きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

ザ・ファブル 殺さない殺し屋

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南勝久の人気コミックを岡田准一主演で実写映画化した「ザ・ファブル」のシリーズ第2作。裏社会で誰もが恐れる伝説の殺し屋ファブル。1年間誰も殺さず普通に暮らすようボスから命じられた彼は、素性を隠して佐藤アキラという偽名を使い、相棒ヨウコと兄妹を装って一般人として暮らしている。一見平和に見えるこの街では、表向きはNPO団体「子供たちを危険から守る会」代表だが裏では緻密な計画で若者から金を巻き上げ殺害する危険な男・宇津帆が暗躍していた。かつてファブルに弟を殺された宇津帆は、凄腕の殺し屋・鈴木とともに、復讐を果たすべく動き出す。一方アキラは、過去にファブルが救えなかった車椅子の少女ヒナコと再会するが……。岡田准一木村文乃佐藤浩市ら前作からのキャストに加え、宇津帆役の堤真一、ヒナコ役の平手友梨奈、殺し屋・鈴木役の安藤政信が新たに参加。前作に続き江口カンが監督を務めた。
(映画.comより)

2019年に公開され興収17億円のヒットとなった『ザ・ファブル』。
僕も前作に関してはかなり楽しんだ旨番組でもお話ししました。
とりわけ岡田准一のアクションに向井理福士蒼汰柳楽優弥といったそれまで好青年イメージの強かった俳優陣のアウトローっぷりが見応えあったと評しまして、柳楽優弥さんは翌年つまり去年の『今日俺』でも狡猾で何とも憎たらしい悪役を演じていたのも記憶に新しいところです。
で、そんな『ファブル』の続編が度重なるコロナの影響による延期を経てついに公開となりました!
僕は公開間もない6月20日にMOVIX日吉津にて鑑賞。
午前中の回に入りましたが、結構な客入りでしたね。

で、本作開始と共に早くもファブルのアクションシーンが登場!
無論ファブルはボスから殺し屋でありながら、人を殺す事を禁じられているので過去のシーンです。
ここで早速岡田准一によるキレッキレのアクションが楽しめるわけですが、後にストーリーの重要な局面にも繋がるショッピングモールでのカーアクションは見応え抜群でしたね!
ミッション:インポッシブル』におけるトム・クルーズよろしく息つく間も与えないスリリングなアクション。
「いきなりこんな場面出しちゃっていいんですか~?」
ハイ、いいんです!

というのが前作はあくまでファブルの顔見世興行的な面が強くその為の岡田くんのアクションやコメディパートに比重を置いてた面が強いです。
しかし、本作はアクションやギャグのボリュームは前作のままにドラマパートにも注力し、更に前作で私が見せた唯一の不満も解消してくれていましたが、こちらは後述致します。

まず、ドラマパートです。
本作の核となるのは悪役の堤真一演じる宇津帆と平手友梨奈演じる車椅子の少女・ヒナコです。
そして彼らに共通して描かれるのが復讐です。
とりわけバイオレンスを取り入れた作品だと殺った殺られたの場面が不可避なのですが、当然手をかけられた人には身内がいるわけです。
彼らこそまさにその身内に当たるわけであり、その憎悪が手にかけた者へ向かう時、普段の我々が想像だにしない感情が爆発していきます。
堤真一演じる宇津帆はとことんサイコなヤローで同調出来ない反面彼なりの心情はある。
一方、本作で最もその演技力に感情を揺さぶられた平手友梨奈演じるヒナコの怒りの爆発シーンはあまりに苦しく悲しい感情が伝わってきました。
本作においてのMVPは彼女ではないかな?と思ったし、それは来年の賞レースでも評価されそうな演技でした。
そして堤真一さんも良いんですよ。
表向きはNPO法人「子供たちを危険から守る会」の代表であり、裏では息を吐く様に人を騙し次々と手にかけていくサイコパス
実際の凶悪事件とか調べると多いんですよ。
こういう殺人鬼って。
それを堤さんの怪演によって恐怖を与えてくれます。
そういえば岡田くんと堤さんって『SP』だと上司と部下の関係だったよね?
そんな二人が本作では敵対する同士というのは見所のひとつかもしれませんね。

そして再び岡田くんのアクションに話しを戻しますけど、本作最大のハイライトを忘れてはいけません。
それが団地でのアクションです。
団地という日本に点在する住空間を使いながら縦横無尽に動き回るスリリングなシーン。
工事中の鉄筋の上で格闘したり団地の棟と棟の隙間で揉み合うバトルを盛り込んだり更に団地の住民の様子も写し出す事でリアリティーたっぷり!
ここだけでも一見の価値はあります!

そして前作での唯一の不満。
それが木村文乃演じるヨウコの必要性です。
前作では彼女はほとんど活躍せず、何だったら足を引っ張ってるくらいにすら見えていたのが、本作では大々的にヨウコの見せ場が用意されていたんですね!
俺の声が届いたのかな?…んな事ないか(笑)
安藤雅信演じる殺し屋の鈴木との対決シーン。
鈴木も凄腕の殺し屋。しかし、ひるむ事なく…どころか圧倒的に上回る力で鈴木をねじ伏せる辺りこれまでただのファブルの妹キャラというお飾りに見えた彼女が改めて殺し屋である事を証明してみせたシーンでしたね。
ちなみにファブルとヨウコですが、もはや本当の兄妹にしか見えないくらいのコンビネーションでした!

映画あるあるとして続編がパワーダウンしてしまうというのは往々にしてある事ですが、本作ははっきり言って前作以上のスケールアップを感じました!
強くオススメします!