きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

トムとジェリー

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多才だがお調子者でドジなネコのトムと、見た目はかわいらしいがずる賢く容赦ないネズミのジェリーが繰り広げるドタバタを描き、1940年の誕生から80周年を迎えた「トムとジェリー」を実写映画化。アニメーションで描かれるトムとジェリーが実写映像に融合し、クロエ・グレース・モレッツをはじめとした俳優陣と共演する。ニューヨークの高級ホテルに引っ越してきたジェリーと、そんなジェリーを相変わらず追いかけるトム。新人ホテルスタッフのケイラが働くそのホテルでは、世界が注目するセレブカップルのウェディングパーティが行われようとしていたが、トムとジェリーのせいで台無しになってしまう。汚名返上のためタッグを組むことになったトムとジェリーが、世界一素敵なウェディングパーティを開こうと奮闘する。ケイラ役のクロエ・グレース・モレッツほか、「アントマン」シリーズのマイケル・ペーニャ、「デッドプール2」のロブ・ディレイニー、「ハングオーバー!」シリーズのケン・チョンらが共演。「ファンタスティック・フォー 超能力ユニット」のティム・ストーリーがメガホンをとった。
(映画.comより)

猫とネズミと言えば永遠のライバル。
でも意外と猫がネズミと戦っている光景を見た事ある人って少ないんじゃないですか?
そしてこの猫とネズミのイメージと言えばやはり『トムとジェリー』からと言う人も多いでしょう。
僕も子供の頃にアニメを見ていました。
しかし、その実内容を覚えてなかったりするのも事実。
なのでこれを機に、とばかりに今回の実写版を鑑賞。
公開週の週末にMOVIX日吉津で見てきましたが、例年の『ドラえもん』が公開延期となり、ファミリー需要を満たすかの様にたくさんの家族連れで賑わっていた印象です。

さて、本作は実写版ではあるものの、画期的なのはトムとジェリーその他動物は全てアニメーションで描かれていた事。
動物と人間が絡むという視点で言えば『テッド』・『パディントン』・『ピーター・ラビット』、『名探偵ピカチュウ』(動物?)等々ありますが、それらは全てCG。
アニメーションと実写の融合と言えば極めて異例でその映像表現を楽しむ作品でもあります。
ちなみにここには子供の頃から慣れ親しんだトムとジェリーのキャラクターを崩したくないというティム・ストーリー監督の思いがあった様です。
そんな監督のトムジェリ愛が詰まった作品。
面白くならないわけがない!

トムとジェリーというこの仲が悪い猫とネズミが現代のニューヨークで巻き起こすスラップスティック・コメディ。
とにかくドタバタだし、あり得ないパターンからとんでもない事態に発展したりする。
そしてトムとジェリーがとにかく可愛い!
トムはメスネコを見たら目が♥️になって執拗にアプローチを仕掛けてみたりその為にピアノを演奏する時だけ実力派のソウルシンガーの様な声になる。
一方のジェリーは舞台となるホテルに住みたいが為にありとあらゆる仕掛けを繰り広げる。
そしてそれに翻弄されるのが人間達。
とりわけ新人ホテルスタッフのケイラはトム達と手を組ながらホテル内で発生する数々のアクシデントに対処していくわけです。

そしてこのケイラこそが主人公とも言える存在なのですが、彼女には彼女の悩みがあり、そんな自分を変えたい為にニューヨークへやって来てホテルで務める事になります。
同年代の人達は社会的に成功していたり、人生を謳歌してるのに自分には何もない。
そんな彼女の葛藤を埋める為のホテル勤務ではあるものの、作中における彼女は非常に機転は効くし頭の回転も早い。
フツーに出来るコなんですよね。
だけどそれを活かす仕事や環境に出会っていないだけでそれさえ見つかればバリバリこなす様なタイプです。
でもそこに寄り添う存在なのが、トムでありジェリーでありそして理解者となるあのホテルのバーテンの彼なんだろうな。

それから結婚を控えたカップルへの提起。
方や新郎は派手でお金のかかる挙式にこだわりメンツを保つ事を重視する一方、新婦は決して派手でなくとも心・愛を感じる式を挙げたい。そんな新婦の気持ちも知らず新郎は突っ走るし、新婦もなかなか自分の思いを告げずに居る。
ひとつに踏み出せない人へ向けてのメッセージ・ひとつに結婚と愛について問う様な強いメッセージ性も内包しています。

それをトムとジェリーがそのやんちゃさも含めながら人間達へ気づかせていく。
そんな内容です。

また、トムとジェリー以外にも様々な動物が登場しますが、全て実写やCGではなく、アニメーションで統一している辺りもポイントかな?
犬・猫・はたまた像の様な大きなものから空を飛び交う鳥から市場で水揚げされた魚に至るまで全てアニメーションという画期的な映像表現。
それに合わせて演技をするキャストの皆さんの表現力にも脱帽しますね。

だけどその一方で突っ込みたい点も。
前半部。
サングラスをかけたトムが盲目の猫を謳いながらピアノ演奏というストリートパフォーマンスをするのですが、ジェリーの妨害により盲目ではないのがバレてしまいます。
その時、聴衆が「何だよ、盲目じゃねぇのか、金返せ!」って言ってたんだけど、いやいや猫がピアノの演奏するだけでスゴくね!と(笑)
我が家で飼ってる猫にキーボードの前に座らせたらキーボードの上に上がり込んで鍵盤の上、歩いて行ったからね…って当たり前か(笑)

なんて突っ込みドコロもありますが、全編に渡ってアメリカン・コメディの王道で気軽に楽しめる内容です。
エンドロールが終わってからもしっかりオチが用意されていますし、久しぶりに明るい映画を見たなという印象です。

家族でもカップルでもお一人でも楽しめる実写版の『トムとジェリー』。
是非劇場でご覧下さい!