きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

映画クレヨンしんちゃん 謎メキ! 花の天カス学園

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人気長寿アニメ「クレヨンしんちゃん」の劇場版29作目。シリーズで初めて学園ミステリーの要素を取り入れ、しんのすけたちが体験入学で訪れたエリート学校で、謎の怪事件に巻き込まれていく姿を描く。風間くんの誘いで全寮制の超エリート校「私立天下統一カスカベ学園」(通称:天カス学園)に1週間、体験入学することになったしんのすけたち。体験入学で良い成績を収めれば正式に入学できると聞いた風間くんは、みんなで一緒に天カス学園に入学することを夢見る。しかし、その風間くんが、お尻に奇妙な噛み跡をつけられた姿で倒れているところを発見される事件が発生。さらには、カスカベ防衛隊で一番のエリートのはずの風間くんが、目を覚ますとおバカになっていた。この事件を解決するため、しんのすけたちは、天カス学園の落ちこぼれ生徒会長・阿月チシオとともに「カスカベ探偵倶楽部」を結成。学園内に残されたメッセージと目撃証言から容疑者が浮かび上がるが……。監督は「クレヨンしんちゃん」のテレビシリーズや劇場版を多数手がける高橋渉。脚本も同じく「クレヨンしんちゃん」シリーズに多く関わる、うえのきみこ。(映画.comより)

毎年恒例の『映画クレヨンしんちゃん』シリーズ。例年であれば4月のゴールデンウィーク前に公開されるのですが、ここ二年は新型コロナの影響により、このルーティンが崩れてしまっています。昨年は9月に公開。そして今年は夏休み中の7月末公開といった具合に公開日の変更を余儀なくされています。今年に関しては同じテレビ朝日系の『ドラえもん』が一年延期を発表した事もあっての夏公開なのかな?なんて思っています。

それにしても毎年番組では『クレヨンしんちゃん』を紹介していますが、例年僕の琴線に触れる様な感動的な内容で悪く言った事はありません。それはつまり、子供向けではあっても決して大人を無視しない作り込んだ脚本や演出また昨今の大人からの高い支持を得る高クオリティなアニメーション映画にひけを取らない様な製作手法総じて高いエンターテイメント性の追求という所に帰結するのかなと僕は思っています。

そして今回も期待を胸に8月のファーストデイに松江東宝5で観賞して参りました。日曜日という事もあり、ファミリーの客層が目立つものの、僕みたいな大人のぼっち観賞や友人同士やカップル等前回紹介した『竜とそばかすの姫』同様幅広い客層が劇場に居り、しんちゃん人気の高さを窺わせました。

さて、本作の舞台は学園。そもそも『クレヨンしんちゃん』って幼稚園児のギャグストーリーです。しんちゃん達カスカベのお馴染みメンバー達の学園モノって設定上は考えられないわけじゃないですか?しかし本作においては「あっ、このテがあったか!」とばかりに学園ドラマを作りあげちゃったんですね。

で、しんちゃんの学園モノというかなりぶっ飛んだ内容を作ったわけだからあれやこれやと遊び心満載に詰め込んじゃうんですよ。ボーちゃんは年上の女の子に恋しちゃうし、マサオくんは不良になる。ヤンキーとか恋愛ってこれ学園モノの王道じゃないですか?そしてこれは予告でもよく目にしましたが、風間クンがおバカになってしまう。風間クンと言えば幼稚園児らしからぬ利発的なキャラクターで暴走するしんちゃんのツッコミ役であり、カスカベ防衛隊のリーダー的存在。おバカとは程遠いイメージですが、そんな彼がぶっ壊れてしまうんです(笑)これってかなりはっちゃけた設定ですよね!そして本作最大のチェックポイントとしてはまさかの本格的推理サスペンス要素!ネネちゃんを中心にカスカベ探偵倶楽部が謎解きに挑戦するのですが、これがとにかく見ていて面白い!

ヤンキー、恋愛、ギャグ、サスペンスと詰め込むだけ詰め込んでるんだけどかといって決して散漫になるわけではない。何気に挑戦的だなと感じたのがサスペンス要素ですよ!だって元々は4月公開だったんですよ!同時期にいつもひとつの真実を暴き出す見た目は子供頭脳は大人のあの名探偵シリーズがあるわけじゃないですか!しかし、本作ではそれも当然考慮しつつも推理サスペンスを取り入れたその攻めの姿勢があるわけでして、しかも一定以上のクオリティを展開していた、そこはかなり評価出来るのではないでしょうか?

と、これだけでも十分以上の楽しさは保証出来るのですが、『クレしん』映画最大の見所といえば泣き要素ですよ!思えば去年の『ラクガキングダム』も僕はとにかく胸を打たれまして結局三回程見に行きました!今年は、というと。後半にたたみかけるかの様に展開される怒涛の感動祭り!そして本作のポイントは誰も不幸にならないという点なんですよね。『ONE PIECE』の原作者の尾田栄一郎先生はかつてお話しされてました。それは人間の感情に訴えかけるには誰かの死を見せる事。しかし、敢えてその方法は選択せずに人間達の熱いドラマで感情を揺さぶりたいと。そう、まさにそれなんですよね!本作ではまさに人間の熱さが詰まっていましてそれにより感情が高まっていきます。かつて陸上選手として期待されていた少女がコンプレックスを抱え、走る事をやめていた。しかしそんな彼女がその殻を打ち破り再び走り出した。どんなに人に笑われようと馬鹿にされようと彼女は走る!その姿は何よりも美しく、彼女の想いはスクリーン越しに見ている人にも伝わってくる。「何て美しいんだ!何てカッコいいんだ!」それを見た僕はたまらず目から溢れる涙を拭きながら見入っておりました!オリンピックで数々のアスリートの皆さんに感動をもらった人は多いハズです!中島みゆきの名曲『ファイト!』の歌詞ではありませんが、頑張る人は笑われるだけど笑ってる奴って結局自分では何にも出来ないんだよね!本作の後半に打ち出されたこの普遍的なテーマを目に焼き付け僕は気持ちよく劇場を後にしました!

シリーズ史上の最高傑作かもしれません!是非劇場でご覧下さい!

オススメです!