きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

あの星が降る丘で、君とまた出会いたい

汐見夏衛によるベストセラー小説を実写映画化し、現代から1945年にタイムスリップした女子高生と特攻隊員の切ない恋を描いた2023年の大ヒット作「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」の続編にして完結編。続編小説「あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。」を原作に、愛する人を理不尽な形で失った後、現代で目を覚ました主人公・百合のその後を描く。
特攻隊員・彰との別れから7年。百合は彰の夢でもあった高校教師になり忙しい毎日を過ごしながらも、その心は1945年の百合が咲く丘に取り残されたままだった。そんな彼女の前に、彰の面影を感じさせる青年・涼が現れる。彼は臨時適任用教員として、百合のクラスの副担任になるという。自分をまっすぐに想ってくれる涼に揺れ動く百合だったが、彰を裏切るようで新たな恋に踏み出すことができない。葛藤のなかで百合が出会ったのは、ホスピスで穏やかな余生を過ごす年老いた千代だった。石丸を失った後、千代が歩んだもうひとつの愛の形。そして千代が百合に託したのは、出撃直前の彰が遺した、未来の百合へ送る1冊の本だった。
キャストには百合役の福原遥をはじめ、出口夏希、伊藤健太郎ら前作のメンバーが再結集。さらに、彰の面影を持つ青年・涼役で細田佳央太、現代の千代役で倍賞千恵子が出演。「366日」の新城毅彦が監督を務め、前作に引き続き福山雅治が主題歌を担当。(映画.comより)

興行収入45億円の大ヒットとなった前作『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』現代の女子高生が第二次世界大戦末期にタイムスリップし、特攻隊の青年・彰と出会うラブストーリーでありながら同時に戦争の過酷さ・凄惨さを映し出し戦争について若い世代にも訴える意義のある作品でした。一部では戦争を恋愛映画の題材に結びつけるとはけしからん等と否定的な声もありましたが、それはあなた方の様な方に向けて作られているわけではなくあくまで若い世代への取っ掛かりとしてのアプローチとして僕は評価していますよ。思想的にも右にも左にも向いていませんしね。で、そんな前作の大ヒットを受けての続編という事で僕は気になる事が。前作はあれで完結していましたが、果たして続編というのは成立するのだろうか?それを確かめる為にもまずは鑑賞せねばという事で8月12日にMOVIX日吉津で鑑賞して参りました。
さて前作は現代の女子高生である百合が戦時中にタイムスリップし特攻隊の青年・彰と出会うストーリーでした。百合は将来のビジョンも持てずかつて戦争によって自分と同世代の人が亡くなった事についても他人事。神風特攻隊についても「無駄死にじゃん」なんて吐き捨てる少女でした。しかし彰達特攻隊員と出会い現代に戻るまでの生活の中で人間的成長を果たしていく姿を見たのは記憶に新しいところです。
今作では再び現代に戻った百合が彰が志しそして前作の終盤で母親に告げた教師となり一人の青年と出会うという何て事はない恋愛映画でした…という事ならばかなり辛辣な評価をしていた事でしょう。ところがそうはいかない辺りがこの作品でして、前作に登場した千代ちゃんの現在の姿も捉えてあり百合のストーリーでもあり千代さんの人生を同時に見せていく手法が良かったです。出口夏希が演じた戦時中の千代ちゃんはその後も戦後を生き抜き現在へ。倍賞千恵子さんが演じる上品なおばあさんへとなったのですが、彼女もまた戦後には様々なドラマがあったという事が伺えます。結婚もするのですが、しかしその結婚相手もまた戦時下での経験に起因するPTSDと思われる症状が発症したり。戦争というものは誰も幸せにしないという事が描かれています。
また高校教師となった百合が生徒達に向けて平和教育を行うという場面。進学校であるが故に受験に関係がないからと他の教師も生徒も冷ややかなものでしたが、百合の情熱と行動力が実り実践する事に。生徒達もはじめのうちこそかつての百合の様に軽い気持ちで授業を受けていたのが特攻隊の手紙を朗読するうちに感情が込もり全体的な空気そのものが変わっていくトーンの変化はリアリティがありました。この演出は本作でも特筆すべきポイントかと思います。
また、百合が語る戦争の話しというのが現代に生きる若い女性とは思えない説得力あるリアルな口調。まさに戦争を体験した人のそれでここは福原遥さんの演技による物が非常に大きいと思いました。

また、前作で出てきた一面に咲く百合の花が美しい丘の光景。戦後の開発が進み、あの時の様な丘一面に…とはいかなくなりました。それ故に「あの花が…」から「あの星が…」といった具合にシンボルとなる物が変わっている点も過去と現在の違いを表す上で大きいポイントかと思いました。

と映画全体としては非常に良作でしたが、前作同様に気になる点もあったので触れておきます。

百合が涼に告げる「私、戦時中に行った事があるの」という場面での涼のリアクションだけどあっさり受け入れすぎだろ?「何言ってんの?」って突っ込むポイントだろ?

後はね〜細田佳央太さんの演技は素晴らしいですよ!細田さんが悪いわけでは全然ないですが、出来れば涼役も水上君で見たかったな〜、彰そっくりの青年が現在の百合の前に現れるというのがめっちゃドラマチックになると思うんですけどね。これはあくまで個人的な要望ではありますけど、でも前作見た人なら同じ事思う人結構いるんじゃないかな?

それから千代さんの最後ね、あれは賛否両論あるかと思うけど俺はありかな?戦時中に交流を育んだ二人が現代で再会。ハイタッチをするという前作からの80年越しの伏線回収劇にはうるっとしましたし、千代さんは百合ちゃんへの役目をしっかり果たしそしてあの最後。はっきり写さずとも千代さんがどうなるか見ていたら分かるし、ベタな恋愛映画やヒューマンドラマだったら過剰な演出で感動の押し付けをすると思うんですよ。しかしそれはせずでも千代さんがどうなったかは伝わる様な僕はそんなさり気ない演出に好感を抱きます。
前作は冬公開でしたが、夏の公開にしたのは良かったと思います。戦争そして平和の尊さについては季節問わず考えるべきかとは思いますが、とりわけ意識が高まるのは8月です。改めて現在の日本の平和に感謝し、その平和な日常の為に戦っただご英霊に合掌を捧げ今作のレビューは締めさせて頂きます。

前作未鑑賞でも問題はないですが、前作は見た方が感動の度合いが全く違うと思います。

なので前作を鑑賞した上で強くオススメします!是非劇場でご覧下さい!

オークストリートの異変

アン・ハサウェイとユアン・マクレガーが共演し、平和な町を襲った異変から生き延びようと奔走する家族の運命を、圧倒的スケールでスリリングに描いたサバイバルスリラー。
プラット家の4人家族は、平和な町オークストリートで普通の毎日を過ごしていた。しかしある日を境に町で不思議な現象が起こりはじめ、水道や電気も完全に止まってしまう。不穏な空気が町を覆うなか、絶滅したはずの恐竜が次々と現れ、住民たちを容赦なく襲いはじめる。プラット家の家族は手近な武器を手に取り、さまざまな恐竜の脅威をくぐり抜けて町から脱出するべく奔走するが……。
一家の父グレッグをマクレガー、母デニースをハサウェイが演じ、「マイ・オールド・アス 2人のワタシ」のメイジー・ステラが娘オードリー役、「THE MONKEY ザ・モンキー」のクリスチャン・コンベリーが息子ブライアン役を務める。監督・脚本は「イット・フォローズ」「アンダー・ザ・シルバーレイク」のデビッド・ロバート・ミッチェル。製作には「クローバーフィールド」「ミッション:インポッシブル」シリーズなどのヒットメーカー、J・J・エイブラムスが名を連ねた。(映画.comより)

いつの世も恐竜を扱った作品というのは人気でして、世界的に代表されるものとしては『ジュラシック,パーク(ワールド)』シリーズがスタンダードですよね。恐竜というものだって人間に襲い掛かる脅威の存在として扱う場合もあれば、『映画ドラえもん のび太の恐竜』の様に人間と仲良くなる場合もある。太古の昔に絶滅した存在だからこそのミステリアスさもあって我々人間は恐竜というものにロマンを感じるのかもしれません。そしてそんな恐竜を扱った新たな作品がこの夏登場それこそが本作ですが、『プラダを着た悪魔』シリーズのアン・ハサウェイと『スターウォーズ』シリーズのユアン・マクレガーが夫婦役で共演。ある日突然平和な町に現れた恐竜と対峙する事になります。公開前から楽しみにしていたワタクシ。公開直後の8月15日土曜日MOVIX日吉津で鑑賞して参りました。

『ジュラシック・パーク』の名前を挙げましたが、同作との大きな違いがあります。それは『ジュラシック…』は人間達が恐竜達が生息する世界へ突入するのに対し、こちらは平穏に暮らす日常の中に恐竜が現れるというものです。日常×恐竜という文脈で言えばまさに藤子・F・不二雄先生の方向です。『のび太の恐竜』式ですね。しかし、今作が救われないのがのび太にとってのピー助が出ないんですよ。人間の味方となる恐竜ですね。ひたすら恐竜は襲い掛かってくるだけ。その恐竜がとにかく怖いんですよ。感情なんてものがないから町に現れては大暴れ。家も車も破壊して人も容赦なく殺されます。例えばこれ見て思ったのが、ゴジラですよね。ゴジラだって街を破壊します。でもゴジラの場合は襲撃するのが東京という大都会であり、ビルや電車といった大都市の記号的な対象物を破壊するというダイナミズムがある一方、本作で登場するオークストリートというのは郊外の静かな住宅街もしくは田舎町なんですよ。より生活の音や空気を感じる空間に現れる恐ろしさが強いインパクトを与えるんですよね。

で、程よいB級感がまた良かったですよね。CGのクオリティーも高かったし、映像的な迫力もある一方、『ジュラシックパーク』程パニック描写に注力していないところもあり、でもまたそれこそが本作の良い所でもありました。また、映像的な迫力もでしたが、効果音の使い方も良かったですね。ホラー映画で言うところのジャンプスケアに様な音でビックリさせる様な演出がありました。正直、ジャパニーズホラーでジャンプスケアを多用されると僕は冷めてしまうんですが、本作におけるそれって決して不快にはさせないんですよ。本気でビックリしましたし、その後も「うわ〜ビックリした〜」なんてあっさり受け入れられましたしね。

こういうホラー要素もあるパニック映画ってホント夏にピッタリですね!涼しい映画館でこんなスリリングな演出を浴びてより涼しさを感じましたしね。ある意味『ちいかわ』以上に夏休み映画としてのエンタメ性を感じましたよ!ただ客席には子供達の姿はなく大人が居なかったのはちょっと淋しかったですね。

さてさて、『プラダを着た悪魔2』が記憶に新しいアン・ハサウェイ。ランウェイ社でキビキビ働く彼女の姿も良いのですが、猟銃を片手に襲いくる恐竜と戦う姿もまたかっこよかったですね!また、子供達を守る為に自ら奔走しながらその子供達と共に行動する姿はメリル・ストリープ演じるミランダに振り回されながら奔走するアンディとまた違う形でのアクティブさを感じましたね。

一方のユアン・マクレガーも今作ではカッコいい父親像ではなくどこか情けなくて頼りないだけど憎めない。逞しいアニーが奥さんで良かったねと思わず言いたくなりました。で、この夫婦ですが、恐竜登場前は冷え切った関係で二人の子供も心配するというより離婚のカウントダウンを悟っている様な受け入れ方だったり。つまり決して円満な家族像ではないんですよね。でもかえってそれが良かった。恐竜という一家を襲う脅威が現れた事により一家が手を取り戦う事で絆を再確認するというベタですよベタなんですが、この作品に小難しさや物理的な事象に整合性を求める…なんてものは別に求めてないですからね。王道のハリウッドアクションの文脈でストーリー性が云々より如何にパニック描写や驚きの仕掛けがあるかというエンターテイメント性こそが求められる作品ですからね。舞台が80年代になっているというところもあってか80年代の王道娯楽作品を見ている様などこか懐かしさもありながら、そうこれこれ夏休みの洋画大作はこんなんでいいんだよという安心感もあり。また、劇中には恐竜の◯◯なシーンがあって思わず笑っちゃいました。オスの恐竜がメスの恐竜に…◯◯みたいなね(笑)まさかの下ネタかよってフツーに突っ込んじゃいましたよ。こういうバカバカしさも嫌いじゃありません。二時間半や三時間という上映時間も珍しくない昨今の洋画作品の中で100分という尺もサクッと見られて良かったですね。

ただどうにもスッキリしない点があるので触れておきますね。紆余曲折を経て物事は解決します。うん、そのシンプルさはいい!だけど一連の恐竜登場のトリガーが結局よく分からないんだよなぁ。作中でニュースキャスターが伝えてはいますが、SF的用語が出るもそれがどういうものかを明確に説明していないんですね。

俺みたいな無知の人間も居るからそこ詳しく教えてよ!なんて事を思っちゃいました。

でも全体を通して非常にエンタメ性が高く、難解な知識も必要ありません。頭を空っぽにして楽しめる作品だと思います。

オススメです!是非劇場でご覧下さい!

モアナと伝説の海

海と特別な絆で結ばれた少女モアナが世界を救うため冒険の旅に出る姿を描いた2016年の長編ディズニーアニメ「モアナと伝説の海」を実写映画化したミュージカルアドベンチャー。
神秘的な伝説が息づく南海の楽園モトゥヌイ島。海と島の人々を誰よりも愛し、家族の誇りとして育てられた16歳の少女モアナは、祖母のタラおばあちゃんから、島に語り継がれてきた伝説の真実と自分の運命を告げられる。邪悪な闇が迫るなか、「海に選ばれし者」として使命を託されたモアナは、伝説の英雄マウイを探し出し、共に女神テ・フィティの心を返しに行くため、小さなカヌーに乗り込んで大海原へ旅立つ。
主人公モアナ役にはオーストラリア出身の新人俳優キャサリン・ラガイアが抜擢され、力強い歌声を披露する。半神半人の英雄マウイ役は、アニメ版で同役の声優を務めたドウェイン・ジョンソンが引き続き担当。名作ブロードウェイミュージカルを映像化した「ハミルトン」のトーマス・ケイル監督がメガホンをとり、実写映画ならではの臨場感あふれる映像と珠玉の音楽で描き出す。(映画.comより)

2016年の大ヒット映画「モアナと伝説の海」初の実写化!近年のディズニー作品の中でも高い人気を誇る同作で、ディズニーとしてもこの夏の肝入りの作品だったのでは?と思いますが、夏の大作ラッシュに埋もれて興行的には苦戦を強いられているとか?しかしオリジナルのアニメは過去二作共鑑賞しているワタクシ。どの様に実写で表現されているのか気になったので8月21日にMOVIX日吉津で鑑賞しました。

さて、本編レビュー前に簡単にモアナについておさらい的に触れておきます。村長(むらおさ)の娘でいわゆるディズニー・プリンセスとしては16歳という思春期の女の子なのですが、性格がアクティブで冒険が大好き。お話に恋愛要素が入らないことがひとつ特徴としてあげられます。多様性を重視する昨今のディズニーらしく、西洋の伝統的な物語ではなく、世界あちこちの神話や昔話、さらには民族学的な視点を反映したポリネシア文化、特にサモアの文化を作品に写し出し更には海や島がまるでそれ自体生き物であるかのような動きを見せる物語で、それをアニメ表現としてチャレンジングに見せていたこともまたポイントです。また、『マッドマックス 怒りのデスロード』を思わせる近年のヒット作の要素をうまくオマージュしたりと映画好きも思わずニヤリとしてしまう要素等が面白い作品でした。

また、近年頻発するディズニー・アニメの実写映画化という文脈で言えば、「白雪姫」や「リトル・マーメイド」、「ライオン・キング」、「美女と野獣」「アラジン」に「リロ&スティッチ」と枚挙にいとまがありませんが、ではなぜ、こんなに実写化をするのか。まずひとつは興行的なリスクが低い事です。完全な新作でオリジナルの話を一から宣伝することを思えば、タイトルだけでおおよその雰囲気が理解されるような実写映画化はおいしいです。日本でも多い人気漫画やアニメーションの実写化がまさにディズニーでも踏襲されているという事ですね。とりわけディズニーは現場も新作を作ってはいますが、ディズニーだから何でも当たるというわけではなくなっているのもまた事実。新作を打ってでるより既に実績のあるオリジナルで実写リメイクの方が手堅いというわけです。次に、オリジナルのアニメ版が世に出てから時間が経ち、人々の価値観は当然変化しているわけなので、古くなっているところに現代的な修正・補正を施して現代の視点で作り直すということ。たとえば、今だったら差別的に感じたり古臭く感じる笑いや演出をアップデートすることによって現代の親子やカップルも安心して観られるという事ですね。

とモアナのアニメ版の特徴と近年のディズニーの実写化の傾向についてかなりざっくりと分析しましたがそれでは、実写映画『モアナと伝説の海』はどうだったのか。はっきり言って面白かったです!CGを駆使しながらの海の映像などは夏の映画館で見てこそだと思いましたし、そもそもがオリジナル版の1作目の日本での公開は3月、2作目が12月と何故夏に公開しないんだろうとモヤってましたが、実写版で初めて夏のレジャー要素も絡めた公開スケジュールにしてくれたなと感謝すらしますし、正直オリジナルより面白いと思ったくらいです。ただ、実写化に関して時期尚早だったのではないかと思いました。というのがオリジナルがあまりに記憶に新しいんですよ。観ていて既視感ありまくりでね。新鮮味がなかったというのが率直な印象です。例えば「アラジン」でも「ライオン・キング」でも他の一連の実写化は、数十年、ものによっては半世紀以上も前のアニメがオリジナルだから、実写化の意義が強くあったんですが、10年前のものはさすがによく覚えているし、今回の実写化で刷新された要素は特に見当たらないです。だって、価値観が大きく変化したとは言えないから。確かに2010年代辺りからジェンダーや多様性等の視点で語られる事が増えコロナ禍で劇的に変化したというのはありますが、とは言え2016年ですよ。コロナ禍前とは言え、現在の価値観と大きな変化はありません。そして、「実写」と謳ってますが、ほとんどの場面でCGが使われているので、結局はアニメっぽくなっちゃうんです。アニメでドウェイン・ジョンソンが声を担当していたマウイは、魔法の釣り針を使って自在にその姿を変えることができるキャラクターですが、そんなの本当の実写でできるわけがないので、もちろん全部CGです。マウイの身体にはサモアの伝統文化であるタトゥーがたくさん入っていて、その中の人の形をしたタトゥーが、ひとりでに動き出して時にマウイにツッコミを入れるという面白い設定があるのですが、これも実写ではCGでやるしかない。しかも、CGの技術もこの10年で誰もがあっと驚くような変化があったかと言えば、そうでもないですよね。じゃあ、オリジナルのアニメで良いんじゃないかと感じてしまう観客が出てくるのはしょうがないですよね。

う〜ん、そりゃ「ちいかわ」や「スパイダーマン」に流れるのは無理もないかなと思いました。時系列的にモアナより前の「塔の上のラプンツェル」や「アナと雪の女王」だって実写化はされていないわけですから、クラシカルなディズニー作品で未だ実写化されていない作品はまだまだありますから、正直実写化に走りすぎる傾向はあまり褒められたものではないと思いますが、もし今後も実写化の予定があればまずはそちらからという方が良いのではないでしょうか?

しかし何度も言いますが、作品自体は面白かったです!『モアナと伝説の海』というオリジナル作品から離れたいち海洋アドベンチャー物としても楽しめる作品かと思います。

オススメです!是非劇場でご覧下さい!

映画クレヨンしんちゃん 奇々怪界!オラの妖怪バケ〜ション

テレビアニメ「クレヨンしんちゃん」の劇場版第33作。妖怪の国に迷い込んでしまった野原家が、どこか懐かしくも奇々怪々な世界で繰り広げる大冒険を描く。
ある夏の日、日本各地で怪奇現象が相次いで目撃され、世間を騒がせていた。そんな中、野原家は秋田県にあるひろしの実家に帰省することになる。旅の支度をしていると、のんきに妖怪ごっこを楽しむしんのすけの姿を、庭の物陰から覗く怪しい影があった。秋田に到着した野原家は祖父・銀の介の家で穏やかな時間を過ごすが、翌朝、しんのすけたちが泊まっていた部屋に「おばけーしょん村」のチラシがばらまかれるという奇妙な事件が起こる。しんのすけの希望でおばけーしょん村へ行くことになった野原家は、道中の人里離れた山奥で奇妙な空間に迷い込んでしまう。そこは、人間が立ち入ることを禁じられた「妖怪の国」への入り口だった。
テレビアニメ「クレヨンしんちゃん」の演出を2022年から担当する渡辺正樹が映画シリーズ初監督を務め、テレビアニメ版の脚本を手がけてきた中村能子が脚本を担当。俳優の伊藤沙莉が、妖怪の国でしんのすけたちを導く九尾の狐の妖怪「やこ」役を務めるほか、お笑いコンビ「マユリカ」の阪本&中谷がゲスト声優出演。(映画.comより)

毎年恒例のクレしん映画。夏の公開作としては今作が4作目ですが、すっかり夏に定着した感がありますね。という事で毎年チェックしている私今年も8月5日にTジョイ出雲で鑑賞して参りましたが、さすがは夏休み。キッズの姿で溢れていましたね。そんな中でも大人一人客も見かけ、改めての人気ぶりを感じました。

さて毎年手を変え品を変えてのクレしん映画ですが、今年のテーマは妖怪という事で果たしてどの様に描かれているのか気になるところです。

夏休み、ヒロシの実家のある秋田県へ行く所から始まりますが、そこで登場する妖怪達との交流からストーリーが動いていきます。可愛いたぬき、人魚、シルクハットを被った傘お化け等等個性的なビジュアルの妖怪と一人の少女・やこ。彼女もまた狐の妖怪の様なんですね。しかし妖怪の世界にも色々ある様でそこには人間が築いてきた文明の歪みが関わっている様です。

で、今回面白かったのがズバリクレヨンしんちゃんによるジブリオマージュなんですね。ヒロシとみさえが妖怪に?なんて流れもどことなく「千と千尋の神隠し」を彷彿とさせましたし、人間の文明と妖怪の影響は今年春に大ヒットしたピクサー作品「私がビーバーになる時」そして同作がオマージュしたのが「平成狸合戦ぽんぽこ」更には後半に出てくるあのキャラクターのビジュアルはもしや「ものの姫?」なんて思っちゃいましたよ。といった具合にクレしんmeetsジブリ的な作りはかなり実験的な試みだなと思いました。

「ゲゲゲの鬼太郎」、「妖怪ウォッチ」、「夏目友人帳」等日本のアニメ・漫画には妖怪を題材にした作品は多々ありますが、ジブリ作品の世界観とクレしん流のユーモアという独自の妖怪映画になっていたなと思いました。

また、妖怪にも種類がありしんちゃん達と交流を育むサイドの妖怪も居れば人間達を攻撃するというヴィラン寄りな妖怪と双方がぶつかり合っていくのですが、ヴィランサイドが仕掛ける人間達への攻撃ですね。ズバリ人間が妖怪にされてしまうというものですが、面白いのが妖怪化されてしまったキャラクターがまるで図鑑の様に紹介。ネーミングもまた絶妙でそのキャラクターの特性を活かした妖怪に変えられてしまうという点です。更には風間くんやネネちゃん、マサオくん、ボーちゃんの面々はその餌食にならずあくまで妖怪化してしまうのは大人達のみ。この妖怪図鑑あればじっくり読みたいななんて思いましたよ。

また謎の魚介類妖怪が現れた時に何故か野球対決をする場面が現れます。魚介類なのに何で野球?なんて思いましたが、この野球というのが伏線になっているんですね。しかもこの野球対決割とテンポが良くて楽しかったですよ。 

それにしても妖怪の国のディテールは良かったですね。古き良き日本の原風景というのでしょうか。昭和30年代の人との繋がりが濃い時代をモチーフにした様な作り。お隣さんにお醤油を借りに行くなんていうノスタルジーが漂う見せ方なんですよ。クレしん映画ってちょいちょいノスタルジーを刺激してきますよね。大名作「オトナ帝国の逆襲」のイメージが強いというのがありますが。

また、ヴィラン側の妖怪達も単に悪役という事にはせず彼らには彼らなりの事情を見せていくという作り。近年多い手法ではありますが、現代的なヴィラン像なのかもしれませんね。ラストでの妖怪達が共生していく為に手を取り合うというのも良かったです。

で、ラストと言えばやっぱりクレしん映画ならではと言うのが問題を解決して一件落着しかしそれは同時に友情を育んだ妖怪達との別れでもあり…という涙腺を刺激するモードに突入するくだりですね。こういうのはよくある手法かもしれませんが、やはり弱い。ただ過剰な演出は入れずにスムーズな見せ方だったのが好印象であり、更にはそれが永遠の別れというわけではなく次に繋がるという前向きに見せていたのも個人的にはポイント高いです。

クレしん映画史上最高レベル…という程ではありませんが、夏休みには親子鑑賞には適した安心と安定のクオリティはさすがだなと感じました。

オススメです!是非劇場でご覧下さい!

 

ミニオンズ&モンスターズ

米イルミネーション制作の「怪盗グルー」シリーズから誕生した人気キャラクターのミニオンズを主役に据えた長編アニメ「ミニオンズ」シリーズの第3作となるアドベンチャーコメディ。
最強最悪のボスを求めて旅を続けるミニオンズは、夢あふれる映画の都ハリウッドにたどり着く。ひょんなことから映画スタジオに入り込んだ彼らは、自分たちでモンスター映画を作ろうと張り切り、本物のモンスターを召喚しようと試みる。最初に現れたのは想定外の小さな緑色のモンスターだったが、やがて超危険なモンスターたちが次々と街に解き放たれ、ハリウッドは大パニックに陥る。それに加えて仲間割れも発生し、ミニオンズたちにかつてないピンチが訪れる。
監督は「ミニオンズ」「怪盗グルー」シリーズのピエール・コフィン。脚本はイルミネーション制作のアニメ「ペット」シリーズを手がけてきたブライアン・リンチと、コフィンが共同で担当。日本語吹き替え版では、映画監督マックス役を松平健、新たなボス候補ドート役を千葉雄大、ドートと恋に落ちるデビー役を鈴木愛理、謎多きモンスターのグーミー役を山寺宏一が務め、お笑いコンビ「バッテリィズ」のエースと寺家が、個性的なモンスターのフィリップス役、ハワード役に起用され、声優初挑戦を果たした。そのほか、歌手のLiSAもハリウッド女優役で吹き替え版キャストに名を連ねる。(映画.comより)

あれ?「ミニオンズ」ってつい最近やってなかったっけ?そう思ったのですが、それは2024年の「怪盗グルーのミニオン超変身」で「ミニオンズ」の単体としては2022年の「ミニオンズ フィーバー」になるのですね。と言っても4年前もまだ最近な感じですけど。つまりはこのところは2年に一回はミニオンズ達がスクリーンで大暴れしてるという事です。イルミネーションスタジオはこのところはマリオをプッシュしてる感じがありますが、やはりブランドイメージとしてはミニオンズ。今回はミニオンズ達がどんなハチャメチャっぷりを見せてくれるのでしょうか。

8月7日の公開日にイオンシネマ松江で鑑賞して参りました。

さて、最強最悪のボスを求めるミニオンズですが、怪盗グルーと出会うまでは色々なボスに仕えてはその都度ミニオンズ達のやらかしによってそのボス達が死んでしまうという過程が冒頭で描かれます。古代エジプトのミイラ男はトイレットペーパーよろしく包帯を引っ張り続けて露わになった中身が骨ごと砕けてしまったりフック船長を思わせる海賊はサメに食われてしまったりと序盤からなかなかのブラックジョークが効いています(笑)怪盗グルーは大丈夫なのか?なんて毎度このシリーズの冒頭を見る度に思っちゃいます。グルーの身に何か起きたら娘達が悲しむぞなんて

で、ミニオンズがグルーと出会うのはもっと後。今回は1920年代のアメリカ・ハリウッドが舞台となります。映画の都・ハリウッドの古き良き時代のミニオンズはどうなるの?まず作り込まれているなと思ったのは冒頭のユニバーサルピクチャーズのロゴの表示。現在のものから遡り1920年代のものを使いその雰囲気をこのロゴから作り出していきます。で、ミニオンズ達はひょんな事からハリウッドで映画に出演。ユニークなキャラクターで一躍人気者になります。チヤホヤされながらどんどん調子に乗っていくミニオンズ達が憎たらしくも可愛くありで思わず顔がニヤニヤしてしまいます。もちろんそこにはミニオンズならではのギャグもてんこ盛り。大人も子供も楽しめるドタバタハチャメチャぶりは今作でも健在です。また、街では女性の地位向上を訴えるデモ行進があったりとこの時代ならではの描写もしっかり捉えられています。モンスター映画を作るにあたってもちろんミニオンズの事ですからただではすみません。街を予期せぬ形でパニックに陥れ大混乱。そんな中での今回のボス候補・ドートと出会うのですが、彼はロボットなんですね。1920年代らしからぬまるで「スターウォーズ」のR2-D2等を思わせるビジュアルイメージ。彼がどんな経緯で1920年代の地球にやってきたのかは作中で見て頂きたいのですが、まさかのSF?…とならないのがこのシリーズでして、彼もまたミニオンズ達にボス候補と見込まれ事によって振り回されてしまいます。しかし、意外や意外な展開にしたのがラブストーリーに繋げていった事でしょうか?その相手こそが女性の地位向上を訴える市民活動をする女性・デビーなのですが、地球のルールを知らないドートが公園で子供を泣かせてしまうところからが彼女との出会いなんですね。彼女の優しい人柄に魅かれていくのですが、彼がポ〜ッとなるところ、地球を新略しにきたインベーダーとは思えない可愛さがありました。しかしこういうモンスターをテーマにしたハチャメチャコメディにしながらSF?には舵を切らずインベーダーと人間の女の子のラブストーリーといった具合にあらゆる要素を詰め込みながらも終始飽きさせない作りは徹底していますね。

また、演出面もぬかりはありません。ド派手な街の破壊シーン、大迫力の空中戦、かつてのドリフ的ベタなオヤクソクだけどでもそれがくるとたまらず笑ってしまうというミニオンズらしさが凝縮した様な内容でした。

しかし、それは裏を返せば好き嫌いの評価が大きく左右される点でもありまして、細かい設定や緻密に作られた脚本ではなく勢い重視な点は否めず重厚なドラマやストーリー性を期待する人には少し大雑把に見えてしまうかなとは思います。でもね、ミニオンズですよ。映画的奥深さよりもとにかくくだらないノリとバカバカしさでいいんですよ。

ショッピングモールのシネコンで涼みながら思いっきり笑いたいとかミニオンズの可愛さに癒されたいという方は断然楽しめます!

オススメです!是非劇場でご覧下さい!

スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)に属する、トム・ホランド主演の「スパイダーマン」シリーズ第4作。前作「スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム」の4年後を舞台に、人々の記憶から消えたピーター・パーカー=スパイダーマンの新たな戦いを描く。
愛する人たちを守るため、全世界の人々から自分の存在の記憶を抹消する道を選んだピーター・パーカー。自分のことを誰も知らないニューヨークで孤独に暮らしながら、スパイダーマンとして犯罪と戦い、街の人々を守ることに全力を尽くす日々を過ごしていた。しかし人々のスパイダーマンへの期待が高まるにつれ、そのプレッシャーが彼の存在そのものを脅かし、命に関わる身体的変異を引き起こしてしまう。時を同じくして、街では不可解な犯罪が頻発し、かつてない脅威がスパイダーマンに迫る。
共演にはMJ役のゼンデイヤ、ネッド役のジェイコブ・バタロンら前3作でおなじみのメンバーに加え、MCUドラマ「デアデビル」「パニッシャー」に登場するフランク・キャッスル=パニッシャー役のジョン・バーンサル、「アベンジャーズ」のメンバーであるブルース・バナー=ハルク役のマーク・ラファロも参加。監督は前3作を手がけたジョン・ワッツに代わり、「シャン・チー テン・リングスの伝説」のデスティン・ダニエル・クレットンが担当。(映画.comより)

MCUの大人気シリーズ「スパイダーマン」の最新作です。前作「スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム」から4年後を描き前作のラストで示された様に人々の記憶からピーター・パーカーの存在が消えた中でのスパイダーマンの活躍を描きます。本シリーズが好きな僕です。当然の様に本作はチェックせねばという強い意志から8月1日のファーストデーにMOVIX日吉津で鑑賞して参りました。

夏休みであり土曜日更にファーストデー。やはりと言うべきかたくさんの人が入っていました。特に若年層の客層が目立ちましたね。偏見かもしれませんが、「変な家」や「ドールハウス」、「8番出口」等のジャパニーズホラーの時に見られた様な中高生くらいの若年層か目立ちましたね。普段のマーベル大好きおじさん層と異なる客層というか。吹替版での鑑賞でしたが、ミセスが主題歌を担当してるという事でそこも関係しているかもしれません。

さて、「スパイダーマン」シリーズと言えばとりわけファンの間で人気が高いのがトビー・マグワイヤー主演のサム・ライミ監督の作品です。しかし、その一方でトム・ホランド主演の現在の「スパイダーマン」シリーズがなかなかサム・ライミ版の評価を上回らないというのが長年続いてきました。しかし、解説していきますが、今作ですがサム・ライミ監督版にも引けを取らない。少なくとも現在のシリーズまたはMCU作品史上のトップレベルの出来となったのではないかと感じます。

まずはアクションです。ニューヨークを舞台にビルからビルへと縦横無尽に蜘蛛の巣を張り巡らせ、華麗にダイブするスパイダーマン。この辺りはやっぱり本シリーズの醍醐味ですね。更には予告編でも出ていた戦車に真っ向からぶつかっていく所や赤い装束の忍者集団とのキレッキレアクションはケレン味たっぷりでこれははっきり言って映画館で見ないと損します!また、本作のヴィランというのが人の身体に憑依してその人物の意思で動いているかの様にまたは喋っているかの様に見せるそんな特殊な能力を駆使します。故にいくら中にそいつが入り込んでいるとは言え、全く罪のない市民ですから身体を攻撃するわけにはいかないんですね。さぁ、どうする?スパイダーマンとなるのですが、かつての恋人・MJの身体に入り込んだ場面です。現在のMJにはピーターパーカーの記憶がないとは言えピーターは記憶を取り戻して元の関係に戻りたいんですよね。ヴィランがMJの身体に入り込んでいるとは言えMJの身体を傷つけるわけにはいかない。そしてMJの身体から離れたヴィランがMJを突き放しあわやビルの屋上から落下か?という状況を救うスパイダーマン。このスリリングな映像作りやそれに伴うアクション。う〜ん、これぞスパイダーマンという作品の真骨頂だよななんて見ておりました。

また、トム・ホランドの肉体がかなり映える映像もあり?これはスパイダーマンが何と入浴するという場面です。「さぁ、今日も街を救った。よしひとっ風呂浴びてくか」なんて仕事帰りのサラリーマンのノリではなくて成り行き上での入浴ですよ、ニューヨークだけに…おっと失礼!で、正体を明かすわけにはいかないからとマスクだけは装着していますが、それ以外は裸なんですよ。つまりトム・ホランドの身体が露わになるのですが、めちゃくちゃ鍛えてるんでしょうね。めっちゃムッキムキ。ピーター・パーカーのキャラクターがクラスの陰キャっぽいもんですからそれに騙されがちですがキレッキレの身のこなしでアクションをこなすスパイダーマンですからね。そりゃ鍛えてるわな。

それから今作は劇中で流れる劇伴も良かったですね。新旧のポップスを使用して世界観を盛り上げるのにひと役買っていました。僕の並びの中学生くらいの男の子がチャカ・カーンの「I'm Every Woman」でリズムを刻んでましたが、これを機に洋楽にも触れて欲しいなと思いました。さて、音楽の話しをしたところで前述のMrs. GREEN APPLEの日本版主題歌「Brand New」に賛否があるとか。理由はよくわかりますよ。本作はスパイダーマン映画史上或いはMCU作品でもトップレベルの良作だったと思うのでその余韻に浸りたい中で日本の商業音楽が流れて現実に引き戻されるというのは確かに批判が出るのは理解出来ます。ミセスの曲自体はスパイダーマンにリスペクトを感じましたし、良い曲だとは思いますよ。しかしその世界観とマッチするかどうかというのは昨今の日本版主題歌という文化について一考の余地があると思います。例えばディズニーやイルミネーション等のファミリーを対象としたアニメーション作品ならわからなくはありません。しかし洋画の実写作品にも取り入れるというのは如何なものかというのは僕も思います。とりわけ人気の高いアーティストの曲を起用し、当該アーティストのファンや若年層といった新規ファンに訴求させるというプロモーションというのも理解出来ますが、そうではない自分も含めてこだわりの強い映画ファンからはなかなか理解されないものです。しかし、今回に限らず日本版主題歌というのは公開前からアナウンスされています。つまりは世界観にどっぷり浸かり余韻をしかと味わいたいというコアなファンはハナから字幕版を選択すればいいんじゃねという話しなんですけどね。

はい、最後は日本版主題歌について触れましたが、映画全体はこれまでの熱量で皆さんお分かりでしょう!

最高でした!オススメです!是非劇場でご覧下さい!

映画ちいかわ 人魚の島のひみつ

イラストレーターのナガノが2020年よりX(旧Twitter)にて原作漫画を連載し、「日本キャラクター大賞グランプリ」を3度受賞、22年に放送開始されたテレビアニメもYouTubeでの見逃し配信総再生回数が4億回を超えるなど、数々の社会現象を巻き起こしてきた大人気コンテンツ「ちいかわ」をアニメーション映画化。原作者・ナガノによる完全監修のもと、原作漫画シリーズの中でも特に人気の高い長編エピソード「セイレーン編」を映像化し、とある島を訪れたちいかわたちが繰り広げる大冒険を壮大な音楽と迫力の映像で描き出す。
ある日、広場でくつろいでいたちいかわとハチワレのもとに、顔にチラシを貼り付けたうさぎが現れる。ハチワレがチラシの内容を確認すると、それは「特別な島」への招待状だった。「島でのカンタンな討伐で100倍の報酬をもらおう」「限定島ラーメンに限定スイーツ、甘いもの辛いもの全部実質無料」といった言葉に釣られて島合宿に参加することを決めたちいかわたちは、チラシの内容を怪しがるラッコとともに船に乗り込み、島に上陸するが……。
「ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉」などのCygamesPicturesがアニメーション制作を担当。(映画.comより)

国民的人気キャラクター初の映画化!という事でこれは見ないわけにはいかないぞ!…なんて熱いパッションは特になし。もちろんちいかわという存在は知ってはいましたが、具体的にはどんな物かもよく知りませんでした。そんなワタクシですが、実は人生初のちいかわ体験が今作なんです。つまり超にわかです。そんなにわかが初めて触れるちいかわとはどんな物でしたでしょう?7月29日の水曜日にイオンシネマ松江で鑑賞して参りました。

さて、冒頭から可愛いちいかわやハチワレといったこの世界ではお馴染みのキャラクターが登場するわけですが、すみっコぐらしをイメージしていた僕の驚きとしては「へ〜、各キャラクター喋るんだ」という所に反応。つまりそれくらいよく知らないんですよ。で、そんな可愛いちいかわ達が人魚の島への招待を受けます。船に乗って島へ到着してからの歓迎ムードと華やかな雰囲気良かったですね。この場面って映画館で見てこそのものだなと思いましたね。アニメーションでありながら出店の焼きそば等もおいしそうでしたしね。

とこの様に序盤は夏休みのファミリーに向けたほのぼの感と映像的な華やかさが同居した夏休み映画として申し分ない作り。ちいかわ初体験でありながら一気に引き込まれていきましたよ。

しかしここからです。何やらこの島の島民は秘密を抱えているぞというのが伺えます。さぁ、その謎とは何でしょう?…いやはや正直舐めてました。ガッツリ大人にも刺さる本格的な考察系サスペンスとなっていました。

人魚の島ですからその人魚・セイレーンが現れますが、これまた秘密を抱えている様子。島の島民とセイレーンこの双方が抱える謎とは一体何なのかを読み解いていく事になります。その上で張られる伏線を決して見逃してはいけません。映画における伏線というのは分かりにくいものであっては本来はよろしくありません。かと言って一発で分かってしまう様な簡単過ぎるものであってもよくないです。絶妙なラインでの伏線の張り方が非常に重要になっていくのですが、今作におけるそれはまさにその絶妙な伏線だったなと思います。例えば島に着いてからのちいかわ達が求めた炭酸に対しての島民達の反応、明らかにおかしいです。何故炭酸というものにあそこまで過敏なのでしょう。もちろんそれは後半に明らかになりますが、サスペンス耐性がない人であっても程よくわかりやすく見せてくれるんですよね。

とこの様に本作では随所に伏線が張られていくのでそこは注視して頂きたいところです。

また、本作ではいわゆる敵(ヴィラン)と位置付けられるキャラクターが登場しない、にも関わらず次から次へと事件が起きてしまうというのも特徴です。セイレーンにとってはちいかわ達を憎みあわや敵か?と思いきや話しはそう単純ではないんですね。セイレーンにとってはちいかわ達を襲うのに相応の事情というものがある。なるほどこれには昨今の単純な勧善懲悪ではなく善も悪もなくそれぞれの背景から単純な善悪論は論じられないという脚本が踏襲されていると思いました。そしていよいよ事件が詳らかにされる段階になっても犯人とされるキャラクターを断ずる事が出来ないんですよね。犯人はすべからく悪いとは言い切れない事情が鑑みられます。しかしその中でも捕えられてしまったキャラクターを処罰するか否かの場面で果たしてこれでいいのかと困惑するハチワレの言葉が表している様に我々の倫理観に疑問を投げ掛ける描写があり、この映画、単なる可愛いキャラクター達が動いての冒険活劇ではないぞと強く感じましたね。

また、人間の死生観を問うというテーマも盛り込まれていたのが印象的でして、それは不老不死になって果たして幸せなのかを問うものでしたね。人魚伝説の人魚の血を飲むと不老不死になるというものをベースにしながら人は何故永遠の命を求めるのか?とか果たしてそれで本当に満たされるのか?幸せなのか?という問題提起ですよね。明確な答えというものが特に示されるわけではなく見ている人に直接問いかけてくる様な作りもかなり映画的精度が高いと感じました。

それから劇中で使用される「今日の日はさようなら」という曲の使い方ですね。子供時代に卒園式、卒業式等別れの場面で歌ったという記憶がある方は少なくないと思いますが、ハチワレがある場面で歌い出すというそれだけのものかと思いましたが、別の場面でも使用されそして映画を見終えた後に「なるほど、そういう事か」と落ち着かせてくれました。なるほどこれも伏線とひとつだったのかと気付かされました。

とこの様に意外や意外のジャンル映画だったとは?と驚かされたというのが本作全体の感想です。

子供向け?ではと幅かっている方、問題ありません!むしろガッツリ大人向け?何だったらこの島って映画ファン的に言えば『ミッドサマー』に出てきたあの島じゃね?と思うくらいそれくらい島内での怪事件等本格ミステリーでありホラーでもありました。

ファミリーやカップルで見るのはもちろん大人一人での鑑賞も全く問題ありません!

オススメです!是非劇場でご覧下さい!