きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

エターナルズ

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解説

アベンジャーズ」シリーズをはじめとしたマーベル・シネマティック・ユニバースMCU)で知られるマーベル・スタジオが送り出すヒーローアクション大作。太古から人類を見守ってきた「エターナルズ」と呼ばれる者たちの活躍を、「ノマドランド」でアカデミー賞を受賞したクロエ・ジャオ監督が描く。「アベンジャーズ エンドゲーム」後の世界を舞台に、これまで人知れず人類を守ってきたエターナルズが姿を現し、未曽有の危機に立ち向かう。遙かな昔から地球に存在し、7000年もの間、陰から人類を見守ってきたエターナルズ。最凶最悪の敵サノスによって半分が消滅させられた全宇宙の生命は、アベンジャーズの戦いによって復活したが、その時の強大なエネルギーによって新たな脅威が誕生し、地球に迫っていた。その脅威に立ち向かうべく、これまで身を潜めていたエターナルズが再び集結する。10年ぶりのアクション作品への出演となるアンジェリーナ・ジョリーをはじめ、「クレイジー・リッチ!」のジェンマ・チェン、「ゲーム・オブ・スローンズ」のリチャード・マッデンキット・ハリントン、これがハリウッドデビューとなる「新感染 ファイナル・エクスプレス」のマ・ドンソクらが出演。(映画.comより)

フェイズ4に突入後も勢力的に作品を出し続けるMCUの最新作。『ブラック・ウィドウ』も『シャン・チー』も良い意味で軽快でわかりやすい内容で楽しませて頂いたワタクシとしては本作も勿論外せないと思い、鑑賞して参りました!そして本作の監督は『ノマドランド』でアカデミー賞を受賞したクロエ・ジャオ監督。『ノマドランド』のあの重厚な作風のイメージが強い為、それがMCU作品でどの様な色合いになるのか個人的には大変興味深かったです。

それがですね〜、これまでのMCU作品には見られない様な独創性の高い作風となっておりました。

では解説していきましょう。これまでのMCU作品と言えば先述の二作品もそうであった様に全体的には軽快なノリで爽快なアクションに何ならナンセンスなギャグもあるし、耳馴染みのあるヒット曲をBGMに配して割と気楽に見れる様な作品が多かったイメージです。全編に渡って重厚な作風と言えば『アベンジャーズ』シリーズくらいですよ。ところが本作の場合、全体的に暗いいや悪い意味ではなくてですよ。背景等を含めて配色で見ても決してカラフルではないんですよね、MCUと言うよりDCのそれに近い。更に言えばスーパーマンバットマン等DCヒーローの名前すら出てくるくらいですもん。

でもそれが明らかにこれまでのMCU作品との差別化を見せている様で私としてはアリかなと思いました。

そして何と言っても『ノマドランド』がそうであった様に景色がとにかくキレイ!とりわけ海岸で撮影したシーンが特に多かったのですが、この海岸は非常にクリアで見応えがありましたね!

また、キャラクターの特性等にも特徴が見られましたね!主要なメンバーが10人居るわけですが、人種も超えてるし、障害者だって居る。多様性が重視される現代らしくLGBTQに対してのアプローチもしっかりなされていました。本作の予告編ではBTSの楽曲が起用されていましたが、アジア系のアーティストがMCUの楽曲に関わるのは本作が初めてであり、キャストだってアジア系が特に充実していた印象で新時代ならではのMCUスタイルを感じさせてくれました。

そしてストーリーに関してですが、これはズバリ!神話です。日本で言えば『古事記』に出てくる神様が何千年にも渡って現世に生き続け、人間達と共生していると言えばイメージしやすいのかもしれません。そしてこれが神である彼らの目線から見た人間の姿がはっきりと映し出されている。感情を持つ生物としての人間像が見て取れる一方、身勝手でこれまでにも過ちを繰り返してきた悲しい歴史も描かれている。戦争の延長に行なってきた大虐殺そして脅威の核兵器を使用してきた人類の過ち。正直、MCUで1945年8月の広島が出てくるなんて思いもしませんでしたよ。しかし、遠くにはっきり見て取れる現在の原爆ドームそして焦土と化した広島の街を忠実に再現する事でその恐ろしさと残酷なまでの過去の過ちの歴史を非常に生々しく映し出しています。また、彼らの視点から見た人間の姿というのが本作の肝になってるかと思います。そこはドキュメンタリックな作風に定評のあるクロエ監督の真骨頂でもありますね。

さて、そんな本作ではありますが、最大のポイントをお伝えしておきます。先述の様に人種も身体的特徴の壁を超えてひとつになる彼らのチームプレイであり、その調和です。正直、10人も居れば衝突もあればまとまりがぐらつく事だってあるでしょう。事実そういった描写もあるし、それによって命を落とすなんて事もある。しかし、それでも彼らがひとつになり、共に戦う場面は見応えがあったと思います。

とそんなフェイズ4にしてMCUの新基軸を見せた感のある『エターナルズ』ではありますが、正直好き嫌いがはっきり分かれる作品でもあったかな。というのが先述の様にわかりやすくテンポの良いこれまでのMCU作品と違って会話が多く、流れも緩やか。更にその流れで150分強展開されるというこの長尺にどれだけの人が没入出来るかというところでしょうか。私は比較的楽しめましたが、人によるのかなと思いましたね。

そこだけ伝えたところでまとめます。フェイズ4に突入してこれまで違う手法で作品を作り上げたMCU。次作を示唆する様なシーンもありましたし、また本作が他の作品でどの様な形で絡んでいくのかが個人的には楽しみです!

今後のMCUに更なる期待を込めて今回は終了。

オススメです!