きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

神在月のこども

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毎年10月に全国の神々が出雲に集い、翌年の縁を結ぶ会議を行うという云われを題材に、神話の地・出雲を目指して駆ける少女の成長を描いたアニメーション映画。母を亡くした少女カンナは、大好きだった“走ること”と向き合えなくなり、鬱々とした毎日を過ごしていた。そんなある日、母の形見に触れたカンナの前に、神使の兎・シロが現れ、人々と神々の境界をまたぐ壮大な旅へと彼女を誘う。目指すのは、全国から神々が姿を消す神無月(10月)に神々を迎えてまつる“神在月”の出雲。鬼の少年・夜叉に行く手を阻まれながらも、自分を信じて走り続けるカンナだったが……。「朝が来る」などの女優・蒔田彩珠が主人公カンナの声を務め、神使の兎・シロを坂本真綾、鬼の少年・夜叉を入野自由と人気実力派声優が演じる。

(映画.comより)

まずはT-JOYいずもさん、試写会に招待してくれたスタッフさんへ。その節はありがとうございました!9月16日。全国公開へ先立っての試写会での鑑賞。素敵な時間を体験させて頂きました!

では僭越ながら『神在月のこども』のレビューをさせて頂きます。

全国の神様が出雲大社に集まりご縁を結ぶ会議を開く。これは山陰地方こと島根県に住んでいたら子供の頃から学校でも習うし、祖父や祖母からも教えてもらったもので大変馴染み深い題材です。なので我々からすると出雲の神話や逸話がどの様に作中に絡んでくるのか非常に期待が高まるわけです。そして全国に向けては出雲の神在月についての理解を深めて頂くのにこれ以上ない作品なんです。

まず、本作を見た上で感じたのはとにかく作画が美しい!それは冒頭でカンナがお母さんとかけっこをするシーンから感じました。森の中での母子のかけっこ。そこでの木々の揺れとか燦々と降り注ぐ陽射しの描写。更にはカンナの足に触れる草花の細かな揺れまで全てにおいてリアルであり、その場の空気や匂いまでがダイレクトに感じられる様です。その他東京での街の光景や学校での風景全てが写真の様なリアリティたっぷりの作画です。その他諏訪神社にしてもそうだし、ロードムービーならではのそれぞれの土地の光景も美しい!そして何と言っても出雲が近付くにつれ、我々の高揚感が高まっていくんですよ!県境にある標識にも馴染み深い。そしてやはり出雲大社の描写はとにかく美しい!神々しさが画面全体から感じられます!ここだけでも、十分見応えありますよ!

そしてストーリーですね。主人公のカンナの成長譚なのですが、お母さんとの死別に殻に篭る日々等正直前半は辛いです。しかし、これを乗り越える為に彼女は出雲へ行き、新しい自分を発見していくのですが、そこが見せてくれます。因幡の白兎よろしく神使の兎に導かれる道中で夜叉の少年と出会い、ただひたすらに出雲へ。その道程は決して平坦なものではありません。しかし、これを見続けるからこその感動を共感出来るんですよね!これは全国の子供達に是非見て頂きたい!

また、後半出雲でお母さんと再会してからのまさかの展開に目を見張りますね。直接的にはお伝え出来ませんが、あれ程優しかったお母さんの闇の部分が恐怖。そしてそこからのカンナの心の葛藤をフォーカスしていく等この辺りはやや暗めの展開。前半のお母さんとのエピソードやカンナのキャラクターを見てきた身としては辛くもなるのですが、この緩急の付け方等は目を見張るものがあり、個人的にはよかったと思います。

また、様々な神様が登場し、こういう辺りも是非楽しんで頂きたいなと思いました。とりわけ神谷明さんの演じていた大国主命が個人的には好きです!その他恵比寿様や諏訪神社竜神等日本の神様をフィーチャーしたファンタジーという発想の斬新さを楽しめる作品でしたね!その流れで言えば鬼の子である夜叉を仲間にするなんてのも良かったですね。夜叉って言うと恐ろしそうなんですが、キャラクターデザインが愛らしいんですよね。そしてそんな彼にも辛いエピソードが秘められていたりします。

試写会終了後はスタッフとの会話が「いや〜、良かった!」しか出て来なかったというボキャ貧ぶりですよ(笑)そして帰りの車中はひたすら僕は余韻に浸り、気持ちよく眠りにつきました。

出雲はもちろん、山陰在住の方は是非見て頂きたい作品です!オススメです!


…と締めたいところですが、すみません。ホントに良い映画ですが、それでも言いたいところはありまして、その辺突っ込ませて頂きますね。まずはお母さんと娘・カンナの絆のストーリーである事は重々承知ですが、お父さんの扱いが雑かな?と。何だったら少々邪魔者なくらいじゃない?と思います。思春期のカンナにとっての父親像を表す為に敢えてこの扱いにしたのかな?すいません、僕が男性だからこそこんな事思っちゃいました。すいません、敢えての不満点はそれくらいです。

そして僕からは以上です!後は皆さん、直接ご覧頂いて作品に浸ってもらえたらと思う次第です。

今度こそ…


オススメです!是非劇場でご覧下さい!