きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

アントマン&ワスプ クワントマニア

アベンジャーズ」をはじめとしたマーベル・シネマティック・ユニバースMCU)を構成する人気作品のひとつ、「アントマン」のシリーズ第3弾。未知の量子世界に入り込んだアントマンやワスプが、アベンジャーズの新たな脅威となる存在、カーンと遭遇する。
アベンジャーズ エンドゲーム」では量子世界を使ったタイムスリップの可能性に気づき、アベンジャーズとサノスの最終決戦に向けて重要な役割を果たしたアントマンことスコット・ラング。ある時、実験中の事故によりホープや娘のキャシーらとともに量子世界に引きずり込まれてしまったスコットは、誰も到達したことがなかった想像を超えたその世界で、あのサノスをも超越する、すべてを征服するという謎の男カーンと出会う。
体長1.5センチの世界最小のヒーロー、アントマンことスコット・ラング役にポール・ラッドアントマンのパートナーとして戦うワスプことホープヴァン・ダイン役のエバンジェリン・リリーをはじめ、マイケル・ダグラスミシェル・ファイファーらおなじみのキャストが集結。スコットの愛娘で大人に成長したキャシー役を「ザ・スイッチ」「名探偵ピカチュウ」のキャスリン・ニュートン、謎の男カーンを「ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ」のジョナサン・メジャースが演じる。シリーズ前2作「アントマン」「アントマン&ワスプ」を手がけたペイトン・リードが今作でもメガホンをとった。(映画・comより)

MCUでは今作からフェーズ5に入ります。前フェーズのフェーズ4ではマルチバースが核となっており、スパイダーマンは別の時間軸の敵と対峙する事になったり、ドクターストレンジはまさにその時間軸の歪みを大々的に扱いCGを駆使した映像表現で見る人を楽しませてくれたのも記憶に新しいところです。

ではフェーズ5はどの様に展開されていくのか?それを示す上でも重要な位置付けとなるのが本作だと思います。

…とここまでマルチバースがどうのこうのフェーズ何たらがどうだとMCUに馴染みのない人からするとさっぱり意味不明だと思います。

で、今回はそんなMCUをハードルが高くて手がつけられないと仰る皆々様へ向けて解説をしていこうと思います。なのでMCUガチ勢はスルーの方向でいきますのでよろしく!

まず、お伝えするとこのアントマンは本作が3作目。劇場公開作だと2作目になりますが、過去作は見た方が良いのか?否、事前予習なしでも十分楽しめるでしょう。

というか過去作とは全く違う設定やストーリー展開なので今作単体でもOKです。何なら今作からフェーズ5スタートになりますので、MCUのシリーズを本作から触れても良いのかもしれません。まず、今作で初めて登場するヴィラン・征服者カーンですね。こいつは一体何者なのかを追っていくのが大きな軸になっていて今後様々なMCU作品でその姿を表していきアベンジャーズへと導かれていく。それだけ押さえておきましょうか。

とここから鑑賞後の感想等を伝えていきますが、まず過去二作同様に監督がペイトン・リード。「イエスマン」や「チアーズ!」、「恋は邪魔者」等コメディや青春ドラマ、恋愛もの等を手掛けてきた監督で過去作でもやはりコメディ的な描写が見られるというかむしろそれこそが真骨頂とばかりにコメディありきのバトルアクションが光りました。この辺りはアントマンが他のヒーローキャラクターと異なり、アリの様に小さいミクロなヒーローというのが活きていたと思うんですよね。だからこそギャグも映えるし、監督がこれまで撮って来た作風との親和性も高い。

ただ、今作はどちらかと言うとこれまでよりもシリアス寄りに見せていた。勿論笑いを誘う場面もあるけどそれ以上に征服者カーンの絶対的なヒール感やアントマンのヒーローとしての苦悩にフォーカスしていた印象があります。

それはMCUからの要望かもしれないし、監督が新規軸を打ち出す為の良い意味での実験的なアプローチが施されたのかななんて思いました。

で、僕ははじめの内こそそこに戸惑いはありましたけど、ストーリーが進むと全く気にならなくなりましたね。むしろ量子世界というミクロな中でどの様にアントマンは転がされていくのかに興味が尽きなくなりましたし、カーンの存在を全貌を明かすのではなく、小出しに見せる事で今後の他作品での登場に期待を抱かせる作りになっていたかと思います。

更にはストーリーでテンポも良かった。これは結局は尺の問題なんですが、今作は二時間ちょっとで終了するのですが、その分適度なスピード感覚で鑑賞するのに苦痛がないんですよね。MCUに限らず最近の洋画大作って長尺の傾向が強いじゃないですか。3時間の映画が増え過ぎたなと。これは僕の好みの問題ですが、映画は基本二時間。何なら90分くらいでもいいと思うんですよね。あれやこれやを見せたい欲もあるし、壮大なストーリーにしたいが為に尺を広げるきらいがある。そうなるとぶっちゃけダレるシーンだって出てくるんですよね。それが今作の場合、うまくまとまっていたし、次作への期待を抱かせる良い作りだったと思います。

ただ、ここはちょっとなという点もあるので触れておきます。

ミクロな量子世界でともすればスペイシーなスターウォーズ的なSFを見せるという選択肢は非常に斬新でしたし、アントマンだからこそのバトルシーンでの戦法等確かに唸る部分はありました。何となくですが、ドラえもんの映画「のび太の宇宙開拓史」を思い出しました。畳の下に広がる宇宙。そこでの侵略者との対決。これこそが宇宙開拓史じゃないですか。で、この「アントマン&ワスプ」にまさかのスモールライト的なツールが出てくる。体の大小を扱うのであれば更にはSF要素となれば「のび太の小宇宙戦争」だしね。で、これをパクリだ〜て糾弾したいのではなく、もしかしたらドラえもんをヒントにしたのかな?とむしろ僕は好意的に捉えてます。

スターウォーズ的なSF世界にしたのは良かったんだけど設定やそこで出てくる生物達に既視感ありまくりで設定は斬新なのに見せ方はありきたりな物になってしまった感が否めないんですよね。何なら生物達なんて「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」等の他のMCU作品からそのまんま取り入れたんじゃねぇかみたいなね(笑)

せっかく人間の肉眼では見れない量子世界を舞台にするんだからそこならではのトリッキーな仕掛けやなるほどと唸らせる描写があれば良かったななんて少し勿体なかったですね。

ただ、フェーズ5スタートに相応しい壮大なストーリーになっていたと思うし、MCU作品を敬遠していた人。今作から是非MCUの世界に入って頂きたいなと思いました。

オススメです!