
中国春秋戦国時代を舞台に、天下の大将軍になる夢を抱く少年・信と、中華統一を目指す若き王・嬴政らが織りなす壮大な物語を描く原泰久の人気漫画を実写映画化した「キングダム」シリーズの第5作。秦と六国がぶつかり合う原作屈指の人気エピソード「合従軍編」を映画化する。
馬陽の戦いで秦が大将軍・王騎を失ってから3年。王騎の思いを受け継ぎ、成長を続ける信は千人将に昇格していた。そんな中、趙の宰相・李牧の策略で、秦以外のすべての国が手を組み、総数50万からなる「合従軍」が秦へ侵攻を開始する。首都・咸陽の王宮では嬴政を中心に事態の対応に奔走するが、かつてない軍勢を前に、秦は国家滅亡の危機に追い込まれる。信は同じ若き将である蒙恬や王賁とともに、秦の国門である函谷関へ向かい、同地には麃公、蒙武、騰、王翦、桓騎ら秦を代表する将軍たちが集結する。一方の合従軍は、楚の春申君を総大将に、かつて祖国を蹂躙されたことで秦に恨みを抱く趙の猛将・万極をはじめとする各国の強者たちが集っていた。
信役の山崎賢人、嬴政役の吉沢亮、李牧役の小栗旬らシリーズおなじみのキャストが引き続き出演。蒙恬役で志尊淳、王賁役で神尾楓珠、桓騎役で坂口憲二、春申君役で斎藤工ら豪華キャストが新たに参加した。監督もシリーズ全作を手がける佐藤信介が続投し、1作目から脚本に参加している原作者の原が、今作でも脚本を手がけている。(映画.comより)
原作の連載が20周年を迎えた大人気シリーズ『キングダム』の最新作で映画としては5作目となります。昨年こそ公開がありませんでしたが、2022年の『キングダム 遥かなる大地へ』2023年の『キングダム 運命の炎』2024年の『キングダム 大将軍の帰還』と近作はいずれも7月に公開と4月にコナン君を見るという具合にこのところ習慣化してるなんて人も居る事でしょう。まぁ、僕がそうなんですけどね。という事で最新作もやはり見なければという事で7月22日水曜日Tジョイ出雲で鑑賞して参りました。
さて、前作で壮絶な死を遂げた王騎将軍。これまでのシリーズにおいても非力だった信の能力を見出し成長へと導いていった姿を見てきた人にとっては王騎将軍ロスになっているのではないかと思います。大沢たかおさんの名演も胸に訴えかけるものがあり、多くの人の脳裏に焼き付いている事でしょう。その名演が評価されて翌年の日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞したのも記憶に新しいところです。冒頭ではそんな王騎将軍のレクイエムと言うべきかあの悲劇的にも日本のアクション映画史に残る名シーンが映し出されます。この辺りからも佐藤信介監督はじめ製作陣の王騎将軍へのそして大沢たかおさんへのリスペクトが込められていました。
しかし実はこれは冒頭からかなりハードルを上げたのでは?とも思いました。というのは『キングダム』の映画でも屈指の名シーンである事は言うまでもなくそれが功を奏してか前作はシリーズ最高の興行成績となりました。
そうなってくると王騎将軍ロスを埋める展開や映像的な見せ場があるのかが今作へと課された課題でもあるんです。
しかしその辺りは全くの杞憂でしたね。合従軍の将軍達が結集し、そして秦へと向かい撃ちます。その豪華なアベンジャーズ感は映画としての迫力を最高潮へと導いていきバトルシーンはやはり圧巻のものでした!その見せ方だってただ騎馬隊へ兵隊のエキストラを集めてぶつかり合わせてハイ、迫力あるでしょ、満足したでしょ?なんて決して観客を舐めた見せ方するわけではなく、それぞれの大将の人間性やバックボーンを見せながら昨今主流の『鬼滅の刃』的なヴィラン側にもヴィラン側の事情があるという点を深掘りして見せる為にこちらも感情を乗せやすい作りとなっています。とりわけ山田裕貴演じる趙国の将軍・万極です。彼は何故に秦国に立ち向かうのか?その背景はあまりに悲しいものなんですね。我々はあくまで山崎賢人演じる信の目線でストーリーを追うから秦国を軸に見ているわけです。しかし春秋戦国時代という戦乱の世においては戦う国にとってそこに住む兵士ではない人もいるんですね。彼らは本来戦さとは無縁なハズなんです。しかしひとたび戦さとなれば双方のトップ同士のいざこざであろうと巻き込まれるのは当該国の民なんです。これは現代の戦争においても同じですよね。この戦乱の世においては大将を討ち取ってハイ終わりなんてわけにはいきません。国の民が無慈悲にも処刑されるという悲しい現実があります。実際に古代から近代においての中国で用いられた残酷な処刑生き埋めによって親や兄弟を殺された人にとってその怒りの矛先はどこに向かうのか?という答えは一つですね。相手の国です。そうなってくると負の連鎖というのは止まりません。血で血を洗う争いが繰り広げられてしまうもの。だから武力による衝突は憎しみや悲しみしか生まないもの。これは人類が歩んだ歴史の中で我々は学んできたのですが、それでも今なおこの負の連鎖というのは止まりません。山田裕貴さんが演じた万極という大将は同じ悲しみに暮れる同士を兵士として集め、秦国へと立ち向かうのですが、この兵士達のとてつもない生命力、それがまるでゾンビの様に瀕死の状況に陥っても起き上がり、秦国の軍勢に襲い掛かる様はなかなかホラーでもありましたが、同時に感情を刺激される描写でもありました。
また、一ノ瀬ワタル演じる臨武君。実は一ノ瀬ワタルさんは『キングダム』1作目でタジフというキャラクターで出演していましたが、あの時は常に仮面を被っていたんですね。しかし、その後『サンクチュアリ-聖域-』でのブレイクを経て人気俳優に。今回は満を持して顔出しで出演しています。屈強な体格からくるパワフルなキャラクターは一ノ瀬さんには打ってつけだなと思いましたね。
さて、一大スペクタクルとしてやはりこのシリーズは日本映画の中でも屈指のクオリティだなと感じた反面、個人的に勿体無いなと思った点もあって最後にそこに触れておきます。というのは冒頭の王騎将軍の死のフィードバックから今作の核となるシークエンスまでがやや時間かかり過ぎたんじゃないかなと思いました。それも会話劇が多くなってしまったきらいがあってそこが少々冗長的に感じてしまいました。う〜ん、もっとテンポ良く進めて欲しかったな。後ね、終盤です。序盤のテンポの悪さからギア上げてからの盛り上がりは確かに良かったですが、その盛り上がりからさぁ、次はどうなると期待を煽ってからのエンドですよ。ここは一度落ち着かせてから次作へ繋いでいく流れの方が個人的には良かったんですけどね。まぁ、そこは好みの問題なんでしょうけど。
ともあれまだまだ続く『キングダム』シリーズ。きっと次作も鑑賞する事でしょう。これまでシリーズを見てきた人はもちろん、初見でも大丈夫なの?という不安な方、大丈夫。冒頭でダイジェストがありますから今作から入っても問題ないでしょう。ただね、出来れば前作の『キングダム 大将軍の帰還』はチェックしておいた方が良いと思います。
オススメです!是非劇場でご覧下さい!





