きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

ヲタクに恋は難しい

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隠れ腐女子のOLと重度のゲームオタク(ヲタク)の幼なじみが繰り広げる不器用な恋模様を描き、2018年にはテレビアニメ化もされた人気コミックを実写映画化。高畑充希山崎賢人を主演に、「勇者ヨシヒコ」「銀魂」シリーズの福田雄一監督がメガホンをとった。26歳OLの桃瀬成海は、転職先の会社で幼なじみの二藤宏嵩と再会する。ルックスが良く仕事もできる宏嵩は、実は重度のゲームヲタク。そして成海もまた、マンガやゲーム、コスプレ、そして何よりBLを愛する腐女子だった。周囲にヲタクだとバレる「ヲタバレ」を恐れている成海は、普段は本性を隠している「隠れ腐女子」だったが、ヲタク仲間の宏嵩の前では本当の自分をさらけ出すことができた。やがて、ヲタク同士ならば快適に付き合えるのではないかという宏嵩の提案もあり、2人は付き合うことになるのだが……。
(映画.comより)

福田雄一監督と言えばいわゆる「映画ファン」からは評価の低い監督…なんて冒頭から辛口モードなんですが、いやいや違います。
2017年の夏、当時小学校4年の甥っ子が来た時に『怪盗グルーのミニオン大脱走』と『銀魂』を見に連れて行ったんですよ。
するとめちゃくちゃ喜んで見てたんですが、特に『銀魂』の方を気に入ってました。
で、何が言いたいかというと一緒に見た叔父の僕にあらすじをキャッキャ言いながら語ってくれるんですよね。
何かそういうの俺も記憶にあるぞ~なんて振り返ってみたら自分が子供の頃に流行った志村けんとんねるずのコント番組の放送日翌日クラスの友達に話すあのテンションなんですよ。(アラフォーの皆さん、わかりますよね?)
今ってあの時代の志村けんとんねるず、少し後のダウンタウンウッチャンナンチャンのやってた様なコント番組ってないじゃないですか?
僕自身が最後に見たのって『はねとび』とかですが、あれだってもう10年くらい前ですからね。
で、コント番組に変わる子供たちの視覚的な刺激ってひとつに前述の『怪盗グルー』シリーズや『ミニオンズ』に代表されるイルミネーション・スタジオのアニメであり福田雄一によるとことんまでナンセンスを突き詰めたコメディ映画なのでは?と。
そう考えれば三年前の夏、何の気なしに連れて行った映画は子供のニーズにかなり寄り添ったチョイスだったのかと自己満足に浸るわけです。
つまり高尚な映画を好むいわゆる『映画好き』の評価が厳しいのは無理もない話し…というのかな?
とにかく福田雄一監督作品はごちゃごちゃ考えずに頭を空っぽにして見るべき良い意味でのバカ映画なんですよ。
そしてそんなキング・オブ・バカ映画の福田雄一監督の最新作はヲタクを題材にした漫画原作の『ヲタクに恋は難しい』です。
ヲタク…かつてはネガティブなイメージがつきまとい、敬遠されていました。
私自身、高校時代いわゆるそっち系(笑)のラノベやアニメが好きだったのですが、公言するのがはばかれまるで隠れキリシタンの如く人目を忍びヲタクカルチャーを享受していたものです。
しかし、時代は流れ今やテレビで人気芸能人や美人女優が臆する事なくヲタクをカミングアウトする時代。
いや~、隠れキリシタン時代を経た身としては時代も変わったものだと感じます。

では、本題の映画です。
それがね~何とも評価しづらい問題作なんですよ。
冒頭は佐藤二郎さんの面白アドリブ演技で始まるお馴染みの福田雄一映画。
何だかんだでこういうの皆さんお好きでしょって感じで入れてるんですよね。
で、高畑充希演じる成海と山﨑賢人演じる宏崇によるヲタク同士のラブストーリーを展開していくわけです。
美男美女がヲタクになりぶっ飛んだ演技を見せていく。
でも、これがごめんなさい。僕には合いませんでした。
う~ん、何と言うか山﨑賢人君はまだいいんですよ。
ヲタクと言っても決して口数は多くなく、同じ福田監督の『斉木楠雄のY難』に近いかな。
高畑充希さんがとにかく挙動不審過ぎるんですよ。
好きなものを語る時にヲタ用語連発させながらめっちゃ饒舌になるとかは良いです。
むしろ「あ~、わかるわかるこういう人居る居る」なんて見れるんですが、それ以外の行動がね~挙動不審の余りイライラしてくるんですよ。
で、彼女の演技にとどまらず随所随所に出してくるヲタクってこういう感じだよね感が目に余るんですよ。
ちょうど一年前にヒットした『翔んで埼玉』を思い出してほしい。
あの映画は一見、東京・千葉・神奈川に比べて何もない(と思われる)埼玉をディスりながらも最後は綺麗に着地させてましたよね。
製作者の埼玉への愛やリスペクトを感じる作りでしたよ。
それが、この『ヲタ恋』の場合はディスりにディスったあげく「ヲタクってこんなんだよね~」と嘲笑させるかの様な見せ方。
あるのは愛じゃなくて偏見なんですよね。

それから本作がこれまでの福田監督作品と違う点はミュージカルの手法を取っていた事ですね。
実は僕、和製ミュージカルには否定的に捕らえる所がありまして、日本映画とミュージカルの相性は決して良くはないと思ってるんですよね。
唯一ハマったのは『モテキ』くらいかな~。
でも既存のJ-POPをシチュエーションに合うシーンに組み入れるという手法でミュージカルの定義からは逸れるかもしれませんが。
話しを『ヲタ恋』に戻しますが、こちらは既存の曲ではなくオリジナル楽曲の使用。
いや、それ自体はいいですが、ストーリーと脈絡のない所で急に歌い出すし、とにかく海外のミュージカル映画の様にスマートじゃないんですよね。
事前の情報なしに見ると結構ハードモードですよ。
現に最初の歌唱シーン。
見ていてめっちゃ恥ずかしかったです。
で、『ラ・ラ・ランド』とか『グレイテスト・ショーマン』オマージュみたいなのありましたけど、あれも正直きつかったなぁ…。
特に僕はどちらの作品も大好きですからね。
つい先日、『キャッツ』を取り上げたじゃないですか?
レビューでも語りましたが、僕は好きですが、アメリカでは酷評が悪目立ちしていると。
でもね、アメリカの皆さん、日本のミュージカル映画見て下さい。
『キャッツ』はめちゃくちゃいいミュージカル映画ですよ(笑)
キャストの皆さんの歌はうまいんですよ。
でも歌唱の内容が福田ワールドのギャグだったりするからそれがミュージカルと噛み合わなさすぎてめちゃくちゃスベってる感出てくるんですよね~。

まとめるとヲタクへの愛が見えないからただ嘲笑してるだけに見えて不快
ちぐはぐなミュージカルシーンとウケ狙いの歌詞が曲と噛み合わず寒さを感じる

個人的に『映画ファン』からの評価が低い商業映画監督で言えば山○貴が『ドラクエ』、福田雄一監督にとって本作が代表的問題作って事で決着がついかたかな?