きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

東京リベンジャーズ 血のハロウィン編 運命

和久井健の人気コミックを北村匠海主演で実写映画化した大ヒット作「東京リベンジャーズ」の続編2部作の第1部。
命を救えたはずのヒナタが、凶悪化した東京卍會によってタケミチの目の前で再び殺されてしまった。かつてマイキー、ドラケン、場地、三ツ谷、パーちん、一虎の6人が結成した東京卍會。しかしある悲しい事件が起こり、彼らの固い絆は引き裂かれてしまう。東京卍會と敵対する芭流覇羅(バルハラ)の幹部になった一虎と、敵側に寝返った場地。タケミチはマイキーの親友でもある場地を東京卍會に連れ戻すことがヒナタを救う鍵だと考える。
主演の北村やマイキー役の吉沢亮、ドラケン役の山田裕貴ら前作のキャストに加え、場地役で永山絢斗、一虎役で村上虹郎、タケミチの相棒となる千冬役で高杉真宙が新たに参加。第1作に続いて英勉が監督、高橋泉が脚本を手がけた。(映画・comより)

ヤンキー物。古くは「ビーバップハイスクール」に「ろくでなしBLUES」、「湘南爆走族」、「今日から俺は!」、「クローズ」映画で見ても「ごくせん」に「クローズ」、「ハイロー」等等。はなわさんの歌じゃないけど喧嘩が強い奴はモテる故にヤンキーは女性には困らなかったそんな時代があったんですよ。

しかし、時代は流れヤンキーは廃れ今や過去の物となってしまいました。そんな中で「今日から俺は!」は80年代のツッパリと呼ばれたヤンキーやそのカルチャーをどこかパロディ=笑いに変え、ゴリゴリのコメディとして大ヒットとなりました。

そしてこの「東京リベンジャーズ」ですよ。元ヤンの作者が今ドキヤンキー漫画なんて流行らねぇだろうと頭を悩まされていたところ、編集担当者からのならばタイムリープ物にしては?という提案を受け、書き上げたところ大ヒット。アニメも好評の上、2021年に公開となった実写映画は興行収入40億円を超えその年の邦画実写No1の大ヒットとなりました。

この好評を受けての続編が今作となります。

僕はこの「東リベ」大ヒットの要因として挙げたいポイントがありまして、ヤンキー×タイムリープという手法の斬新さもさる事ながら何だかんだで熱いともすればクサイ様な男同士の友情や絆、仲間を思う等の普遍的なテーマ、エンタメとして見た場合の拳と拳のぶつけ合い、タケミチというヤンキーだけど少し弱腰で青臭い彼の目線とそこから見た東卍のメンバーの彼とは異なる生き様や佇まいに惹きつけるものがあるんじゃないかなと思ってます。

まず、タケミチです。現在のタケミチは27歳フリーターの童貞。ヤンキー時代の高校生の時が人生の全盛期。人生唯一の彼女・ヒナタが居た頃でもあるんですよ。ヤンキーはモテるというはなわさんの歌の真逆人生を歩んでるわけですよね。だけど元カノのヒナタが死ぬという事更に過去にタイムリープ出来るという点がストーリーを劇的に面白くしているんですよね。

そして前作では過去から運命を変える事でヒナタの命を救う事が出来た…だけど今作では物語の冒頭からこれが覆ってしまう。

そして再び現在と過去を行き来し、未来を変える為に奔走する事になります。

ここまでのストーリーが劇的だからこそ惹きつけられる。27歳のタケミチとヒナタがすごいぎこちないんですよ。そのぎこちなさから生まれるタケミチの天然ぶりが笑いを誘うし、ほのぼのする。しかし、ヒナタから過去にまつわる意外な事実を知らされタケミチが狼狽…からのヒナタに降りかかる悲劇。

サラッと伝えましたけど、この流れが非常に起伏に富んでいて目が離せなくなる。序盤に山場があるとその後に失速なんてのは色んな映画を見るとままあるものですが、今作の場合これがひたすら続くんですよね。東卍結成からマイキーと場地、一虎の間に生まれる因縁を写す場面だってとにかく悲劇的で感情を刺激する。再びヒナタを救う為に奔走するタケミチの目に映る劇的な展開が完全に見ている側の目線のそれである為、タケミチという案内人が東卍の複雑な人間模様を伝えてくれる様だし、事実タケミチにはその役割がある。

だけどこれがホントに良い所で続編に持ち越されるんですよね。

あ〜、何だよいい所で終わりやがって〜

というこれが僕の率直な感想です。

さて、最後にこの前編・後編の二部作構成について個人的な見解をお伝えします。この手法って00年代に「デスノート」が取り入れてからなんですよね。以来、10年代半ばに至るまで割とよく見られたし、近年でも「るろうに剣心」もその手法でしたよね。ヒットが見込まれるし、一本の映画の尺に収まり切らなかった等色んな事情はあるんでしょうが、今作の場合90分と比較的短めなんですよね。最近だと洋画が中心ではありますが、180分強の大作も頻繁に作られてるわけですし、「東リベ」に関しても三時間くらいの大作として一本にまとめても良かったんじゃないかななんて思ってます。現在でも大人気の「血のハロウィン編」を映画にする辺りでその気概というのはわかるんですけどね。もっともこれは続編がどれくらいの尺で公開されるかという所でもありますが。まぁ、なんだかんだ言いながら続編も見に行くんだろうなぁ。

という事で「東京リベンジャーズ 血のハロウィン編 運命」のレビューはこれにて終了。後編は今年の夏にお伝えする予定です。