きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

かぐや様は告らせたい 天才たちの恋愛頭脳戦 ファイナル

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テレビアニメでも人気の赤坂アカによる同名ラブコメ漫画を実写映画化した「かぐや様は告らせたい 天才たちの恋愛頭脳戦」の続編。将来を嘱望されるエリートたちが通う私立秀知院学園で、史上最も白熱する戦いとなった「第68期生徒会選挙」。引き続き生徒会長に白銀御幸、副会長に四宮かぐやが就任し、会計監査の伊井野ミコを新メンバーに迎えて第68期生徒会が始動する。互いに惹かれ合いながらも「自分から告白したほうが負けである」という呪縛からいまだに逃れられない白銀とかぐやは、神聖なる生徒会室で“いかにして相手に告白させるか”の恋愛バトルを繰り広げるが……。前作に続いて会長・白銀御行を「King&Prince」の平野紫耀、副会長・四宮かぐやを橋本環奈が演じ、会計監査・伊井野ミコ役で「日向坂46」の影山優佳が映画初出演。さらに、アニメ版「かぐや様は告らせたい 天才たちの恋愛頭脳戦」で子安つばめ役の声優を務めた福原遥が、実写の今作にも同役で出演する。

(映画.comより)

『ワイスピ』、『スースク』、『孤狼の血』と男性向け映画が続きましたが、今回は打って変わっての女子ターゲットの『かぐや様は告らせたい』の続編。改めてこのコーナー、幅が広過ぎます(笑)

思えば二年前。まさに今の時期、夏から秋にかけてこれといった大きな話題作もない中、消去法で選んだ映画それが『かぐや様は告らせたい 天才たちの恋愛頭脳戦』でした。全編テンポの良いギャグで展開され、それなりに楽しんだ反面、それが行き過ぎた結果「映画としてどうなの?」とか「月曜ドラマランドのノリ」とか辛辣なコメントしたものでした。当時の番組ディレクターからも「かぐや様は告らせたい」とかチョイスが間違ってるわ!なんて言われたものでした。ただ、興行的には成功を収め、興行収入は22億円のヒット。それを受けての続編であり、最終作でもある本作。前作同様、限られた選択肢の中から消去法で選び鑑賞して参りました。

まず、率直に言いますね。前作同様、「月曜ドラマランド」とか「ぼくたちのドラマシリーズ」ノリなんですよ、松雪泰子が出てた『白鳥麗子でございます』みたいなね(また言う事が古いな・笑)つまりはテンポも良くて楽しめるんだけど映画としては不向きかなという印象です。

ただ、前作は全体的に味付けの濃いギャグてんこ盛りで後半になるにつれ、疲れが出てしまったのに対して本作ではクドクない!というのが後述しますが、笑いだけでなく、泣き要素も取り入れてきてメリハリをつけた作りになってるんですよ。今年ベスト級の大傑作とはなりませんが、目も当てられない作りだった前作に比べるとかなり良くなっていましたね!

まず、ギャグパート。これは前作同様、本作でもキレッキレです!ハシカンだけに『今日俺』のスケバン京子も出るし、『全裸監督』も出てくる。前作同様に『東京ラブストーリー』に『情熱大陸』も。林家ペーパー夫妻も良い味出してます(笑)正直コアな映画ファン程こういうノリが苦手だと思いますが、僕は嫌いじゃありません(笑)そもそも映画ファン程こういう作品はハナから選択肢にはないか。

で、こんなギャグも楽しめますが、本作最大の見せ場って泣き要素なんですよね。前作がギャグで通してしまった事で残念な内容そして厳しい評価にさらされてしまった反省点なんでしょうか、しかしこれがかなり功奏して映画的感動を生み出してくれました!学園を舞台にしてるからこその体育祭を活かしての場面作り。敢えてのメインをサブキャラにし、彼の物語としてドラマティックに仕上げてきてるんですよ。で、これがまた先月紹介した『クレヨンしんちゃん』に通ずる青春の泥臭さなんですよね。そしてこれこそが河合勇人監督が本作で最も力を入れたシーンだったのではないでしょうか。河合監督の青春スポ根モノと言えば私が大好きな作品『チア⭐︎ダン』ですよ!泥臭いけど清々しく美しい!青春の挫折とそれを乗り越える姿を撮ったら河合監督は日本でもトップクラスではないでしょうかね。このシーンこそが本作で最も良かったと思いますし、河合監督には今後こういう作品をどんどん生み出してほしいなと思いました!

ただ、ここが最大のハイライトではありましたが、その後が持続出来なかった印象です。本作は恋愛映画です。だから当然、恋愛が主になるわけですが、それがどうにも薄味になってしまった感が否めません。中盤の体育祭シーンは名シーンでした!だけどこれが逆に映画全体で見れば皮肉にも足枷になってしまったんですよね。

というのが一人の生徒をフォーカスして体育祭での奮闘を描く。そしてその前後のエピソードが、ドラマチックだからこそ胸を打つ場面とはなったものの、これはあくまでメインエピソードでもなければ、彼はメインキャラではないんですよ。しかし、ここでハードルを上げてしまったんですよ。このハードルを超えるには後半の展開が盛り上がらない事には見る側の満足が得られない。

しかし、メインとなる御幸とかぐやのエピソードが予想の範囲から出ないし、ナレーションが入り過ぎてそれがノイズになってしまうんですよ。それからカラオケのシーン。どうでもいいけど高校生が『め組のひと』であんなに盛り上がるかな(笑)もしかしてあれもネタなの??

でも平野くんとハシカンの二人は良かったですよ!若手の俳優やアイドルの登竜門映画としては恋愛映画かヤンキー映画みたいな印象がありますが、彼の時折見せる冷めた表情なんかはヤンキー映画向きかなと思いました。『東京リベンジャーズ』みたいな作風で彼を見たいなと感じました。

ハシカンはすっかりコメディエンヌとして板についた感がありますが、今後もこういった作風や福田雄一作品では安定のポジションを確立するんでしょうね。そして同じコメディでもタイプの違う三谷幸喜作品にも出てほしいなと。その内出そうだけどね…。

なんて最後は願望を伝えたところで今回はお開きです。

是非劇場でご覧下さい!