きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

映画ドラえもん のび太の月面探査記

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国民的アニメ「ドラえもん」の長編劇場版シリーズ39作目。直木賞受賞作「鍵のない夢を見る」、ドラえもんひみつ道具を各章のタイトルに起用した「凍りのくじら」などで知られる人気作家の辻村深月が、映画脚本に初挑戦し、月面を舞台にドラえもんのび太たちの冒険を描いた。月面探査機がとらえた白い影がニュースとなり、それを「月のウサギだ」と主張したのび太は、周囲から笑われてしまう。そこで、ドラえもんひみつ道具「異説クラブメンバーズバッジ」を使い、月の裏側にウサギ王国を作ることにしたのび太。そんなある日、不思議な転校生の少年ルカが現れ、のび太たちと一緒にウサギ王国に行くことになるのだが……。監督は「映画ドラえもん」シリーズを手がけるのは3作目となる八鍬新之介。ゲスト声優に広瀬アリス柳楽優弥吉田鋼太郎ら。
(映画.comより)

毎年恒例・春の『ドラえもん』映画おひとり様鑑賞~!!
でもね、去年も書いたけど以前に比べて増えてきましたよ、大人お一人客。
というのも年々洗練されてきてるなと思うんですよ、内容が。
興行収入もここ数年右肩上がりを続け、去年の『のび太の宝島』は遂に興収50億円を突破しましたからね。
年間ベストテンの常連としてすっかり定着した感があります。
ただ、個人的な不満としてはありとあらゆる媒体での映画レビューなんかを見るのですが、「もっとみんなドラえもん語ろ」って思っちゃうんですよ。
ジブリやディズニー、イルミネーションなんかはがっつり語られるのに、ですよ。

そこが所詮子供向けという評価なんでしょうね。

ならば、というわけではワタクシが語らせて頂きます。
去年の『のび太の宝島』については私は川村元気脚本による冒険モノがわくわくさせ、大人も楽しませてくれる作品。
それでいてともすれば人間の誰もが持ち得る行き過ぎた暴走への警鐘も込めた作品であると評しました。

海洋アドベンチャーであった前作に対し、今作はSFベースで、普遍的なテーマを打ち出していく。
今作の主題として、まずは想像力の偉大さについて。
月にはウサギが居て、餅つきをしている。

子供の頃に聞いた夢のある創作話ですね。
でも、そこから想像していけばその可能性は無限大に広がっていく。
それを具現化したのが本作の世界です。
実際、ドラえもんも想像力の素晴らしさを訴えるシーンが登場してきます。

そしてもうひとつは友情です。
「勇気・友情・努力」という某少年漫画雑誌を思い出す様なフレーズが頭に浮かんできますが、友情の形だって色々あります。
その友情という普遍的なテーマに踏み込んで作中ではその在り方を示していく。
当然、対象は子供ですから見ている少年・少女達へのメッセージとしてドラえもんのび太らが展開するストーリーの中で見せていきます。


春休みに子供達に是非見てもらいたい様な教育的視点からも非常に推薦したい作品です。


しかし、ここからはあくまで個人的な意見です。
オッサン一人客の愚痴として捕らえて頂ければ幸いですが、実を言うと去年の『のび太の宝島』に比べると物足りないという感が否めなかったです。
もう少し言えば『宝島』が万人向けの作品であったのに対し、『月面探査記』は好き嫌いがはっきり別れるかなと感じました。
『宝島』は終始飽きさせない作り、更にテンポも良かったし、伏線の張り方からの帰着点も非常に良かった。
クイズ鳥の存在もユニークだったし、敵キャラの持つ悲哀そこから見ている人へ投げ掛けるメッセージ性もストレートに刺さるものでした。
しかし、この『月面探査記』に関して言えばまずは既視感たっぷりで過去の良作の良い所を繋いでいるだけの様に感じて少々疲れてしまったというのが本音です。
いや、確かに悪くはないんだけど、去年の様なワクワク感に欠けるかなぁ。
更に言えば今作は静と動の差が悪い方に際立ってしまった感が否めないです。
良く言えばメリハリがついてる。
悪く言えば面白い所とつまらない点の落差が大きい。
ま、そんな所も好き嫌いが別れる所以でもありますな。
それからこれも好みの問題かと思いますが、主題歌について。
去年の星野源の『ドラえもん』はあのキャッチーさが作品とも見事にマッチしていて、新たなドラえもんアンセムが生まれた感がありましたが、今年の主題歌。
いや、平井大さんの『THE GIFT』は良い曲だとは思いますが、去年の様なインパクトに欠けるかなぁ。
強調して言いますが、曲は良いですよ。

なんて事を書き連ねていてある事に気付きました。
もしや、これはスルメタイプかな?と。
音楽でもあるでしょ。
アルバムを一回聴いただけでは魅力に気づけないけど、何度か聴く内にしっくり来るという。
つまり、今年の『ドラえもん』。
二度・三度と見て新たな発見を見つけ出すうちに段々良く思えてくる作品なのかなと。
なので余裕があれば何度か見た方が良いのかもしれませんね。


以上、長年『ドラえもん』映画を見続けたオッサンの雑記でした。
それ故の厳しい見方だったと思います。


しかし、改めてお伝えします。
お子さんが見る上では何の問題もありません。
きっと楽しんで見る事でしょうし、むしろ見て欲しい春休み作品です。

是非、お子さんを連れて劇場でご鑑賞して下さい。