きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム

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若手俳優トム・ホランドが新たにスパイダーマン/ピーター・パーカーを演じ、「アベンジャーズ」を中心とした「マーベル・シネマティック・ユニバース」の世界に参戦した「スパイダーマン ホームカミング」の続編。「アベンジャーズ エンドゲーム」後の世界を舞台に、スパイダーマンこと高校生のピーター・パーカーの新たな戦いと成長を描く。夏休みに学校の研修旅行でヨーロッパへ行くことになったピーターは、旅行中に思いを寄せるMJに告白しようと計画していた。最初の目的地であるベネチアに着いたピーターたちは水の都を満喫するが、そこに水を操るモンスターが出現。街は大混乱に陥るが、突如現れた謎のヒーロー、ミステリオが人々の危機を救う。さらに、ピーターの前には元「S.H.I.E.L.D.」長官でアベンジャーズを影から支えてきたニック・フューリーが現れ、ピーターをミステリオことベックに引き合わせる。ベックは、自分の世界を滅ぼした「エレメンタルズ」と呼ばれる自然の力を操る存在が、ピーターたちの世界にも現れたことを告げる。監督は、前作に続いてジョン・ワッツが務めた。ベック/ミステリオ役に「ナイトクローラー」のジェイク・ギレンホール
(映画.comより)

2017年に公開された『スパイダーマン:ホームカミング』の続編てあり、4月に公開された『アベンジャーズ/エンドゲーム』の続編でもありフェイズ3のラストを飾るのが本作。
時間軸で言えば『アベンジャーズ/エンドゲーム』からはまだ数分しか経っていないのが本作の舞台です。
普段の高校生活に戻ったピーター・パーカーが友人や先生たちとヨーロッパへ研修旅行へ出掛けます。
目下の彼のミッションは大好きなMJへ告白する事であり、ヒーロー業から距離を置き、バカンスへ臨もうとしているところ、元SHIELD長官のニック・フューリーから携帯へ着信が。
バカンスを満喫したいとその連絡をスルーし、ヴェネチアへ。
そこで現れたのが水の化け物エレメンタルズ。
スパイダースーツのない中、悪戦苦闘している中、新たなヒーロー・ミステリオがあらわれ…。

と久しぶりのあらすじ紹介から挿入しますが。

アベンジャーズ/エンドゲーム』の記憶がまだ生々しい時期に公開された本作。
個人的に気になっていたのが、『エンドゲーム』であの人物が死んだ後のピーターの動向でした。
意外や意外?ピーター自身は仲間達とのバカンスを満喫してたり、MJとの恋にうつつを抜かしていたり。
でもね~、こういう明るい展開に変わっていた辺りにほっと胸を撫で下ろした部分もあるんです。
だって『エンドゲーム』のラストがあまりに重々し過ぎたでしょ?
だからこそこの明るさを求めていたし何よりスパイダースーツを身にまとわなければフツーの高校生というピーターパーカーのキャラクター的にも合ってるし。
で、これは前作の『ホームカミング』もそうだったんだけど、良い意味で軽妙。
確かに冒頭でこそホイットニーのあの名曲を戦いで破れ散っていったあのヒーロー達のレクイエムの様に使い、それららしい演出は施されている。
でもそれが何だと言わんばかりに本作の世界は明るい。
ピーターはMJ狙いで恋に奔走するしクラスメイトでひっついちゃう。
更にメイおばさんも恋に浮かれたり(笑)
『エンドゲーム』を知ってるからこそ「何じゃ、こりゃ」なんですよねww
不謹慎ギャグこそないけど『デッドプール』の軽さに近いかも?

そんな浮わついた中、ニック・フューリーが登場したら緊張感が生まれる…なんて事もない。
ニックがピーターに深刻な状況を説明をする最中にいらん横やりが入ったり。
ベタなんだけど笑いを誘う展開にニックまで遂にその緊張感のなさに巻き込まれてしまう状況に陥ります。

だからこそとでも言うべきか『エンドゲーム』末見の人でも単体のコメディ作品として十分楽しめたりします。

また、高校生なるではの青臭さや童貞臭さ。
見ていてちょっぴり恥ずかしくなる様なでも自分も経験あるので思わず共感してしまうのがMJとのラブコメ描写だったりするんですけど、これがまた見ていて面白い。
MJを演じたゼンデイヤが前作より大人っぽくよりセクシーに見えたからかな?(彼女自身の出演作で『グレイテスト・ショーマン』を経た後だからでしょうか)
でもね、実際同い年の高校生でも基本男子はガキのまんま、女子の方がより大人びてるてのはありますが、その辺の微妙なバランスがピーターとMJにも反映されていたりします。

で、何と言っても今回のヴィランです。
ここは今回かなり脚本に作家性を感じましたが、アイアンマンことトニー・スタークを思い出して下さい。
『エンドゲーム』においてあんな事になっちゃったからこそ、神格化されつつありますが、元来のトニーの人物像です。
傲慢でアクが強すぎる大金持ち。
鼻持ちならないヤツでもあるんです。
当然そんな彼に不満を持つ人物だっているわけです。
まさに今回のヴィランなんかはそれなんてすね。
皆からは絶大な支持を集め、英雄視される人物。
だけど直接当人と接触を持ち、粗野な扱いを受けた人にとっては面白いハズがない。
映画の世界にそれを落とし込んでいましたけど、実際の世界においてもそれはきっとあるでしょう。
ただ、このヴィランが関係ない人も巻き込んだり、ピーターに逆恨みをしようとしたり間違った方向にそのルサンチマンが向いてるから同情は出来ないんですけどね。

更に現代社会へのアンチテーゼとしては、メディア批判的な側面もありました。
今や全世界のそこかしこが映像で満ち溢れ、現実と虚構・真実と虚偽や欺瞞何が正しくて何が間違っているかを見極めるのも難しい世の中です。
間違った内容でも影響力のある媒体が発信すれば、受け手側が真実と思い込むのもまた確か。
実際に見ていて自分達にもかなり思い当たると気付かされる事でしょう。

そして見所と言えばやはりアクションシーン。
スパイダーマン』と言えばやはり高い所をひたすら飛ぶシーンを連想する人も多いでしょうが、今回は前作以上に飛びますよ。
ヴェネチアプラハ、ベルリンとヨーロッパを舞台にアクロバティックに飛ぶスパイダーマン
現地の風景と共に楽しめる事間違いなしでしょう。

そしてMCU映画と言えばエンドロール後。
最近は本編が始まる前に注意書きが出るのでエンドロールが始まってもほとんど席を立つ人は居ないのですが、次作を匂わす映像が最後に流れます。
「あれ、まさかのフューリーが!?」
ハイ、みなまで言いません。
直接皆さんの目でチェックしてみて下さい。

MCUスパイダーマンも新たなフェーズを迎えますが、次のフェーズに繋ぐのには最高の作品でした。