
汐見夏衛によるベストセラー小説を実写映画化し、現代から1945年にタイムスリップした女子高生と特攻隊員の切ない恋を描いた2023年の大ヒット作「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」の続編にして完結編。続編小説「あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。」を原作に、愛する人を理不尽な形で失った後、現代で目を覚ました主人公・百合のその後を描く。
特攻隊員・彰との別れから7年。百合は彰の夢でもあった高校教師になり忙しい毎日を過ごしながらも、その心は1945年の百合が咲く丘に取り残されたままだった。そんな彼女の前に、彰の面影を感じさせる青年・涼が現れる。彼は臨時適任用教員として、百合のクラスの副担任になるという。自分をまっすぐに想ってくれる涼に揺れ動く百合だったが、彰を裏切るようで新たな恋に踏み出すことができない。葛藤のなかで百合が出会ったのは、ホスピスで穏やかな余生を過ごす年老いた千代だった。石丸を失った後、千代が歩んだもうひとつの愛の形。そして千代が百合に託したのは、出撃直前の彰が遺した、未来の百合へ送る1冊の本だった。
キャストには百合役の福原遥をはじめ、出口夏希、伊藤健太郎ら前作のメンバーが再結集。さらに、彰の面影を持つ青年・涼役で細田佳央太、現代の千代役で倍賞千恵子が出演。「366日」の新城毅彦が監督を務め、前作に引き続き福山雅治が主題歌を担当。(映画.comより)
興行収入45億円の大ヒットとなった前作『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』現代の女子高生が第二次世界大戦末期にタイムスリップし、特攻隊の青年・彰と出会うラブストーリーでありながら同時に戦争の過酷さ・凄惨さを映し出し戦争について若い世代にも訴える意義のある作品でした。一部では戦争を恋愛映画の題材に結びつけるとはけしからん等と否定的な声もありましたが、それはあなた方の様な方に向けて作られているわけではなくあくまで若い世代への取っ掛かりとしてのアプローチとして僕は評価していますよ。思想的にも右にも左にも向いていませんしね。で、そんな前作の大ヒットを受けての続編という事で僕は気になる事が。前作はあれで完結していましたが、果たして続編というのは成立するのだろうか?それを確かめる為にもまずは鑑賞せねばという事で8月12日にMOVIX日吉津で鑑賞して参りました。
さて前作は現代の女子高生である百合が戦時中にタイムスリップし特攻隊の青年・彰と出会うストーリーでした。百合は将来のビジョンも持てずかつて戦争によって自分と同世代の人が亡くなった事についても他人事。神風特攻隊についても「無駄死にじゃん」なんて吐き捨てる少女でした。しかし彰達特攻隊員と出会い現代に戻るまでの生活の中で人間的成長を果たしていく姿を見たのは記憶に新しいところです。
今作では再び現代に戻った百合が彰が志しそして前作の終盤で母親に告げた教師となり一人の青年と出会うという何て事はない恋愛映画でした…という事ならばかなり辛辣な評価をしていた事でしょう。ところがそうはいかない辺りがこの作品でして、前作に登場した千代ちゃんの現在の姿も捉えてあり百合のストーリーでもあり千代さんの人生を同時に見せていく手法が良かったです。出口夏希が演じた戦時中の千代ちゃんはその後も戦後を生き抜き現在へ。倍賞千恵子さんが演じる上品なおばあさんへとなったのですが、彼女もまた戦後には様々なドラマがあったという事が伺えます。結婚もするのですが、しかしその結婚相手もまた戦時下での経験に起因するPTSDと思われる症状が発症したり。戦争というものは誰も幸せにしないという事が描かれています。
また高校教師となった百合が生徒達に向けて平和教育を行うという場面。進学校であるが故に受験に関係がないからと他の教師も生徒も冷ややかなものでしたが、百合の情熱と行動力が実り実践する事に。生徒達もはじめのうちこそかつての百合の様に軽い気持ちで授業を受けていたのが特攻隊の手紙を朗読するうちに感情が込もり全体的な空気そのものが変わっていくトーンの変化はリアリティがありました。この演出は本作でも特筆すべきポイントかと思います。
また、百合が語る戦争の話しというのが現代に生きる若い女性とは思えない説得力あるリアルな口調。まさに戦争を体験した人のそれでここは福原遥さんの演技による物が非常に大きいと思いました。
また、前作で出てきた一面に咲く百合の花が美しい丘の光景。戦後の開発が進み、あの時の様な丘一面に…とはいかなくなりました。それ故に「あの花が…」から「あの星が…」といった具合にシンボルとなる物が変わっている点も過去と現在の違いを表す上で大きいポイントかと思いました。
と映画全体としては非常に良作でしたが、前作同様に気になる点もあったので触れておきます。
百合が涼に告げる「私、戦時中に行った事があるの」という場面での涼のリアクションだけどあっさり受け入れすぎだろ?「何言ってんの?」って突っ込むポイントだろ?
後はね〜細田佳央太さんの演技は素晴らしいですよ!細田さんが悪いわけでは全然ないですが、出来れば涼役も水上君で見たかったな〜、彰そっくりの青年が現在の百合の前に現れるというのがめっちゃドラマチックになると思うんですけどね。これはあくまで個人的な要望ではありますけど、でも前作見た人なら同じ事思う人結構いるんじゃないかな?
それから千代さんの最後ね、あれは賛否両論あるかと思うけど俺はありかな?戦時中に交流を育んだ二人が現代で再会。ハイタッチをするという前作からの80年越しの伏線回収劇にはうるっとしましたし、千代さんは百合ちゃんへの役目をしっかり果たしそしてあの最後。はっきり写さずとも千代さんがどうなるか見ていたら分かるし、ベタな恋愛映画やヒューマンドラマだったら過剰な演出で感動の押し付けをすると思うんですよ。しかしそれはせずでも千代さんがどうなったかは伝わる様な僕はそんなさり気ない演出に好感を抱きます。
前作は冬公開でしたが、夏の公開にしたのは良かったと思います。戦争そして平和の尊さについては季節問わず考えるべきかとは思いますが、とりわけ意識が高まるのは8月です。改めて現在の日本の平和に感謝し、その平和な日常の為に戦っただご英霊に合掌を捧げ今作のレビューは締めさせて頂きます。
前作未鑑賞でも問題はないですが、前作は見た方が感動の度合いが全く違うと思います。
なので前作を鑑賞した上で強くオススメします!是非劇場でご覧下さい!





