きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

孤狼の血 LEVEL2

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柚月裕子の小説を原作に、広島の架空都市を舞台に警察とやくざの攻防戦を過激に描いて評判を呼んだ、白石和彌監督による「孤狼の血」の続編。前作で新人刑事として登場した松坂桃李演じる日岡秀一を主人公に、3年後の呉原を舞台にした物語が完全オリジナルストーリーで展開する。3年前に暴力組織の抗争に巻き込まれて殺害された、伝説のマル暴刑事・大上の跡を継ぎ、広島の裏社会を治める刑事・日岡。権力を用い、裏の社会を取り仕切る日岡に立ちはだかったのは、上林組組長・上林成浩だった。悪魔のような上林によって、呉原の危うい秩序が崩れていく。日岡役を松坂、上林役を鈴木亮平が演じ、吉田鋼太郎村上虹郎西野七瀬中村梅雀滝藤賢一中村獅童斎藤工らが脇を固める。前作に続き、白石和彌監督がメガホンを取った。

(映画.comより)

2018年の話題作『孤狼の血』が帰ってきました!正直、僕はその報を耳にした時どれだけ嬉しかった事か。この番組が始まったのは2019年の4月から。で、この「シネマ放談」自体はそれ以前はFMいずもの自分の担当番組内でしておりました。(今年3月のDARAZ FM放送開始からお付き合い頂いてる方もいるので念の為。)で、前作は2018年5月当時、私は大絶賛致しました。元々アウトローとかバイオレンス系が好きというのもありますが、本作の場合、まず地上波での放送は意識していないであろうコンプライアンスなんてものを徹底的にぶち壊し、人間が渇望する露悪的な映像表現を徹底的に見せつけ見た人の脳裏に焼き印を入れるかの如く刻みつける。こんな刺激的な作品に出会った私は続編の製作を大いに期待しました。しかし、興行的に大ヒットとはいかなかったですし、続編は難しいかなと思っでいただけにこれは嬉しかった!でも日本アカデミーでも高い評価があったわけですし、当然と言えば当然かな?そして新作にもドップリと魅了された私は既に三回程鑑賞しております。尚、念の為にお伝えします。私はヤクザとか反社を肯定するつもりはありません。いわゆるヤクザを題材にした映画は社会的な問題を提起した作品が多くその点を評価した上での評論とお伝えしておきます。

さて、孤狼の血大ファンのワタクシ、当然公開直後に見に行っております。で、そんな私の見る前の率直な思いとしては前作で殉職した大上。役所広司が演じたあの野性味溢れるキャラクターが忘れられないのですが、彼に変わって前作ではルーキーだった松坂桃李演じる日岡がどんな味を醸し出してくれるのだろう。そして新たにキャスティングされた鈴木亮平演じる上林の存在が気になっていました。

本作を見た上での率直な感想を言えば放送コードに引っかかるフレーズのオンパレードになるのではないでしょうか。それくらい表現するのが憚れる映像に満ち溢れています。しかし、言葉に配慮しながら伝えるのは私の使命。決して不快にならない様に表現していきます。

コンプライアンスが問われる現代において映像的表現の限界が一昔前よりかなりハードルが高くなったと思います。例えば直接的な性表現、過激な暴力や虐待シーン、あからさまな差別表現等です。しかし、本作においてはその概念は全く通用しません。もちろん前作もそうでしたが、本作はそれを凌駕する様な場面が全編に渡って盛り込まれています。故に万人には勧められない見る人を選ぶ作品であるのは間違いありません。僕なんかはかなりグロには耐性のある方だとは思いますが、上林が出所早々に起こしたピアノ講師の殺害シーンはそんな僕でも目を背けてしまいました。これは割と序盤の方に出てくるのですが、ここで脱落する人がいてもおかしくありません。ただここがかなり重要でしてその後暴かれていく上林というキャラクターのサイコパスぶりを示した最初のシーンなんですよね。つまりはこの凶悪性こそが上林の性質を決定づける部分であり、そこを中心にこの映画が展開されていくのです。

その後も組長夫妻を檻に監禁し、鎖で首を締め付けるそして挙句に焼殺する等等凶悪事件の判決に関心の高い僕から見ても極刑以外考えられない凶行を次々と犯していきます。本作のパンフレットでキャストのインタビューがありましたが、鈴木亮平さんは役に入り込んでいく反面、人間・鈴木亮平は精神的におかしくなりそうだったと語っていました。つまりそれくらい鈴木亮平さんの役者としての入り込みその結果、近年の日本映画有数の怪演を見せたという事ですよね。

また、そんな上林の生い立ちを見せるシーン。原爆ドームの見える薄暗いアパートでの少年時代。これまた実際の凶悪事件の犯人の生い立ちを調べる事に関心の高い私としては非常にリアリティのあるシーンだと感じ、何とも言えない絶望感にさいなまれましたね。いわゆる凶悪犯の生い立ちって多くが幼い頃に虐待を受けたりいじめを受けていたりという闇があります。上林もまた父親からの虐待があり、それがやがてとんでもないモンスターを生んでしまう事になる。その辺りが非常に説得力ある形で伝わりました。

と、ここまで上林の事を中心に見てきましたが、主人公である日岡です。前作は大上というマル暴刑事のボスがいたわけですが、まだまだ青臭い新米刑事でした。しかし、あれから数年。すっかり逞しくなった彼は上林と対峙していく事になります。その過程で老刑事の瀬島(中村梅雀)と組んで事件の捜査に当たりますが、少々独善的ではあるものの、刑事としての成長を感じさせる様にキビキビと動きます。そして上林との対決は見せてくれました!ド派手なカーアクションを含めてエンタメ性を追求しながらも二人の男のドラマを映し出す。いわゆるアウトロー系では暴力を全面に出しつつも、最終的にはそれが如何に虚しいものであるのか暴力や破壊を徹底して否定する帰結点というのはどんな作品であれ、共通しているものですが、本作でも当然その辺りは描かれます。そしてその見せ方だって生々しい。

他にも語りたい事は尽きないのですが、残念ながらそろそろお時間の様です。何度も言う様に見る人を選ぶ作品ですが、古き良きヤクザ映画にインスパイアされ、人間の泥臭さや醜さ、しかしそのどれもに魅せられる現代の日本映画では稀有な作品かと思います!

強くオススメします!

ザ・スーサイド・スクワッド"極'悪党、集結


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バットマン」や「スーパーマン」を生んだDCコミックスに登場する悪役たちがチームを組んで戦う姿を描いたアクションエンタテインメント。デビッド・エアー監督により映画化された「スーサイド・スクワッド」を、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズで大きな成功を収めたジャームズ・ガン監督が新たに描く。ジョーカーと別れて彼氏募集中の身になり、ますますクレイジーになったハーレイ・クインを筆頭に、最強スナイパーのブラッドスポート、虹色のスーツに身を包んだ陰キャポルカドットマン、平和のためには暴力もいとわないという矛盾な生き様のピース・メイカー、ネズミを操って戦うラットキャッチャー2、そして食欲以外に興味のないキング・シャークという、いずれも強烈な個性をもった悪党たちが、減刑と引き換えに、危険な独裁国家から世界を救うという決死のミッションに挑む。出演は、前作に続いてハーレイ・クイン役を演じるマーゴット・ロビーほか、イドリス・エルバジョン・シナジョエル・キナマンら。サメの姿をしたキャラクター、キング・シャークの声をシルベスター・スタローンが担当した。

(映画.comより)

2016年にヒットした前作の『スーサイド・スクワッド』。個人的には好きだったのですが、いわゆるコアな映画ファンになる程辛口で語られていた記憶げあります。悪役大集合という触れ込みは良かったけど、映画としてのまとまりがなかったりとか色々言われてましたっけ…。ただ、マーゴット・ロビーが演じたハーレイクインは好評でその後彼女をメインに据えた『ハーレイクインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PRAY』が公開されたのも記憶に新しいところ。コロナ禍で全国的に映画館が休業に追い込まれていく昨年春に公開された事もあり、興行的には淋しい結果で終わってしまいましたが、個人的にはかなり楽しませて頂きました!

そしてこの『スースク』ですよ。正直キャストのクレジットにウィルスミスの名前がなかったり、ジョーカーも登場しない辺りに一抹の不安もありましたが、その心配は全くの杞憂で終わりましたね。まず、冒頭のシーンからエグい!まさかの小鳥の〇〇が画面に無惨にも映し出され、映画は始まっていく。ならず者達が集められ、世界の危機を救うという前作同様のわかりやすいストーリーではあるものの、前半部分から早くもグロのオンパレードです。比較的重要なチームのキャラクターも敵の傭兵もとにかく死ぬ死ぬ死ぬ!血しぶきと肉片や焼殺等バンバン出てきます!…なんて明るく言いましたが、決して私、サイコパスではありませんからね(笑)ちなみにこの前半部のみならず全体的に死の扱いがかなり荒いです。R15指定なのも納得です。

更にはWarner brothers presentsを血文字で書いてしまう悪趣味極まりないタイトルクレジットの表記。これはなかなか良いアイデアでしたが、後がよくなかった…後ほどお話ししますね。そして寄せ集められたキャラクター達も皆一癖も二癖もある様な濃い悪人ばかりなんですよ。だけど決して憎めないヤツらばかり!各キャラクターにも悪に手を染める事になった背景があり、その辺りもストーリーに織り込みながら、不謹慎でおバカなグロエンターテイメントが展開されていきます!中でもサメと人間のハーフであるシャークは愛らしかったですね。基本言語はあまり喋れないんだけどどこかマスコット的な存在でチームの一員として溶け込んでいて。ともすれば可愛くも見えるんだけどいざ戦闘となると容赦ない。人を丸々口に入れ、噛み砕くは人間を真っ二つに裂くわ、まぁそれが面白かったんだけど(笑)そんなシャークの声がジルベスター・スタローンだったなんて!驚きです。

そしてハーレイクインはやっぱり華がありますねぇ!『ハーレイクインの華麗なる覚醒』の時なんかは悪役という概念はどこへやら、もはや闘うヒロインそのものだったんだけど本作でのハーレイクインはとにかく可愛いんだけどアクティブでカッコいい!マーゴット・ロビーの身体能力の高さを窺わせるアクロバティックなアクションシーンはとにかく圧巻でした!

更に本作のハイライトシーンは何と!怪獣映画へと変貌するところ!詳しくは言えませんが、ヒトデ型の巨大怪獣が暴れ回り街を破壊し、人にも危害を加えます。ゴジラ顔負けのヒトデ怪獣とタスクフォースの面々による熱いバトルは楽しいの一言。更にその怪獣の目が液体状で飛び込めばまるでプールの中にいるかの様に泳げてしまうというあの作りは笑えましたね。

と、この様にグロいんだけど良い意味でのおバカっぷりがたまらない本作ですが、気になる点も少々ありまして…。

まず、前述の様に血で文字を出す等の手法は斬新でした!しかしこの文字表記での遊びが少々くどいと感じてしまいましたね。時間軸の変化や場面転換等ところどころで文字の表記ぐあるんですよ。それ自体は別にいいんですけど、血文字で気分良くしたのかその後も事ある毎に煙を使ったりなどなどありとあらゆる手法で文字を映し出すんですよね。はじめはいいんですけど、何度もされると「あ〜、今度はこんな感じね。わかったはい、すごいすご〜い」みたいな口には出さないけどそんなリアクションになっちゃうんだよね。少々遊び過ぎでそれが結局くどくなっちゃいましたかね。

それから時間軸の話しが出たので突っ込んでおくとやたら劇中で時間が変わり過ぎなんですよ。それが何とも落ち着かなさを与えてしまったというかともすればストーリーを分かりにくくしてしまった感が否めないですね。

なんて多少は不満もありますが、全体的には満足度かなり高いです!グロい描写が苦手な人には決してオススメしめせんが、B級臭いおバカなノリを楽しめる方にはとにかくオススメです!

是非劇場でご覧下さい!

ちなみにワタクシ、本作のポスターイラスト70'sっぽくて大好きです!


ワイルド・スピード ジェットブレイク


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メガヒットカーアクション「ワイルド・スピード」シリーズの第9作。ドミニクはパートナーのレティや幼い息子ブライアンと3人で平穏な日々を過ごしていたが、否応なく自身の過去の罪と向き合うことに。ドミニクの実の弟ジェイコブの存在が初めて明かされ、その因果はファミリーを窮地に追い込んでいく。ファミリーは世界を揺るがす陰謀を阻止するため、凄腕の殺し屋で超一流の運転技術を持つジェイコブとの戦いに身を投じる。ビン・ディーゼルミシェル・ロドリゲス、タイリース・ギブソンらおなじみのメンバーに加え、「ワイルド・スピード ICE BREAK」に登場したシャーリーズ・セロン扮する悪役サイファーや、サン・カンが演じるハンも再登場。さらに新たな敵となるドミニクの弟ジェイコブ役でジョン・シナが参戦。監督には、シリーズ第3作から第6作を手がけたジャスティン・リンが復帰した。

(映画.comより)

世界中のパリピに愛されて20年。ワイルドスピードの最新作が遂に登場しました。…なんて陰キャな俺が言うとめちゃくちゃ皮肉っぽい感じがするんですが、すいません。正直言うと以前の僕はワイスピをめっちゃ偏見持って穿った見方をしてました。ところが前作の『ワイルド.スピード アイスブレイク』を見てから印象が変わりまして、いや確かに陽キャ向けなヒャッハー映画なんですよ、でも陰キャが見ても全然楽しめる!…というのがただのカーアクション映画じゃないんですよね。とにかく既存の枠に捉われない「何、ここまでやるか?」なんてとにかく手に汗握りながらエキサイトさせてくれ、以来過去作もしっかりチェックしワイスピの面白さをしかと感じたものです。そんなワイスピも残り二作で完結と発表され、これは世界中のワイスピファンもショックを受けている事でしょう。だからこそ今回の新作にも並々ならぬ期待がかけられた事は想像に固くなく。

で、ですよ。私も見てきたわけですが、本作はまずストーリーにも力が入っているなと感じました。過去作がストーリーおざなりと言ってるわけではなく、本作は何と言ってもドミニクの過去が深掘りされている辺り興味深いです。彼は仲間達をファミリーと称して共に戦いそしてバーベキューを楽しむ日本で言えば『ONE PIECE』的なイメージがありますが、(その、辺りがパリピ受けするんだろうな.笑)彼が何故ファミリーに思いを寄せるのかを紐解く生い立ちをクローズアップしていきます。それは30年前にレーサーであった父を事故で失い、また弟との確執があったりと。ちょうど20年前のワイスピ1作目にドミニクが口頭で語る場面があるのですが、それを映像で見せる事でよりリアルに伝えているわけですね。そしてこの弟こそが本作では敵として立ちはだかるわけですが、この因縁があるからこそより見ていて説得力があるんですよ。本作でメガホンを取ったジャスティン.リン監督は3作目から6作目を担当していたいわばワイルドシリーズを盛り立てた最重要人物でもあるわけですが、そんな彼だからこそこれまで断片的に示されていたドミニクの生い立ちを敢えてここで可視化してみたのかもしれませんね。

そして何と言ってもワイスピの楽しさはそんな小難しさはそこそこに世界中で繰り広げるあの豪快無双を絵に描いたようなカーアクションにあるのではないでしょうか?これは本作でももちろん健在ですよ!映画開始早々の段階では件のドミニクエピソードを重点的に映し出す為、1989年のシーンから始まります。その後、現在のシーンへと変わるのですが、割と早い段階から白熱するカーアクションが登場!まるで車を使ったぶっ飛び大サーカスかの様なファンタスティックなカーエンターテイメントが楽しめる!そして『ミッションインポッシブル』のトムクルーズ顔負けの脱出劇もあったりで。

他にも市街地を大型トレーラーで大爆走!街のあらゆる物がなぎ倒されていくのですが、これを運転してるのは女性、しかも彼女は運転免許のない無免許ドライバー!…なんて言葉はないか(笑)思わず「良い子は絶対マネするなよ」なんて夏休み中で映画を見ている子供達に言いたくなりましたけど、でもこれって映画という非現実空間の中で見るとめちゃくちゃ楽しいんですよ。てか、そもそも車の運転が出来ないキャラに運転させんなよ…まぁ、運転せざるを得ない状況だったんですよね。詳しくは劇中で。

そして本作最大のおバカポイントそれはサブタイトルの「ジェットブレイク」にあり!何とワイルド、宇宙へ行く!なのです。「えっ、どういう事?」…だから!宇宙へ行くんですって!

これまでの何でもありの精神で車を使ったあらゆる可能性を示してきた『ワイルドスピード』。ワイスピにかかれば車で出来ない事はない。とばかりに色々試してきたのですが、遂に宇宙です…。しかもこれドミニクではなく、イケメンキャラでもないコメディリリーフの二人が行くからこそたまんなく面白いんですよね(笑)ワイスピは良い意味でのおバカ映画なんですが、コメディではない。だけどこの辺りは完全にコメディでしたね。

更にあります!これはシリーズの過去作を見た人にはアツい!アイツが帰ってきた〜という展開。既に死亡していたとされる人気キャラが復活。更にはラストの方でも次作を匂わすシーンが登場してましたね。尚、そのラストシーンですが、やはりファミリーでバーベキューをしてました(笑)「よっ、パリピ!」と冷やかしたい半分ちょっとした場面も見逃せなかったりします。

そんなワイスピ最新作。これまでシリーズ未見という方はとにかくド派手なカーアクションを楽しんで頂き、これをきっかけに過去作へ触れて頂きたいし、ワイルドファンは本作も間違いなく楽しめる内容ではないかと思います。

是非劇場でご覧下さい!


僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールドヒーローズミッション

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週刊少年ジャンプ」連載の同名コミックを原作とする人気アニメ「僕のヒーローアカデミア」の劇場版第3弾。原作者の堀越耕平が総監修を務め、全世界を舞台にした壮大なオリジナルストーリーで描く。世代を経るごとに混ざり合う“個性”が人類を終焉に導くとする思想「個性終末論」を掲げる謎の集団「ヒューマライズ」。世界中の個性保持者の殲滅をもくろむ彼らは、個性を強制的に暴走させ崩壊へと導く「個性因子誘発爆弾」を世界各地に仕掛ける。全世界のプロヒーローと彼らのもとでインターン中だった雄英高校ヒーロー科が招集され、各地で爆弾の回収任務にあたることに。エンデヴァー事務所でインターン中だった出久・爆豪・轟の3人も、日本から遠く離れた国オセオンへ向かうが、任務中に事件に巻き込まれた出久が指名手配されてしまう。タイムリミットが迫る中、世界を救うべく奔走する出久たちだったが……。

(映画.comより)

私のヒロアカ初体験!はい、そうです実は今回が原作.アニメ.劇場版全てを通して初のヒロアカ鑑賞でした。というのも最近俄然と熱が高まっているという事でとりあえずチェックしておこうと仄かな興味が湧き上がり、鑑賞する事に致しました!鑑賞にあたってはエフエムいずもパーソナリティぴよちゃんと番組でご一緒した時に手解きを受け、見てまいりました!その上で今回のレビューは「ヒロアカ気になってるけどこれまで見た事ないし、大丈夫かな?」そんな不安をお抱えの皆さんに向けてお送りします。なのでヒロアカガチ勢な皆さん、手厳しいツッコミはなしてどうか寛容に受け止めて頂けたら幸いです。

まず、ヒロアカ初心者の僕が見て感じた事。それは作画のクオリティがめちゃくちゃ高いという事です。『ONE PIECE』や『鬼滅の刃』等週刊少年ジャンプ連載漫画の人気作の劇場版といえばこれまでにも数多くの作品が大ヒットとなってきましたが、共通してその作画の美しさというものがありました。そしてこれはやはりヒロアカでも、同様で圧倒的な作画クオリティで感嘆した次第です。とりわけバトルシーンにおけるそれは前述の作品に比肩するそれどころか近年のアニメ映画の中でもトップクラスと言えるかもしれません。

次にヒロアカと言えば海外とりわけアメリカでの人気が非常に高いという事ですが、それも理解出来ましたね。特に感じたのがヒーローの共闘という部分でした。…なんて言えば『ジャンプ』の王道マンガって基本共闘シーンがあるじゃない?なんて聞こえてきそうですが、ヒロアカの場合これがまた違うんですよ。とにかくダイナミックでそれでいて洗練されている。あくまで私見ですが、日本のアクション系アニメよりMCU等のアメコミに近いなと思いました。『アベンジャーズ』等をイメージすると良いかな?東洋的なヒーローのスタイルよりもハリウッド寄りな感じ?アメリカ人のハートをキャッチするのも納得しましたね。実際数年前に『アベンジャーズ』とのコラボもありましたもんね。

それから本作で描かれるテーマというか更に言えばイデオロギーの提唱がハッキリしていて良かったです。それは個性についてですね。それはヴィランの掲げた個性終末論なる陰謀。多様化が叫ばれる時代にあって個性のある人が魅力的ともされる風潮があります。もちろん彼の言う個性とはヒーローとしての特性を意味するわけですが、現実世界に置き換えた時の個性の強要に対して異を唱えている様であり、彼等の思想は極端ではあるものの、一定の理解は出来るし、それを考えるきっかけにもなりそう。また、主人公の出久やオリジナルキャラクターのロディにとってのヒーローに対する定義の打ち出し方も目をひきましたね。まず、出久にとっては師匠であるオールマイトのそしてロディにとっては亡き父のと言った具合にわかりやすいモデルがあるんですね。そんな理想の存在と自分を比した上でのヒーロー像の模索が彼らが闘う中で描かれていたのが何とも印象深かったです。思えばジャンプ系のヒーロー漫画ではこの様にただバトルを見せるだけでなく、そこに内包されたテーマを読み取る事も魅力としてあるわけです。このヒロアカでもそれが踏襲されており、それが確実に心へ訴えかけてきます。

そして本作のゲスト声優である吉沢亮さんの演技が非常に光っていましたね。人気アニメに芸能人を声優として起用する事はこれまでにも数々の例がありました。良くも悪くも話題にはなりますが、良い場合はそのキャストの評価が上がり、悪い場合は目も当てられない結果になってしまう。そしてその悪い例は枚挙にいとまがないわけでして。(もちろん作品名な誰とかは言いませんよ)しかし、本作においての吉沢亮さんは本職の声優さんと比較しても、決して遜色はないし、吉沢さんと知らずに見たら声優さんと信じる程の名演技ですよ。さすがは大河俳優!一方、吉沢さんが演じたロディの魂として行動を共にする鳥型の小型生物ピノの声を担当していたのは林原めぐみさん。言わずと知れた綾波レイや灰原愛でお馴染みの大物声優さんですが、あくまで鳥っぽい生物なのでセリフらしいセリフがないんですよ。鳴き声だけ。そんな鳴き声の為に林原さんを起用するぜいたくさ(笑)更にその鳴き声だけで感情をはっきりと伝える演技力はさすがだなと思いました。

さて、私冒頭でヒロアカ初心者向けのレビューである事をお伝えしました。そんな初心者の皆さんにとって原作やアニメ、過去の劇場版等を見なくても楽しめるか?という疑問があるかと思います。その答えですが、全く問題ありません。それは初見が見ても分かりやすいストーリー展開というのもありますし、前述の様な深いテーマやメッセージ性等ふんだんに魅力が詰まっておりまして、何だったらこれを契機に過去作を見たくなるそんな入門編としてもオススメな一本です!

事実私は早速本作鑑賞後に過去作を見ちゃいました。オススメです!


映画クレヨンしんちゃん 謎メキ! 花の天カス学園

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人気長寿アニメ「クレヨンしんちゃん」の劇場版29作目。シリーズで初めて学園ミステリーの要素を取り入れ、しんのすけたちが体験入学で訪れたエリート学校で、謎の怪事件に巻き込まれていく姿を描く。風間くんの誘いで全寮制の超エリート校「私立天下統一カスカベ学園」(通称:天カス学園)に1週間、体験入学することになったしんのすけたち。体験入学で良い成績を収めれば正式に入学できると聞いた風間くんは、みんなで一緒に天カス学園に入学することを夢見る。しかし、その風間くんが、お尻に奇妙な噛み跡をつけられた姿で倒れているところを発見される事件が発生。さらには、カスカベ防衛隊で一番のエリートのはずの風間くんが、目を覚ますとおバカになっていた。この事件を解決するため、しんのすけたちは、天カス学園の落ちこぼれ生徒会長・阿月チシオとともに「カスカベ探偵倶楽部」を結成。学園内に残されたメッセージと目撃証言から容疑者が浮かび上がるが……。監督は「クレヨンしんちゃん」のテレビシリーズや劇場版を多数手がける高橋渉。脚本も同じく「クレヨンしんちゃん」シリーズに多く関わる、うえのきみこ。(映画.comより)

毎年恒例の『映画クレヨンしんちゃん』シリーズ。例年であれば4月のゴールデンウィーク前に公開されるのですが、ここ二年は新型コロナの影響により、このルーティンが崩れてしまっています。昨年は9月に公開。そして今年は夏休み中の7月末公開といった具合に公開日の変更を余儀なくされています。今年に関しては同じテレビ朝日系の『ドラえもん』が一年延期を発表した事もあっての夏公開なのかな?なんて思っています。

それにしても毎年番組では『クレヨンしんちゃん』を紹介していますが、例年僕の琴線に触れる様な感動的な内容で悪く言った事はありません。それはつまり、子供向けではあっても決して大人を無視しない作り込んだ脚本や演出また昨今の大人からの高い支持を得る高クオリティなアニメーション映画にひけを取らない様な製作手法総じて高いエンターテイメント性の追求という所に帰結するのかなと僕は思っています。

そして今回も期待を胸に8月のファーストデイに松江東宝5で観賞して参りました。日曜日という事もあり、ファミリーの客層が目立つものの、僕みたいな大人のぼっち観賞や友人同士やカップル等前回紹介した『竜とそばかすの姫』同様幅広い客層が劇場に居り、しんちゃん人気の高さを窺わせました。

さて、本作の舞台は学園。そもそも『クレヨンしんちゃん』って幼稚園児のギャグストーリーです。しんちゃん達カスカベのお馴染みメンバー達の学園モノって設定上は考えられないわけじゃないですか?しかし本作においては「あっ、このテがあったか!」とばかりに学園ドラマを作りあげちゃったんですね。

で、しんちゃんの学園モノというかなりぶっ飛んだ内容を作ったわけだからあれやこれやと遊び心満載に詰め込んじゃうんですよ。ボーちゃんは年上の女の子に恋しちゃうし、マサオくんは不良になる。ヤンキーとか恋愛ってこれ学園モノの王道じゃないですか?そしてこれは予告でもよく目にしましたが、風間クンがおバカになってしまう。風間クンと言えば幼稚園児らしからぬ利発的なキャラクターで暴走するしんちゃんのツッコミ役であり、カスカベ防衛隊のリーダー的存在。おバカとは程遠いイメージですが、そんな彼がぶっ壊れてしまうんです(笑)これってかなりはっちゃけた設定ですよね!そして本作最大のチェックポイントとしてはまさかの本格的推理サスペンス要素!ネネちゃんを中心にカスカベ探偵倶楽部が謎解きに挑戦するのですが、これがとにかく見ていて面白い!

ヤンキー、恋愛、ギャグ、サスペンスと詰め込むだけ詰め込んでるんだけどかといって決して散漫になるわけではない。何気に挑戦的だなと感じたのがサスペンス要素ですよ!だって元々は4月公開だったんですよ!同時期にいつもひとつの真実を暴き出す見た目は子供頭脳は大人のあの名探偵シリーズがあるわけじゃないですか!しかし、本作ではそれも当然考慮しつつも推理サスペンスを取り入れたその攻めの姿勢があるわけでして、しかも一定以上のクオリティを展開していた、そこはかなり評価出来るのではないでしょうか?

と、これだけでも十分以上の楽しさは保証出来るのですが、『クレしん』映画最大の見所といえば泣き要素ですよ!思えば去年の『ラクガキングダム』も僕はとにかく胸を打たれまして結局三回程見に行きました!今年は、というと。後半にたたみかけるかの様に展開される怒涛の感動祭り!そして本作のポイントは誰も不幸にならないという点なんですよね。『ONE PIECE』の原作者の尾田栄一郎先生はかつてお話しされてました。それは人間の感情に訴えかけるには誰かの死を見せる事。しかし、敢えてその方法は選択せずに人間達の熱いドラマで感情を揺さぶりたいと。そう、まさにそれなんですよね!本作ではまさに人間の熱さが詰まっていましてそれにより感情が高まっていきます。かつて陸上選手として期待されていた少女がコンプレックスを抱え、走る事をやめていた。しかしそんな彼女がその殻を打ち破り再び走り出した。どんなに人に笑われようと馬鹿にされようと彼女は走る!その姿は何よりも美しく、彼女の想いはスクリーン越しに見ている人にも伝わってくる。「何て美しいんだ!何てカッコいいんだ!」それを見た僕はたまらず目から溢れる涙を拭きながら見入っておりました!オリンピックで数々のアスリートの皆さんに感動をもらった人は多いハズです!中島みゆきの名曲『ファイト!』の歌詞ではありませんが、頑張る人は笑われるだけど笑ってる奴って結局自分では何にも出来ないんだよね!本作の後半に打ち出されたこの普遍的なテーマを目に焼き付け僕は気持ちよく劇場を後にしました!

シリーズ史上の最高傑作かもしれません!是非劇場でご覧下さい!

オススメです!

竜とそばかすの姫

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解説

サマーウォーズ」「未来のミライ」の細田守監督が、超巨大インターネット空間の仮想世界を舞台に少女の成長を描いたオリジナル長編アニメーション。高知県の自然豊かな田舎町。17歳の女子高生すずは幼い頃に母を事故で亡くし、父と2人で暮らしている。母と一緒に歌うことが大好きだった彼女は、母の死をきっかけに歌うことができなくなり、現実の世界に心を閉ざすようになっていた。ある日、友人に誘われ全世界で50億人以上が集う仮想世界「U(ユー)」に参加することになったすずは、「ベル」というアバターで「U」の世界に足を踏み入れる。仮想世界では自然と歌うことができ、自作の歌を披露するうちにベルは世界中から注目される存在となっていく。そんな彼女の前に、 「U」の世界で恐れられている竜の姿をした謎の存在が現れる。主人公すず/ベル役はシンガーソングライターとして活動する中村佳穂が務め、劇中歌の歌唱や一部作詞等も務めた。謎の存在「竜」の声は佐藤健が務めた。ベルのデザインを「アナと雪の女王」のジン・キムが担当するなど、海外のクリエイターも参加している。(映画.comより)

未来のミライ』以来三年振りの細田守監督の新作です。夏休み中と相まって現在大ヒット中!興行収入も順調に上がっています。しかし、思い出して頂きたい。個人的には好きな作品でしたが、『未来のミライ』は興行的にも過去数作の細田守作品の中でも伸び悩みいわゆるコアな映画ファンから厳しい意見が飛び交っていた事を。ポスト宮崎駿という観点ではここ数年で大躍進した新海誠の存在もあり、細田守さんの存在が失礼ながらやや地味な感がありました。そこにきて『未来のミライ』の失敗(敢えてそう言わせて頂く)が重ねての失礼を承知で言えば尾を引いてやしないか気掛かりだったのが本作鑑賞前の私の率直な印象としてありました。

しかし、如何に自分が余計なお世話であったかを鑑賞後に突きつけられましたね。

自分の趣向はそこそこに徹底してエンタメに振り切りそれが結果的に良い意味で細田作品らしからぬ至高の映像表現を見せておりました。

インターネット上のヴァーチャル世界を具現化したという意味では『シュガーラッシュ』の美人歌姫とワイルドな竜の遭遇という意味では『美女と野獣』の高知県の地方都市と東京を結ぶボーイミーツガールものとしては『君の名は。』のそれぞれの良い部分を吸収した上で細田監督流にブラッシュアップし、結果それがスクリーンに見事に映える作品に仕上げてきたなというのが僕の印象です。

ヴァーチャル上の美人歌姫の正体が実は地方在住のそばかすいっぱいの地味な女の子。この普段はパッとしないけど実は…みたいな静かなるドンパターンってさして目新しいわけではありませんし、それどころか手垢つきまくりのベッタベタな王道パターンでもあると思うんですよ。でもポイントって実はここではなくて、地方という所なんですよね。ネット世界のサイバーな映像が非常にソリッドでキラキラしている。それと対比してすずが暮らす町は時間もゆったりと流れていて町の人も穏やか。学校内では今日も憧れの男子生徒についての噂話に華が咲いたりのどかで自然豊かな風土の中で生徒達が部活に汗を流していたり。地方の高校の日常風景があるからこそサイバーなネット空間が際立つし、高知県の町の光景が美しい。これ、実際に細田監督は高知まで足を運んだんだろうけど、今頃高知県はこの映画で盛り上がってんだろうな!山陰を舞台に誰かこういうアニメ映画作ってくんないかな〜、ねぇ細田さん新海さん!…と僕の声が届くとは思わないけど地域活性でアニメ映画を誘致する自治体が多いのも頷けますね。

で、本作最大の魅力といえばこれが音楽なんですよ!前述の様にベルがネットのヴァーチャル空間に存在を現し、メインテーマの『U』を歌うシーンは圧巻です!歌姫降臨!このシーンを見たら鳥肌必至とお伝えしておきましょう!シンガーソングライターの中村佳穂さんをすず/ベル役にキャスティングしているからの芸当とも言えますが、これが功を奏しまくりでして、ここ近年の細田監督最大のグッジョブだったのじゃないかな…なんて言えばそれ以外はどうなんだ?とご指摘ありそうですが、いやいやその他の事も踏まえた上で言ってるんですよ。でもね〜、考えてみたら細田作品でここまで音楽に注力した作品って今までなかったんじゃないですか?いや、もちろん各作品には主題歌があっていずれも著名なアーティストが手掛けてきましたよ。ミスチルとか山下達郎さんとかね。しかし、音楽そのものを大々的にフィーチャーしてそれを見せ場として用意した作品は今回が初ですよね!しかもビッグネームの大御所アーティストではなく若い才能に託しそれを劇中に大スクリーンで表現してもらいそれが最高のパフォーマンスとなっている辺り純粋に映画ファンとして音楽ファンとしてそしてこれらを紹介するDJとしては喜ばしい限りです!

また、究極のエンターテイメント作品としてとことんまで楽しませてくれる一方、メッセージも織り込んでいました。それは竜という驚異的な存在を受け入れる多様性の尊重であり、また児童虐待という悲しい現実をピックアップした所ですね。詳しくは言えませんが、劇中に登場するある少年の父親による虐待シーン。細田守監督のアニメーション作品ですから、残虐さには確かに欠けましたが、しかし確実にこの世のどこかで起きてる悲劇を確実に捉えてました。毒親による虐待なんて決して許されざる事ですが、彼らの置かれた絶望的な境遇は伝わりましたし、見た人はそこから目を逸らさずに思考を巡らせてほしい。そんな光景でした。

さぁ、夏休みはまだまだ続きます!細田守監督の新規軸とも言えるファンタジー大作を是非お子さんと体感して下さい!オススメです!

東京リベンジャーズ

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北村匠海が主演を務め、山田裕貴杉野遥亮今田美桜間宮祥太朗吉沢亮ら豪華若手俳優の共演で、和久井健の人気コミック「東京卍リベンジャーズ」を実写映画化。ダメフリーターの花垣武道は、ヤンキーだった学生時代に付き合っていた人生唯一の彼女・橘ヒナタと彼女の弟・ナオトが、関東最凶の組織・東京卍曾に殺されたことをニュースで知る。その翌日、駅のホームで何者かに背中を押され線路に転落したタケミチは、不良学生だった10年前にタイムスリップする。過去の世界でタケミチがナオトに「10年後ヒナタは殺される」と伝えたことにより未来は変化。現代に戻ったタケミチは、死の運命から逃れ刑事になっていたナオトと出会う。刑事になったナオトから「10年前に戻り、東京卍曾を潰せばヒナタを助けられる。力を貸して欲しい」と言われ……。監督は「映像研には手を出すな!」「ぐらんぶる」の英勉。     (映画.comより)

原作そしてアニメが大ヒットしている『東京リベンジャーズ』。それを受けての実写映画化という事で私も原作をさらっと読んでみました。ヤンキーものといえば今も昔も大人気のコンテンツであり、古くは『BEE-BOP HI-SCHOOL』から『クローズ』、更にドラマがヒットして昨年映画が大ヒットした『今日から俺は!といった具合に数々の名作があり、更にはヤンキー×スポーツという手法で言えば『ROOKIES』等があります。

そしてこの『東京リベンジャーズ』だとヤンキー×タイムリープというこれまでありそうでなかったパターンで原作もかなり楽しく読めました。更に斬新だなと感じたのがこれまでのタイムリープものだと過去に遡っても事実を変えてはいけないという暗黙のルールがあったわけですよね。一例としては本能寺に居る信長を助け出して歴史を変えるのはタブーというあれですね(笑)ただ、『東京リベンジャーズ』は大胆にも過去の事実を変えて結果未来も変えるというのがむしろ主題となるこのパターンは珍しいのではないでしょうか?

若者に人気なのも納得の面白いストーリー展開ですよね。そして今回の実写映画に繋がるわけですが、監督は英勉さん。実はこのクレジットを見た時は意外性を感じたんですよ。英監督の過去作といえば『ハンサムスーツ』、『ヒロイン失格』、『あさひなぐ』、『映像研には手を出すな!』に『映画賭ケグルイ』シリーズ等ですよ。なるほど確かに手数の多い監督のイメージですが、男臭い拳と拳のぶつけ合いが中心となるヤンキー映画を果たしてどの様に見せてくれるか楽しみにしてました。

結論から言うととにかく熱い!男と男のぶつかり合いをこれまでのポップイメージを払拭するかの様に仕上げた英監督の力量をしかと堪能出来る内容でした!

この作品の面白みと言えば現在全くイケてない一人の青年が人生で最も輝いていた高校時代にタイムリープして人生そのものを変えるところにあると思うんですよ。そこには昔はあれほどイキイキしてたのに何で今はこんなになっちゃったんだろう?という後悔の念を写しながらそれを探りながら逃げずに戦う事を選択して人間としての成長をしていく描写があるわけです。でもこれってある程度の年齢を重ねた人なら大なり小なり考える事でもあるんですよね。今の自分と過去に描いた理想像を照らし合わせて見た時「どこで道を間違えてしまったんだろう?」とか「こんなはずじゃなかったのに」という思いですね。ね。だけど過去を振り返ってそのターニングポイントが仮に分かったとしても物理的にその時期に戻る事は出来ない。じゃあこのまま過去を振り返って後悔だけする人生でいいの?と言えばそれは避けたいじゃないですか? じゃあどうすればいいか?答えは一つ。 今を頑張る事なんだよね。 本作は過去に戻りつつもしっかりとそのメッセージも盛り込み、見ている人に訴えかけてくる。若者向けのヤンキー映画とタカをくくってはいけません!                  

それにしても全編通じて熱いんですよ!ヤンキー映画ですから当然残虐な描写もあるし救われないエピソードだって出てくる!だけどもちろんこれを肯定しているわけではなく、その状況を如何に乗り越えるかそこには立ち向かう勇気であったり仲間との絆であったり月並みなんだけどやはりこういうの見ると感情を高ぶらせてくれる!見てて思ったのがヤンキー版『ONE PIECE』じゃねぇの?と。主人公の武道は決して喧嘩は強くないんですよね。だけど大切なものを守る為なら例え相手が格上であろうと、倒れない強靭な精神力と根性がある。そんな彼に惹かれた仲間達によって彼が強くなるから彼もまた仲間の為に身体を張れる。途中から武道が僕の目にはルフィやウソップに見えましたもん(キャラ的にサンジやゾロではないんだよね。)と僕は本作をかなり好意的に見る事が出来ました。


そして世の女性の皆さんはイケメン大集合に目を奪われるんでしょうね。北村匠海山田裕貴杉野遥亮間宮祥太朗吉沢亮等旬の若手俳優が名を連ねスクリーン狭しと大暴れしてくれる。る。英監督だとこれまで数々の恋愛映画も撮ってきた人ですから俳優陣の撮り方もバッチリ抑えてるし、ヒロインの今田美咲ちゃんも可愛かったですね!特に夏祭りの浴衣姿はオジサン的には大満足です(笑)

そしてヤンキー映画と言えばのバトルシーンも迫力がありましたね!ヤンキー映画あるあるの「行くぞオラ〜!」「ウォ〜〜ッ!!」というアレですよ(笑)ちぎっては投げちぎっては投げの応酬そして予期せぬ事態が待ち受けて…というヤンキー映画最大の醍醐味ですよ!手に汗握る圧巻のシーン。『クローズ ZERO』や『HIGH & LOW』シリーズ等乱闘シーンが見応えあるヤンキー映画って過去にも色々ありましたけど、これらと比肩出来るクオリティでしたね! 

このテの作品って少し前だと三池崇史監督が得意としていたイメージですけど、英勉監督が新たに名乗りを上げた感じですね。スイーツ映画やコメディ映画の監督というイメージを刷新した様な印象です。


是非劇場でご覧下さい!