きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

スパイダーマン アクロス ザ・スパイダーバース

ピーター・パーカーの遺志を継いだ少年マイルス・モラレスを主人公に新たなスパイダーマンの誕生を描き、アカデミー長編アニメーション賞を受賞した2018年製作のアニメーション映画「スパイダーマン スパイダーバース」の続編。
マルチバースを自由に移動できるようになった世界。マイルスは久々に姿を現したグウェンに導かれ、あるユニバースを訪れる。そこにはスパイダーマン2099ことミゲル・オハラやピーター・B・パーカーら、さまざまなユニバースから選ばれたスパイダーマンたちが集結していた。愛する人と世界を同時に救うことができないというスパイダーマンの哀しき運命を突きつけられるマイルスだったが、それでも両方を守り抜くことを誓う。しかし運命を変えようとする彼の前に無数のスパイダーマンが立ちはだかり、スパイダーマン同士の戦いが幕を開ける。
オリジナル英語版ではシャメイク・ムーアが主人公マイルス、ヘイリー・スタインフェルドがグウェン、オスカー・アイザックがミゲルの声を担当。(映画・comより)

スパイダーマンとは?いわゆるアメコミヒーローではありますが、大きな特徴としては完全無欠のスーパーヒーローというのではなく、変身する前は冴えない高校生という点でしょうか?私生活は全くパッとしないんだけど一度スパイダーマンになると縦横無尽にビルからビルへと飛び移りヴィランと戦いながらニューヨークの平和を守る。そんな姿に多くの人が共感し、全世界で人気を誇っている。

02年から始まった「スパイダーマン」シリーズ、2012年からの「アメイジングスパイダーマン」シリーズ、2017年からの「スパイダーマン:ホームカミング」シリーズと形を変えながらもそれぞれのユニバースでのスパイダーマンというものを我々は楽しんできました。

そんな中でアニメ版として2018年に公開された「スパイダーマン:スパイダーバース」は革新的な映像表現や誰もがスパイダーマンになれるというメッセージが高い評価を受け、翌年のアカデミー賞では長編アニメーション賞を受賞しました。

既に続編となる「ビヨンド・ザ・スパイダーバース」の公開も決しており、今作はその橋渡し作品。三部作の二作目に当たります。

前作には非常に前向きなメッセージ性が打ち出されており、僕も非常に楽しませて頂きました。あれから5年。今作ではどの様なスパイダーマンが見れるのか?期待を抱きながら先週紹介した「リトル・マーメイド」を見た同日の6月18日にMOVIX日吉津で見て参りました。

さて、前作では後々のMCU映画にも繋がるひとつの舞台が描かれました。それはマルチバースです。時空の歪みからくる特殊な空間であり、今では多くのMCU作品ではこのマルチバースを使った物語が展開されていますが、その最初が今シリーズからだったんですね。

ピーター・パーカー亡き後、スパイダーマンを継承したのはやはり高校生のマイルスでした。彼は彼なりの苦悩を抱えながら日々を過ごす孤独な少年。しかし、彼以上に孤独を感じているのが共に戦ったグウェンという少女。彼女はクラスメイトとバンドを組む事になるも浮いてしまい馴染めなかったり何より警察官である父親との関係が複雑。しかしそれを明かす相手がいないんです。

マイルスの前でこそ明るく気丈に振る舞うのですが、現実の世界はとにかく息苦しくて仕方ない。これまでのスパイダーマンを見てもわかりますが、冴えていないなりに恋人がいたり、メイおばさんが居たり更にMCU版だとドクターストレンジことトニーをはじめとした理解者や仲間が居たんですね。

しかし、彼女にはそういった存在が誰一人いない中で戦っていかなければならない。更にはマイルスとせっかく仲良くなったのに運命がそれを許してはくれない。今作の主人公はマイルスではありますが、彼女の視点で見た場合、かなり辛いものがあるかと思います。

その一方ではドラえもんズかと言う程たくさんのスパイダーマンが現れ、共に戦うなんてくだりは面白かったですね。

その中でもスパイダーパンクのキャラクターがかなり立ってましたね!そりゃあパンクですからパンキッシュな出立ちなんですよ。セックスピストルズに影響を受けてそうなパンクなファッション、反体制的な態度と言動で組織に属する事には本心で嫌がっており、実際の行動にもそれが現れたり。しかも、アクション等フィジカル要素の強いキャラって往々にして頭脳戦には弱いイメージですが、彼の場合はいざという時の対策もしっかりと取るそんな用意周到な策士でもあり、なかなか魅力的なやつでした。

また、スパイダーインディアというスパイダーマンも良かったですね。常に陽気でポジティブ、誰とでも仲良くなれちゃう高いコミュ力の持ち主なんだけど、実戦でも大活躍。チームにはこういう人必要だよねなんて思わせてくれる。

ちなみに今作には彼ら以外には240ものスパイダーマンが登場している様です。スパイダーマンマニアの皆さんはどんなスパイダーマンが居るのか探してみて下さい。

また、スパイダーマンの運命についてこれは今作での大きなテーマです。これまでのスパイダーマンは度重なる危機から市井の人々の命を救ってきました。一方では大切な人の命を守る事が出来ません。最悪の恋人を、メイおばさんをとこういった人達の死の場面を見る毎に涙を流して胸を痛めたもの。そしてこの運命というものを呪ったものでもあります。しかし、マイルスの場合は違います。町の人達も大切な人の命も守る事を誓います。しかし、運命に抗うとはすなわち混乱を引き起こす事でもあり。今作のコピーには「運命なんてブッつぶせ。」という文字が躍っています。ヴィランと戦うスパイダーマンの物語でもあり運命という最大の敵と向き合い戦っていくマイルスの物語でもあるのです。

非常にドラマチックな内容で胸を熱くしながら鑑賞しました!

来年公開の次作への期待が高まり、劇場を後にしました。

是非劇場でご覧下さい!