きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

名探偵コナン 黒鉄の魚影

大ヒットアニメ「名探偵コナン」の劇場版シリーズ26作目。
世界中の警察が持つ防犯カメラをつなぐ海洋施設「パシフィック・ブイ」が東京・八丈島近海に建設され、本格稼働に向けて世界各国のエンジニアが集結。顔認証システムを応用した、ある新技術のテストが行われていた。一方、コナンたち少年探偵団は、園子の招待で八丈島にホエールウォッチングに来ていた。するとコナンのもとへ沖矢昴(赤井秀一)から、ユーロポールの職員が、ドイツで黒づくめの組織のジンに殺害されたという知らせが入る。不穏に思ったコナンはパシフィック・ブイに潜入するが、そこでひとりの女性エンジニアが黒ずくめの組織に誘拐される事件が発生。そして、八丈島に宿泊していた灰原のもとにも黒い影が忍び寄る。
物語の舞台となるインターポールの海洋施設「パシフィック・ブイ」の局長・牧野洋輔役で沢村一樹がゲスト声優出演。監督は「名探偵コナン ゼロの執行人」を手がけた立川譲。(映画.comより)

今年もやって来ました。恒例の『劇場版名探偵コナン』シリーズですね。今やGWのキラーコンテンツと化した感がありますが、僕も毎年楽しみにしています。兼ねてからアナウンスされていた様に今年は灰原哀をフォーカスする内容という事だけで1月にはTVシリーズの総集編が劇場で公開され、こちらも話題となりました。原作やアニメは随分と離れて久しいけど劇場版は欠かさず見ているそんなにわかオブにわかのきんこんは先週木曜日(4月20日)エフエムいずもでの生放送を終え、T-ジョイ出雲でのレイトショーで鑑賞して参りました。

さて、見終わった上での率直な感想をまずお伝えすると興行収入100億円というこれまで到達しそうでしなかった目標へ向け、いよいよ本気モードに入ったなというところ。

例えば『トップガン マーヴェリック』例えば『ONE PIECE FILM RED』例えば『THE FIRST SLAM DUNK』。これらの作品を私なりに表現するならば大人のお子様ランチというところ。それはすっかり忘れていた様な子供の頃に感じたワクワク感や興奮を思い出させてくれたし、そこには幼少時にレストランでお子様ランチを頼んでテーブルに届けられるまでに感じた高揚感に通じるものがあるし、ハンバーグやエビフライにスパゲティといった子供が大好きなオカズ要素が各作品には散りばめられていたという事です。それは劇的なストーリーの運びであったりここぞという時に流れる音楽の起用であったりまさに大好物なラインナップが盛り沢山。更には作品から溢れるお祭りムードが大ヒットを煽りに煽ったんだと思います。

そしてこの『劇場版名探偵コナン 黒鉄の魚影』は正にこのお子様ランチ要素がふんだんでして、これまで以上の力の入れ様が感じられました。

監督には立川譲を起用。立川監督といえば、最近だと『BLUE GIANT』を手掛け、ヒットさせていますが、何と言っても『名探偵コナン ゼロの執行人』を興収90億円超と大ヒットさせています。

そんな所からの熱量を感じますが、まずひとつ大きな特徴。これは各キャラクターにそれぞれ大きな見せ場を作っているところ。コナン君はもちろん蘭ちゃんには格闘アクション、眠りの小五郎も健在だし、阿笠博士に至っては見応えあるカーアクションを見せてくれる。もちろんお約束のクイズだってあります。更には赤井と安室、コナンの三つ巴の場面等キャラクターの華やかさを前面に打ち出す等ケレン味たっぷりのキャラ祭りなんですよね。そして灰原哀の謎に迫りつつも彼女の女性としての繊細さを見せていましたね。

クールで理知的、コナン君の探偵としての良きパートナー。少年探偵団の面々を常に俯瞰的に捉えるお姉さん的な役回りをするそんなイメージが強いです。しかし、今作においては彼女の感情を刺激する様な出来事が重なり遂には泣きの表情まで見せていくんですよね。これまでの彼女のイメージからかけ離れた姿ではありますが、この泣きの灰原の見せ方がホントにうまい。更には過去の彼女のエピソードを写す事によって灰原哀シェリー、宮野志保という3つの名を持つこの女性の姿を捉えていきます。

ただ、これはあくまで私見ですが、コナン君のヒロインといえば蘭ちゃんだろという人は今回複雑かも?詳しくは言えないですが、コナン君と灰原がまさかの…な展開に?…なんですよね。

また、今回特徴的だったのがこれまでの様に連続殺人ではないんですよね。もちろん事件は起きるし、犯人だっている。だけどこれまで見てきた作品の様に人が次から次へと…みたいな感じではなくむしろ組織の闇であったり、これまでと違う作風になっていた印象です。

以上非常に見応えのある内容になっていたし、大人お子様ランチとしてのボリュームは十分保証はします!シリーズ初の興収100億円超は現実的な話しかなと思います。

ただ、一方で個人的にはなんですが、映画としてのテーマがあれば尚良かったかなと思います。『ドラえもん』にしろ『クレヨンしんちゃん』にしろ作品全体のテーマとか子供達に向けたメッセージや問題意識の提唱といったものが含まれるじゃないですか?今やコナンを支える主力層が大人になってる感は確かにありますが、子供達に向けてGWに公開されているのもまた事実でして、別に重くする必要はないですが、今作の場合個人の特定というテーマになりそうなシステムが存在するわけですから、そこから話しを広げても良かった様な気はします。

更には冒頭で設定を紹介するくだりは今作にももちろんありますが、内容としてはコアなファン向けの感は強かったですかね。

個人的には大満足ではありますが、初見だとハードルが少し高いかもしれません。

とは言え、興収100億のエネルギーは作品全体から発しられていました。この祭りに乗らない手はないですゾ!

是非劇場でご覧下さい!