの画面でここまで感情が揺さぶれたであろうか?と感じてしまいます。

ところで僕は今回ちょうど一年前の「上弦集結…」以来一年振りに『鬼滅の刃』を見ました。なので刀鍛冶編のキャラクター等等よく知らなかったんですよ。それでも十分楽しめました。つまり久しく『鬼滅の刃』を見ていないという人でも楽しめる内容かと思います。ここがやはり鬼滅の人気の所以なのかなと思いましたね。ガチ勢はもちろんライトな層も決して置いてけぼりにしない丁寧な作り。

また、改めてではありますが、何故『鬼滅の刃』が世代を問わずの人気コンテンツであるのかも感じましたね。これは4年前に「無限列車編」を番組で扱った時に話しましたが、ただの勧善懲悪にしないという事。敵役となる鬼にもそのバックボーンを映し出し、見ている人に訴えかけてくる。これはここでは鬼ですが、人間って見るからの悪人が悪さをするのではなく元々は我々と同じ様に善良な心を持った人が捩れに捩れてしまうという事なんですね。家庭内では良き父良き夫が会社ではパワハラ上司で通っていたり好青年で通っている人が彼女や奥さんにDVをしていたり。はたまた行き着くところまで行き着くと殺人事件まで起こすかもしれない。人間は多面的で複雑な動物なんですよね。実はそんな人間の本質と恐ろしさを扱った重厚な作品を最近見ました。この後の「きんこんのシネマ放談クラシック」で紹介しますので番組はこのままで!

とまさかの『鬼滅の刃』映画からこの後のコーナーへの誘導となりましたが、『鬼滅の刃 柱稽古編』へと繋いでいく上で今作は見ないわけにはいかないでしょう。

是非劇場でご覧下さい!

サイレントラブ

ミッドナイトスワン」の内田英治が監督・原案・脚本を手がけ、声を捨てた青年と視力を失った音大生が静かに思いを紡いでいく姿をつづったラブストーリー。
ある出来事をきっかけに声を発することをやめ、毎日をただ生きているだけの青年・蒼。不慮の事故で視力を失ったピアニスト志望の音大生・美夏と運命的な出会いを果たした彼は、絶望の淵に追い込まれながらも夢を諦めない彼女にひかれていく。美夏をすべての危険から守ろうとする蒼だったが、彼女に思いを伝える方法は、そっと触れる人差し指とガムランボールの音色だけ。そんな蒼の不器用な優しさがようやく美夏の心に届きはじめた矢先、運命の渦が2人をのみ込んでいく。
山田涼介が主人公・蒼、浜辺美波が音大生・美夏を演じ、野村周平古田新太が共演。久石譲が音楽を担当した。(映画・comより)

恋愛映画。普段番組であまり扱う機会が少ないタイプですが、今回は久しぶりにこちらの作品です。声帯を失い声を発する事の出来ない青年と交通事故によって視力を失った音大生の純愛を描いた作品。先週の水曜日に松江東宝5にて見て参りました。

やはりというべきか客層のほとんどは女性。しかし自分も含めて男性の一人客の姿もポツポツと見られました。

声を出せない男性と視力のない女性。故にサイレントラブ=静かな恋となるのですが、役者に求められるのは如何にハンデを背負いながらの自然な演技が出来るかです。しかしそこは山田涼介君も浜辺美波ちゃんもさすがでした!とりわけ山田涼介演じる蒼は声を出せない分如何に顔の表情で感情を出せるかが問われます。それを山田涼介君のナチュラルな演技によって物語とうまく溶けこませていってるのは見た人の多くが納得する事でしょう。とりわけ絶望的な状況に苛まれた時にそれがよく出ておりました。声こそ出せないまでも雨の中でさも絶叫をしたくなる様な表情が見る人の胸を打つ事でしょう。回想シーン以外では全く言葉を発していない山田涼介の感情劇を目に焼き付けて頂きたいです。

一方のヒロインである浜辺美波ちゃん。このところ、「シン仮面ライダー」、「ゴジラ−1.0」等の特撮が続いたのでこういったラブストーリーに出るのは久しぶりな気がしますが、盲目の女性を凛とした佇まいと共に表現していました。

また、カメラワークにも印象的なところがあり、まずは絶望感に追い詰められる美夏がビルの上から飛び降り様とする場面。もちろん彼女の目からその光景を見る事は出来ないのですが、彼女の視点から捉えた階下の様子は映像的なこだわりが感じられました。また、彼女が視力を失ったかを伝える場面。眼科の診察室内で彼女の左目に寄せていき凄惨な事故の場面を映し出していく。見た人に強烈なショックを与える。しかし彼女の視力を失って理由を伝える上でこの上ない説得力のある見せ方だったのではないでしょうか。

こんな二人が織りなすラブストーリーには言葉がない。しかしガランボールの音色だけが効果的にその展開を伝えていく。そんなロマンティックだけど切ない小道具の使い方なども非常に凝っていたなと思います。

それから美夏はピアニストとあってピアノの音色が物語に華を添えてくれます。音楽は久石譲とあって美しい旋律の楽曲が実にピッタリ合う一方でキョンキョンの曲が意外な所で流れたりと変化に富んだ音楽の使い方も良かったですね。

また、彼らの関係に寄り添う野村周平が演じた青年の存在も大きかったですね。はじめのうちこそ癖のあるちょっといけすかない存在だった彼ですが、根は情に熱い。しかし一方での闇の部分も映し出す事で物語にスパイスを与えてくれる様でしたが、ここからはその部分に触れていきます。

というのが割とバイオレンスやグロな部分が出てくるんですよ。ピュアなラブストーリーと思っていたら「ん?これはハイロー?東リベ?」という展開に。そうです。反グレに喧嘩、傷害事件に闇カジノと流れがアウトロー映画に変わっていくんですよ。とある反グレに目をつけられそこから拉致からのリンチ。あ、これ恋愛映画ですからね。まぁ、僕なんかはグロやバイオレンスには耐性があるからいいんですけど、主要な客層は若い女性なんですよ。「闇金ウシジマくん」とか「クローズ」とかって山田涼介君の恋愛映画と思って見にくる女性が普段選ばない映画だと思うんですよ。ここどう思ったんだろうなぁ。

で、後半の流れがツッコミどころが満載でして、拉致からの乱闘というヤンキー映画での鉄板の流れみたいになるのはお伝えした通りですが、蒼が一人泥を被る事になるんですね。しかもその原因って美夏にある。だけど美夏は自己を責めるばかりで他にこれと言って動かないんですよ。いや、おい警察行けよ!と。

それから蒼がお金を用立てする際に週5で夜勤のバイトをする辺り。言っちゃなんだが、毎回5万もポンポンと渡せるくらいにそんな簡単に稼げるんだろうか?怪しいバイトでもしてんのかと疑いたくなりましたよ(笑)

更にラストシーン。ダンプカーが出てくるくだりの不自然さったらねぇ。まずこういう現場って車出す際もっと徹底してるんじゃねぇの?とかさ。

ツッコミはじめたらキリがないくらい出てきますね。で、僕が思ったのは無理にバイオレンスに絡ませる必要あったのかなと。もっと二人の恋愛模様に軸を置いてもよかったんじゃないかな?

う〜ん、なんだか今回は色んな点がモヤッとしてしまいましたね。

ただ、役者陣の演技はホントに良かったです!

是非劇場でご覧下さい!

ゴールデンカムイ

明治末期の北海道を舞台にアイヌ埋蔵金争奪戦の行方を描いた野田サトルの大ヒット漫画を実写映画化。
日露戦争での鬼神のごとき戦いぶりから「不死身の杉元」の異名を持つ杉元佐一。ある目的のため一獲千金を狙う彼は、北海道の山奥で砂金採りに明け暮れていた。そんなある日、杉元はアイヌ民族から強奪された莫大な金塊の存在を知る。金塊を奪った「のっぺら坊」と呼ばれる男は、捕まる直前に金塊を隠し、その在処を暗号にした刺青を24人の囚人の身体に彫って彼らを脱獄させた。金塊を見つけ出すべく動き始めた杉元は、野生のヒグマに襲われたところをアイヌの少女アシリパに救われる。彼女は金塊を奪った男に父親を殺されており、その仇を討つため杉元と行動をともにすることに。一方、大日本帝国陸軍第七師団の鶴見篤四郎中尉と、戊辰戦争で戦死したとされていた新選組副長・土方歳三も、それぞれ金塊の行方を追っていた。
「キングダム」シリーズの山崎賢人が杉元、「彼女が好きなものは」の山田杏奈がアシリパを演じ、眞栄田郷敦、工藤阿須加玉木宏舘ひろしら豪華キャストが個性豊かなキャラクターたちを演じる。監督は「HiGH&LOW」シリーズの久保茂昭。(映画・comより)

はい、遂に公開の「ゴールデンカムイ」。実は私原作が大好きでしてそれもあって今回の実写化には並々ならぬ期待を寄せていました。とは言え実写化したはいいものの…なんて事は過去に数多の作品が示してしまっていて一抹の不安だってもちろんありました!だけど今作を見た上での率直な感想を言うならば…大満足のひと言。追ってお伝えはしますが、一流のキャストとスタッフが揃い原作への愛とリスペクトを作品に注ぎ込むとこうもクオリティの高い作品が仕上がるのかと圧倒されました。

尚、今作の鑑賞は1月21日の日曜日。MOVIX日吉津。さすが公開週の週末とあってたくさんのお客さんが詰めかけていました。

さて、まずこの実写版を見て圧倒されたのが白熱のバトルシーン。日露戦争の旅順二百三高地における日本陸軍とロシア軍による戦闘の様子が出て来ます。白銀の中、日露両軍が銃を構え緊迫感溢れる戦闘を繰り広げる正にその場面。銃弾に倒れた日露の兵士の屍も映し出し如何に熾烈な戦場であるかをリアルに映し出していく。この光景も息を飲み込む様な描写ではありますが、ここに敵軍へ突っ込んでいく山崎賢人演じる杉元の姿が何とも鬼気迫るものがあります。ここは杉元が不死身と呼ばれるその所以を伝える為の場面ですが、この一連の場面がとにかくダイナミックであり、「キングダム」シリーズで鳴らした山崎賢人のアクションがとにかく圧巻です。ここはハイローシリーズで迫力あるアクションシーンを撮り続けた久保茂昭監督の真骨頂が早速現れたと見ていてテンションが上がりました!

また、明治時代の北海道を舞台にしていますが、小樽の街並みの再現度のクオリティたるやですよ。もちろん僕はこの時代の小樽を直接見た事なんてないのですが、近代化が進む明治時代ならではのモダンさが感じられる街並み。また、小樽を離れた雪原の中にアイヌの人々が暮らす集落等等まるで映画を見ている事を忘れるくらいつまりそれくらいの舞台構築力の高さを感じました。

また、アイヌの言語や文化等についても相当研究してるなと思いましたし、見ている人にアイヌ文化への興味を促す作りでしたね。

後、食べ物の写し方がホントうまい!こんにち我々が口にする様なポピュラーな食べ物というのはほぼ出て来ませんが、アイヌ特有の食文化に触れる事が出来るし、見ていてお腹が空く事必至です(笑)とりわけ鍋ものはよだれが出て来そう。僕は劇中に出て来た物で言えば桜鍋ですかね、馬肉ってうまいんですよね。

さて、キャストの面々ですが先程少し触れた様に山崎賢人くんに関してはこれ以上ない適役だと思います。思えば悪い意味で山崎賢人=実写請負俳優みたいなイメージでしたが、「キングダム」が当たってからはすっかり印象が変わりましたね。それはアクションをこなす事によって唯一無二の存在となっていきました。今やこの世代でアクション俳優の最筆頭になった感がありますよね。

また、ヒロインであるアシリパを演じた山田杏奈ちゃんもアイヌ語と日本語のバイリンガルという難役をこなしていました。また今作では玉木宏さんの怪演も語る上で外せないですね。これまでの玉木宏さんのイメージを覆す様なダーティーな役柄。無慈悲に人を殺せるサイコパスっぷりもハマっていました。

ところで今作は現在まで原作は31巻出ています。しかし、今作はそのうち3巻分しか出て来ません。刺青を入れた24人の囚人だって数人程度しか出ていません。つまりこれはどういう事か?そうです、続編ありきなんですよね。実際に本編でも次作を示唆する場面が出て来ましたからね。僕はこれは全然ありだと思います。映画も大ヒットしてますしね。何より高度に再現されたその世界観を一作だけで終えてしまうのはあまりに勿体ない。そうなると山崎賢人君はヒットシリーズを二本抱える事になりますね。そのうちハリウッドの作品にも出たりするんじゃないですか。

原作もアニメも見た事がないという人でも十分楽しめる内容となっています。

実写化して失敗する作品が多い中、今作は十分以上に成功した実写作品だと思います。

強くオススメします!