きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

映画ドラえもん のび太の新恐竜

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国民的アニメ「ドラえもん」の長編映画40作目。シリーズ最高の興行収入53.7億円を打ち立てた「映画ドラえもん のび太の宝島」(2018)の監督・今井一暁×脚本・川村元気が再びタッグを組み、のび太と双子の恐竜の出会いから始まる物語を、長編映画シリーズ第1作「映画ドラえもん のび太の恐竜」(1980)とは異なるオリジナルストーリーで描く。ある時、恐竜博の化石発掘体験で化石を見つけたのび太は、それを恐竜のたまごだと信じ、ドラえもんひみつ道具「タイムふろしき」で化石を元の状態に戻す。するとそこから、新種の双子の恐竜が生まれる。2匹をキューとミューと名づけて育てるのび太だったが、やがて限界がきてしまい、2匹を元の時代に返すことに。ドラえもんや仲間たちとともに6600万年前の世界へと旅立ったのび太は、キューとミューの仲間を探す中で謎の島にたどり着き……。
(映画.comより)

例年は春休み映画として三月に公開されるドラえもん映画。
ご存知の様に今年はコロナの影響により、当初の公開予定日直前に公開延期を発表し、ようやく8月7日に公開となりました。
しかし、これが結果的に良かったなと感じる点がありまして、まずは8月7日はのび太の誕生日。
1980年の『のび太の恐竜』を皮切りにドラえもん映画では一貫して「のび太の~」と冠して製作され続けてきました。
事実、ある時はのび太の成長譚ある時はのび太と誰かの友情物語にのび太と仲間達の冒険譚といった様にのび太を主人公に据えているのが一連のドラえもん映画なんですよね。
連絡開始50年、映画一作目公開から40年という節目の年にのび太の誕生日に公開というのは特別な意味合いも生まれてきそうじゃないですか。
それとドラえもんの映画って春に公開されても季節的には夏休みという設定が多いですよね。
3月にセミの声を聞くというのはドラえもん映画の風物詩的な感もありますが、今年は真夏に公開とあり、より季節感が生まれたのではないかなんて思ってます。

そしてそんな今年のドラえもん映画。
はじめは「俺みたいなオッサンが本来子供向けであるドラえもん映画を見てあ~だこ~だと語るのは野暮ではないか、まぁ毎年やってる事だし今年もやりますか」ぐらいの気持ちで鑑賞に臨んだのですが、結果から言うと

控え目に言って最高!


でしたかね。更に言えば近年のドラえもん映画史上最高傑作でしたかね。
特に僕の世代なんかは大山のぶ代さんのドラえもんで育ってきてます。
水田わさびさんのドラえもんも悪くはないけど、世代的な先入観もあってどうしても大山のぶ代さん時代を支持してしまいがちなのですが、本作に関しては水田わさびドラえもんに変わり、15年にして代表作が生まれたのではないかと熱く感動したわけですよ。

二年振りに川村元気が製作に関わり、これまでになかった手法が取られ、新しいドラえもん像を確立した点がありまして、そこをまず拾っていきますね。

タイムマシンの描き方が印象的。
というのが、これまでのタイムマシンてのび太の部屋の机の引き出しに入り込んでお馴染みのタイムマシンに乗り込み、次のシーンでは目的の時代に到着ま、これが我々がイメージするタイムマシンじゃないですか。
ところが本作では時空移動中に会話するシーンが登場。
「ねぇ、ドラえもん今どの辺りまで来てるの?」
「エジプトで高度な文明が栄えた4000年前だよ」みたいなね(笑)
さながら車、鉄道、飛行機等で我々が普通にしそうな会話をタイムマシンでやる事により、見ている人に分かりやすく印象付けをさせてるんですよね。

それからドラえもん映画と言えばレギュラー放送ののび太達の日常のほのぼの系と違い、その設定設定で悪役が登場し、そういった連中の野望を食い止める為にドラえもんの秘密道具を使って戦うというのがお馴染みの展開でしたが、今回そのテの悪役が登場しないんですよ。
じゃあ何と戦うの?と言えばですが、はっきり言います。
これ、ディザスタームービーです。
自然災害の脅威がドラえもん達の前に立ちはだかるんですよ。
これまでなかったパターンじゃないでしょうか。

そして本作最大のハイライトといえばキューとミューなんですよ。
のび太が育てる赤ん坊の恐竜なんですが、これが何とも可愛いんですよ!
で、そつなく事をこなせるミューと不器用なキュー。
このキューに感情移入しちゃうんですよね。
どんくさくて仲間達の所に戻ろうとしてもいじめられてしまう。
このシーン見てて辛くなるんですが、だけどここからのキューの姿なんですよ。
不器用でどんくさいんだけど何とか自分の殻を破る為に奮闘する。
そしてそこには自分の姿と重ねつつも寄り添うのび太が居る。
のび太とキューの姿が涙なしでは見ていられないんですよ。
そして劇場で僕は思いました。
「俺こういうのに弱ぇんだよ、どうしてくれんだよ!」と涙ボロボロ流しておりました。

で、ラストここでも泣ける!
でもこのラストさらっとしてるから良いんですよ。
泣かせよう泣かせようという意図的な演出はなく、あくまで自然な流れ。
だけど見ている人は確実に落涙してるというね。
僕が好きな展開ですね。

で、そんな感動的な場面を盛り上げたのがミスチルの主題歌『Birthday』と挿入歌の『君と重ねたモノローグ』でした。
歌詞の内容とかなりリンクし、見ている人の感情に強く訴えかけてくる様。
正直、自分のラジオ番組でこれらの楽曲をオンエアした時は良い曲だなとは思ってもそれ以上の感情までは生まれませんでしたが、映画を観た上で曲を聴くとより強く感情を揺り動かされる。
以前『ONE PIECE STRONG WORLD』の時にも思いましたが、桜井さんのライティングってただアニメのタイアップがついたから作りましたという感じではなく、その作品の世界観を徹底的に理解をした上で、楽曲を作ってますよね。
だからこそ映画を見ている人も「あ~、桜井さんよくわかってる~」なんて気にさせてくれるんだよな。
そして40周年記念作の目玉は主題歌・ミスチルだけではなく、木村拓哉参加というところでしょうが、こちらも雰囲気がありましたね。
よくドラマや映画だとキムタクが検事をやってるとかキムタクがピアニストをやってるみたいな役ではなく、この職業をキムタクがやったら的な語られ方をされがちですが、落ち着いた役柄で存在感を放っていましたね。
さすがキムタクともなれば声だけでの風格もあるのだなと感じた次第です。

とにかく今回は個人的にはかなり満足感に満ちた内容でした!
是非親子でご覧下さい!
そして僕みたいな大人の一人鑑賞としてはレイトショーなんて如何でしょう?
近年は子供向けとされるコンテンツでも大人のニーズに応える為、レイトショーでも上映されてます。
誰に気兼ねもなく童心に帰ってドラえもんを楽しんでみませんか?