きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

映像研には手を出すな!

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アニメ制作を志す女子高生3人組の青春を描き、2020年1月からは湯浅政明監督によるテレビアニメ版もNHKで放送された大童澄瞳の同名コミックを、人気アイドルグループ「乃木坂46」の齋藤飛鳥山下美月梅澤美波の共演で実写映画化。湖に面した芝浜高校。人見知りだが監督としてすぐれた素質をもつ浅草みどり、カリスマ読者モデルでアニメーターの水崎ツバメ、金もうけが好きなプロデューサー気質の金森さやかは、「映像研究同好会」を結成し、自分たちが思い描く“最強の世界”を描くためアニメーション制作を開始する。「アニメは設定が命!」が信条の主人公・浅草みどりを齋藤、俳優である両親に反対されながらもアニメーターを目指すお嬢様・水崎ツバメを山下、2人の才能をまとめ、管理し、金もうけをしようとするプロデューサータイプの金森さやかを梅澤が演じる。そのほか、小西桜子、福本莉子桜田ひより浜辺美波ら人気の若手女優も共演する。監督は「乃木坂46」とは映画「あさひなぐ」でもタッグを組んだ英勉
(映画.comより)

当初見る予定のなかった映画。
そもそもこの映画が公開された9月25日は『キングスマン』の最新作が公開予定で、同作が大好きな僕としてはもちろんこちらを見る予定でした。
しかし、ご存知の様に公開延期となってしまい、はてさて何を見るやら?と思いあぐねた結果、同作を見たという次第です。
でもそういうスタンスで見る映画って意外と良作に巡り会える事が多く、去年の『賭ケグルイ』とか『任侠学園』が個人的に当たりだったのは各作品紹介時にお伝えしました。
で、この『映像研には手を出すな!』はどうかと言うとやはり僕の映画への嗅覚を信じて良かったなと自賛しておりまして、つまりは…

大正解でした!

そもそも本作は先にアニメ、ドラマで展開されたものの劇場版。
となるとやはり、原作やアニメ・ドラマをチェックした方が良いのか?と思われそうですが、全然問題ありません。
何なら劇中において設定の説明等もご丁寧にしてくれますので劇場版を初めて見た人にも非常に優しいです。

さて、2008年に『ハンサムスーツ』でデビューするや宇多丸氏に徹底的にこき下ろされ、以来数々の問題作がコアな映画ファンから冷ややかな目線を浴びせられてきたのが本作でメガホンを撮った英勉監督。
確かに安易な青春映画に走りがちな傾向はありますし、映画の評価として「あれ?」と思わせる作品も少なくありません。
ただ、個人的にはトリッキーなコメディ映画でこそ手腕が光る監督だと思ってまして、前述の『ハンサムスーツ』も決して嫌いではありませんし、最大のヒット作である『ヒロイン失格』に関してはスイーツと揶揄されていた青春恋愛映画にかなりぶっ飛んだバイアスを持ち込み、私は好きな作品です。

そんな英監督が2017年の『あさひなぐ』以来の乃木坂メンバーをキャスティングしたのが本作。

実は私ですが、坂道グループにはトント疎くてメインにキャスティングされた三人についても本作で初めて知ったという次第。
そんなヤツがどうこう語るのは気が引けるのですが、僕はアイドルファンではなく映画ファンです。
その映画ファンの僕がどの様に見たかをお話しするという点だけお伝えしておきますね。

アイドル映画としての最大の落とし穴。
それは当該アイドルのファンにのみ訴求し、それ以外の人が見た場合の疎外感です。
よくありがちなんですが、映画の場合見る目的って誰が出てるか等キャスト以外の部分もかなり大きいと思います。
あらすじを見てストーリーが面白そうとか予告編を断片的に見て興味を持つ或いはシネコンに置かれているチラシとか貼られているポスターを見て惹かれるなんて事もあります。
本作の場合、実は僕はポスターがきっかけでした。
何となく僕好みかな~くらいの軽い動機そこに前述の様に『キングスマン』公開延期で鑑賞作品の選択肢が限られたからというところですね。
自分も含めてこのテの鑑賞動機の場合、キャストがどうこうではないんですよね。
作品そのものに興味を持つって事ですから。
で、アイドル映画に出演するアイドルの最大のプロモーションチャンスってそこだとも思ってまして、それまで知らなかったとか興味がなかったという人の目にも触れるわけですから。
そこで内容が良ければ彼女達の評価も大きく変わるわけですよね。
その点で本作の齋藤飛鳥さん・山下美月さん・梅澤美波さんの演技は凄い良かった!
それぞれのキャラクターを見事に自分のものにされており、この映画を徹底的に面白くさせてくれていました。
この映画ですが、浜辺美波さん・福本莉子さんという実写版『思い、思われ、ふり、ふられ』にも出ている二人の他桜田ひよりさん等若手の実力派も名を連ねているんですよね。
例えば彼女達をメインに据えても十分以上に機能するわけじゃないですか。
ともすればアイドル映画という点に足が重くなる人も気軽に見る機会があるかもしれないし、興行的にもそちらの方が有利かもしれない。
だけどそこではなく乃木坂の三人をメインに据えた辺りにこの映画の肝と言える様な気がするんですよ。
それまでアイドルという物に距離を置いた人達へ作品的な面白さに加え、アイドル舐めるなとばかりに繰り広げる彼女達の演技に見る目が変わるんじゃないかなと。
少なくとも僕は引き込まれました。

で、こうした映画の世界観を見事に構築した英監督の手腕も素晴らしかったですね!
賭ケグルイ』なんかもそうでしたが、高校という本来青春を謳歌するその舞台に奇想天外な設定を持ち込み、作品世界を作り上げるという事に関しては英監督の右に出る人は居ないのではないでしょうか。
尚、2021年にはその『賭ケグルイ』の続編の公開が控えています。
前作が大好きな僕としてはこちらも大変楽しみです!
話しを『映像研』に戻しますが、アイドル映画とたかをくくってはいけない最高に楽しめるエンタメ作品です!
是非劇場でご覧下さい!