きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

新解釈 三國志

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今日から俺は!!」「勇者ヨシヒコ」「銀魂」シリーズなど数々のコメディ作品を手がける福田雄一監督が、日本でも広く親しまれている中国の「三國志」に独自の解釈を加え、今回が初タッグとなる大泉洋を主演に迎えて描いた歴史エンタテインメント。いまから1800年前、中国大陸では中華統一をめぐって「魏」「蜀」「呉」の三国が群雄割拠していた。そんな世に、民の平穏を願う武将・劉備が立ち上がる。劉備ら各国の武将たちは激動の時代を駆け抜け、やがて魏軍80万と蜀・呉連合軍3万という、圧倒的兵力差が激突する「赤壁の戦い」が巻き起こる。人々を憂い、人望も厚い人物として知られる劉備だが、実は……。劉備を演じる大泉のほか、ムロツヨシ山田孝之佐藤二朗賀来賢人、橋本環奈、山本美月、岩田剛典、渡辺直美小栗旬福田組おなじみの顔ぶれを含めてオールスターキャストが集結。さらに名優・西田敏行が、「三國志」の新解釈を講義する歴史学者蘇我宗光役で福田作品に初出演した。主題歌は福山雅治が担当。
(映画.comより)

今や飛ぶ鳥を落とす勢いのヒットメーカー・福田雄一
今年公開された作品でも『ヲタクに恋は難しい』・『今日から俺は!!劇場版』とヒットさせてきました。
とりわけ今年はコロナによる異常事態が映画界にも襲いかかり春から夏にかけては劇場の休館そして再開後も新作がかからない為、旧作の再上映で繋いでいました。
しかし、『今日から俺は!!劇場版』の上映を皮切りに新作や延期されていた作品も相次いで公開。
再び映画館に人が戻っていきました。
今でこそ『鬼滅の刃』が国内興収最高記録を叩き出す大ヒットとなっていましたが、元々は『今日俺』のヒットがあったからこそであり、まさに映画界の救世主となったのは福田雄一監督なのでありました!
しかし、ヒットメーカーとは得てしてそういうものでしてコアな映画通程娯楽色の強い福田作品を否定する側面があるのも事実。
テレビで見るコントの延長の様なノリを映画で見る必要はあるのか?とかいつも同じ顔触れの内輪ノリの様でサムいとかね。
でもね、小難しい内容のモノばかりでは世の中つまらないですよ。
笑いを全面に出した作品となるとファミリーやカップルにも選択肢としてチョイスされやすい。
世の中の飲食店全てが高級料亭ばかりじゃない様にファーストフードを手軽に楽しめる風潮が映画にあっても良いのではないか。それが私の考えです。

さて、前置きが長くなりましたが、稀代のコメディメーカー・福田雄一三國志を扱う。
個人的な関心度はかなり高く公開直後の週末にMOVIX日吉津にて鑑賞しました。
日曜日という事もあり、かなり入ってましたね。
福田雄一のノリが好きそうな子供や若年層そして普段大河ドラマ等の歴史モノを好みそうなシニア層まで。
男女のバランスも半々くらいの客層でした。

のっけから大泉洋劉備が放つ福田雄一ワールド全開のセリフに笑いを誘われその後も「あ~お馴染みの流れね~」なんて終始ニヤニヤしながら鑑賞。
そして気付けばあっという間に二時間経っておりました。
で、この作品の面白いポイントとしては映画であってドキュメンタリーな所。
というのがNHK等でよく見る歴史系バラエティーをパロディとした様なつくりなんですよね。
西田敏行演じる歴史学者が作品全体のナビゲーターであり、そのテの番組で耳にする様な上品な女性のナレーションを入れ、そして実際に三國志のドラマパートへと導入していく。
そこにまた福田監督の遊び心が出ていて楽しめるんですよ。
金のかかったコント番組みたいな感じ?

なんて言うとこんな声が聞こえてきそうですね。
「だったらテレビでやればいいじゃん!」と。
更に身近に一人はいるであろう三國志大好きな三國志ガチ勢の「三國志をコントみたいにするな!」みたいなね。

そんな皆さん、まぁまぁ熱くならないで!
そもそもこの映画どの層に向けてますか?
そう、福田雄一大好き層とりわけ『銀魂』とか『今日俺!!』なんかでハマったエンタメ大好きな一般層ですよ。
偏見かもしれませんが、その層が例えば横山光輝の『三國志』読みますか?
吉川英治司馬遼太郎読みますか?
予備知識ゼロの状態から『レッドクリフ』の二作見ますか?
その他、三國志の漫画・小説・映画等数多ありますが興味ない人はとことん見ないでしょう。
そう、そこなんですよ!
人に今さら聞けない三國志福田雄一の手によって分かりやすくコメディ映画に落とし込んで理解しやすくしている点に意義があるんですよね。

その点で言うと三谷幸喜の『清須会議』にも共通するものがあります。
で、現に西田さん演じる歴史学者蘇我宗光さんも「これを機に本物の三國志も手に取ってみて下さい」というメッセージもあります。
歴史をポップに学ぶという僕が理想とするエンタメがここには詰まっていますね。

それから古典的な題材を現代風にアレンジしてコメディにするという方向性で言えば昭和前半期における軽演劇のそれに近いものを感じてこれまた私的には好感触でもあります。
例えば西遊記忠臣蔵新撰組鞍馬天狗等々史実に基づきつつも面白おかしく脚色するというのは古くからある手法だしライトな層へ訴求する上では非常に効果的なアプローチだと思います。
これを機に福田監督の『新解釈』シリーズが定番化したら面白いかななんて思ったりもします。

それからキャスト陣が楽しそうですよね。
福田組お馴染みの佐藤二郎・ムロツヨシ賀来賢人・橋本環奈は元より小栗旬山田孝之山本美月等々過去の福田作品にも出てた面々。
でも何気に渡辺直美さんがめっちゃパンチが効いてましたね。
そしてシークレットキャストの無駄遣いっぷりもインパクト大でした!

間違いなく年末年始に楽しめる作品かと思います!
家族揃っての鑑賞にオススメです!