きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

キングダム 魂の決戦

中国春秋戦国時代を舞台に、天下の大将軍になる夢を抱く少年・信と、中華統一を目指す若き王・嬴政らが織りなす壮大な物語を描く原泰久の人気漫画を実写映画化した「キングダム」シリーズの第5作。秦と六国がぶつかり合う原作屈指の人気エピソード「合従軍編」を映画化する。
馬陽の戦いで秦が大将軍・王騎を失ってから3年。王騎の思いを受け継ぎ、成長を続ける信は千人将に昇格していた。そんな中、趙の宰相・李牧の策略で、秦以外のすべての国が手を組み、総数50万からなる「合従軍」が秦へ侵攻を開始する。首都・咸陽の王宮では嬴政を中心に事態の対応に奔走するが、かつてない軍勢を前に、秦は国家滅亡の危機に追い込まれる。信は同じ若き将である蒙恬や王賁とともに、秦の国門である函谷関へ向かい、同地には麃公、蒙武、騰、王翦、桓騎ら秦を代表する将軍たちが集結する。一方の合従軍は、楚の春申君を総大将に、かつて祖国を蹂躙されたことで秦に恨みを抱く趙の猛将・万極をはじめとする各国の強者たちが集っていた。
信役の山崎賢人、嬴政役の吉沢亮、李牧役の小栗旬らシリーズおなじみのキャストが引き続き出演。蒙恬役で志尊淳、王賁役で神尾楓珠、桓騎役で坂口憲二、春申君役で斎藤工ら豪華キャストが新たに参加した。監督もシリーズ全作を手がける佐藤信介が続投し、1作目から脚本に参加している原作者の原が、今作でも脚本を手がけている。(映画.comより)

原作の連載が20周年を迎えた大人気シリーズ『キングダム』の最新作で映画としては5作目となります。昨年こそ公開がありませんでしたが、2022年の『キングダム 遥かなる大地へ』2023年の『キングダム 運命の炎』2024年の『キングダム 大将軍の帰還』と近作はいずれも7月に公開と4月にコナン君を見るという具合にこのところ習慣化してるなんて人も居る事でしょう。まぁ、僕がそうなんですけどね。という事で最新作もやはり見なければという事で7月22日水曜日Tジョイ出雲で鑑賞して参りました。

さて、前作で壮絶な死を遂げた王騎将軍。これまでのシリーズにおいても非力だった信の能力を見出し成長へと導いていった姿を見てきた人にとっては王騎将軍ロスになっているのではないかと思います。大沢たかおさんの名演も胸に訴えかけるものがあり、多くの人の脳裏に焼き付いている事でしょう。その名演が評価されて翌年の日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞したのも記憶に新しいところです。冒頭ではそんな王騎将軍のレクイエムと言うべきかあの悲劇的にも日本のアクション映画史に残る名シーンが映し出されます。この辺りからも佐藤信介監督はじめ製作陣の王騎将軍へのそして大沢たかおさんへのリスペクトが込められていました。

しかし実はこれは冒頭からかなりハードルを上げたのでは?とも思いました。というのは『キングダム』の映画でも屈指の名シーンである事は言うまでもなくそれが功を奏してか前作はシリーズ最高の興行成績となりました。

そうなってくると王騎将軍ロスを埋める展開や映像的な見せ場があるのかが今作へと課された課題でもあるんです。

しかしその辺りは全くの杞憂でしたね。合従軍の将軍達が結集し、そして秦へと向かい撃ちます。その豪華なアベンジャーズ感は映画としての迫力を最高潮へと導いていきバトルシーンはやはり圧巻のものでした!その見せ方だってただ騎馬隊へ兵隊のエキストラを集めてぶつかり合わせてハイ、迫力あるでしょ、満足したでしょ?なんて決して観客を舐めた見せ方するわけではなく、それぞれの大将の人間性やバックボーンを見せながら昨今主流の『鬼滅の刃』的なヴィラン側にもヴィラン側の事情があるという点を深掘りして見せる為にこちらも感情を乗せやすい作りとなっています。とりわけ山田裕貴演じる趙国の将軍・万極です。彼は何故に秦国に立ち向かうのか?その背景はあまりに悲しいものなんですね。我々はあくまで山崎賢人演じる信の目線でストーリーを追うから秦国を軸に見ているわけです。しかし春秋戦国時代という戦乱の世においては戦う国にとってそこに住む兵士ではない人もいるんですね。彼らは本来戦さとは無縁なハズなんです。しかしひとたび戦さとなれば双方のトップ同士のいざこざであろうと巻き込まれるのは当該国の民なんです。これは現代の戦争においても同じですよね。この戦乱の世においては大将を討ち取ってハイ終わりなんてわけにはいきません。国の民が無慈悲にも処刑されるという悲しい現実があります。実際に古代から近代においての中国で用いられた残酷な処刑生き埋めによって親や兄弟を殺された人にとってその怒りの矛先はどこに向かうのか?という答えは一つですね。相手の国です。そうなってくると負の連鎖というのは止まりません。血で血を洗う争いが繰り広げられてしまうもの。だから武力による衝突は憎しみや悲しみしか生まないもの。これは人類が歩んだ歴史の中で我々は学んできたのですが、それでも今なおこの負の連鎖というのは止まりません。山田裕貴さんが演じた万極という大将は同じ悲しみに暮れる同士を兵士として集め、秦国へと立ち向かうのですが、この兵士達のとてつもない生命力、それがまるでゾンビの様に瀕死の状況に陥っても起き上がり、秦国の軍勢に襲い掛かる様はなかなかホラーでもありましたが、同時に感情を刺激される描写でもありました。

また、一ノ瀬ワタル演じる臨武君。実は一ノ瀬ワタルさんは『キングダム』1作目でタジフというキャラクターで出演していましたが、あの時は常に仮面を被っていたんですね。しかし、その後『サンクチュアリ-聖域-』でのブレイクを経て人気俳優に。今回は満を持して顔出しで出演しています。屈強な体格からくるパワフルなキャラクターは一ノ瀬さんには打ってつけだなと思いましたね。

さて、一大スペクタクルとしてやはりこのシリーズは日本映画の中でも屈指のクオリティだなと感じた反面、個人的に勿体無いなと思った点もあって最後にそこに触れておきます。というのは冒頭の王騎将軍の死のフィードバックから今作の核となるシークエンスまでがやや時間かかり過ぎたんじゃないかなと思いました。それも会話劇が多くなってしまったきらいがあってそこが少々冗長的に感じてしまいました。う〜ん、もっとテンポ良く進めて欲しかったな。後ね、終盤です。序盤のテンポの悪さからギア上げてからの盛り上がりは確かに良かったですが、その盛り上がりからさぁ、次はどうなると期待を煽ってからのエンドですよ。ここは一度落ち着かせてから次作へ繋いでいく流れの方が個人的には良かったんですけどね。まぁ、そこは好みの問題なんでしょうけど。

ともあれまだまだ続く『キングダム』シリーズ。きっと次作も鑑賞する事でしょう。これまでシリーズを見てきた人はもちろん、初見でも大丈夫なの?という不安な方、大丈夫。冒頭でダイジェストがありますから今作から入っても問題ないでしょう。ただね、出来れば前作の『キングダム 大将軍の帰還』はチェックしておいた方が良いと思います。

オススメです!是非劇場でご覧下さい!

トイ・ストーリー5

おもちゃと子どもの絆を描いてきたディズニー&ピクサーの人気作品「トイ・ストーリー」シリーズの第5作。現代的なテクノロジーというかつてない脅威を前に、ウッディとバズが再び手を取り立ち向かう姿を描く。
ボニーのもとで暮らすバズやジェシー、フォーキーたちは、これまでと変わらぬ日常を送っていた。しかし、最新型の電子タブレット「リリーパッド」がやってきたことで状況は一変。多機能なデバイスに夢中になるボニーの姿を前に、おもちゃたちは自分たちの存在意義に疑問を抱き始める。「おもちゃはもう必要とされていないのか」という不安が広がる中、仲間からのSOSを受けたウッディが再びボニーのもとへ戻り、バズと再会する。かつての名コンビは、おもちゃの居場所を守るため、新たな脅威に立ち向かう。
「ファインディング・ニモ」「ウォーリー」などで知られ、これまでの「トイ・ストーリー」シリーズでも原案や脚本を務めてきたアンドリュー・スタントンが監督・脚本を務め、シリーズを支えてきたクリエイターとして新たな物語を描き出す。共同監督に、ピクサーの短編「アルベルトの手紙」を手がけたケナ・ハリス。日本語吹き替え版ではウッディ役の唐沢寿明、バズ役の所ジョージをはじめ、日下由美、竜星涼らおなじみのキャストが参加している。(映画・comより)

30年以上の歴史を持つ大ヒットシリーズ「トイ・ストーリー」の最新作。僕はこれまでのシリーズはひと通り見てきているのでもちろんこの最新作も公開前から楽しみにしていました。

そして公開から少し経ちましたが7月14日にイオンシネマ松江で鑑賞して参りました。

さて、「トイ・ストーリー」の1作目の公開は1995年。今から31年前です。30年以上経つと世の中の状況そのものが大きく変化したのですが、それは子供達を取り巻く環境だってまた同じ。デジタル化が進む中でかつての様なアナログなおもちゃというものが次第に減少し、子供達が遊ぶツールだってデジタルなものがすっかり主流となった感があります。

しかし、そもそもが前作の「トイ・ストーリー4」の時点でそんな状況ではあっだもののあえてのアナログないやそもそもこれおもちゃなの?というフォーキーをフォーカスしていたのは面白い点でした。プラスチックのフォークですからね。本来は食器ですよ。でも子供の自由な発想によって食器としての役目を終えたらおもちゃに変わるという視点は確かに面白かったです。デジタル化が進む中での一周回っての着眼点みたいなところがありました。

しかし、今作ではガッツリ描かれるのがタブレットというデジタル化を象徴する様なアイテムが前面に出てきます。しかも面白かったのがそのデジタルなツールだって新旧があって我々のわかりやすい例で言えばスマートフォンとガラケーみたいな事でしょうか。かつては最先端の物ともてはやされた物もバージョンアップする事によって古い物へと扱いが代わり、その結果長年クローゼットの中で眠り続ける事になってしまう。我々の身近にもそんなアイテムがありますよね。そういったデジタルの文脈の中での新旧を見せていくという設定作りは非常に細かくてよく出来ているなと思いました。

で、本作の中心となるデジタル化のシンボルとして登場するのがリリー・パッドなるタブレットです。今や学校等教育現場でも活用されるタブレットですが、ボニーもまた、周囲の友達とのコミュニケーション上、このタブレットを手にする事になります。最先端のデジタルツールはボニーにとっても魅力に溢れたアイテムで次第にリリー・パッドが手放せなくなります。しかしそれは同時にウッディやバズ等これまで手にしていたおもちゃへの興味を失っていく事になります。

確かに悲しい事ですが、時代が変われど子供の頃の経験として誰しも思い当たる事ではないでしょうか?それどころか大人になってからでもあるかもしれませんよね。

つまりはウッディ達にとってはリリー・パッド憎し!となるところですが決してそんな単純な落とし方をしないのがやはりこのシリーズでして紆余曲折を経てアナログとデジタルはどの様に向き合うのか?をしっかりと描いてくれていましたね。それも決して押し付けがましくなくサラッと見せてくれたのが好印象でした。

また、ボニーの意思で一度はウッディ達に心を戻すもなかなかそれがスムーズにはいかないという子供の心理的機微をうまく表現していたなと思ったのが子供達のコミュニティですね。ボニーがウッディ達を持ち嬉しそうにしていたら「まだそんな物で遊んでるの?」と冷ややかな視線を向けるのが彼女の友達。子供のコミュニティにはよくある話しですが、自分が良いと思っていても周囲の反応によって空気を読んで他の子達に合わせないといけない状況に陥ってしまう。いわゆる同調圧力みたいなものですよね。更に残酷だと思ったのが、どれだけ空気を読んで相手のペースに合わせてもその相手からの優先順位が低く忘れられてしまう事。ボニーが正にそんな状況になり、見ていて何とも辛くなりましたよ。僕もフラッシュバックしましたから(笑)

だからこそそんな時に寄り添ってくれるのがウッディ達でもあるんですよね。ボニーとおもちゃ達はそこでこそ引き合うんだって話しですよ!

さて、今作ではジェシーが大活躍でしたね!ウッディやバズ等お馴染みの面々とは別行動をする中でその先々で出会うキャラクター達と苦難を乗り越えながら活躍する姿を見せてくれます。ジェシー推しにとったらお得感満載のジェシー映画にもなっていましたよ。

それからフォーキーが前作に続いての登場でしたが、あれ?フォーキーって腕にカフスなんてしてたっけ?それとも今作から?随分とオシャレになって…なんて思って見てましたよ。

ところで今作の日本版ですが、リリー・パッドの声は広瀬アリスさんが担当しています。エンドクレジットを見るまで全く気付きませんでしたよ。それだけ彼女がナチュラルにキャラクターにシンクロしていました。今後も登場してほしいなと思いましたね。

正直前作の「トイ・ストーリー4」とスピンオフの「バズ・ライトイヤー」は不満点も色々ありましたが、今作はかなり満足度の高い作りとなっていました。早くも「トイ・ストーリー6」を期待したいと思いました!

今の子供達にもかつて子供だった今の大人達にも強くオススメしたい作品です!

是非劇場でご覧下さい!

口に関するアンケート

「近畿地方のある場所について」でモキュメンタリーホラーブームの火付け役となった作家・背筋が2024年に発表し、手のひらサイズの装丁とわずか60ページという短い物語の中でしっかりと恐怖を味わえるとしてSNSを中心に大きな話題を呼んだベストセラー小説「口に関するアンケート」を映画化。「呪怨」シリーズの清水崇監督がメガホンをとり、板垣李光人が実写映画単独初主演を務めた。
ある大学生のグループが、心霊スポットとして知られる墓地の「呪われた木」についての噂を聞き、肝試しに訪れる。しかし翌日、グループの1人がこつ然と姿を消してしまう。それ以来、墓地を訪れた大学生たちの周囲で不可解な現象が起こりはじめ、彼らは次第に追い詰められていく。5人の大学生が語る不可解な証言に導かれ、恐ろしい真相が浮かび上がっていく。
大学生グループの1人である村井翔太を板垣李光人が演じ、グループのメンバー・竜也役で綱啓永、杏役で吉川愛、美玲役でMOMONA(ME:I)、面白半分で墓地を訪れる大学生・堀田役で森愁斗(BUDDiiS)、堀田に強引に墓地へ連れて行かれる川瀬役で西山智樹(TAGRIGHT)、失踪した大学生の行方を追う刑事・草壁役で中村獅童、週刊誌記者・西役で柄本時生が共演。(映画.comより)

「呪怨」、「犬鳴村」を初めとした村シリーズ等ホラーという文脈の元、手を変え品を変え様々なアプローチで恐怖体験を提供してくれたジャパニーズホラーの鬼才,清水崇監督。ホラー映画が好きな僕としてはやはり監督の作品をハズすわけにはいきません。昨年の「近畿地方のある場所について」がヒットしたのは記憶に新しいのですが、同作を手掛ける背筋さん原作の本作は手のひらサイズで60ページ程度、30分もあれば読了出来るという手軽さもあって大ヒット。実は僕も映画を鑑賞するにあたってそちらも読みました。その上での劇場鑑賞は7月4日土曜日MOVIX日吉津にて鑑賞して参りました。

さて、本作はネタバレなしで感想を伝えるのは正直難しいです。その場合、また例によって10分後に戻ってくださいルールを適用する事も可能ですが、敢えて今回は致しません。極力ネタバレはしませんが、それでも多少は触れるという事をご了承下さい。

さて、まず大前提としては大学生グループの肝試し。これがストーリーの発端となります。坂垣李光人をはじめ俳優・アイドルといった若手キャスト陣をバランス良く配置したキャスティング。演技初挑戦というメンバーもいる中、どのメンバーも演技が上手い、板垣李光人君や綱啓永君といった演技経験豊富な面々は言うまでもないですが、全く演技に無理があるという人が居ないんですよね。その中でも吉川愛さんね。いよいよなホラー展開の口火を切るのが彼女になるのですが、事務所もよくOKしたよなというレベルの文字通り怪演を見せてくれるんですよね。木に絡まってこちらを見てくるというヤツですよね。

また、こういった若手に混じってのベテラン、中堅俳優陣は流石の安定感。言うまでもなく中村獅童さんと柄本佑さんですが。彼らの場合は主体となる若者グループと直接的な接点があるわけではないですが、こういったキャリアのある方が作品に出る事によって作品のグレードをより高めていたと思います。しかも二人とも方や刑事、方や記者で共にやさぐれた感じが何ともたまらなかったですね。

さて、今作は事件の渦中に居た若者達の証言を元にストーリーが展開されていきます。そもそも彼らは誰に向けてその証言を伝えているのでしょう?中村獅童演じる刑事が調書を取る為というわけでもないし柄本佑演じる記者が誌面を綴る為にというわけでもない。はじめに原作を読むと衝撃の結末に驚愕する事になりますが、映画単体だと注意が必要です。少々冗長的で飽きるかもしれませんが、この証言が後々めちゃくちゃ重要になっていきます。

また、本作の評価出来る点としては近年のホラーそれこそ清水崇作品でも例外ではありませんが、音でビビらせるといういわゆるジャンプスケアで誤魔化さず割と映像でインパクトを与えていた点でしょうか。真っ向から映像で勝負するという気負いも見えてきましたし、ホラー映画はこうでなくっちゃというお手本をしっかり見せてくれたと思います。

また、原作を先に読んだ上で衝撃の結末というのにも触れるわけですが、原作は良いのに映像化されてガッカリなんて事はこれまでにもありました。しかし本作においてはそのラストもしっかりとインパクトが伝わる恐怖心を与える映像作りが出来ていたのではないでしょうか?中村獅童演じる刑事が問題となった木でボソッと呟いた言葉も次なる展開つまりは続編?と匂わせる作りも良かったですね。

ただ僕はかなり好意的に評価はしましたが、これは原作読んだ上でです。つまりは原作未読だと正直面白みに欠ける作品ではないかなと思いました。というのが基本この作品って証言と中村獅童演じる刑事が捜査に動きそうで動かなかったりと全体的に決してテンポがいい作品ではないからです。ホラー描写ももちろん出てきますが、それが極めて斬新な表現かと言えば必ずしもそうでもなかったりするしよくあるホラー映画くらいで終わってしまうかもしれません。原作を知っておけばどういう作品か理解している為、映像的な面で「なるほど、そうきたか」とか「こういった解釈なのね」なんて作品の世界観を理解しているからこその没入が出来ます。

もちろん原作未読でも鑑賞に支障はありませんが、原作を読んだ方がより楽しめるのではないかと思いました。小説を読むとなるとハードルを感じるかもしれませんが、前述の様に30分もあれば読めますからね。なので原作に触れた上での鑑賞を強くオススメします!

黒牢城

「スパイの妻」「クリーピー 偽りの隣人」などで国内外から高く評価されてきた黒沢清監督が自身初の時代劇に挑み、第166回直木賞と第12回山田風太郎賞をダブル受賞した米澤穂信による同名ミステリー小説を映画化。
荒木村重は織田信長の暴虐なやり方に反発して謀反を起こし、有岡城に立てこもる。織田軍に包囲され孤立無援となった城内で、村重は血気盛んな家臣たちを抑えつつ、妻・千代保を心の支えに、城と人々を守ろうと苦心していた。そんな中、城内で少年が殺害される事件が起こり、その後も怪事件が続発する。容疑者は密室と化した城内にいる家臣や身内の誰かで、城外には敵軍、城内には裏切り者という状況に、誰もが疑心暗鬼に陥っていく。追い詰められた村重は、信長の使者として説得に訪れ牢に囚われた天才軍師・黒田官兵衛に協力を仰ぎ、事件の解決に挑む。
城主・荒木村重を本木雅弘、天才軍師・黒田官兵衛を菅田将暉、村重の妻・千代保を吉高由里子、村重の腹心・荒木久左衛門を青木崇高、若手の家臣・乾助三郎を宮舘涼太(Snow Man)、事件の目撃者である狙撃の名手・雑賀下針を柄本佑、村重の隠し刀として暗躍する郡十右衛門をオダギリジョーが演じる。2026年・第79回カンヌ国際映画祭カンヌ・プレミア部門出品。(映画.comより)

久しぶりの時代劇ですが、こちらは戦国時代を舞台としつつも合戦シーンがふんだんに盛り込まれての本格的な戦国モノ…ではなくサスペンス。果たして戦国武将・荒木村重を主人公に据えながらどんなサスペンスが繰り広げられるのか時代劇や歴史モノが好きな父親と一週遅い父の日のプレゼントとばかりに6月28日にイオンシネマ松江で鑑賞して参りました。

さて、今作は織田信長のやり方に反旗を翻し有岡城へと立てこもる荒木村重という史実をベースにしていますが、冒頭から出てくる本木雅弘演じる荒木村重が何ともカッコいい!風格や佇まいのルックスは言うまでもないですが、首に巻いた襟巻き等もスタイリッシュで色気を感じられます。これまで荒木村重と言えば最近では北野武監督の「首」での遠藤憲一さんがそうであった様にどこかユーモラスで何ならちょっとお間抜けに描かれるイメージがありますが、そもそも戦国武将として一国の城主であり織田家でも重職に就いていた人物ですよ。聡明でリーダーシップがなんと人もついていくわけないんですよ。その意味では今作における本木雅弘による荒木村重が実際のイメージにより近いのではないかと思いましたね。武将の貫禄や風格という点ではもはや仲代達也や役所広司かはたまた真田広之か?ホントそれくらいハマっていました。一緒に見た親父も「モックンは流石だねぇ!」と絶賛してましたよ。

また、信長亡き後は茶人として大成したという史実もあるのでそんな様子も作中には描かれますが茶の湯を嗜む姿というのは本物の茶人さながらの所作。また、大切な茶器(名物)を手放さないといけないという状況に陥った時の動揺ぶりはひとつの趣味に打ち込む人ならば誰もが共感出来る描写ではないかなと思いました。僕の場合はレコードですが(笑)

そして黒田官兵衛を演じたのが菅田将暉さん。「豊臣兄弟」では竹中半兵衛を演じる菅田将暉さんですが、ここで出てくるのは秀吉は名参謀の軍師官兵衛となる前の黒田官兵衛ですが、ここで大きいのは有岡城で起きた殺人事件の事件解決において重要なポジションを彼が担っていた事である。天才軍師の端緒がこの時点で見られ、さながら名探偵軍兵衛とも言いたくなる様な事件解決への推理力。事実が聡明な人物だったからこその説得力あるキャラクターであり、「アルキメデスは大戦」はたまた「ミステリと云うなかれ」でもそうであった様に菅田将暉さんってこういうタイプの役ってめちゃくちゃハマるんですよね。

また、吉高由里子さんです。彼女と言えば大河ドラマ「光る君へ」以降紫式部のイメージが定着した感がありますが、戦国の世を生きる女性を好演。また真宗信者であるが故の信長によって過酷な運命に翻弄された真宗信者の代弁者としての機能もうまく表していたなと思います。

また、戦国時代を舞台とした作品で元信長の腹心であった荒木村重を主人公にした作品でありながら、織田信長はほとんど登場しないというのもこの作品の特徴です。回想シーンで出てきて、信長のサイコパスっぷり坂東新悟さんの怪演が光りますが、回想シーンをしつこく引っ張らない。しかし僅かな信長登場場面で確実にインパクトを残すという黒沢清監督のここぞというこだわりがかなり強く感じられました。戦国モノでありながら信長がほとんど出ない。しかし「信長もっと出せや〜!」とならない辺りも黒澤監督の見事な引き算の賜物だなと思いました。

また、演出面においてのスマートにインパクトを与える表現としては吉高由里子演じる千代保の祈祷後の数珠がバラけるシーンですね。明らかにこの後よからぬ事が起きるというそれを予見させる為にはパンチを効かせつつも決してくどくはなならない絶妙なバランスでの映像的なインパクトがありました。前述の信長の回想シーンでは己の道に反する者は如何なる相手であろうと容赦はしないという信長の狂気、そして不本意ながらもそこに加担せざるを得ない荒木村重の葛藤を示す意味で非常に見た人に強い衝撃を残すシークエンスだったと思いますが、この数珠のシーンでもそんな黒沢清節とも言える視覚的なインパクトが感じられました。

また、今作では主要なキャスト陣はさる事ながら脇を固める布陣も光っていましたね。青木崇高、柄本佑、ユースケ・サンタマリア等等更には近藤芳正、荒川良々、河内大和等等荒木村重に仕えながらも誰が裏切り者かわからないハラハラさせる演技が各々魅力的でしたね。個人的には河内大和さんですよ。昨年の「8番出口」が記憶に新しいですが、こういった時代劇もハマるんだなと感じました。

こういうタイプの時代劇って何かしらのツッコミ点が出るものですが、今作はそれがほぼありませんでした。これまでにも良質な作品を撮ってきた黒沢清監督そして豪華な俳優陣による演技が上質な作品に仕上げたのだと思います。戦国時代や歴史に明るくなくても楽しめる作品でした!

オススメです!是非劇場でご覧ください!

 

 

免許返納!?

舘ひろしが主演を務め、70歳の映画スターが免許返納をめぐる大騒動に巻き込まれていく姿を描いたコメディ。
順風満帆な俳優人生を歩んできた南条弘は、最近では芸術映画でも数々の映画賞を獲得しているが、心の内ではアクション映画への出演を望んでいた。そんな中、若い頃からの腐れ縁である俳優仲間の尾崎誠がバイク事故を起こし、南条は同世代の俳優としてメディアからコメントを求められる。尾崎を諫める発言は世間から思いがけない注目を集め、ひとり歩きした論調は南条のマネージャーや家族も巻き込みながら、本来の意図とは異なる形で拡大解釈されていく。これからも車やバイクでのアクションを演じたい南条だったが、周囲からは免許返納を期待され、人生最大のピンチに陥ってしまう。
舘ひろしが1994年の映画「免許がない!」で演じた役と同名の俳優・南条弘をコミカルに演じ、南条に振り回されるマネージャー・川奈舞役で西野七瀬、南条との出会いで大きく人生が変わっていく青年・来宮亮役で黒川想矢、南条が所属する芸能事務所の社長・三宅篤役で吉田鋼太郎、南条とともに一時代を築いた俳優仲間・尾崎誠役で宇崎竜童が共演。「かぐや様は告らせたい 天才たちの恋愛頭脳戦」の河合勇人が監督を務め、「ラーゲリより愛を込めて」の林民夫が脚本を手がけた。(映画・comより)

舘ひろしさん主演の94年の映画「免許がない!」。実はこの作品は僕も見た事があるのですが、何しろ30年以上前です。内容を全く覚えていません。軽快なコメディタッチな作品で森田芳光監督の脚本が光る作品という事ですが、こちらの続編となるのが本作です。監督は「チア⭐︎ダン」や「かぐや様は告らせたい!」、「総理の夫」等の娯楽作品を手掛ける河合勇人監督がメガホンを撮りました。僕は先週の水曜日6月24日のTジョイ出雲で鑑賞して参りました。客層はというとやはりと言うべきか番組で扱った作品で言えば「老後の資金がありません!」や「九十歳、何がめでたい」等シニア向けのコメディ作品で見かけたシニア層が中心でした。

さて、今作の主人公となる舘ひろしさんが演じる南条弘という人物。かつてはアクション俳優と鳴らし、ハードボイルドな魅力で博した俳優。しかし近年は芸術的な作風での映画で演技派として評価されています。この辺りは実際の舘ひろしさんとも通じるところがありますね。「ゴールデンカムイ」では土方歳三を渋く演じながらも藤井道人監督作の「ヤクザと家族」では重厚なヤクザの組長を演じ、「港のひかり」では前科のある漁師。そんな中でも2024年には「帰ってきたあぶない刑事」では年齢を重ねてよりダンディに磨きがかかったタカを演じてファンを歓喜させたのは記憶に新しいところですが。

で、南条は今でもアクションスターとしての誇りがあり、芸術作品には納得していない様子。宇崎竜童演じるライバル俳優・尾崎誠からも「丸くなっちまったな」と嘲笑されてしまう。

そんな南条が年齢を重ねて遂に免許を返納する事になり、そこからのドタバタを描くコメディ作品です…といえば明るくカラッとした作風で世代を問わず楽しめる作品と思うでしょう。うん、それは間違いないのですが、ひょんな経緯から東北へと向かうロードムービーに変わっていくんですね。それも南条のマネージャーである西野七瀬演じる元子役・川奈舞と共に。で、そこからがより物語を面白くさせていくのですが、南条は免許返納なんてとんでもない!まだまだ俺は運転し続けると頑ななのに対し、舞は至って常識人。南条に振り回されてしまいます。この二人のバディはなかなか息が合ってましたよ。タカ&ユージで柴田恭平さんではなく、自分の娘とも言えそうな西野七瀬さんとの組み合わせ。一見チグハグな様に見えてそれがまた何とも相性が良い。思えば「帰ってきたあぶない刑事」では土屋太鳳さんとの組み合わせが印象的でしたもんね。自分の娘世代とも絶妙なバディを組めちゃうのが舘ひろしさんですね。ちなみに西野七瀬さんは「帰ってきたあぶない刑事」では若手の刑事役で出てましたね。

そして舘ひろしさんと言えばというところでのファンに向けたサービスショットでしょうか?あぶ刑事さながらのカーチェイスも仕込まれていてわかってるな〜なんて感心しちゃいました。とりわけデコトラを使ってのカーチェイス。デコトラの電飾が光りながら視覚的にも楽しかったですね。

そしてこのデコトラが登場する東北では南野陽子さんや八嶋智人さん等が登場しますが、南野陽子演じるスナックママ。彼女のセリフが映画賛歌とも取れるものしかもこれって河合勇人監督なりの映画哲学なんじゃないかと解釈出来そうなものでした。今でこそ東北でスナックのママをやっている彼女ですが、元々は東京で女優を目指していた。幼い頃に町の小さな映画館で見た南条が出演した映画に魅了されてその道を志したとの事。彼女曰くは昔はみんなが見る様な大衆映画を馬鹿にしてた。だけどそれも考えが変わった。だって映画なんだから。あり得ない設定だってバンバン出てくるしでもそれでいいじゃない。映画なんだし。セリフの要約するとこんな感じです。

「俺物語!」、「チア⭐︎ダン」、「かぐや様は告らせたい」等等河合監督が撮ってきたのは正に娯楽映画です。それも主に低年齢層に向けた。はっきり言ってコアな映画好きが鼻で笑う様な作品です。しかしそこには河合監督なりの映画的美学があってそれこそが彼女のセリフに反映されていたのではないかなと思います。何なら河合監督自身がかつては彼女の様な思考の持ち主で芸術性の高い作品こそ評価すれど商業作品を軽視していたのかもしれませんしね。ちなみに私は完全にライムスター宇多丸教祖によってそんな思考が植えつけられてしまったのですが、そうですよね。映画なんだから細かいツッコミどころなんてあって当然。なので僕はこれを持って作品の批判を…辞めませんよ!

というのがストーリーは確かに面白かったし、ドタバタコメディにせず人間ドラマに持っていったりと色々詰め込んだ割には脚本的にしっかりしていた。劇場内ではしっかり笑いも起きていたから成功でしょう。これこそが作中の南野陽子さんのセリフが言うところの「だって映画だもん!」ですよ。

ただね、個人的に気になったのは音響面ですよ。吉田鋼太郎演じる事務所の社長ですが、一部セリフが聴き取りづらかったんですね。吉田鋼太郎さんは言うまでもなく名優ですよ。今作でも絶妙な間合いで笑いを生んでくれていましたし、西野七瀬さんとの間で生まれるもうひとつのバディ関係も良かったです。ただ、本来は大きな音量で明瞭にセリフが聴き取れるハズの映画館で聴き取りづらいというのは音声技術の方の裁量にかかる話しではないかと思いました。また、別の場面では無駄に効果音がでかいという箇所がありましてホラー映画のジャンプスケアかと思いましたもん。こういう所がホント勿体なかったです。

それから今作では俳優陣それぞれの見せ場も良かったですね。南条のライバル俳優である尾崎誠を演じた宇崎竜童さん。若い頃の映像も含めてカッコよかったし、最近ではどんな作品でも爪痕を残すMEGUMIさん。久しぶりにアウトローな役を見せてくれた内藤剛志さん等等もですが、尾崎誠の元妻として大地真央さんと真矢ミキさんが出ていました。大地真央さんが演じたのは同業の大物女優。極道の妻役がビジュアルからもバッチリハマっていましたし、真矢ミキさんは弁護士。こういうキッチリした役の真矢さんって板についてますよね。そしてこの元宝塚の二人も手を組み、またまたバディが生まれる。そう考えたらこの映画って色んなバディが誕生してはその人達の活躍を楽しむという作品でもありますね。前述の南野陽子さんのママ役や意外にも八嶋智人さんがデコトラの運転手が合っていましたね。八嶋さん特有の明るいノリも健在でしたし。

と俳優陣も非常に魅力的な作品で音声面以外はかなり楽しむ事が出来ました!

オススメです!是非劇場でご覧下さい!

 

Michael マイケル

圧倒的な歌唱力と革新的なダンスパフォーマンスで時代や国境を越えて愛され続ける「キング・オブ・ポップ」ことマイケル・ジャクソンの人生を描いた伝記映画。「トレーニング デイ」「イコライザー」シリーズのアントワン・フークア監督がメガホンをとり、音楽の枠を超えて世界に多大な影響を与えたマイケルの物語を、数々の名曲と共に描き出す。
野心家の父ジョセフのもとで厳しいレッスンを受け、兄弟グループ「ジャクソン5」のメンバーとして幼くして成功を収めたマイケル・ジャクソン。やがて名プロデューサーのクインシー・ジョーンズと出会った彼は、ソロアーティストとして数々の歴史的名曲を生み出し、瞬く間に時代の寵児となっていく。しかしその栄光の裏には、早熟の天才ゆえの孤独感や、強権的な父の呪縛、家族への愛と自分の中にあふれるビジョンとの間で葛藤するひとりの人間の姿があった。
主演にはマイケルの実の甥であるジャファー・ジャクソンを抜てきし、幼少期のマイケルをジュリアーノ・クルー・バルディ、父ジョセフをコールマン・ドミンゴ、母キャサリンをニア・ロング、音楽プロデューサーのクインシー・ジョーンズをケンドリック・サンプソン、長年の弁護士ジョン・ブランカをマイルズ・テラーが演じた。「グラディエーター」のジョン・ローガンが脚本を手がけ、製作には「ボヘミアン・ラプソディ」のグレアム・キングが名を連ねる。(映画.comより)

世界的スーパースター、マイケル・ジャクソン。彼が旅立ってから17年の歳月が流れますが、今なお多くのアーティストに影響を与え続ける説明不要のレジェンドです。僕はマイケルの伝記映画が製作されるというニュースを聞いてから公開が待ち通しかったですよ。しかも在りし日のマイケルを演じるのがマイケルの甥にあたるジャファー・ジャクソンというのも鑑賞意欲をより刺激してくれました。そして遂に2026年6月12日の劇場公開。僕は公開翌日の6月13日にMOVIX日吉津にて鑑賞して参りました。するとチケットをスタッフさんに見せて通してもらうと映画マイケルの場面写真展やディスコグラフィーとしてマイケルが残したアルバムのジャケット展示に更にはマイケル仕様のMOVIXを模した劇場のミニチュア等視覚的にもめちゃくちゃ楽しませてもらいいよいよの映画本編への期待をより高めてくれました。客層としては老若男女全世代を網羅していてこの作品が如何に注目されているかを感じさせました。

さて、冒頭では幼き日のマイケルの物語から始まるのですが、子供の頃からスーパースターのマイケル。モータウンレーベルと契約し、兄弟達と組んだジャクソン5がスターダムにのし上がる過程が描かれます。具体的に誰と示されないものの音楽好きならきっとあの人だろうと察する事の出来るレジェンド達も登場する中での「ABC」や「I Want You Back」等の大ヒット曲を歌唱する場面に心を掴まれます。しかしその一方で描かれるのがステージパパと言える父親の姿。ショービジネスの世界へ我が子を送り込む敏腕マネージャー・プロモーターとしての姿が見えると同時に我が子に対するスパルタ的指導には毒親としての姿がしっかり捉えられています。マイケル自身は終生に渡って父親を嫌悪していたといいますが、その要因が幼き日のマイケルへの仕打ちで十分伝わります。逆にお母さんはマイケルの味方。僕は母親が居たからこそのマイケルだったのだなと思いました。はっきり言って父親のしごきが日常的にあって誰も味方がいない状況だったら人間的にひん曲がりますよ。もっともその父親の心情にも理解は出来るんですよ。1960年代のアメリカ社会において黒人は差別の対象。そんな黒人が社会的にステータスを得るにはショービジネス界で成功するしか道はない。そこからの息子達への厳しいレッスンであったとすればこれまでの人生で父親が受けてきた仕打ちへの憤りや心情への理解には至ります。更にはこのショービジネスの世界でのルールというものが幼きマイケルにも強いられます。実際は11歳のところ、9歳と公表しなさいという指示が出たりと。僕なんかの感覚からすると11歳であろうと9歳であろうとさして変わらないじゃんって思っちゃうんですけどね。

そんな幼くしてスーパースターとなるマイケルを演じたジュリアーノ・クルー・バルディ君のジャクソン5としての歌唱やパフォーマンスであったり演技力は見事でした!難しい役だと思うんですよ。ただでさえ演技という技術が求められる上に如何に幼きマイケルの歌い方や身のこなしが出来るかという事が求められるわけですからね。

そして成長したマイケル。名プロデューサー・クインシージョーンズとの出会いやそこからの『オフ・ザ・ウォール』以降の三部作製作の過程等音楽ファンなら特に興味深いポイントがいよいよここで出てくるんですね。更には80年代MTVの申し子となったマイケルの革新的なミュージックビデオの製作場面。とりわけ「スリラー」は圧巻でしたよ!例のゾンビとのダンスシーンなんかはほぼフルバージョンで流されますからね。ここはかなり没頭して見ちゃいましたよ。

この「スリラー」もそうですが、音楽の場面はどれを取ってもサイコーでしたね!前述のジャクソン5時代のものだってそうですが、大人になってからのマイケルの怒涛のヒット曲はMV・ライブどれを取ってもブチあげてくれる!僕は常にリズムを取って身体を動かしながら見てましたが、ここぞという場面では立ち上がりたかったですもん。それこそ実際のライブを見る感覚で。で、本作は87年の『BAD』からの翌年のロンドン公演までを捉えているのですが、この「BAD」のかかり方もメチャクチャカッコいい!更にはロンドンでは興奮し過ぎて失神するファンも映され、マイケルのコンサートというのが如何にパワーとエネルギーに満ちていてそこに狂喜乱舞する人が居たかが映像から十分に伝わりました!

また、人間としてのマイケルの撮り方というのも魅力的でとりわけチンパンジーのバブルス君との出会いや彼とのやり取りから愛情深いマイケルの姿が印象に残りました。元々動物実験で使われるハズだったバブルス君を引き取り、彼を相棒の様に可愛がり常に行動を共にします。87年の来日時もバブルス君を連れていた姿があり、覚えている人も少なくないのではないでしょうか。かつての父親を反面教師としたマイケルがバブルス君に最大級の愛情を注いだのではないでしょうか。

さて、前述の様にこの映画は88年までのマイケルを描いています。となると気になるのはこの先のマイケルは?ですよね。確かにスキャンダラスな面が多かったのは事実ですが、91年にはアルバム『デンジャラス』95年に『ヒストリー』というアルバムもリリースされます。亡くなるまでの次のフェーズを捉えた続編もあるそうなので早くもこちらが楽しみです。

と次作に想いを馳せる前に今作です。はっきり言って後々、配信等で視聴しても大きな感動が生じづらいまさに映画館で見るべき作品です!

なので今のうちに映画館で見る事を強くオススメします!

是非劇場でご覧ください!

マスターズ・オブ・ユニバース

バービー人形で知られる玩具メーカーのマテル社が1981年に生み出したアクションフィギュアを原作に、コミックやアニメなど多様なメディアで展開され、1987年にはドルフ・ラングレン主演の「マスターズ 超空の覇者」として実写映画化もされた人気シリーズ「マスターズ・オブ・ユニバース」を新たに実写映画化。
惑星エターニアの王子アダムは、幼少期に起きた戦乱から身を守るため地球へと送られ、正体を隠して成長する。15年後、偶然手にした伝説の剣「パワーソード」に導かれ故郷へ戻った彼は、エターニアが宿敵スケルターによって支配されている現実を知る。エターニアとその人々を救うため、アダムは戦士ヒーマンとして悪の軍団との死闘に身を投じていく。
監督は「バンブルビー」「KUBO クボ 二本の弦の秘密」のトラビス・ナイト、脚本は「ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒」のクリス・バトラー。主人公アダム/ヒーマン役を「赤と白とロイヤルブルー」「アイデア・オブ・ユー 大人の愛が叶うまで」などで注目を集めるニコラス・ガリツィンが演じるほか、ヒーマンとともに戦う女戦士ティーラ役に「リベンジ・スワップ」「アップグレード どん底女子の幸せ探し」のカミラ・メンデス、悪役スケルター役に「トロン:アレス」のジャレッド・レト、ヒーマンにとって父親的存在となる戦士マン・アット・アームズ役にイドリス・エルバと豪華キャストが集う。(映画・comより)

バービー人形のマテル社が生み出したアクションフィギュアという事ですがお恥ずかしながら今まで認知していませんでした。そもそも私自身あまりフィギュアに思い入れがないもんですから。さてさて内容は理解出来るのでしょうか?そんな一抹の不安を抱えながら6月10日の水曜日。サービスデーを利用してMOVIX日吉津にて鑑賞して参りました。するとびっくり観客は僕を含めて三人のみ。いずれも男性でした(笑)初動のランキングも低かったしあまり人気ないのかな?…というのもありますが、そもそも日本での認知度が低いのかもしれませんね。僕も今回初めて知りましたもん。

では内容に触れていきますが、まずマスターズ・オブ・ユニバースというフィギュアについて知らなくても全く問題ありません。フツーにファンタジーアクション作品として予備知識なしでも楽しめます。そもそもの設定が日本のRPGのドラゴンクエストやファイナル・ファンタジーにも通じる様な世界観でそこに現代のアメリカ・オクラホマが舞台となっています。惑星エターニアこそ現代の馴染みある世界ではなく正にファンタジーの世界なのですが、そこの王子がアメリカでフツーにサラリーマン生活を送っています。

しかし、故郷のエターニアが危機に瀕しているという事からエターニアを救う為にヒーマンという何とも締まりのない名前のヒーローとしてヴィランのスケルターと戦うというもの。設定に複雑な背景も小難しい専門用語も出て来ません。至ってシンプルなストーリーだからこそ没頭して鑑賞する事が出来ました。

さて、そんな主人公のヒーマンことアダムは心優しい少年として冒頭から出て来ます。王子だからこそ惑星を守る為の剣術を身につけねばならないのですが、どうにも争い事が苦手な彼はそれが出来ない。地球での彼は伝説の剣を常に探しているのですが、それをゲームか何かのオタ活をしてると上司に思われ手を焼かれる始末。つまりのび太でありスパイダーマンのピーター・パーカーでありとちょっと頼りない主人公なんですね。しかしそんな彼が惑星を救うヒーローとして戦う事によって成長していくというまぁよくあるっちゃある設定。更には今時ここまでいくと潔さが気持ち良いとすら感じる勧善懲悪モノなんですね。鑑賞にあたっては何らストレスを感じない。何ならスパイダーマンの名前をあげましたけど、初期のMCU作品を見る様なそんな作りでヒーロー映画として純粋に楽しむ事が出来ました。

ファンタジックな惑星エターニアだけでなく現代のアメリカを舞台にしてる点を活かした伏線の張り方とその回収も気持ち良かったですね。また、バトルシーンも力が入っており、CGを駆使した迫力あるバトルを見る度に高揚感がありました。剣が武器になっている事からもスターウォーズのライトセイバーさながらのそれを駆使しながら戦うという王道っぷりなのでフィギュアを知らなくて全く問題なし…どころか映画的な盛り上げもそこかしこに仕掛けられているので、めちゃくちゃ楽しませて頂きました。

そしてヴィランであるスケルター。そもそもが如何にも悪役としてわかりやすいドクロが顔というフォルム。しかしこいつがまた何とも悪いんですよ。エターニアで非道の限りを尽くすのですが、これがまた何とも憎たらしい。だからこそヒーマンが戦いそしてこのスケルターを倒した時にカタルシスが生まれるんですよね。元々ひ弱だった青年がスケルターに虐げられた惑星の人達を鼓舞し、一丸となって戦っていく描写はかなり胸アツなものがありました。

それから音楽の使い方もよくオールドスクールなロックを随所に配して絶妙なタイミングで効果的に流していく。クイーンの名曲等が使われていますが、かなり計算した上での曲のインサートでしたね。

また、随所随所で笑いを誘う場面がありますが、ここにもあざとさがなく、スマートに見せてくれています。エターニアでは衛兵としてめちゃくちゃカッコよかったキャラクターが地球ではただの飲んだくれ親父になり、まさかのコメディリリーフとしての位置づけになっていたりとそのギャップから生まれる笑いに思わずニヤリとしてしまいましたね。

また、笑いではなく感情を揺さぶる泣きの場面なんかもあり、非常に起伏に富んだ作りでしたね。

それからエンディングでは新たな動きが示されていく、つまりは続編作る気満々じゃん…なんですね。だからこういう場面も用意されているからストーリーが終焉となってもエンドロールは必ず最後まで見てから席を立つ様にしました。

全体的には満足したそんな内容ではありましたが、ただ一点気になるところがありまして。ヒーマンとスケルターが戦う場面で「悪役だから」云々みたいなまさかのメタ発言。あれいったかな?何かあの場面で僕一瞬引いちゃいましたよ。

まぁ、そんな場面もありましたが、僕は映画全体は楽しく鑑賞しました。

オススメです!是非劇場でご覧下さい!