きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

ソー ラブ&サンダー

クリス・ヘムズワース演じる雷神ソーの活躍を描いた、マーベル・シネマティック・ユニバースMCU)の「マイティ・ソー」シリーズ第4作。「アベンジャーズ エンドゲーム」後の世界を舞台に、「神殺し」の異名を持つ悪役ゴアとの戦いを描く。サノスとの激闘の後、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの面々とともに宇宙へ旅立ったソー。これまでの道のりで多くの大切な人々を失った彼は、いつしか戦いを避けるようになり、自分とは何者かを見つめ直す日々を送っていた。そんなソーの前に、神々のせん滅をもくろむ最悪の敵、神殺しのゴアが出現。ソーやアスガルドの新たな王となったヴァルキリーは、ゴアを相手に苦戦を強いられる。そこへソーの元恋人ジェーンが、ソーのコスチュームを身にまとい、選ばれた者しか振るうことができないムジョルニアを手に取り現れる。ジェーンに対していまだ未練を抱いていたソーは、浮き立つ気持ちを抑えながら、新たな「マイティ・ソー」となったジェーンとタッグを組み、ゴアに立ち向かうことになる。前作「マイティ・ソー バトルロイヤル」から引き続きタイカ・ワイティティがメガホンをとり、主演のへムズワースやヴァルキリー役のテッサ・トンプソンらが続投。ジェーン役のナタリー・ポートマンが、シリーズ第2作「マイティ・ソー ダーク・ワールド」以来、およそ9年ぶりに本格的にMCU作品に復帰した。ゴアを演じるクリスチャン・ベールや、ラッセル・クロウといった豪華キャストも新たに参戦。

(映画.comより)

MCU作品について聞かれる事があります。それは僕がMCUについて語る時に決まって紹介する作品と合わせて他のMCU作品の鑑賞が必須云々と伝えるからでしょうが、「マーベル作品って単体で楽しめないの?」という事でしょうね。決まって僕はそれは作品によるとお答えしています。しかし、フェーズ4以降になるとほぼほぼ他のユニバースも絡めて展開される事が多くてかなりハードルが高くなっているのは否めません。

しかし、本作『ソー』の新作に関して言えば全くの初心者でも問題なく鑑賞出来る作品と断言します。何なら本作を鑑賞してから『ソー』シリーズの過去作や『アベンジャーズ』シリーズ、更には『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』へと広げてみるのもいいかもしれません。

というのがね、めちゃくちゃ親切なんですよ。作りが。初見でもわかりやすくこれまでの『ソー』シリーズのまとめをENYAの『ONLY TIME』にのせて紹介。更には今回の目玉であるナタリー・ポートマン演じる元カノのジェーンの説明にはABBAの名曲『OUR LAST SUMMER』を起用。他にもGUN'S'N'ROSESの『WELCOME TO JUNGLE』や『SWEET CHILD O’MINE』等音楽へのこだわりが強く感じられましたね。

つい音楽の話しになっちゃいましたが、要するに『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』、『ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス』とここ最近扱ったMCU作品と違い、個別で楽しめる作品ですよとお伝えしたいんですよ。

さて、本作は『アベンジャーズ エンドゲーム』の世界で描かれているわけですが、目玉はやはり元カノ・ジェーンの存在。言わずもがなですが、ナタリー・ポートマンの美しさが非常に際立つんですよね!ほんでクリス・ヘムズワース演じる雷神ソーのマッチョさとは絶妙な組み合わせだなと感じる一方。ソーが予期せぬ形でジェーンと再会した時のリアクションがまぁリアル!長らく顔を合わせていない元カノが目の前に現れた時ってきっとこんなんだろうなと自分に置き換えながら見てましたよ。最初の会話なんてどう切り出したらいいんだろうね(笑)

で、かつては男性は女性を守るもの女性は男性に守られるものという暗黙のルールの様なものがあったわけですが、現代ではそうではありません。ジェーンだってソーと対等の力を持ち最前線で戦います。何ならソーを凌駕する様な力を持っていたり。だけど一方では彼女自身が抱えた苦悩があり、それとの折り合いが本作を見る上で大きなテーマとなっていきます。この辺りシリアスにしつつも随所に盛り込んだギャグがある事で重くなり過ぎずバランスが整っていたなと思いますね。

更にはアクションもてんこ盛り!ソーはもちろん新たなマイティ・ソーとなったジェーンがムジョルニアを手に大活躍!やはりジェーンが見せ場を作る辺り本作は『ソー』と冠しているものの、ほぼ主役はジェーンだった印象が強い作品です!

また、神殺しのゴアという強大な敵。彼もまた深い悲しみを背負い神と戦う事になるのですが、冒頭ではそこに至るバックボーンがよく分かります。また、彼によって捕らわれてしまったアスガルドの子供達にも見せ場が用意してありましたね。彼らの前に現れるゴアの得体の知れない恐ろしさとの対比としても子供達の活躍はよく活きていたと思いますし、ソーから子供達に託したアスガルドの未来を話す場面は今の時代を生きる子供達への希望を作品全体のメッセージとして反映させていたと思います。

こうして見ると本作のサブタイトルの「ラブ&サンダー」は作品全体のテーマとして十分機能していたなと思います。ひとつにソーからジェーンへの愛。ソーとジェーンの関係は元恋人同士。恋愛としての関係では既にないんですよね。だけどソーにはまだ未練が残ってるし、ジェーンだって紆余曲折があって別れる事にはなったもののいざ再会すると昔を思い出して…なんて心の揺らぎがある。だけど恋人とは違う友人としての愛が描かれていましたし、愛とは形が変わってもお互いが意識すれば存在し続けるものであると作品で伝えています。

次に未来を担う子供達への愛。これは前述の様にソーの口から伝わります。これは我々が生きるこの世界とリンクさせたテーマなんですが、暗いニュースばかりで気持ちも下がりそうな毎日です。だけど子供達は今日も元気に遊びに勉強にと日々過ごしている。その子供達の笑顔を我々大人は守っていかなきゃいけないし、やがてその子供達だって大人になる。そしてまた彼らも次の世代の為に走り続けていくわけですね。作品からは「君達、未来を築いてくれよ。その為に今は俺達大人が頑張っていくよ!」というメッセージが内包されていた様な気がします。そしてそれがラストのシーンにも反映されていたのではないでしょうか?

そして敵であるゴアへの愛。冒頭で示されたゴアが神へ憎悪を募らせるシーン。彼は絶大な力を身につけ神々を苦しめるのですが、その背景を知れば如何に神がおごった存在であるかわかります。これは我々に置き換えてもそうかもしれません。勝手に格下の存在と決めつけ、その人を冷遇する。だけどそれは危険な考えであり、しっぺ返しだって食う。どんな人に対しても最善の愛を尽くしなさいというメッセージを僕は読み取りました。

とこの様に全編に渡ってラブが詰まった素晴らしい作品だったと思います。個人的には素晴らしい映画でした!

是非劇場でご覧下さい!オススメです!