きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

わたしの幸せな結婚

顎木あくみによる大ヒット和風ファンタジー小説を、映画単独初主演となる「Snow Man」の目黒蓮と映画版「東京リベンジャーズ」の今田美桜共演で映画化。
明治・大正期を思わせる架空の時代。ある宿命を持つ家系に生まれた斎森美世は実母を早くに亡くし、継母と義妹に虐げられながら暮らしていた。そんなある日、彼女は名家の当主である久堂清霞のもとへ嫁入りを命じられる。類まれな美貌を持つ清霞は冷酷で無慈悲な性格で知られ、これまでにも多くの婚約者候補が逃げ出したと噂されていた。美世も初対面ではつらく当たられるが、辛抱強く接するうちに彼が評判通りの人物ではないことに気づき、2人は次第に心を通わせていく。
コーヒーが冷めないうちに」の塚原あゆ子が監督を務め、「陽だまりの彼女」の菅野友恵が脚本を担当。(映画・comより)

番組始まって以来かなり珍しいタイプの映画を扱います。おおよそ40代男性でこの映画を見る人も少ない事でしょう。

ジャニーズ主演、タイトルやポスターから受けるイメージ等等男性が見るにはハードルが高いと思うのは無理もありません。

もちろん私もそうでして、当初は鑑賞候補にはない作品でした。しかし、興行成績もかなり好調でここまでくればいわゆるスイーツ映画好きな女子中高生だけが見に行ってるわけではないだろう。どんな映画か気になるという天邪鬼なりの好奇心から先週の水曜日(4月12日)松江東宝5にて見て参りました。何気に松江は久しぶりでして、これが1月に「映画 イチケイのカラス」以来になります。

男性は男性らしく女性は女性らしくという元来の性に対する概念は大きく変わってきています。それは昨今のディズニー映画然り「スーパーマリオ」の映画のトレーラーを見ても武器を手にした勇ましいピーチ姫の姿が見れたりと映画の世界でも顕著です。

また、結婚に対する価値観も大きく変わってきています。適齢期になれば婚活をして良きパートナーと巡り合って…なんて概念だってここ近年は著しく変化があり、結婚をしない選択肢だって容認される様になっています。

しかし、今作においては日本の明治、大正を思わせる架空の時代設定でここでは見事なまでに旧来の封建的な男女の様式が映し出されています。

男女の差がはっきりと表現されていますし、それに対して異を唱える者等居ません。

そして古典的だけど王道なシンデレラストーリー。貧くまた因縁のある出自の女性が継母と義妹に虐められながらも良家に嫁ぎ男性からの愛を受け、幸せを掴んでいくというもの。非常にシンプル、わかりやすい。更には海外だと旧来的な価値観で描かれるその作風だと今の時代だとなかなか受け入れられなくなってる中、日本では大ヒットとなっている。

これは日本の文化的水準が低い云々の話しではなく、何だかんだで前半に悲惨な面を見せてからのシンデレラストーリーだとまだまだ受け入れられやすいという事かもしれません。

また、現代を舞台にした純愛を扱った作風ははっきり言って出尽くした感があり、数年前の様なヒットが生まれにくい背景もある為、こういった作風に目をつけたのは正解かもしれませんね。

更に今作で特徴的だったのがただの惚れた腫れたの恋愛映画ではなかった点。まさかの少年漫画的な特殊能力バトルが盛り込まれていた点。

これは予備知識なしで見たからこその驚きがありましたが、途中までは前述の様なラブストーリー中心なのですが、中盤以降このバトル展開に変わっていくんですよ。それもCGをふんだんに扱い、なかなかの迫力。語弊を恐れず言いますが時代が明治・大正っぽい事もあってか「鬼滅の刃」を思わせる様な世界観なんですよね。

更には旧陸軍の〜といった具合にアーミー、ミリタリーな要素も出てきたりと前半のラブストーリーの女子向けな作風から後半は男子的なアプローチへと変化。それで俺は思った。

スイーツ映画だと思ってごめんなさい…と。

なのでタイトルやイメージで敬遠していた男性にも是非見て頂きたいものですね。

ただ、映像的な見せ場はあったし、いわゆるアイドル映画として見た場合の目黒蓮くんや今田美桜ちゃんはよく撮れていたし、作品の世界観は見事に構築されてはいましたが、ストーリーのまとめ方に関してはおざなりとまでは言わないもののもう少し工夫があった方が良かったというのが正直なところ。というのが冒頭で示された今作での設定説明から美世の不遇な境遇からのシンデレラストーリー。そこから件のバトル描写までが非常にスピーディーなんですよ。これってほんとに表現が難しくて良く言えばテンポが良い悪く言えば展開が早すぎてついていけなくなるという問題なんですよね。これは原作から抜粋した部分と尺の調整等が要因だとは思いますが、所見だと理解が出来ずな点もあったし、ラストの結末が果たしてスッキリ出来るものかどうかもわからなかったというのが正直なところです。

ただ、恋愛×特殊能力バトルという作りは面白かったし、この難しい作風の映像化に取り組みヒットさせている辺りはすごいと思うし、想像していたよりは映画としてよく出来ていたなと思います。

是非劇場でご覧下さい!