きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

リスペクト

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ドリームガールズ」でアカデミー助演女優賞受賞し、歌手としても第51回グラミー賞を受賞したジェニファー・ハドソンが、ソウルの女王アレサ・フランクリンの半生を演じた伝記ドラマ。少女の頃から、その抜群の歌唱力で天才と称されたアレサは、ショービズ界でスターとしての成功を収めた。しかし、彼女の成功の裏には、尊敬する父、愛する夫からの束縛や裏切りがあった。すべてを捨て、彼女自身の力で生きていく覚悟を決めたアレサの魂の叫びを込めた圧倒的な歌声が、世界中を歓喜と興奮で包み込んでいく。アレサ本人から生前に指名されたハドソンがアレサ役を演じるほか、フォレスト・ウィテカーマーロン・ウェイアンズメアリー・J・ブライジらが顔をそろえる。

(映画.comより)

まずは一言。日本国内の動員ランキングでは初登場10位。興行収入も伸びていない…ってどういう事よ!こういう映画こそ多くの人に見て欲しいのにさっ!

まぁ、アレサフランクリンが日本での馴染みが薄いというのも確かにあります。2018年に他界したのですが、その時のニュースで何となく知ったなんて人が多くて楽曲自体を聴いた事がないという人も多いのかもしれません。

しかし、本国.米国ではソウルの女王として国民的知名度があり、日本の主にR&B系シンガーには多大な影響を与えたアーティストです。私は…というと大学時代にめちゃくちゃソウルやR&Bが好きな友人がおりまして、彼からベスト盤を借りて聴いたものです。何となく聴いた事ある様な曲も入っていたりして「これってアレサフランクリンが歌ってたのか〜」なんてその時に知ったりもしましたね。

そんなアレサ・フランクリンの生涯って実は僕自身よく知らなかったのでこの映画を機に、と公開前から楽しみにしていた作品です。

アレサ・フランクリンを演じたのはジェニファー・ハドソン。『ドリーム・ガールズ』でアカデミー助演女優賞、最近では『キャッツ』でも圧倒な歌唱力を披露していたのも記憶に新しいところ。また、歌手としてもグラミー賞を受賞していたりと多才な方ですよね。生前のアレサがご指名を受けてのキャスティング。これは悪くなるわけがありません。

幼少期から30歳になり、ショービジネス界の頂点に君臨するまでの半生を二時間半に渡って描き出す伝記映画。ミュージシャンの伝記映画数あれど記録にも記憶にも残った近年の作品としては『ボヘミアン・ラプソディ』があるでしょう。

クイーンのボーカリストであるフレディ・マーキュリーの若かりし頃から音楽界の頂点に立つも病に冒されていくその過程をドラマチックに仕上げていました。ストーリーにも深みがあり、それが故にラストのライブエイドのシーンに心震えたなんて方も多いのではないでしょうか。そしてそこには時代を彩ったクイーンの名曲が…とそう、そこなんですよ!元々日本でも人気の高いクイーンだからこそ熱心なファンではなくとも知ってる曲はゴロゴロあるわけです。

ところがアレサの場合、日本では先述の様にあまりポピュラーな存在ではなく、コアな音楽ファンからの支持を得ている存在。それ故に劇中で使用される楽曲も馴染みが薄いかもしれません。

でもね〜、例え曲を知らなくとも楽しめます!何だったらこの映画を見てからアレサの音楽に直接触れるいわばアレサ・フランクリン入門編としても最適な映画かと思います。ソウルフルで伸びやかな歌声、会場に詰めかけたオーディエンスの前での圧巻のパフォーマンスは音楽映画としての矜持を感じさせてくれます!そしてそれを表現するのがジェニファー・ハドソンです!彼女は正に若き日のアレサが憑依しているかの様な演技と表現力で見ている人を魅了させてくれます!生前のアレサが指名しただけの事はある!

そして彼女を取り巻く不遇な生い立ちであり、華やかなスポットライトを浴びる一方でのアルコール依存症に陥る生々しい描写も映し出しています。また、1960年代のアメリカ社会を取り巻く人種差別問題の実態であったり、一アーティストの伝記に止まらない様々なテーマが内包された作品でもあります。 

更にアレサを代表する名曲の数々が生まれた背景にも注目したいところ。旦那からの束縛やDVまた、アルコール依存症等華々しいステージの上で繰り広げる楽曲には彼女の重い私生活が背景にある事がよくわかります。字幕版では歌詞が表示されるのですが、その前に描かれるエピソードを見た後だからこそよりリアルに感じられるんですよね。

学生時代に件の友人から借りたベスト盤を歌詞の対訳を見ずに聴いていた自分としてはかなり衝撃でした。

しかし、そんなこんなを踏まえた上で見るラストシーンはやっぱり良かった!彼女は歌うべくして生まれた歌姫である事が心から感じられたライブシーンでした!

しかし、それだけではありません!エンドロールにかけて在りし日のアレサ・フランクリンご本人の映像が流れ、この劇中以後のアレサの偉業をテロップで紹介。彼女が如何に偉大なアーティストであったかをここでもよく知る事が出来ました。

正直、僕はベスト盤で少し聴いた事がある程度のにわかです。ソウルやR&Bをドップリと聴いてるコアな音楽好きだとまた違った印象もあるのでしょうね。

でも何度も言いますが、アレサ・フランクリンをよく知らなくとも純粋に映画作品として楽しめる内容です!

オススメです!