きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

ヴェノム レット・ゼア・ビー・カーネイジ

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マーベルコミックのダークヒーロー、ヴェノムの活躍を描いたトム・ハーディ主演作「ヴェノム」の続編。圧倒的戦闘力と残虐性を持ち、ヴェノムの大敵となるカーネイジとの戦いを描く。「悪人以外を食べない」という条件でエディの体に寄生した地球外生命体シンビオートのヴェノムは、食欲制限を強いられ不満を抱えながらも、エディとの共同生活をそれなりに楽しんでいた。そんな中、ジャーナリストとして未解決事件の真相を追うエディは、刑務所で死刑囚クレタス・キャサディと再会する。クレタスは猟奇殺人を繰り返したシリアルキラーで、死刑執行が迫っていた。エディに対し異様な興味を示すクレタスは突如として彼の腕に噛み付き、その血液が人間とは異なることに気づく。そして死刑執行の時、クレタスはついにカーネイジへと覚醒する。主人公ヴェノム/エディ役をハーディ、エディの元恋人アン役をミシェル・ウィリアムズが続投で演じ、「スリー・ビルボード」のウッディ・ハレルソンがカーネイジ/クレタス役を演じる。そのほか新キャラクターのシュリーク役で、「007」シリーズのナオミ・ハリスが参加。「モーグリ ジャングルの伝説」など監督としても活躍する俳優アンディ・サーキスがメガホンをとった。(映画・comより)

このところ、すっかり元の興行ペースに戻った感のあるMCU。先月の『エターナルズ』更に年明けには『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』の公開も控えています。

さて、本作はスパイダーマンの天敵であるヴェノムを描いた作品で2018年に大ヒットしたシリーズの二作目。公開を心待ちにしていた作品でした。前作ではヴェノムと身体に憑依するエディの関係性を主体に描いたバディもので私も当時楽しませて頂きました!

そして本作ではすっかり板についた奇妙な共生生活を送る二体のもはやラブ?と言える様なイチャイチャ感を楽しむ内容でございました!いや、もちろんエディには恋人が居る(本作では居たになってますが、触れないでおきますね。)だけどエディとヴェノムはまた違う様なイチャイチャっぷりなんですよ。欲望の赴くまま人を食らいたいヴェノムといち市民として社会生活を送るエディとしてはそんな事は到底許されない。その辺りの抑制とコントロールすらも微笑ましく見えてくるんですよ。だけど、ある事がきっかけでヴェノムはエディから抜け出して…なんて事も。この辺なんかホントにカップルの喧嘩にさえ見えてくるんですよね…。エディとヴェノムの関係って何だろジョジョのスタンド?いや違う。寄生獣?何だか例えようがないのですが、憑依しているからこそ生まれる奇妙だけど楽しいわちゃわちゃ感は間違いなく楽しめるんじゃないかな?と思います。

で、本作のポイントはこのエディだけではないんですよね。ヴィランとなるクレタス・キャシディと彼に憑依するカーネイジ。クレタスは幼少時に祖母と母親を殺害したシリアルキラーであり、死刑囚として収監されておりました。しかし、彼だけではないんですよね。彼の恋人でもある女性死刑囚・フランシス・バリゾンもまたヴィランとしてエディ達の前に立ちはだかります。この二人がまた、キャラクター濃いんですよね。とてつもない悪党なんだけどその連携プレーには目を見張るものがあるし、DCEU作で言えばジョーカーとハーレクインの間柄にも通じるものがある。何だったらこいつらで単独作作れるんじゃないの?と思わせてくれます。で、とにかくグロいシーンのオンパレードでその不謹慎ながらもエンタメ的な爽快感を味わえる描写は好きな人にはハマるんだろうなと思います。「目には目を」というフレーズからアレする辺りなんか『孤狼の血 LEVEL2』のあのシーン思い出した人多いんじゃないかな?

そしてバディモノだからこそのテーマとしては二人でひとつなんですよね。エディはヴェノムとクレタスはカーネイジといった具合に身体はひとつであっても意志は二人分あってそれが互いにぶつかり合う。そこから生まれるモノだってあるし逆に失うモノだってある。それがこの二体のバトルによって描かれていました。で、このバトルシーンがとにかくアツい!

修道院という神聖な場所を舞台にところ狭しのアクションの応酬!爆破もあれば、スタントもとにかく見せてくれる!ここに全てが凝縮されていた様ですね!

そしてこれは私が感じた事なのですが、全編に渡ってとにかくテンポが良い!アクションもさる事ながら、ストーリーもそうだし、ギャグパートだってそう。最近のマーベルにしては珍しく90分ちょっとと上映時間は短めですが、結果的にこれが功を奏したんだと思います。長くしようと思えば出来たのでしょうが、敢えてそれを選択せず、コンパクトに仕上げた分冗長的な場面もなく、非常にスピーディーで飽きさせない作品に仕上がったのではないでしょうか。尚、本作の製作にはエディ役のトム・ハーディ自らが関わったという事ですからキャストならではの視点も取り込んだ意欲作と言えるのかもしれませんね。

更にこれは本作のポイントですが、ピーターパーカーが遂に登場!どの辺りで、とかは言えませんがこれはスパイダーマンシリーズ本編にも繋がっていきそうなので、年明けの新作に対して期待が生まれてくるのも必然的な話し。

と、これが『ヴェノム』新作の全体的な感想。

さて、前作未鑑賞な方は本作を楽しめるのかという点についてお伝えしましょう。いちアクション映画としてはダイナミックな映像もふんだんにありますし、ストーリーも決して難しいものではありません。グロに耐性がない人にはキツいかもしれませんが、そうでなければ問題ないかと思います。しかし、何故エディの身体にヴェノムが入り込んだのかとかエディとは一体何者なのか?そこを知る為には一作目の鑑賞が外せないかなというのが私の印象です。

本作を楽しむ為にも是非前作鑑賞の上、お楽しみ下さい!

オススメです!

ミラベルと魔法だらけの家

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ディズニー・アニメーション・スタジオによる長編アニメーションで、南米コロンビアを舞台に、魔法にあふれた家に暮らす少女ミラベルの活躍を描いたミュージカルファンタジー。コロンビアの奥地にたたずむ、魔法に包まれた不思議な家。そこに暮らすマドリガル家の子どもたちは、ひとりひとりが異なるユニークな「魔法の才能(ギフト)」を家から与えられていた。しかし、そのうちの1人、ミラベルにだけは、何の力も与えられていなかった。力を持たずとも家族の一員として幸せな生活を過ごしていたミラベル。ある時、彼らの住む魔法の家が危険にさらされていることを知った彼女は、家族を救うために立ち上がることを決意する。監督は「ズートピア」のバイロン・ハワードとジャレッド・ブッシュ。ミュージカル「イン・ザ・ハイツ」や「ハミルトン」でトニー賞グラミー賞など数々の賞を受賞しているリン=マニュエル・ミランダが音楽を担当。(映画・comより)

久しぶりのディズニー作品です!思えばこの一年以上に渡り、ディズニー本社が配信に力を入れる様になり、新作であっても大々的な劇場公開に踏み切らない興行が続いておりました。ディズニー系列のマーベル作がここにきて相次いでの新作劇場公開が続き、遂にディズニー本家もといったところ。配信より劇場派の私としては、何とかこの形態、保ってもらいたいと思ってます。

さて、久々に見たディズニーの作品。ここ近年におけるディズニー作品と言えばポップな作風の中にも社会性や多様性を問う様な内容が多かった印象。その最たる作品としては2016年の『ズートピア』が挙げられるでしょう。動物達が暮らす街でのバディモノのエンタメ作品でありながら、人種差別に対するメッセージを内包した素晴らしい映画でした!

そして『ズートピア』を手掛けた監督が本作で描いたのは家族の在り方でした。思えば『リメンバー・ミー』(2018)では南米メキシコを舞台に亡くなったご先祖様と現生に生きる人々との魂の結び付きや心の繋がりをテーマにしていました。その意味では家族の話しではありましたが、本作は特殊な力を持ち、街の人からも一目置かれている一家しかしその中でその能力を有さない少女を主人公にしたストーリーつまりは持たざる者の成長譚と言えるでしょう。

家族・親族全てが魔法を使える中、何故か魔法を扱えない少女・ミラベル。そのコンプレックスを抱えながらも自らの道を切り開き、家族のピンチを救う。まぁ、ベタと言えばベタなんですが、そこは腐ってもディズニー。あのテこのテの仕掛けを用意して楽しませてくれます。例えば家族の能力が一人一人違うんですね。巨大な建物等を動かしたり、花を出してみたり、変装が得意な人もいる。そしてそれぞれのキャラクターに合わせた部屋の内装はユニークでしたね。また、履物が目の前にひょいっと現れて履かせてくれたり床板がカタカタとまるで会話をしている様にミラベルの言葉に反応したり。これを見るだけでもかなりワクワクさせてくれますよ。

また、意地悪そうに見えるおばあちゃんだって過去のエピソードを深掘りしていくと悲劇的な過去があったりとストーリーの組み立てなんかもよく出来ていたなと思います。

そしてミュージカル映画ですから、当然音楽にも力が入っています!南米が舞台ですから、『リメンバー・ミー』に通ずる様な軽快なラテンのサウンドが心弾ませてくれます。日本版の主題歌がナオトインティライミなんですが、こちらもバッチリハマってましたね。

以上の様にトータルバランスが整っていて誰が見ても楽しめる内容かなと思います。

また、マドリガル家とミラベルの立ち位置って例えば実社会に置き換えて見ても誰しもが実感出来る内容かなと思いました。我々人間は当然ながら魔法は使えません。例えばこの魔法を個人の能力と置き換えてみてはどうでしょう?勉強やスポーツの優劣、仕事の能力、学歴や職業、社会的地位等ですね。マドリガル家は街では有名な魔法一家。その中で魔法が扱えないミラベル。つまりは地元では有名なエリート一家。しかし、勉強が出来ずいわゆる落ちこぼれの末っ子という見方ですよね。自分に置き換えた話しをしますが、我が家は祖父の代までは地元では知られた教員家庭。親族も高い学歴のいわゆるエリート層。兄貴も薬剤師をしていて、そんな中での俺ですよ(笑)元々は大の勉強嫌いでスポーツも苦手。両親は僕の教育にかなり頭を抱えたハズですよ。ミラベルの場合は家庭内でもかなり浮いた存在。「あなたは何もしなくていいのよ」なんて言われたりするんだけどこれって傷つくんだよね。「自分だって役に立ちたい」「認められたい!」って思うんだけどそれがかなわなかったりする。でも、最終的な話しをすると必要ない人間なんて居なくて必ず誰もが持ってる力がある。それを活かす環境に巡り会えれば誰だって輝けるんだって事なんですよ。ミラベルだってそう。魔法は使えずとも家族を危機から救い、そして家族をひとつにしたのは他ならぬ彼女の行動あってこそなんですよね。今回もまた、肯定的なメッセージが込められていて非常に深い内容だったと思います。

最後に言うならば全体的にはうまくまとまっていて良かったんだけど、『ズートピア』の時に感じた様な感動や興奮には及ばなかったかなというのが個人的な印象としてはあります。こう言っちゃなんですが、意外性に乏しく無難なディズニー作品のひとつで終わってしまった感が否めません。ストーリーにもっと起伏があれば良かったと思うし、ミュージカルシーンにも映画ならではのダイナミックさがあと少し加えられていたらより強く心に響いた作品だったかなと思いました。

しかし、一定以上の映画としての楽しさは保証します!

オススメです!

老後の資金がありません!

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垣谷美雨の同名ベストセラー小説を「狗神」(2001)以来20年ぶりとなる天海祐希の単独主演作として映画化。家計に無頓着な夫の章、フリーターの娘まゆみ、大学生の息子・勇人と暮らす平凡な主婦・後藤篤子は、あこがれのブランドバッグも我慢して、夫の給料と彼女がパートで稼いだお金をやり繰りし、コツコツと老後の資金を貯めてきた。しかし、亡くなった舅(しゅうと)の葬式代、パートの突然の解雇、娘の結婚相手が地方実業家の御曹司で豪華な結婚式を折半で負担、さらには夫の会社が倒産と、節約して貯めた老後の資金を目減りさせる出来事が次々と降りかかる。そんな中、章の妹・志津子とのやりとりの中で、篤子は夫の母・芳乃を引き取ることを口走ってしまう。芳乃を加えた生活がスタートするが、芳乃の奔放なお金の使い方で予期せぬ出費がかさみ、篤子はさらなる窮地に立たされてしまう。監督は「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」の前田哲。

(映画・comより)

天海祐希さんと言えば理想の上司ランキングで常に上位にランクインされる等バリバリ仕事をこなすデキる女性イメージが特に強いイメージです。これまでの映画やドラマの役柄がそのイメージに反映されているわけですが、時に庶民的な役を演じても板につくんですよね。本作の場合は正に庶民も庶民、近所を歩いていても何らおかしくない主婦なんですよね。しかもタイトルや作品概要にもある様に金策に翻弄されるという経済的にも超裕福というわけでもない。旦那が仕事に出ている間は家事とパートに時間を費やし、定期的に通うヨガスクールでのひと時を楽しむそんなライフスタイルです。

監督は『こんな夜更けにバナナかよ いとしき実話』の前田哲。今まさに大ヒット中の『そして、バトンは渡された』も手掛けています。ちなみに本作とは公開日が一日違い。コロナ禍での興行をおよぼしたのは確かですが、いずれにしても精力的に作品を作っているのが伺えます。

それにしても驚いたのは監督の振り幅の広さ!『そしてバトンは、』に関しては先月紹介しましたが、伏線の張り方が秀逸でそれを功奏させての怒涛のラストシーン。正直、私の涙腺が緩んでしまったのは同作レビュー内でお伝えしました。一転して本作はただただ笑いに振り切ってる。ともすれば重い内容になりそうなテーマですが、ひたすら笑いに転じさせる事で決してヘビーな気持ちにはさせない。それでいて大事なポイントは抑えているんですよ!前田監督ここに来て良作を生み出してきています。これから本格的にヒットメーカーになるのではないでしょうか。

さて、私が鑑賞したのは11月のとある平日。MOVIX日吉津でしたが、私以外はほぼ高齢の人生の大先輩方。平日というのもありますが、テーマがテーマだけに、という所でしょう。客層的には山田洋次監督作や吉永小百合さん主演作のそれに近かったです(笑)

で、正直年配者向けなのかな〜なんて初めは身構えていましたが、ところがどっこいですよ!全体的に作品のテンポもよく笑いだって決してベタではない。それでいてしっかりとツボを刺激してくれるギャグは悪くなかったです。前方に座っていたおばあちゃんも楽しそうに笑ってらっしゃったのが印象的です。小ネタが活きてたんですよね。草笛光子さんと天海祐希さんによる宝塚ネタや往年の『いじわるばあさん』を思わせる様なドタバタ感もあれば佐々木健介北斗晶夫妻もコメディリリーフぶりも楽しませて頂きました!

終活とか老後のライフスタイルはもちろんですが、それ以外にもニュースを賑わす様なあらゆる社会問題も盛り込んでいるんですよ。会社の倒産やリストラ、中高年の雇用、シングルマザー、年金不正受給、特殊詐欺等等。ある日突然、一家の大黒柱である主人が失業したら…なんて絶望的なシチュエーションなんだけど、そんな状況すらも明るく描いてくれるんです。

そして最終的には人間としての真の幸せとは何か?を帰着点にしています。決して俗物に流されない生き方を是とする考えを提示する辺りはどこか『ノマドランド』にも通じる様なある意味今の時代を象徴しているのかもしれませんね。

全体的には飽きる事なく軽快に展開され個人的には満足度高めではありますが、一方では気になる点もあるので触れておきますね。

詳しくは言えませんが、自分らしく生きるを帰着点にしてるのにその前にブランド物のバッグ云々の描写はどうなのかな?って思っちよいましたね。確かにこれまでお金や家族に振り回された篤子のご褒美何より綺麗な天海祐希を写したいという狙いがあったのかもしれませんが、『ノマドランド』的なラストで締めるのであればメッセージ性が弱くなってしまった感がありましたね。

それからコメディですし、バラエティ寄りのタレントさんや芸人さんを起用するのは作風上、理解出来なくはないですが、あの人もこの人も…とやり過ぎた結果、画面がうるさくなり過ぎた感は否めません。特にとあるパーティーのシーンが顕著でしたかね。カラオケの楽曲はこの映画の主要な客層に如何にも受ける様な選曲でして、昭和の名曲好きな僕としてはニヤリ顔でしたけどね(笑)

と多少の不満はありましたけど、十分楽しませて頂きましたよ!若い人にも見て頂きたい作品です!

オススメです!

エターナルズ

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解説

アベンジャーズ」シリーズをはじめとしたマーベル・シネマティック・ユニバースMCU)で知られるマーベル・スタジオが送り出すヒーローアクション大作。太古から人類を見守ってきた「エターナルズ」と呼ばれる者たちの活躍を、「ノマドランド」でアカデミー賞を受賞したクロエ・ジャオ監督が描く。「アベンジャーズ エンドゲーム」後の世界を舞台に、これまで人知れず人類を守ってきたエターナルズが姿を現し、未曽有の危機に立ち向かう。遙かな昔から地球に存在し、7000年もの間、陰から人類を見守ってきたエターナルズ。最凶最悪の敵サノスによって半分が消滅させられた全宇宙の生命は、アベンジャーズの戦いによって復活したが、その時の強大なエネルギーによって新たな脅威が誕生し、地球に迫っていた。その脅威に立ち向かうべく、これまで身を潜めていたエターナルズが再び集結する。10年ぶりのアクション作品への出演となるアンジェリーナ・ジョリーをはじめ、「クレイジー・リッチ!」のジェンマ・チェン、「ゲーム・オブ・スローンズ」のリチャード・マッデンキット・ハリントン、これがハリウッドデビューとなる「新感染 ファイナル・エクスプレス」のマ・ドンソクらが出演。(映画.comより)

フェイズ4に突入後も勢力的に作品を出し続けるMCUの最新作。『ブラック・ウィドウ』も『シャン・チー』も良い意味で軽快でわかりやすい内容で楽しませて頂いたワタクシとしては本作も勿論外せないと思い、鑑賞して参りました!そして本作の監督は『ノマドランド』でアカデミー賞を受賞したクロエ・ジャオ監督。『ノマドランド』のあの重厚な作風のイメージが強い為、それがMCU作品でどの様な色合いになるのか個人的には大変興味深かったです。

それがですね〜、これまでのMCU作品には見られない様な独創性の高い作風となっておりました。

では解説していきましょう。これまでのMCU作品と言えば先述の二作品もそうであった様に全体的には軽快なノリで爽快なアクションに何ならナンセンスなギャグもあるし、耳馴染みのあるヒット曲をBGMに配して割と気楽に見れる様な作品が多かったイメージです。全編に渡って重厚な作風と言えば『アベンジャーズ』シリーズくらいですよ。ところが本作の場合、全体的に暗いいや悪い意味ではなくてですよ。背景等を含めて配色で見ても決してカラフルではないんですよね、MCUと言うよりDCのそれに近い。更に言えばスーパーマンバットマン等DCヒーローの名前すら出てくるくらいですもん。

でもそれが明らかにこれまでのMCU作品との差別化を見せている様で私としてはアリかなと思いました。

そして何と言っても『ノマドランド』がそうであった様に景色がとにかくキレイ!とりわけ海岸で撮影したシーンが特に多かったのですが、この海岸は非常にクリアで見応えがありましたね!

また、キャラクターの特性等にも特徴が見られましたね!主要なメンバーが10人居るわけですが、人種も超えてるし、障害者だって居る。多様性が重視される現代らしくLGBTQに対してのアプローチもしっかりなされていました。本作の予告編ではBTSの楽曲が起用されていましたが、アジア系のアーティストがMCUの楽曲に関わるのは本作が初めてであり、キャストだってアジア系が特に充実していた印象で新時代ならではのMCUスタイルを感じさせてくれました。

そしてストーリーに関してですが、これはズバリ!神話です。日本で言えば『古事記』に出てくる神様が何千年にも渡って現世に生き続け、人間達と共生していると言えばイメージしやすいのかもしれません。そしてこれが神である彼らの目線から見た人間の姿がはっきりと映し出されている。感情を持つ生物としての人間像が見て取れる一方、身勝手でこれまでにも過ちを繰り返してきた悲しい歴史も描かれている。戦争の延長に行なってきた大虐殺そして脅威の核兵器を使用してきた人類の過ち。正直、MCUで1945年8月の広島が出てくるなんて思いもしませんでしたよ。しかし、遠くにはっきり見て取れる現在の原爆ドームそして焦土と化した広島の街を忠実に再現する事でその恐ろしさと残酷なまでの過去の過ちの歴史を非常に生々しく映し出しています。また、彼らの視点から見た人間の姿というのが本作の肝になってるかと思います。そこはドキュメンタリックな作風に定評のあるクロエ監督の真骨頂でもありますね。

さて、そんな本作ではありますが、最大のポイントをお伝えしておきます。先述の様に人種も身体的特徴の壁を超えてひとつになる彼らのチームプレイであり、その調和です。正直、10人も居れば衝突もあればまとまりがぐらつく事だってあるでしょう。事実そういった描写もあるし、それによって命を落とすなんて事もある。しかし、それでも彼らがひとつになり、共に戦う場面は見応えがあったと思います。

とそんなフェイズ4にしてMCUの新基軸を見せた感のある『エターナルズ』ではありますが、正直好き嫌いがはっきり分かれる作品でもあったかな。というのが先述の様にわかりやすくテンポの良いこれまでのMCU作品と違って会話が多く、流れも緩やか。更にその流れで150分強展開されるというこの長尺にどれだけの人が没入出来るかというところでしょうか。私は比較的楽しめましたが、人によるのかなと思いましたね。

そこだけ伝えたところでまとめます。フェイズ4に突入してこれまで違う手法で作品を作り上げたMCU。次作を示唆する様なシーンもありましたし、また本作が他の作品でどの様な形で絡んでいくのかが個人的には楽しみです!

今後のMCUに更なる期待を込めて今回は終了。

オススメです!

劇場版きのう何食べた?

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よしながふみの人気漫画を西島秀俊内野聖陽の主演でドラマ化して話題となった「きのう何食べた?」を、ドラマ版のキャスト&スタッフで映画化した劇場版。雇われ弁護士の筧史朗(シロさん)とその恋人で美容師の矢吹賢二(ケンジ)にとって、2人でとる夕食の時間が日々の大切なひとときとなっている。ある日、史朗の提案で、賢二の誕生日プレゼントとして京都旅行に行くことに。賢二は京都を満喫していたが、道中に史朗からショックな話を切り出されてしまう。この京都旅行をきっかけに、2人はお互いの心の内を明かすことができなくなってしまい……。シロさん役の西島、ケンジ役の内野をはじめ、山本耕史磯村勇斗マキタスポーツ梶芽衣子らドラマ版のキャスト陣に加え、「SixTONES」の松村北斗が出演。 

(映画・comより)

あくまで僕のイメージなんですが、グルメと映画というと何となく相性があまり良くないイメージがありまして、グルメを題材にした映画で大ヒットした作品って何かあったかな?なんて思っちゃいます。確かにありますよ、これまでにも多くの作品が。ただ、如何に美味しそうな料理が出てもそれを映画館のスクリーンで見たいかと言うとう〜んなんて唸っちゃいます。

ところがそんな偏屈な僕の思いなんてどうでもよくて現在大ヒット中なのが、この『きのう何食べた?』です。元々はテレビ東京系の深夜ドラマ。ドラマの劇場版は数あれど何故この映画がヒットしているのかこの目で確かめたくて、見て参りました!

元々はドラマではあるものの、放送時間は40分程度のショートドラマという事でこれが果たして約二時間に渡る映画との相性はどうなのか?途中で中弛みする事はないのか?心配はありましたが、これは杞憂でしたね。

結論から言いますが、非常に脚本がよく出来ていた。決して派手なシーンはないものの、日常の延長に居る様な二人の男性カップルを軸に料理と人生をテーマにした様な内容。タイプは違いますが、『かもめ食堂』の様な美味しそうな料理と味わい深い人間模様に特徴のある作品だと思いました。

ちなみに私はドラマにも原作にも触れていません。しかし、鑑賞してすぐにキャラクターや物語の設定は理解出来ました。つまり、一見さんにも大変優しい作りになっていたとお伝えしておきましょう。

弁護士ではあるものの自分で事務所を構えているわけではないいわゆる雇われの弁護士西島秀俊演じるシロさん、そして同じく自らサロンを経営してはいない美容師である内野聖陽演じるケンジ。この二人の男性カップルが同じ食卓を囲みながら愛を育んでいくストーリーです。

LGBTという言葉がすっかり馴染んだ感のある昨今において中年二人のカップルのやり取りに思わず笑いが溢れます。正直、ドラマを見ずに本作に触れた僕としては冒頭の内野聖陽さんのいわゆるオネエ言葉にいかにもなありきたりなキャラ設定だななんて顔をしかめてしまいまさたが、違うんですね。あくまでシロさんと二人で居る時のキャラであり、職場や外の世界ではまた違う。よくよく見れば細かいキャラ付けされてるんですよ。

そして二人で行く京都旅行。京都に馴染み深い私としては、二人が行くうどん屋さんのカレーうどんがめちゃくちゃ美味そうでどこのお店か気になっちゃいましたよ。そしてそんな京都旅行もそこそこにその後は終始、二人を軸にしたストーリー展開。

あわやの二股か?とか中年ならではの人生の岐路についての描写、はたまた肉親との関係等が描かれます。

そして何と言っても出てくる料理のまぁ美味しそうな事美味しそうな事。あくまで料理が軸になってるわけだからその料理に写し方には相当なこだわりが感じられましたし、何より高級料理とかではなく、誰でも家庭で手軽に作れそうなんですよね。だから料理が好きな人が見たらレシピが欲しくなるかもしれない。ちなみに僕はハーゲンダッツを載せたアップルトーストと田中美佐子さんが作ってた肉料理が食べたかったです(笑)

また、美容師のケンジが勤める美容院でのとあるカップルの描写を入れる事でゲイカップルと違う男女カップルならではの恋愛の機微が感じられた一方、弁護士のシロさんのパートではホームレスの殺人事件や冤罪について等別テーマが盛り込まれておりました。

また、この二人はかなりのプラトニックな関係なんですが、僕はこれはこれで良かったかななんて思ってます。二人を繋ぐものは生々しい性行為ではなく、結局は料理なんですね。二人で食卓を囲み美味しい料理を口にする。それ以上に特別な物は求めないんだけど、実はこれが究極の心の繋がりなんですよ。で、これは何も同性カップルに限った話しじゃなくて異性であっても結局同じなのではないでしょうか。セックスはもちろん大事なんだけど、本当にカップルを結びつけるものは結局はお互いの心。それがこの二人の場合は料理であり、また違うカップルには違ったそれがあり。この映画全体からはそういう普遍的なテーマが描かれている様に思いました。

また、中年ならではのテーマとしては先述の社会的立場の岐路という点もそうだし、病気というものもありましたね。お年柄健康診断で何かが見つかってもおかしくない。それを気遣うお互いの様子も印象的でしたし、何かがあった際に思いやれる存在の大切さなんかもこの映画からは感じられる事が出来ました。

結局は美味しい料理と大切な人。これが何より人生を豊かにさせてくれるんですね。


美味しい映画を楽しませて頂きました!

ごちそうさま!

リスペクト

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ドリームガールズ」でアカデミー助演女優賞受賞し、歌手としても第51回グラミー賞を受賞したジェニファー・ハドソンが、ソウルの女王アレサ・フランクリンの半生を演じた伝記ドラマ。少女の頃から、その抜群の歌唱力で天才と称されたアレサは、ショービズ界でスターとしての成功を収めた。しかし、彼女の成功の裏には、尊敬する父、愛する夫からの束縛や裏切りがあった。すべてを捨て、彼女自身の力で生きていく覚悟を決めたアレサの魂の叫びを込めた圧倒的な歌声が、世界中を歓喜と興奮で包み込んでいく。アレサ本人から生前に指名されたハドソンがアレサ役を演じるほか、フォレスト・ウィテカーマーロン・ウェイアンズメアリー・J・ブライジらが顔をそろえる。

(映画.comより)

まずは一言。日本国内の動員ランキングでは初登場10位。興行収入も伸びていない…ってどういう事よ!こういう映画こそ多くの人に見て欲しいのにさっ!

まぁ、アレサフランクリンが日本での馴染みが薄いというのも確かにあります。2018年に他界したのですが、その時のニュースで何となく知ったなんて人が多くて楽曲自体を聴いた事がないという人も多いのかもしれません。

しかし、本国.米国ではソウルの女王として国民的知名度があり、日本の主にR&B系シンガーには多大な影響を与えたアーティストです。私は…というと大学時代にめちゃくちゃソウルやR&Bが好きな友人がおりまして、彼からベスト盤を借りて聴いたものです。何となく聴いた事ある様な曲も入っていたりして「これってアレサフランクリンが歌ってたのか〜」なんてその時に知ったりもしましたね。

そんなアレサ・フランクリンの生涯って実は僕自身よく知らなかったのでこの映画を機に、と公開前から楽しみにしていた作品です。

アレサ・フランクリンを演じたのはジェニファー・ハドソン。『ドリーム・ガールズ』でアカデミー助演女優賞、最近では『キャッツ』でも圧倒な歌唱力を披露していたのも記憶に新しいところ。また、歌手としてもグラミー賞を受賞していたりと多才な方ですよね。生前のアレサがご指名を受けてのキャスティング。これは悪くなるわけがありません。

幼少期から30歳になり、ショービジネス界の頂点に君臨するまでの半生を二時間半に渡って描き出す伝記映画。ミュージシャンの伝記映画数あれど記録にも記憶にも残った近年の作品としては『ボヘミアン・ラプソディ』があるでしょう。

クイーンのボーカリストであるフレディ・マーキュリーの若かりし頃から音楽界の頂点に立つも病に冒されていくその過程をドラマチックに仕上げていました。ストーリーにも深みがあり、それが故にラストのライブエイドのシーンに心震えたなんて方も多いのではないでしょうか。そしてそこには時代を彩ったクイーンの名曲が…とそう、そこなんですよ!元々日本でも人気の高いクイーンだからこそ熱心なファンではなくとも知ってる曲はゴロゴロあるわけです。

ところがアレサの場合、日本では先述の様にあまりポピュラーな存在ではなく、コアな音楽ファンからの支持を得ている存在。それ故に劇中で使用される楽曲も馴染みが薄いかもしれません。

でもね〜、例え曲を知らなくとも楽しめます!何だったらこの映画を見てからアレサの音楽に直接触れるいわばアレサ・フランクリン入門編としても最適な映画かと思います。ソウルフルで伸びやかな歌声、会場に詰めかけたオーディエンスの前での圧巻のパフォーマンスは音楽映画としての矜持を感じさせてくれます!そしてそれを表現するのがジェニファー・ハドソンです!彼女は正に若き日のアレサが憑依しているかの様な演技と表現力で見ている人を魅了させてくれます!生前のアレサが指名しただけの事はある!

そして彼女を取り巻く不遇な生い立ちであり、華やかなスポットライトを浴びる一方でのアルコール依存症に陥る生々しい描写も映し出しています。また、1960年代のアメリカ社会を取り巻く人種差別問題の実態であったり、一アーティストの伝記に止まらない様々なテーマが内包された作品でもあります。 

更にアレサを代表する名曲の数々が生まれた背景にも注目したいところ。旦那からの束縛やDVまた、アルコール依存症等華々しいステージの上で繰り広げる楽曲には彼女の重い私生活が背景にある事がよくわかります。字幕版では歌詞が表示されるのですが、その前に描かれるエピソードを見た後だからこそよりリアルに感じられるんですよね。

学生時代に件の友人から借りたベスト盤を歌詞の対訳を見ずに聴いていた自分としてはかなり衝撃でした。

しかし、そんなこんなを踏まえた上で見るラストシーンはやっぱり良かった!彼女は歌うべくして生まれた歌姫である事が心から感じられたライブシーンでした!

しかし、それだけではありません!エンドロールにかけて在りし日のアレサ・フランクリンご本人の映像が流れ、この劇中以後のアレサの偉業をテロップで紹介。彼女が如何に偉大なアーティストであったかをここでもよく知る事が出来ました。

正直、僕はベスト盤で少し聴いた事がある程度のにわかです。ソウルやR&Bをドップリと聴いてるコアな音楽好きだとまた違った印象もあるのでしょうね。

でも何度も言いますが、アレサ・フランクリンをよく知らなくとも純粋に映画作品として楽しめる内容です!

オススメです!

そして、バトンは渡された

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第16回本屋大賞を受賞した瀬尾まいこの同名ベストセラー小説を、永野芽郁田中圭石原さとみの共演で映画化。血のつながらない親の間をリレーされ、これまで4回も名字が変わった優子。現在は料理上手な義理の父・森宮さんと2人で暮らす彼女は、将来のことや友だちのことなど様々な悩みを抱えながら、卒業式にピアノで演奏する「旅立ちの日に」を猛特訓する日々を送っていた。一方、夫を何度も変えながら自由奔放に生きる梨花は、泣き虫な娘みぃたんに精いっぱいの愛情を注いでいたが、ある日突然、娘を残して姿を消してしまう。主人公・優子を永野、血のつながらない父・森宮さんを田中、魔性の女・梨花を石原がそれぞれ演じる。監督は「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」の前田哲。

(映画・com)

邦画でよくありがちな予告と言えば泣きをウリにするものです。「この映画泣けますよ〜」と大々的に煽ってくるやつですね。いわゆるコアな映画好き程そのテの予告を見るとネガティブに捉えがちでかく言う私もその一人です。ただ、それでも気になり、見たところ感極まって大号泣なんて事もありました。『君の膵臓をたべたい」なんかがそうでしたね。そういう事考えたらひねくれてる様ですが、案外ピュアなんですよ僕は(笑)

だからこそネットの誹謗中傷を見ると傷付くし、番組を挙げて抗議もするのです…ってだからもういいっちゅ〜の。

さて今回紹介する『そして、バトンは渡された』。これまた見た人の92%が泣いたと泣き煽り予告を何度となく目にして、ぶっちゃけて言えば若い女性を対象にした如何にもなお涙頂戴ものかななんて斜に構えておりました。しかし、しかしですよ!鑑賞する前の俺に言いたい!「もっと素直になれよ。」と。

複雑な事情を抱える永野芽郁が演じた優子。いつも無理した笑顔でその場をやり切り、そんな彼女に不快感を示すクラスメイト達。直接的にいじめられているわけではないんだけど、クラス内では浮いてしまってます。義理の父である田中圭演じる森宮さんとチグハグなんだけど、不器用なりにもささやかに暮らしています。

一方、石原さとみ演じる自由奔放な女性・梨花。娘のみぃたんには愛情をいっぱい振り撒きながらも常に女性としての幸せも追い求めています。

まるで別々の二組のシングルファーザーと娘、シングルマザーと幼い娘を中心にそのささやかな暮らしをフォーカスしていきます。

この流れを見ると全く無関係な二組が織りなす群像劇ともすればオムニバス作品なのかとすら思わせてくれます。しかし、やがてこの二組のストーリーがひとつに重なってくるんですね。そしてそれまでにいくつもの伏線を張り、そしてスマートな流れで結びつける辺りの手法は実にお見事と唸っちゃいました。

また、ところどころでの演出も映画として実に滑らかで楽しませて頂きました。その一例なんですが、梨花とみぃたん、更に大森南朋演じる実の父親が遊園地へ行く場面があります。親子三人で楽しい時間を過ごすのですが、父親が衝撃的な告白をします。その瞬間、まるど時が止まった様に三人は静止、しかしカメラは彼らを俯瞰的に捕え、まるで遠くで聴こえているかの様なメリーゴーランドの音だけが流れます。実際はメリーゴーランドの場所からさほど離れてはいないのですが、彼らの心理的な描写をあくまで声を使わずに伝えるそして確実に見ている人の心にも響く様な非常に効果のある演出だと思いました。

また、本作で面白かったのは自由な生き方とか本当に自分がやりたい事は?をさり気ない形で提示して見せた点でしょうか。

料理好き優子の進路は料理人になる事。そして調理の専門学校を卒業後、夢を実現してレストランの料理人となります。しかし、伝統を重んじる一流レストランの水が合わず、彼女は馴染みの定食屋さんでバイトをします。プレッシャーから解放された彼女はその定食屋の水が合っており、先述のレストランの時とは違うリラックスした表情を見せています。一方、岡田健史が演じた彼女の恋人。ピアニストとしての将来を嘱望されながらも、彼は音楽の道を選びません。音楽家ロッシーニの生き方が軸になっているのですが、そこに影響を受けた彼ならではの選択があったのです。

自分語りになり、恐縮ですが、私は関西の大手FM局でDJをしたく、事務所に入りレッスンを受け、オーディションを何度となく受けましたが、良い結果は得られませんでした。結果として山陰のコミュニティFMで使って頂き、今に至るわけですが、例え多少の批判を受けてもこの番組をやらせて頂き、他にも歴史を語り、時には事件や社会問題を話し、広く発信する事が出来ている。先述の様な大手局では恐らく通りにくい企画も採用して頂き、自由な表現の場を与えて頂いている。そんな事を考えると規模の大小やブランドが全てではなく、本人の幸福度はまた別の所にあるなんて思わせてくれました。

なんて映画から話しが反れましたので、戻しますね。

本作のキャストの皆さんには非常に魅了されました。その中でも特に心を持ってかれたのは石原さとみさんでした!この映画なんですが、この石原さとみさんが演じた梨花をどの様に見るかで全然印象が変わってくるかと思うんですよ。正直、みぃたんに接する梨花には同調出来ないんですよ。子供を着飾る事ばかりにお金をかけてちゃんとした教育が出来てる様に思えない。この辺りなんか見てたら虐待やネグレクトの問題を提起する様な社会派作品かな?なんて思いましたもん。更に自分が労働してお金を得るよりお金を持ってそうな再婚相手を見つける事に奔走する。彼女が美人で要領が良いからこそ出来る芸当ですけど、この辺りなんかは僕正直見ていてイラッとしてましたよ(笑)でもね〜、最後にそれが明かされてからの怒涛の展開にはやられましたね。この脚本や見せ方も当然素晴らしいのですが、石原さとみさんの演技があってこそだなと思いましたよ!

正直、僕は原作も読まず予備知識なしでこの作品は見ました!でも結果的にはそれで大正解でしたね!今年見た映画…少なくとも邦画の中ではかなりの良作だと思います。

是非劇場でご覧下さい!