きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

かがみの孤城

直木賞作家・辻村深月の同名ベストセラー小説を、「河童のクゥと夏休み」「カラフル」の原恵一が監督を務めて劇場アニメ化。
中学生のこころは学校に居場所をなくし、部屋に閉じこもる日々を送っていた。そんなある日、部屋の鏡が突如として光を放ち始める。鏡の中に吸い込まれるように入っていくと、そこにはおとぎ話に出てくる城のような建物と、6人の見知らぬ中学生がいた。そこへ狼のお面をかぶった少女「オオカミさま」が姿を現し、ここにいる7人は選ばれた存在であること、そして城のどこかに秘密の鍵が1つだけ隠されており、見つけた者はどんな願いでもかなえてもらえると話す。
若手女優の登竜門として知られる「カルピスウォーター」のCMキャラクターに起用されるなど注目を集める當真あみが、オーディションで1000人以上の中から主人公こころの声優に選ばれた。「百日紅 Miss HOKUSAI」などでも原監督と組んだ丸尾みほが脚本、「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」のA-1 Picturesがアニメーション制作を担当。(映画・comより)

2018年に本屋大賞を受賞した辻村深月の小説「かがみの孤城」。クレヨンしんちゃん映画の名作「オトナ帝国の逆襲」を生んだ原恵一監督の手によりアニメ映画化。公開当初から気にはなっていたものの劇場鑑賞は見送るつもりでいました。

ところがこれがかなりの評判という口コミが広がり、これは見逃せないと遅まきながら見て参りました。

まず始めにお伝えしますね。鑑賞後の率直な感想としては間違いなく名作である事は断言します!更に言えば学生時代にトラウマがある人ならば是非見て頂きたいし、中学生・高校生や年頃のお子さんをお持ちの方には強く推奨したい作品です。

アニメ映画としては「すずめの戸締り」にも「THE FIRST SLAM DUNK」ももちろん素晴らしかったし、その点は番組でも強くお伝えしたところです。しかし、この二作との違いとしては中学生の余りにも残酷な現実がまざまざと映し出され、感情に強い刺激が与えられるという点なんですよ。

いじめ、不登校、人間関係のつまずきという問題描写ですよね。孤城に集められた7人の中学生。彼らが結束して謎を解いていくサスペンスでありながら彼らの心の闇をフォーカスしていきます。

さて、いきなりですが学校のクラスって何でしょうか?たまたま同じ年に同じ地域に生まれた子供達が30人かそこら集められて共同生活を送る場所。これは甲本ヒロトさんもおっしゃっていた事なんですが、正にその通りだと思います。

この集合体。個性もバラバラな中、規律を重んじ共に学び共に汗を流し一緒に青春を謳歌する。数年後の成人式に顔を合わせ思い出話に花を咲かせ、更にその数年後の同窓会では結婚しただのどこそこに就職しただの近況を話し合う。でもその一方でこのレールに乗り損なう人だって居る事を忘れちゃいけないんだよ。それこそがいじめによって人生めちゃくちゃにされた人なんです。学生時代のいじめがきっかけで引きこもり、数十年経っても社会に出れない人だっているしいじめを苦に自殺をするなんてニュースは年に幾度耳にするんでしょう。しかし、いじめた奴というのはその事も忘れ人生を歩んでいく。ふざけんじゃねぇぞ!

…ってすいません口が悪くなってしまいました。実は私、中学時代いじめられ、高校は人間関係につまづいて不登校から中退してしまいました。その後、大検を取って大学までは行きましたけどね。だからこそ…ってわけでもないんですが、今作で描かれたいじめシーンは何とも胸糞悪かったですね。教師等大人の前では優等生気取りながら陰湿ないじめをする姑息さが余計に憤怒の感情を煽りましたね。また、オリラジの藤森さんが声を担当してられましたが、担任のクズっぷり。近年あったいじめの事件で学校や教育委員会の対応があまりに酷かったので世間から大バッシングを受けてました。もちろんしっかり取り組んでいる教師も居るのでしょうが、表面的な部分でしか判断せずに穏便に済ませようとするこの若い教師には怒りしか沸きませんでしたね。

また、こういった胸糞描写で言うと後半はかなりエグかった。はっきり言いますね。義理の父から受ける性的虐待を示唆する場面ですね。ここをより恐ろしくさせたのはこの義父の顔にモザイクをかけたところ。これは追われる少女の目から見た義父がもはや顔すら見たくないという心理面の反映として表現しているわけですね。学校にも家にも居場所のない少女の心境とは考えるだけでも辛くなります。

とこの様に心にダメージを与える様な描写が出てきますが、むしろこれがリアルだからこそ胸に響くんですよね。90年代に一世を風靡した野島伸司脚本ドラマ等は正にこの手法だと思い出しました。現在ではコンプライアンスの点から地上波放送では厳しいでしょうが、いじめやレイプのシーンふんだんに出してましたからね。

さて、いじめをテーマにしたアニメ映画で思い出したのが『聲の形』という2016年の作品がありました。いじめというと被害者に目が向けられがちだし、そうであるべきだとは思いますが、同作では加害者の心の葛藤を描いていたのが印象的でした。今作の場合は主人公であるこころちゃんの目線でストーリーが進行する中で彼女の数少ない味方である一人の少女の口から語られた言葉。自分を取り繕う為に徒党を組んでいじめをしたり仲間をハブイたり。話す事と言えば薄っぺらな恋だの何だのそんなヤツらの将来なんて知れてるという旨の内容。これはホントにそう!結局人としての深みがないんだよね。

…なんて昔の自分を思い出してその時の感情が噴出してる様な今回のレビュー(これでも抑えてる方ですよ。)

更にリアルな点突っ込むと集められた7人。彼らの中でも浮く子が出るって事なんですよね。「弱い者達が夕暮れ」じゃないんですけど、こころの声が全てを語ってくれるのですが、これって人間あるある描写としてはかなり説得力がありましたね。

さて、本作はラストにはいじめ問題解決のハッピーエンドではありません。それには原恵一監督なりの解釈として表明されている事なんですが、いじめの問題は根本的に解決しないという事。だけど決して救われないというラストではなく、こころちゃんの次に期待を託す様な形で落ち着かせます。この後のこころちゃん次第で未来は変えられるというメッセージでもあり、これだからこそ見た人に前向きにさせてくれる力強さを感じました。

そしてこれは子供達だけではなく大人達へも深く刺さるものでした。

個人的に早くも2023年ベスト級に出会いました!

少しでも多くの人に見て頂きたい作品です!

是非ご覧下さい!

 

 

嘘八百 なにわ夢の陣

中井貴一佐々木蔵之介扮する古物商と陶芸家がだまし合いの大騒動を繰り広げるコメディ「嘘八百」シリーズの第3作。
空振りばかりの古美術商・小池則夫と、うだつの上がらない陶芸家・野田佐輔コンビの前に、豊臣秀吉の出世を後押ししたと言われる7つの縁起もの「秀吉七品」の中でも、唯一所在不明だった茶碗「鳳凰」の存在がちらつく。手にすれば一獲千金の幻のお宝となる「鳳凰」をめぐり、開催間近の大阪秀吉博や、TAIKOHと名のるカリスマ波動アーティスト、謎の美女なども絡み合う騙し合いが繰り広げられ、小池・野田のコンビ分裂の危機にまで発展する。
小池役の中井、野田役の佐々木をはじめとするシリーズおなじみのキャスト陣に加え、カリスマ波動アーティスト・TAIKOH役で安田章大が出演。監督をドラマ「全裸監督」で知られる武正晴が務め、脚本をドラマ「失恋めし」の今井雅子NHK連続テレビ小説「ブギウギ」の足立紳を担当するなど、前作からのチームが手がけた。(映画・comより)

かつては日本の正月の風物詩と呼ばれる正月映画というものがありました。毎年年末年始に封切られ、紅白歌合戦新春かくし芸大会等その時期の定番とされる人気番組の映画版みたいな作品ですね。それこそが「男はつらいよ」であったり「釣りバカ日誌」であったりと配給元の松竹にとってのお抱えコンテンツですよね。そこにライバル会社である東宝東映からの大作に洋画大作等が同時期に公開され、活況を見せていた時代が昭和〜平成の前期でした。

しかし、令和の年末年始は娯楽の多様性等もあって紅白歌合戦もかつての様な視聴率は取れず、洋画もかつての様な勢いもなく、日本のアニメ映画が席巻する状況。そこにはシリーズ物のお正月映画の姿はありません。

そんな中、毎年でこそないものの、かつての寅さんや釣りバカの様にツボを抑えた喜劇作品としてシリーズ物として定着しつつあるのが今作「嘘八百」シリーズです。千利休古田織部の幻の茶器という歴史プラス骨董好きなシニア世代のハートを掴み更には気兼ねなく鑑賞が楽しめるコメディというのが人気の要因ではないでしょうか?

私も前二作は劇場鑑賞こそしなかったものの、その後の配信サービスで視聴。一気にシリーズのファンになり番組でもお話しして参りました。

そして三年振りに公開となった新作。三作目にして初の劇場鑑賞という事でMOVIX日吉津にて見て参りました。

客層はというとやはりと言うべきか比較的高め。60〜70代くらいの方々が中心ではありましたが、若い方の姿もありましたよ。

千利休古田織部と続いて太閤・秀吉の幻のお宝これは何ともワクワクします!果たして内容は?

さて、これはシリーズ一貫してですが、中井貴一佐々木蔵之介というダンディなオジサマ二人がワチャワチャとやるのが楽しい作品です!

今作でもやはりその辺りは健在。相変わらず良い年したオッチャンなのに男子高校生がふざけ合っているかの様なやり取りに笑いがこぼれます。とりわけ大阪城のお堀を巡る舟でのやり取りなんかはもはや熟練の漫才コンビよろしく息やテンポがバッチリ!今回もその辺り全くブレてません!

また、中井貴一演じる小池が自らの骨董屋をPRする為にYouTube的な動画を使う辺り現代っぽいし、落胆する再生回数なんかもかなりリアルでした。

で、その小池の娘を森川葵が演じているのですが、前作で占い師になった彼女はすっかり人気占い師になっていたりとこれは前作までを見ていたら変化を感じましたね。

一方、佐々木蔵之介演じる陶芸家の野田。友近演じる彼の妻から明かされたリアルな年収といいネットに出ていた彼の作品の価値等依然として陶芸家としてはうだつの上がらない彼の姿は相変わらず。

だけど話しが転がっていくのがこの両者に大きな仕事が舞い込んでからなんですよね。

古物商・陶芸家とくすぶっているこの二人に舞い込んだビッグチャンスがどの様にストーリーで転がっていくのかそこは是非今作を見て頂きたいところです!

そしてお馴染みのあの学芸員も登場!そうです、ドランクドラゴンの塚地さんが演じた彼ですね!1作目の千利休、2作目の古田織部どちらにも非常に精通していた彼が今作は秀吉について熱く語る(笑)これまでは面白いモブキャラ的な扱いでしたが、今作の場合違うのが割とガッツリ小池・野田コンビと絡むのと登場が1シーンだけではない点。実在する学芸員さんをモデルにしたというこのキャラクター。これは前作までにかなり大きなインパクトを残した事でシリーズでも人気なんでしょうね。だからもし今作で初めてこのシリーズに触れた人は「この人のこの登場場面いる?」なんて思っちゃうかもしれません。これは前作までを見た人へのサービスショットだと僕は思っています。

さて、今作は太閤・秀吉をテーマに大阪を舞台にしてるとあって大阪城が大々的に出てきます。自分は関西生活長かった割に大阪城って一回しか行った事なくて、でも大阪城の中の雰囲気は確かに馴染みがあるというか懐かしさがあるというか。そうそう大阪城ってエレベーターがあるんだよなぁなんて思い出したり、後はある商談を大阪城付近にあるビル内で行うのですが、窓の外に映るのが大阪城ホール。しかもよく見ると階段で長蛇の列が出来ていて大阪城ホールでのライブをよく見に行ってた自分としては「あれ、これって誰かのライブの日に撮ってんの?それともあれって映画のためのエキストラかな?」なんて気になって気になって(笑)映画の本編と別の部分に目がいっちゃいました。

さて、今作はストーリー的にも面白かったし、個人的には良かった反面これは公開時期の悪さからくる問題がありまして、それが信者ビジネスについてなんですよね。安田章大演じるカリスマ波動アーティスト・TAIKOHの話しにそれが絡んでくるのですが、そこに信者の心をついてのそのテの話しが出て来る。しかもこれを教訓的なメッセージを伴ってって事ではなく、笑いの描写にしてる所なんですよね。先の教団の問題が明るみにされる以前であればまだ救いがあったのかもしれませんが、件の一件とどうしても結びついてしまって見る人によっては心象悪くなったりもするのかななんて思いました。恐らく制作してる段階ではまさかという事態だったんでしょうね。

それから前作の「嘘八百 京町ロワイヤル」の広末涼子さんが演じた京美人に続いての女性ゲストとして中村ゆりさんの起用が良かったですね。前述のカリスマ波動アーティスト・TAIKOHのマネージメント等を行う謎の美女。時折佐々木蔵之介さんの演じた野田に色気を振り撒くその妖艶さや佇まい等全てにおいて魅力的。TAIKOHとの関係性が明かされてからのその雰囲気も正に役に適していたなと思います。髪型もボブでしたが、非常にお似合いでした!

キムタク主演の「レジェンド&バタフライ」は信長、大河ドラマは家康。ならば秀吉は?迷わず今作をオススメしましょう!

是非劇場でご覧下さい!

 

Dr.コトー診療所

山田貴敏の同名漫画を原作に、2003年と2006年に連続ドラマとして放送された名作テレビドラマ「Dr.コトー診療所」の16年ぶりの続編となる劇場版。
日本の西端に位置する自然豊かな孤島・志木那島。19年前に東京からこの島にやって来たコトーこと五島健助は、島にたった1人の医師として島民たちの命を背負ってきた。島民とコトーとの間には長い年月をかけて築いてきた信頼関係があり、今やコトーは島にとってかけがえのない存在だ。コトーは数年前に看護師の星野彩佳と結婚し、2人の間にはもうすぐ子どもが誕生する。志木那島でも日本の他の地域と同じく過疎高齢化が進む中、島民たちの誰もがコトーの診療所があることに安心し、変わらぬ暮らしを送り続けていた。しかし診療所の平穏な日常に、ある変化が忍び寄っていた。
主演の吉岡秀隆をはじめ柴咲コウらおなじみのキャストが再結集し、原剛洋役の富岡涼は芸能界を引退していたが本作のために復帰。高橋海人、生田絵梨花蒼井優神木隆之介伊藤歩堺雅人ら豪華キャストが共演する。スタッフも監督の中江功、脚本の吉田紀子らドラマ版を手がけた顔ぶれがそろった。(映画・comより)

TVドラマがまだまだ勢いのあった時代…なんて言うと「じゃあ今は違うのかい」という指摘がありそうなんですが…。00年代のTVドラマを語る上で外せない「Dr.コトー診療所」。03年と06年の二回のシーズンで放送され、更に04年には特別編と二夜連続のスペシャルドラマも制作。06年のシーズン最終回は25.9%という高視聴率となりました。そんな「Dr.コトー診療所」は長らく映画化を要望する声が高かったものの、なかなか実現には至らずそして遂に今作で初の映画化そして一連のシリーズに終止符を打つ事になりました。

年末には天皇皇后両陛下と愛子内親王殿下がご鑑賞された事も大きな話題となりました。

ドラマ版は割と熱心に見ていた僕は2023年の映画初めとして1月3日にMOVIX日吉津にて鑑賞して参りましたよ。

まず、何と言っても感じたのは時間の経過。何しろ06年のシーズンから16年の時が流れたわけです。俳優としてのキャリアはかなり長い一方青年医としてのフレッシュさも兼ね備えていたコトー先生を演じた吉岡秀隆さんもベテラン俳優としての深みを感じましたし、当時は若手人気女優の筆頭的なポジションだった柴咲コウさんも大人の女優さん。更には当時子役として出ていた富岡涼さんは役者業を引退してサラリーマンになっているそうですが、今作の為に一時的に復帰。子役としての彼のイメージが強かった分「大きくなったね〜」なんて親戚のおじさん目線で見ちゃいます。変わってないのは泉谷しげるさんくらいですね。何なら泉谷さんって僕が子供の頃からかれこれ40年くらい変わってない気が(笑)

本作に初めて参加した若手キャストとしては高橋海人、生田絵梨花の両名。高橋海人くんの経験より知識で動こうとする新米医者の姿は板についてましたし、生田絵梨花ちゃんの彩佳の妹分的なフレッシュなナース姿も良かったです。

そして何と言っても景色がとにかくスクリーンに映えますね!与那国島の海や街並み更にはその地の臭いがや空気感も伝わってきそうです。冬ですからね、こういう南国の景色を見ると心身共に温まってきそうです。

さて、とは言っても我々は島の人が言う所の本土の映画館からその光景を見るからこそそんな呑気な事も言えるのであって実際に島の人々からするとそうも言ってられないわけです。

それこそが本シリーズがドラマ版の時から一貫して伝え続けてきた孤島での人口減少と過疎化そして医師のいない状況なんですよね。もちろんこれらの問題は離島だけの問題ではありません。いわゆる地方の山村にも無医村はあり、当該の地域の医療体制の不備は深刻な問題です。

こういった実態を志木那島という架空の孤島を舞台に写し出しコトー先生と島民達のヒューマンドラマとして放映した事が多くの人達の胸を打ち今作に至るまで愛されてきたのは間違いありません。

今作でもこういったドラマ版からの流れを汲みながらストーリーは展開されていました。

ところで医者の不養生という言葉がありますよね。患者の治療に向き合い医療を生業とする医者が自らの病よりも患者の方を優先してしまったり。今作のコトー先生は遂に自らの身に病魔が忍び込んできます。本土から判斗という新人医師はやって来るものの、彼はまだまだ若い。更には島民からの信頼も得ていないという事からまだまだコトー先生が診療に向き合わなければなりません。そんな中でどの様に自らの病魔に向き合うのかのコトー先生の姿は是非見て頂きたいところです。

決して綺麗事だけではない医療と人間の深いドラマが本作では描かれています。

オススメです!

 

…と締めたいところなんですが、まだまだ続けますね。

病魔に襲われながら医療に向かうコトー先生の姿は確かにカッコいいです!…だけど自己犠牲の精神をあまりに打ち出し過ぎてやいませんか。もっともその辺りは高橋海人君演じる判斗がしっかりと指摘していましたし、もしかしたら意図的なのかもしれません。しかし、満身創痍で自らの身体を支えられない状態でオペを行うのはあまりにもやり過ぎだと思いましたし、コトー先生が診療所で皆んなの前で倒れたにも関わらず、島民達誰も駆け寄らないのかよ!皆んなに慕われているコトー先生じゃねぇのかよ!更には皆んなで治療をするコトー先生にエールを送るシーンなんてありえねぇよ!そもそも医療ってそういうもんじゃねぇだろ!

後ね〜、判斗はもうちょい嫌なヤツでも良かった気がするんですよね〜。本土の大病院で仕事したかった青年医が離島の診療所でと不本意な心境を露わにしてましたよね。だけど島民達に慕われるコトー先生を羨んだりとか事ある毎に中途半端に良いヤツだったりするんですが、とことん嫌なヤツが最後の方でコトー先生や島民達によって心を開いていってバシっと見せ場を作るって方がストーリーがもっと面白くなったんじゃないかなとあくまで個人的な印象として感じました。

すいません、ラストはかなり辛口になってしまいましたが、中島みゆきさんの名曲が心を洗ってくれました!「銀の龍の背にのって」は大音量で聴くと感動しますね!

是非劇場でご覧下さい!

ラーゲリより愛を込めて

二宮和也が主演を務め、シベリアの強制収容所ラーゲリ)に抑留された実在の日本人捕虜・山本幡男を演じた伝記ドラマ。作家・辺見じゅんのノンフィクション小説「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」を基に、「護られなかった者たちへ」「糸」の瀬々敬久監督がメガホンをとった。
第2次世界大戦後の1945年。シベリアの強制収容所に抑留された日本人捕虜たちは、零下40度にもなる過酷な環境の中、わずかな食糧のみを与えられて重い労働を強いられ、命を落とす者が続出していた。そんな中、山本幡男は日本にいる妻や子どもたちのもとへ必ず帰れると信じ、周囲の人々を励まし続ける。山本の仲間思いの行動と力強い信念は、多くの捕虜たちの心に希望の火を灯していく。山本の妻・モジミ役に北川景子、山本とともにラーゲリで捕虜として過ごす仲間たちに松坂桃李中島健人桐谷健太安田顕と豪華キャストが集結。(映画・comより)

2022年の映画納めとして年末の12月30日。MOVIX日吉津にて鑑賞。さすがにこの時期になると正月休みに入った家族連れ等で賑わっていました。そんな家族連れやカップル若年層の友人同士の多くは「THE FIRST SLAM DUNK」や「すずめの戸締り」を選択していた事でしょうが、感動作として目下評判の良い今作は是非見ておきたかったので一日の上映回数が減っている中、午前の回を選択して鑑賞して参りました。

第二次世界大戦を舞台とした作品というのはこれまでにも数多くの作品がありました。しかし、いわゆる終戦後を題材となるとこれがグッと数が減るもので中居正広さんが主演を務めリメイクもされた「私は貝になりたい」等辺りが有名どころですね。

今作の場合は終戦後に日本に引き揚げたものの、シベリアに連行され、強制労働を科されるいわゆるシベリア抑留を題材にした実話を元にした内容となっています。
さて、皆さんはこのシベリア抑留に関してはどの様な認識をお持ちでしょうか?

終戦後に強制的に連行されるなんて理不尽だし、大変だっただろうね〜」…確かに間違ってはいません。しかし、その実態はどれ程無慈悲でやり切れないものであったかなんてのは学校の授業で習うだけではわからないと思います。

この映画ではそんなシベリア抑留の過酷な実態を忠実に描いている為、かなり感情を刺激される事になります。ソ連兵にムチで叩かれる同胞の日本人捕虜を見ると憤怒の感情に駆られますし、保身の為に仲間を売る捕虜の姿を見ると人としての醜さに悲しさを感じる一方で果たして自分が同様の状況に置かれた時に理想的な対応が取れるだろうかと考えさせられる。また、桐谷健太が演じた戦時下での軍曹であった男が抑留先でも今は無きものとなった権力や立場を振りかざす姿にいつの時代にも権威主義であり、格下となる相手に圧力をかける人間性がまざまざと映し出されていたりと抑留先の状況や人間模様が身につまされる様に感情を刺激してきます。

でもこれが不条理であればある程訴えるものがあるんですよね。

それが戦争が終わり、ようやく家族との新たな日々が始まるというその矢先での招集だけにこのシベリア抑留が如何に理不尽なものであるかと感じさせられます。

そこにも強くフォーカスさせており、二宮和也演じる山本幡男と北川景子演じるもじみと子供達の家族が歩む戦後の戦争とも言えるシベリア抑留の生生しさを見ている人に強く訴えかけていきます。

それにしてもキャストの面々の演技はホントに素晴らしかったです!

まず、ニノこと二宮和也さんですね。ニノと戦争映画という視点で言えば2006年のクリント・イーストウッド監督が手掛けた名作「硫黄島からの手紙」が思い出されますが、戦争映画との相性がメチャクチャ良いんですよね。どれだけ理不尽な状況に置かれても自分の信念を曲げず人に対する義に尽くすまたロシア文学を愛読し、ロシア語も話す超インテリな役柄でしたが、好人物として描かれ過ぎなきらいもありましたが、ニノの雰囲気と絶妙に合っていたと思います。僕の印象としては「TANG」みたいな映画よりもこういうタイプの作品の方が合ってる気がします。

また、妻・もじみを演じた北川景子さんの強くしなやかに過酷な状況を生きる女性像も良かったですね。ラストシーンは彼女の演技に心を動かされ、涙が止まりませんでした。

松坂桃李桐谷健太安田顕といった面々はさすがでしたね!松坂桃李さんが演じていた気弱な青年しかし自らの取る行動と信念のギャップから遂にはその殻を破る姿には心を打たれましたし、桐谷健太さんが演じた人物。はじめの内こそ理不尽な理念を振りかざす利己的な男に見えましたが、抑留中に芽生えた人間性を取り戻してからの幡男への接し方や仲間内での立ち回り等不器用なんだけど実は最も人間らしいのは彼なのては?と思いました。そしてヤスケンさんですね!どんな役柄でもご自身の物にする名優ですが、今作における山本の元上官でありながら知性と教養を兼ね備えた好人物像に中島健人演じる青年は山本が目をかけ人としての成長を見せていく姿をスクリーンで表現していました。

それからこの映画ですが、決してプロパガンダ映画ではありませんが、第二次大戦後の共産主義の思想教育を生々しく描いていたのも強く印象に残りましたね。直接見て頂きたいのですが、強制労働にとどまらず赤化教育を行っていたその実態が非常にリアルで恐ろしさを感じました。無論政治的思想をどうのこうのなんてのはここでは論じませんが。

また、今作ですが、隠岐島と松江が出てきます。その辺りもチェックしてみて下さいね!

是非劇場でご覧下さい!

アバター ウェイ・オブ・ウォーター

ジェームズ・キャメロン監督が革新的な3D映像を生み出し、全世界興行収入歴代1位の大ヒット作となった「アバター」の約13年ぶりとなる続編。前作から約10年が経過した世界で、新たな物語が紡がれる。
地球からはるか彼方の神秘の星パンドラ。元海兵隊員のジェイクはパンドラの一員となり、先住民ナヴィの女性ネイティリと結ばれた。2人は家族を築き、子どもたちと平和に暮らしていたが、再び人類がパンドラに現れたことで、その生活は一変する。神聖な森を追われたジェイクとその一家は、未知なる海の部族のもとへ身を寄せることになる。しかし、その美しい海辺の楽園にも侵略の手が迫っていた。
ジェイク役のサム・ワーシントン、ネイティリ役のゾーイ・サルダナらおなじみのキャストが続投し、前作でグレイス・オーガスティン博士役を務めたシガニー・ウィーバーが、今作ではジェイクの養子キリ役をモーションキャプチャーによって演じている。(映画・comより)

革新的な映像が話題となり全世界で大ヒットとなった前作の公開は2009年。3D上映が大きな話題となり、翌2010年には「アリス・イン・ワンダーランド」も大ヒットとなり、以後数年に渡る洋画の3D映画ブームを巻き起こしました。そんな3D映画ブームの火付け役となった前作から13年の時を経て「アバター」がスクリーンにかえって来ました!この13年幾度となく続編の話しはあったものの、なかなか公開には至らずでやきもきしていた人は多い事でしょう。

ただあまりに時間が掛かりすぎたせいか日本での興行は振るわない様子。日本以外の全世界では興行ランキング1位というのが話題となっていますね。しかしそんなの関係ないぜと13年前に映像に圧倒された私は公開翌日にMOVIX日吉津にて見て参りました。複数ある上映形式から3D字幕版を選択して鑑賞。思えば2017年の「ドクターストレンジ」1作目以来5年振りの3D鑑賞。久しぶりに装着した3Dメガネは妙に懐かしくそれでいて新鮮な気持ちで楽しんで来ました!

まず、前半部から美しい映像そして3Dで体感してるからこその高揚感が湧きあがってきます!特に今回は海を舞台にしてる事もあって青が映える映える!とりわけ見て頂きたいのは海底の映像ですね!水族館の様なウォーターショーを楽しむかの様で目に鮮やか心に涼やかなんですね。だから本来は夏に見るとより良いんでしょうね。まぁ、公開時期にケチをつけるつもりはないですが…。

ストーリーに関して言えば大味です。でもこれは前作でもそうでしたもんね…。劇場で見た時はその映像に圧倒はされましたが、後にテレビで見た際はストーリーに深みがなくてややガッカリした記憶。あくまで映像メインの映画ですもんね。

それでもしっかりとメッセージは伝わりましたよ。それは業の深い人間のリアルな姿ですね。

海兵隊が侵略して来た際の先住民への蹂躙ぶりときたらまさにこれまでの人類が辿ってきた歴史を表している様であり。とりわけ白人が歩んだ歴史の自戒と反省が描かれている様でした。それでも人間は業が深く同じ歴史を辿るというのは今のウクライナの情勢と重なる様でもありました。

また、反捕鯨というメッセージも強く伝わりました。特に捕鯨という点では日本人には強く響くのでは?なんて見ていましたね。

それからこれは昨今のハリウッド映画ではよく見られるポリコレの観点からの多様性の尊重。これは人間からの先住民ナヴィまた先住民同士でも能力や文化の違いからくる偏見への問題提唱等が強く画面で表されています。

とにかく今の時代にジェームズ・キャメロン監督が訴えたいメッセージがこれでもかと盛り込まれていたのが印象的でした。

そしてジェームズ・キャメロン監督と言えば個人的に今作でオススメしたいところがありまして、海上でのアクションとりわけ船が登場するシーンは見て頂きたいところ。というのが甲板に流れ込む大量の海水。そして嵐に揉まれながら巨大な船が傾きあわや沈没という場面なんですが、キャメロン監督の真骨頂ここに在り!というのが「タイタニック」を思い出すんですよね。この豪快な船でのパニック描写はやはりジェームズ・キャメロン監督ならではだなと思いましたよ!

さて、今作の上映時間は3時間10分という超長尺!鑑賞前にはトイレの心配をしていましたが、意外と時間は早く感じましたね。ただ、それでももう少しコンパクトに出来たのではないかと思いましたね。というかこれは今作だけに言える事ではないですが、最近の洋画大作は長いです。特に今はTikTok等で短い動画を見慣れてる人が多い時代ですよ。音楽だって最近はイントロを長くしない等コンパクト化が進んでいる中、三時間強はなかなか厳しいのでは?日本人の洋画離れが進んでるなんて耳にしますが、こんな所も要因なのではないでしょうか。

なんてアバターというより昨今の長尺ハリウッド映画に物申しちゃいましたが、映像はとにかく圧巻です!むしろ映画館で見ないと損するレベルだと断言しましょう!

是非劇場でご覧下さい!

THE FIRST SLAM DUNK

1990年から96年まで「週刊少年ジャンプ」で連載され、現在に至るまで絶大な人気を誇る名作バスケットボール漫画「SLAM DUNK」を新たにアニメーション映画化。原作者の井上雄彦が監督・脚本を手がけ、高校バスケ部を舞台に選手たちの成長を描き出す。
湘北高校バスケ部メンバーの声優には、宮城リョータ役に「ブルーロック」の仲村宗悟三井寿役に「ガンダムビルドダイバーズ」の笠間淳流川楓役に「ヒプノシスマイク」の神尾晋一郎、桜木花道役に「ドラえもん」の木村昴赤木剛憲役に「僕のヒーローアカデミア」の三宅健太を起用。1990年代のテレビアニメ版も手がけた東映アニメーションと、「あかねさす少女」のダンデライオンアニメーションスタジオがアニメーション制作を手がける。
ロックバンドの「The Birthday」がオープニング主題歌、「10-FEET」がエンディング主題歌を務め、作曲家・音楽プロデューサーの武部聡志と「10-FEET」のTAKUMAが音楽を担当。(映画・comより)

公開前から何かと話題のそれも悪い意味での話題が多かった「スラムダンク」の映画。とりわけ話題になったのは、前売り券発売後の声優発表ですね。映画版『スラムダンク』はアニメということで、90年代にテレビで放映されていたアニメ版の声優がこの新作映画も続投するものとみていたファンは多かった事でしょう。しかし、前売り券の発売開始後に「前アニメとは声優陣を一新するとアナウンスされ、前アニメ版の延長を念頭に思い描いていたファンがガッカリしたなんて聞きます。更には予告編の映像を見てコレジャナイなんて失望した人も居た事でしょう。実は私、「スラムダンク」はど真ん中世代なのですが、アニメはそこまで熱心には見ていなくて…。そんな僕からしても絵柄の違いには確かに違和感は覚えましたね。果たして映画「スラムダンク」はどうなるのか?公開前は期待と不安が交錯するそんな心境で鑑賞に臨みました。

さて、「スラムダンク」ファン或いは僕みたいにそこまで熱心ではないものの、連載当時にかじった程度に原作を読んだとかアニメを見たという人に問いたいのが、あなたはアニメ派?原作派?そこなんですが、実はこの映画を見る上で非常に重要になってきます。

というのが今作「THE FIRST SLAM DUNK」は井上雄彦先生が『週刊少年ジャンプ』連載にあたって当初構想していたスラムダンクであり、だからこそ「THE FIRST」と冠しているんですね。

つまり原作派かアニメ派かで大きく見方が変わってくるというわけです。

元々井上先生は桜木花道を主人公にギャグ要素を盛り込んだバスケ漫画を描きたかったのではなく宮城リョータを主人公に据えたシリアス一辺倒な作品にしたかった。しかし少年誌でそれでは受けないだろうという編集者の提言によりよく知られるところの「スラムダンク」が出来上がった。つまりは井上先生からすると本意のものではなかったんですね。

それを時を経て関係者による熱烈なアプローチもあり、製作されたのが今作。だからこそリョータの目線が中心になり、桜木や三井、流川等がサブに据えられている。この辺りの背景を押さえておくと本作の見方には大きな変化が生まれるのではないでしょうか。

そこにせめてものファンサービスという意図があったのかどうかはわかりませんが、人気の高い山王戦を大々的に扱いながら劇的な試合の展開を画面いっぱいに表してくれます。

リョータのヒューマンドラマパートはとにかく波瀾万丈な成長期をしっかり映し出していましたね。将来を嘱望されていた兄の死と母との軋轢、心を閉ざしたリョータ少年の姿を非常に感情的に描いておりました。それだからこそなんでしょうかリョータが主人公でも決して違和感はない…どころか本作においてはリョータ以外に考えられない。それくらい宮城リョータの物語になっていましたね。

もちろん桜木にも見せ場はありましたし、安西先生へのプニプニもありましたよ(笑)

また、音楽面も非常にハマっていました。WANDS大黒摩季の方がスラダンっぽいと言う人も居そうだしそれもわかりますよ。だけど井上先生は大のロック好きという事でThe Birthday10-FEETを起用。それがまためっちゃカッコいいんですよ!エッジの効いたギターが映えるロックとスポーツってめっちゃ相性が良いんだなと改めて感じました。とりわけ山王に圧倒的な点差で押される湘北。安西先生のあの有名なセリフは正にここで出てきますが、湘北の反撃に出る辺りで流れる「第ゼロ感」がめっちゃエモい!まぁ、高揚感を煽る煽る!この辺りのシーンを見る為にリピートする人も居るんじゃないかなと思いました!で、これは劇場の音響とスクリーンでしか得られないカタルシスがありますからね、断言します!

そしてラストはしっかりと次に繋がる様な素晴らしいエンド!鑑賞前に抱いた一抹の不安はどこへやら心から満足したきんこんでした。

これは推測なんですが、例の前売り券発売後の声優発表とか公開一ヵ月前の情報解禁等色々ありましたが、もしや製作側でもかなりの苦闘があったのではないかななんて思ってます。それこそ公開延期になるか否かくらいの。しかしそれを乗り越えて素晴らしい作品を届けてくれたその背景には諦めたらそこで試合終了スピリットがあったから?なんて勝手に想像しています!

スラムダンクの予備知識なしでも楽しめる何ならこの映画きっかけに原作に触手してみては?なんて僕は強くオススメしたいと思います!

是非劇場でご覧下さい!

 

 

月の満ち欠け

2017年に第157回直木賞を受賞した佐藤正午による同名ベストセラー小説を、大泉洋主演、有村架純目黒蓮Snow Man)、柴咲コウの共演、廣木隆一監督のメガホンにより映画化。
小山内堅は、愛する妻と家庭を築き、幸せな日常を送っていたが、不慮の事故で妻の梢と娘の瑠璃を同時に失ったことから日常は一変する。悲しみに沈む小山内のもとに、三角哲彦と名乗る男が訪ねてくる。事故当日、娘の瑠璃が面識のないはずの三角に会いに来ようとしていたという。そして、三角は娘と同じ名前を持ち、自分がかつて愛した「瑠璃」という女性について語り出す。それは数十年の時を超えて明らかになる許されざる恋の物語だった。
小山内夫妻役を大泉と柴咲が、娘と同じ名前を持つ女性役を有村、三角役を目黒がそれぞれ演じる。(映画・comより)

仏教やヒンドゥー教の思想には輪廻転生というものがあります。肉体は失ってもその魂は生き続け違う物体に宿すというものです。輪廻転生を信じるかどうかは人それぞれですが、例えば初めて見た光景であってもどこか懐かしさを感じたり、過去に見覚えがあったりなんてのはもしかしたら前世の記憶なのかもしれません。

…なんて今回はスピリチュアルな話しでスタートしましたが、映画「月の満ち欠け」はまさにその輪廻転生を描いた作品です。

「ナミヤ雑貨店の奇跡」や前回紹介した「母性」の監督である廣木隆一がメガホンを撮りました。前回の「母性」では厳しい意見もぶつけましたが、母性とは何かを強く訴えながら、スリリングなストーリー展開で楽しませて頂きましたが、果たして本作は如何でしょう?

1980年の高田馬場から物語がスタートし、一組の新婚夫婦を追っていきます。大学時代から交際をはじめゴールインを果たしたカップル。翌年には女の子を授かり幸せいっぱい。しかし、柴咲コウが演じた妻が誕生にまつわる不思議な出来事を大泉洋演じる夫に伝える辺りからストーリーに謎が生まれます。これを伏線としながら授かった女の子と共に家族の穏やかな日々が始まっていきます。誰もが羨む様な仲睦まじい家族の姿が一変した所からストーリーは劇的に変化。この一連の流れがとにかく波乱に満ちており、目が離せない展開。劇中歌であるジョン・レノンの「WOMAN」もこのドラマチックな展開に欠かせないものとなっていきます。

そしてその後始まり別の男女の話し。目黒蓮有村架純による禁断のラブストーリーが幕を開ける事に。

この一見何も関係ない二組の群像劇がやがてひとつに結ばれていく。それこそが輪廻転生の話しとして劇的な流れに繋がっていくんですね。

そこからラストに至るまでがとにかく無駄のない流れで決して飽きさせないつくりとなっています。特に悲劇的な運命を辿る女性陣に感情を合わせられれば涙なしで見る事が出来ないし、男性目線で言えば大泉洋さん演じる小山内堅の心境に寄り添うあまり涙腺が刺激される事請け合いなんですね。

更に娘の瑠璃が幼い頃に取る行動や彼女の思考等が伏線となっており、目黒蓮有村架純のパートで繋がっていく辺りのあのスッキリ感なんかは奥行きあるストーリーだからこそのものなんですよね。とにかく脚本が秀逸です!

また、この作品は割と映像的にショッキングなものも映し出しています。死を扱い尚且つ病死等ではなく事故死という事もあってはっきりとそのシーンも捉えています。だけどそれがリアルだからこそ強く訴えかけてくるものがあるんですよね。

それから1980年の街並みやノスタルジックな雰囲気の演出は映えていましたね。個人的にはレコード屋さんの場面なんかはじっくりと見ちゃいました(笑)ただ、突っ込みたい点があったのでそれはまた後ほど。

キャストの面々もすごい良かったです!主要な面々はもちろんなんですが、個人的には田中圭さんの演技が光っていたなと思います。ネタバレになるので詳しくは言えませんが、彼は有村架純さん演じる瑠璃と強い関係にある男性なのですが田中圭さんと言うと好青年というか真面目な人物、良い人そうなキャラクター、お調子者で愛嬌のある人物等おしなべて悪人イメージとはかけ離れた役柄のイメージが強いじゃないですか?ところが本作で演じていた人物は粘着質でストーカー気質更にDVの習性も併せ持つというこれまでになかった様な役。しかしこれがまた妙にハマっていたんですよね!これを機にこういうクセのある役をもっと見たいなと思いましたね。シリアルキラーとかヤクザとかね。

とこの様に非常に見応えのある良作であるのは保証しますが、どうしても気になる部分があるので、そこだけ突っ込んでおきましょう。

1980年の高田馬場が舞台で街並み等は確かにそれっぽくてレトロ感はありましたよ。ただ、そこを歩く通行人に80年代初頭っぽさがなかったんですよ。今の基準で見たらもっと野暮ったい格好だと思うんですよね、その時代って。だけど今とあまり変わらないんですよね。もっと忠実にその時代に寄せて欲しかったなというのが一点。

それからもう一点。目黒蓮くん演じる三角と有村架純さん演じる瑠璃のやり取りで瑠璃のセリフとして「全然大丈夫」というのがありました。いや、この言い回しが日本語としてどうこうという事ではなく、「全然大丈夫」という言い回しってこの時代にはまた無かったんじゃないかなって。

まぁ、突っ込みたかったのはそんなトコロです。

映画自体は非常に感動的でそれでいてロマンを感じる内容でした!オススメです!