橋本環奈が、ゆるふわの専門学生で凄腕の殺し屋という2つの顔を持つ主人公を演じたアクションエンタテインメント。小学館「やわらかスピリッツ」連載の浅井蓮次と沢田新による人気コミックを実写映画化した。
ピンク髪のショートボブでゆるふわな雰囲気を漂わせる菊野ケイは、昼は日商簿記検定2級合格を目指して専門学校に通いながら、夜はアルバイトをするという日々を送っている。そのバイトとは指名制の殺し屋で、ケイはそこで指名ナンバーワンの実力を持つ凄腕の殺し屋だった。ある時、学校帰りのバスでビジネスマン風の青年テラノと出会ったケイは、胸が高鳴りながらも、そのままいつも通りバイト先へ。この日の依頼は、巨大なヤクザ組織を仕切る3代目組長から、ある人物を殺してほしいというものだった。そのターゲットとは抗争の渦中にいるヤクザの会計士の男で、その男こそ昼間のバスで出会ったテラノだった。
ケイ役を務める橋本を筆頭に、テラノ役の杉野遥亮、ケイに思いを寄せる同級生・渡辺役の鈴鹿央士ほか、馬場ふみか、森崎ウィン、大東駿介、太田夢莉、佐藤二朗、城田優、高橋克典、岡村隆史ら豪華キャストが個性的なキャラクターたちを演じる。メガホンをとったのは「おっさんずラブ」「極道主夫」などの人気作品を手がけてきた瑠東東一郎。(映画・comより)
いわゆるアイドル映画とされるカテゴリーがあります。人気アイドルを主演に据えての特に映画としての作品性やら芸術性なんてものを排除し、如何に主演のアイドルの魅力を引き出しエンターテイメントとしてしあげていくか。その多くは恋愛映画等で反映されるところなのですが、本作はバイオレンス要素たっぷりのアクション映画というのがポイントです。
『銀魂』や『キングダム』、『かぐや様は告らせたい』といった作品で個性を放ってきたハシカンこと橋本環奈ちゃん単独主演となるとこれまたアクション要素強めだった2016年の『セーラー服と機関銃』以来。果たして出来は?
予告編やポスターのイメージからバイオレンスと謳いつつもかなりキャッチーな作品と想像していました。それは監督の過去作もそうですし、ハシカンを主演に据えるならシリアスなものよりコメディタッチの物が光るだろうなと考えていたからです。
実際そのイメージ通りの内容でした。とにかくコミカルだしテンポも良く、脇を固める豪華俳優陣もそのイメージにピッタリ!目指したモノとしては『キック・アス』であり、ハシカンをクロエ・モレッツに重ねたのではないでしょうか?監督が元々バラエティ畑の人というだけあってナインティナインの岡村さんの活かし方も心得ている様でした。比較対象としては『土竜の唄』が良いのかもしれませんが、三池崇史監督が岡村さんの活かし方に不慣れなのか変な間が生まれたりだとかちぐはぐになりがちなところ、コメディリリーフとしての岡村さんをおいしくいじる共演者とのやり取りが全体的に良いスピード感を与えていたと思います。
で、若手俳優が中心の中、畑は違えどキャリアはベテランの岡村さんがうまく回していた様な気がします。
そしてハシカンのキャラクターが絶妙な可愛さとカッコ良さを生み出していたと思います。特に本作の場合、普段は普通の専門学生一方ではバイトとして殺し屋をしているという二面性が大きなポイントとなってくるわけです。可愛さに偏るとヒットガールとしての個性が薄れ、カッコ良さに傾くと専門学生としての魅力にマイナスだったりする。その辺りのバランスが非常に取れていたなと思います。例えばこれが同年代の人気女優である広瀬すず、永野芽郁、浜辺美波であればどうだろう?もちろん彼女達には彼女達なりの魅力溢れるヒットガール像が見れたのかもしれませんが、可愛さとコミカルさそこにアクションも出来るアクティブさを兼ね備えたハシカンならではの本作における菊野ケイというキャラクターがこの映画で楽しめると思うんですよね。
で、若い女の子が主人公であればロマンス的な事も?…なんてありそうですが、もちろんあるんですよあるんだけどそこに大きな主張がないんですよね。メインとなるのは裏組織の権力闘争やお互いの潰し合いそこに翻弄されるヒットガールのケイというこの軸から大きくブレない。だからそういう意味ではこの映画って可愛い女の子を主人公にしつつも割と男性向けの要素が強いかもしれません。
ただこういっちゃなんだけどもう少しバイオレンス要素強めてもよかったかななんて思うんですよ。PG12指定ではあるもののR15指定にしてそれこそ『孤狼の血』並みに…とまでは言わないまでも『ザ・ファブル』くらいまでは攻める事出来たんじゃないかな?なんて思うんですよ。
なんて言えばアイドル映画なんだからそこまでグロくしなくても…と言われそうですが、いやいやだからこそ。最近は見る方の目も肥えていて既視感ある様なありきたりな描写ではインパクトを感じなくなってるんですよね。ハシカン主演のポップなアイドル映画と思いきや…みたいな意外性があった方が映画そのものにボリュームを与えるんじゃないかな?興行成績の不振ぶりはこんな所にあるのではと厳しい事を言いました。
また、ケイという女の子のバックボーンを深掘りするシーンがあっても良かったのではないでしょうか。日商簿記検定合格して何をしたいのかもわからないし、そもそも何故ヒットガールをしているのかとかその身体能力の高さについてとかこれらが一切明かされないからすごいモヤッとして終わるんですよね。
ただ、何の予備知識もなく楽しめるので比較的ハードルの低い作品だと思います。
是非ご覧下さい!