きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

Dr.コトー診療所

山田貴敏の同名漫画を原作に、2003年と2006年に連続ドラマとして放送された名作テレビドラマ「Dr.コトー診療所」の16年ぶりの続編となる劇場版。
日本の西端に位置する自然豊かな孤島・志木那島。19年前に東京からこの島にやって来たコトーこと五島健助は、島にたった1人の医師として島民たちの命を背負ってきた。島民とコトーとの間には長い年月をかけて築いてきた信頼関係があり、今やコトーは島にとってかけがえのない存在だ。コトーは数年前に看護師の星野彩佳と結婚し、2人の間にはもうすぐ子どもが誕生する。志木那島でも日本の他の地域と同じく過疎高齢化が進む中、島民たちの誰もがコトーの診療所があることに安心し、変わらぬ暮らしを送り続けていた。しかし診療所の平穏な日常に、ある変化が忍び寄っていた。
主演の吉岡秀隆をはじめ柴咲コウらおなじみのキャストが再結集し、原剛洋役の富岡涼は芸能界を引退していたが本作のために復帰。高橋海人、生田絵梨花蒼井優神木隆之介伊藤歩堺雅人ら豪華キャストが共演する。スタッフも監督の中江功、脚本の吉田紀子らドラマ版を手がけた顔ぶれがそろった。(映画・comより)

TVドラマがまだまだ勢いのあった時代…なんて言うと「じゃあ今は違うのかい」という指摘がありそうなんですが…。00年代のTVドラマを語る上で外せない「Dr.コトー診療所」。03年と06年の二回のシーズンで放送され、更に04年には特別編と二夜連続のスペシャルドラマも制作。06年のシーズン最終回は25.9%という高視聴率となりました。そんな「Dr.コトー診療所」は長らく映画化を要望する声が高かったものの、なかなか実現には至らずそして遂に今作で初の映画化そして一連のシリーズに終止符を打つ事になりました。

年末には天皇皇后両陛下と愛子内親王殿下がご鑑賞された事も大きな話題となりました。

ドラマ版は割と熱心に見ていた僕は2023年の映画初めとして1月3日にMOVIX日吉津にて鑑賞して参りましたよ。

まず、何と言っても感じたのは時間の経過。何しろ06年のシーズンから16年の時が流れたわけです。俳優としてのキャリアはかなり長い一方青年医としてのフレッシュさも兼ね備えていたコトー先生を演じた吉岡秀隆さんもベテラン俳優としての深みを感じましたし、当時は若手人気女優の筆頭的なポジションだった柴咲コウさんも大人の女優さん。更には当時子役として出ていた富岡涼さんは役者業を引退してサラリーマンになっているそうですが、今作の為に一時的に復帰。子役としての彼のイメージが強かった分「大きくなったね〜」なんて親戚のおじさん目線で見ちゃいます。変わってないのは泉谷しげるさんくらいですね。何なら泉谷さんって僕が子供の頃からかれこれ40年くらい変わってない気が(笑)

本作に初めて参加した若手キャストとしては高橋海人、生田絵梨花の両名。高橋海人くんの経験より知識で動こうとする新米医者の姿は板についてましたし、生田絵梨花ちゃんの彩佳の妹分的なフレッシュなナース姿も良かったです。

そして何と言っても景色がとにかくスクリーンに映えますね!与那国島の海や街並み更にはその地の臭いがや空気感も伝わってきそうです。冬ですからね、こういう南国の景色を見ると心身共に温まってきそうです。

さて、とは言っても我々は島の人が言う所の本土の映画館からその光景を見るからこそそんな呑気な事も言えるのであって実際に島の人々からするとそうも言ってられないわけです。

それこそが本シリーズがドラマ版の時から一貫して伝え続けてきた孤島での人口減少と過疎化そして医師のいない状況なんですよね。もちろんこれらの問題は離島だけの問題ではありません。いわゆる地方の山村にも無医村はあり、当該の地域の医療体制の不備は深刻な問題です。

こういった実態を志木那島という架空の孤島を舞台に写し出しコトー先生と島民達のヒューマンドラマとして放映した事が多くの人達の胸を打ち今作に至るまで愛されてきたのは間違いありません。

今作でもこういったドラマ版からの流れを汲みながらストーリーは展開されていました。

ところで医者の不養生という言葉がありますよね。患者の治療に向き合い医療を生業とする医者が自らの病よりも患者の方を優先してしまったり。今作のコトー先生は遂に自らの身に病魔が忍び込んできます。本土から判斗という新人医師はやって来るものの、彼はまだまだ若い。更には島民からの信頼も得ていないという事からまだまだコトー先生が診療に向き合わなければなりません。そんな中でどの様に自らの病魔に向き合うのかのコトー先生の姿は是非見て頂きたいところです。

決して綺麗事だけではない医療と人間の深いドラマが本作では描かれています。

オススメです!

 

…と締めたいところなんですが、まだまだ続けますね。

病魔に襲われながら医療に向かうコトー先生の姿は確かにカッコいいです!…だけど自己犠牲の精神をあまりに打ち出し過ぎてやいませんか。もっともその辺りは高橋海人君演じる判斗がしっかりと指摘していましたし、もしかしたら意図的なのかもしれません。しかし、満身創痍で自らの身体を支えられない状態でオペを行うのはあまりにもやり過ぎだと思いましたし、コトー先生が診療所で皆んなの前で倒れたにも関わらず、島民達誰も駆け寄らないのかよ!皆んなに慕われているコトー先生じゃねぇのかよ!更には皆んなで治療をするコトー先生にエールを送るシーンなんてありえねぇよ!そもそも医療ってそういうもんじゃねぇだろ!

後ね〜、判斗はもうちょい嫌なヤツでも良かった気がするんですよね〜。本土の大病院で仕事したかった青年医が離島の診療所でと不本意な心境を露わにしてましたよね。だけど島民達に慕われるコトー先生を羨んだりとか事ある毎に中途半端に良いヤツだったりするんですが、とことん嫌なヤツが最後の方でコトー先生や島民達によって心を開いていってバシっと見せ場を作るって方がストーリーがもっと面白くなったんじゃないかなとあくまで個人的な印象として感じました。

すいません、ラストはかなり辛口になってしまいましたが、中島みゆきさんの名曲が心を洗ってくれました!「銀の龍の背にのって」は大音量で聴くと感動しますね!

是非劇場でご覧下さい!