きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

劇場版TOKYO MER 走る緊急救命室

オペ室搭載の大型車両・ERカーで事故や災害現場に駆けつける救命医療チームの活躍を描いたテレビドラマ「TOKYO MER 走る緊急救命室」の劇場版。
横浜のランドマークタワーで大規模な爆発事故が発生した。数千人が逃げ惑う未曾有の事態に陥る中、東京都知事直轄の救命医療チーム「TOKYO MER」のチーフドクター・喜多見は一刻も早く現場へ向かうべきだと主張するが、厚生労働大臣によって新設されたエリート集団「YOKOHAMA MER」の鴨居チーフは「安全な場所で待っていなくては、救える命も救えなくなる」と正反対の意見をぶつける。そんな中、地上70階に取り残された193名の中に、喜多見と再婚し妊娠中の千晶もいることが判明する。
キャストには鈴木亮平賀来賢人中条あやみらドラマ版の俳優陣が再結集したほか、鴨居役で杏、研修医役でアイドルグループ「SixTONES」のジェシーが新たに参加。(映画・comより)

のっけから持論を述べますがいわゆるドラマの映画版で重要なポイントがあります。それは如何に初見の人をその世界へ引き込んでいくのか。ざっくり言えば容易に理解をしてもらえるかという事ですよね。もちろんドラマから見続けてきた人へのサービスシーンも大事だし、そんな人に満足してもらってなんぼみたいな所もあるでしょう。しかし、テレビドラマは見ないけど映画は見るという僕みたいな人も居るし、人に勧められてとかデートや交流の流れで付き合いからなんてケースもある。これらを統合するとドラマファンにも納得更に初見の人へも訴求する映像作りが求められる事になります。

その意味では今作は理想的な形で映画化されていたなと思います。

と、そこに詳しく触れる前にお伝えすると今作は元々僕の鑑賞候補にはなかったのですが、リスナーさんの激推しにより鑑賞。ゴールデンウィーク後半の5月6日土曜日。人でごった返すMOVIX日吉津にて鑑賞して参りました。

さて、先のドラマ映画云々の話しに戻すととにかく初見に優しかった。それは登場人物のあらまし等をくどい説明台詞で済ますのではなくドラマで見せていた印象的な場面を適度な良いバランスで挿入する事によってその人物がどの様なプロセスを経て現在を迎えているのかをしっかりと伝えてくれるんですよね。だからドラマからのファンには「ああ、そうそう」なんて記憶を呼び戻す事になるし初見だとしっかり理解が出来る。非常にうまい見せ方だったし、そこに共感が出来るからこそより作品へ没頭出来る様になるんですよね。

もちろんこれだけではない。緊迫した状況の撮り方がよく出来ているんですよ。それは映画のプロローグ的に出てくる飛行機の爆発事故然り物語の核となる横浜ランドマークタワーでの爆破事件然り。飛行機事故で言えばお客様優先で避難を誘導する客室乗務員の自らの身に降りかかる命の危険。機内で危機に瀕する母子の姿等。そこに死者0人を掲げる喜多見を始めとしたTOKYO MERメンバーの救出劇等に緊迫感を抱きながら我々は見守る事になる。

また、ランドマークタワーでのそれは高い建物に取り残された人々の危機的状況そこに東京か横浜かの派閥による政治的事情や利権等を絡ませより複雑にする事で様々な人間の感情が動いていく。更には喜多見の妻・千晶が事故に巻き込まれる事によって見ている側の感情を刺激していく。

しかもこれを消化不良感なくうまくまとめていくそのストーリー運び等非常に見応えのある内容となっていました。

また、個人的に興味深く見ていたのが爆破事故を起こした犯人の救命という問題を写した場面。死者こそ出さなかったとはいえここまでの重大な事件を起こした犯人。果たして救う価値のある命かどうかという点ですよね。若い医師等はこんなヤツより救うべき人が居るはずだと憤りを見せますが、喜多見達は懸命の治療にあたるんですね。これは手塚治虫先生の『ブラックジャック』にも似た様な話しがあったんですよね。命を救っても死刑判決を受ける凶悪犯の命を救う事の意味を問うという深い話しですよね。これは私見ですが、救うべきと思ってまして、決して例え凶悪犯であるうが人の命が大事だという道徳的な話しをしたいのではなくその後の公判での犯行動機等を世に知らせるべきであるしその後の判決による量刑に服させる為にもというところからです。

まぁ、映画ではそこまで深くは入り込んでははいなかったものの見ている人へ問題を提起する重要な場面だったと思います。

また、緊急時における人の助け合いであったり混乱時に取り乱す事なくマナーを遵守する日本人の美徳を写す場面も印象的でしたね。ランドマークタワーへの修学旅行生の子達の動き。少し出来過ぎかもしれないけどこういう勇敢さは我々大人も身につけたいものだなと感じました。

鈴木亮平さん、賀来賢人さん、中条あやみさん、仲里依紗さん、菜々緒さん、杏さん等キャストの皆さんも大変良かったです。ドラマ版のみの出演ではあったものの佐藤栞里さんも素晴らしかったですね。すごい失礼ながら「この子こんなに演技うまかったんだ!」って感心しちゃいました。いや、バラエティーのイメージが強いからね。以前であるばベッキーさんとかこじるりとか滝沢カレンちゃんとかバラエティーイメージの強い女性タレントって演技も上手いんだよね。佐藤栞里ちゃんまた違う作品でも見たいですね。

最後にエンドロール。ここも大変良かった。最前線で戦う医療関係者の方々への敬意が込められていたし見ていた僕も改めて医療の現場で働く皆さんへ心からの感謝の気持ちが湧きました。この映画を見た医療関係者の方々はここで号泣したんじゃないでしょうか。

ドラマを見ていない人にも強くオススメしたい映画でした!

ありがとうございました!