きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

陰陽師0

平安時代に実在した陰陽師安倍晴明の活躍を描いたベストセラー小説「陰陽師」シリーズを原作に、晴明が陰陽師になる前の物語を、原作者・夢枕獏の全面協力のもと完全オリジナルストーリーで映画化。
呪いや祟りから都を守る陰陽師の学び舎であり行政機関でもある「陰陽寮」が政治の中心となっていた平安時代。青年・安倍晴明は天才と呼ばれるほどの呪術の才能をもっていたが、陰陽師になる意欲も興味もない人嫌いの変わり者だった。ある日、彼は貴族の源博雅から、皇族の徽子女王を襲う怪奇現象の解明を頼まれる。衝突しながらもともに真相を追う晴明と博雅は、ある若者が変死したことをきっかけに、平安京をも巻き込む凶悪な陰謀に巻き込まれていく。
若き日の安倍晴明山崎賢人源博雅染谷将太徽子女王奈緒が演じる。「アンフェア」シリーズの佐藤嗣麻子が監督・脚本を手がけ、作家・加門七海が呪術監修を担当。(映画・comより)

今年は平安時代の映像化というのがトレンドになっている傾向がありますね。それは言うまでもなく紫式部の生涯を追った大河ドラマ『光る君へ』あってではありますが、そして大河ドラマではユースケサンタマリアさんがモデルとなった安倍晴明(はるあきら)という人物を演じていますが、こちらは山崎賢人主演によって陰陽師安倍晴明の若き日を題材にしたこの映画『陰陽師0』が公開となりました。

もっとも安倍晴明といえば一躍陰陽師ブームを呼んだ01年の映画『陰陽師』があり野村萬斎さんによる安倍晴明を覚えている人もいるのではないでしょうか。

さて、今作は『キングダム』シリーズや『ゴールデン・カムイ』での豪快なアクションが記憶に新しい山崎賢人さんが呪術を扱ったアクションを繰り広げるという事でそちらを楽しみに今週月曜日4月29日にMOVIX日吉津にて鑑賞して参りました。

GW前半、映画館はたくさんの人で賑わっている中、今作の人の入りは程よい客席の埋まり具合。比較的落ち着いて鑑賞に臨めました。

さて、今作の冒頭では平安時代における陰陽道についての解説から始まる。大河ドラマの『光る君へ』を見ている人ならばわかりますが、この時代は加持祈祷やまじない、占い、そしてこの呪術というものが身近なものとして存在していました。また、言語だってこんにちのものと異なります。北村一輝さんによって当時の言語での実演が見られますが、しかしそれでは現代でこの映画を見る我々には伝わらないのでと現代の口語に切り替わります。この辺りの細かさは好きですね。

そして山崎賢人演じる安倍晴明が登場してからの庭に居るカエルを使っての呪術の実演。なかなかショッキングな映像…ですが、呪術のからくりが明かされると得られる安心感。この辺の緊張と緩和の生み出し方は映画的にも楽しめました。

その後も彼の呪術を操る場面はCGを駆使しながらの迫力がある映像の数々。正直この辺ってはじめは不安材料としてあったのですが、かなりの高クオリティでした!とりわけ映画後半での壮大なバトルが繰り広げられるパートではこのCGだからこそ表現出来るド派手な映像が画面いっぱいに広がりますのでこれは映画館のスクリーンには非常に映えましたね!そしてエンドクレジットを見て納得したのが、VFXを担当しているのが山崎貴監督作品でお馴染みの白組。なるほどこの高クオリティも納得!

また、呪術を使わないアクション場面でも山崎賢人くんのキレのあるアクションがこれでもかと楽しめます!『キングダム』や『ゴールデンカムイ』で鳴らした身のこなしはさすがだなと思いましたし、今作で注目したいのは平安時代ならではの装束を身に纏っているという事なんですよ。これは『キングダム』や『ゴールデンカムイ』の衣装より明らかに動きにくい事が想像出来るんですよね。しかし、彼はこの重装な装束を着ていても軽々しくジャンプはするわ襲ってくる敵を薙ぎ倒していくわで今の日本の映画界においての彼が如何にアクションを得意としているかが伝わります。それにしても山崎賢人くんと言えば『キングダム』は古代中国、『ゴールデンカムイ』では明治時代そして今作は平安時代とどの時代どの場所に行ってもキレッキレですね。

また、今作は陰陽師による呪術を大々的に見せるファンタジー寄りのアクション映画である一方、バディモノのサスペンスになっていたところも面白くてバディを組むのは染谷将太演じる源博雅という下級の貴族。染谷将太さんと平安時代と言えば08年の『空海』という映画があります。日中合作の大作ですが、真言宗の開祖・弘法大師空海の伝記映画と思ってこの当時見に行きましたが、ところがどっこいの呪術を操るファンタジーアクションだったんですよね(笑)伝記映画としての歴史大作を期待していた僕としては肩透かしを食らった感がありましたが、この『陰陽師』では山崎賢人演じる安倍晴明平安京で起こる怪事件の真相を究明すべく行動を共にしていきます。

また、思いを寄せる奈緒演じるよしこ女王とのラブストーリーも描かれるので、この作品ひとつで様々なジャンルが楽しめます。

それにしてもとにかく映像が美しいです!これは陰陽師×平安時代、更には登場人物の空想や夢の中の世界等如何に幻想的な表現が出せるかというクリエイティブな試みが作品全体に反映されているからこそで監督をはじめとしたチームの高いクリエイティビティを感じる事が出来ます。とりわけよしこ女王の部屋のお花を施したあの色彩美ですね。賛否はあるでしょうが、蜷川実花的な?『ヘルタースケルター』とか『さくらん』とか思い出しましたね。

また、人間特有のドロッとした醜悪さを表すシークエンスも惹きつけるものがありまして、安藤政信演じる陰陽寮の高齢学生(がくしょう)が山道で起こす仲間割れからの殺傷場面などは恐ろしさをうまく引き出していたなと思いましたね。

その一方で感じたのは現実と夢や想像の世界の映像的な線引きが曖昧でわかりづらいというのは感じましたね。もっともこれは僕自身の理解力の乏しさからくるものかもしれませんが。

それ以外に関しては概ね満足出来る内容でしたね。このゴールデンウィーク中、この映画を選択する人がどれほどいるかはわかりませんが、壮大な歴史ファンタジーでしたし、山崎賢人くんのアクションや迫力ある呪術の映像等等見所は満載です。

是非劇場でご覧下さい!