解説
「アベンジャーズ」シリーズをはじめとしたマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の各作品で活躍した、スカーレット・ヨハンソン演じるブラック・ウィドウが単独で主役を務めた作品で、孤高の暗殺者だったブラック・ウィドウがなぜアベンジャーズになったのか、知られざる物語が明らかにされる。物語の時代設定は「シビル・ウォー キャプテン・アメリカ」と「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」の間で、ブラック・ウィドウがアベンジャーズから離れていた時期に起こった出来事を描く。ブラック・ウィドウの前に突如現れた、“妹”エレーナ。姉妹は、自分たちを暗殺者に育てたスパイ組織「レッドルーム」の秘密を知ったことで命を狙われる。唯一の味方は、かつて組織が作り出した“偽りの家族”だけだった。しかし、その家族の再会によってレッドルームの恐るべき陰謀が動き出す。エレーナ役は「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」でアカデミー助演女優賞にノミネートされたフローレンス・ピュー。監督は、「ベルリン・シンドローム」のケイト・ショートランド。
(映画.comより)
今年7月に劇場公開&Disney +チャンネルで有料配信が始まりました。ずっと気になっていたのですが、10月6日にプレミアアクセス期間が終了。見放題になったのを機にようやく鑑賞致しました。今やすっかりスカーレット・ヨハンソンの当たり役となった感のあるナターシャことブラック・ウィドウですが、今作が初の単独作。MCUシリーズでの代表的キャラクターでもあるので意外といや意外なのですが、後述しますが、何故もっと早く製作しなかったのかなんて歯痒い部分もあったりします。
さて、プレミアムアクセスが終了した10月6日。私はいの一番にDisney +を立ち上げ鑑賞!まず前半部ですが、一組の幸せそうな家族が登場します。一見、穏やかに見える光景から地獄の展開へ。この部分でナターシャは何故ブラックウィドウになるのか暗殺者へと変貌するその過程が明らかにされていくのです。レッドルームなるその組織でのトレーニングのシーンが映し出されるのですが、ここで印象的なのはヴィジュアル的な表現方法なんですね。サブリミナル的に挿入されるポップなアニメーション映像がひたすらに恐怖を与えてくれる。ここに身を投じる少女達のあまりに過酷な現実とこのアニメ画のギャップが生み出す視覚的絶望感の演出方法はこの冒頭部での最もインパクトの強い描写だったと思います。また、この一家が家を出て地獄への扉をこじ開けるその道中で流れるのがドン・マクレーンの『アメリカン・パイ』。後にマドンナもカバーした70'sの名曲ですが、この曲の歌詞に注目したいところ。曲のワンフレーズがこれから始まる地獄へと導くまるでそれを示唆するかの様に使われる辺りこの選曲センスと映像表現に目を見張るものがあります。
そして、20年の月日が流れた後、離れ離れになった姉妹の再会シーン。ブラックウィドウとかつての妹であったエレーナの涙の再会…とはならず壮絶なバトルシーン。スカヨハは言うに及ばずなのですが、エレーナの身体能力に目を見張ります。エレーナを演じたのは『ストーリー・オブ・マイ・ライフ わたしの若草物語』のローレンス・ピュー。作品が作品だから当然なのですが、『若草物語』を見た時はここまでアクロバティックな動きを見せる女優さんだとはとても思えませんでしたね。ちなみにこの妹のエレーナ。キャラクター的にもいいんですよ。スタイリッシュで大人な姉のナターシャに比べてもっと今っぽいというか等身大の女子って感じなんですよね。ブラックウィドウの決めポーズいじりとか生意気なんだけど、それがまた愛らしいというか絶妙な妹感が出ていましたよ。
その後はこの姉妹が良い感じにバディとなり、レッドルームの闇を暴くべく奔走。その過程ではかつての偽りの父と母を探し出すという流れがあります。
さて、そんなブラック・ウィドウなのですが、この映画は家族をテーマにしている作品です。ナターシャとエレーナを中心としながら子供時代〜不遇の環境を経ての再会。20年の時は残酷でイケメンだった父親もサムいギャグとビールっ腹。更には髪もすっかり薄くなり、往時の面影は見事にない。お母さんの方は見た目には問題ないけれど飼ってるブタをアレしちゃうサイコっぷりを惜しげもなく見せてくれる。それでも姉妹達にとっては実の家族ではなくとも、家族の様な深い繋がりがあり、そして彼らが手を取り、共に戦っていく。
それにしても本作のヴィランはかなり胸糞悪いキャラクターでしたね。恐らくMCU作品でもダントツの鬼畜キャラでした(笑)目的の為なら何でもする。殺された自分の娘すらも悪事に利用する。更には多くの少女達を犠牲にし、殺戮マシーンへと変貌させるとんでもなくいけすかねぇ野郎でしたよ、こんちくしゅうは…言葉が悪くなりましたけど、そんくらい僕の感情が込められてると察して下さい。でもだからこそラストの展開がスカッとするんですよね。
さて、ブラック・ウィドウと言えば『アベンジャーズ/エンド・ゲーム』で壮絶な最後を迎えました。そして本作のエンドロール後にその後の妹エレーナが登場してきます。そして次のフェーズへの展望も予兆させてくれます。そこで僕は思いました。ここまでの流れは全て彼女の生前の話しなんだよな〜。他のアイアンマン等は『アベンジャーズ』シリーズと並行して作られていたのに、何故ブラックウィドウはこのタイミングなんだよ〜と。確かに元々はヴィランとして登場したキャラではあるけど、『アベンジャーズ』では常に他のメンバーと一緒に最前線で戦ってきたじゃ〜ん!出来れば『エンドゲーム』までに本作を見ておきたかったな〜と。
でも!見て良かったですね!MCUならではの白熱したアクションシーンもさることながら音楽の使い方や映像の表現方法、映画全体のテンポやストーリーの展開どれを取ってもケチの付け所がない。満足してます!ただ、惜しむらくはこれを映画館のスクリーンで楽しめなかった事でしょうか。
話題は尽きませんが、そろそろお開き。オススメです!