きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

ゆとりですがなにか インターナショナル

2016年に日本テレビ系列で放送された連続ドラマ「ゆとりですがなにか」を映画化。
「野心も競争意識も協調性もない」と揶揄(やゆ)されてきた「ゆとり世代」の男たちも30代半ばに差しかかり、それぞれ人生の岐路に立たされていた。夫婦仲も家業の酒屋もうまくいかない坂間正和、いまだに女性経験ゼロの小学校教師・山路一豊、中国での事業に失敗して帰国したフリーターの道上まりぶ。働き方改革、テレワーク、多様性、グローバル化など新しい時代の波が押し寄せる中、ゆとりのない日々を過ごしながらも懸命に生きる彼らだったが……。
正和役の岡田将生、山路役の松坂桃李、まりぶ役の柳楽優弥をはじめ、安藤サクラ、仲野太賀、吉田鋼太郎らテレビ版でおなじみのキャストが再結集。テレビ版に続いて水田伸生が監督、宮藤官九郎が脚本を手がけた。(映画・comより)

ドラマは見ていないものの予告を見て面白そうだなと思っていた「ゆとりですがなにか インターナショナル」。若手の実力派揃いで振り切ったコメディ、あの水田伸生宮藤官九郎の組み合わせという事で気になっていたもののなかなかタイミングが合わず見れずでしたが、ようやくMOVIX日吉津で見て参りました。

ゆとりよりひと回り上の世代にあたるオジサンである僕からすると彼らも十分若いと思うのですが、今の若者の中心はZ世代でありゆとり世代も三十代半ば。社会の中心を担っているわけです。

そんなゆとり世代の三人の男達を中心にクドカン節前回のコメディで現代のあらゆる価値観を盛り込みながら展開していく娯楽作品となっていました。

働き方改革、テレワーク、LGBTにグローバル社会等様々な現代の価値観が作品には盛り込まれていてただそれをコメディとして笑いにするだけではなくパワハラやセクハラ等旧来的価値観に対して疑念を与える見せ方はなるほどと感じました。

登場人物がモデルとなり見せる部下を叱責する場面、スナック/クラブ等でお姉さんに抱きつくエロ親父等を使いながら見せる前時代的な悪しき風潮への警鐘。やられてる女性が娘ならエロ親父をどつきたいしその親父が父親なら軽蔑する。これらを男女それぞれの目線で語らせる辺りに良い見せ方だなと感じましたね。

また、笑いを入れる辺りにもリモートで画面がフリーズするなんてあるあるを見せたりユーチューバーがちょいとした方法で動画再生で荒稼ぎ。更にはテレワークに対して古い考えを持っていると引きこもりじゃない?なんて思ってしまう。まぁあるあるですよね。

そしてインターナショナルと銘打ってるだけあってグローバルをかなり取り込んでいる。山路の受け持つ生徒にアメリカ、タイからの転校生、まりぶは達者な中国語を活かしての中国版ユーチューバー、そして韓国企業からの買収なんてリアルだと笑えないけど今や現実的に起きてもおかしくない様な事まで。更には中国や韓国に抜かれる日本の低落ぶりも指摘されている。

LGBTの件だってディズニーで数々の作品が見せてきましたが、そのどれにも勝る様なスムーズな見せ方でしたね。それに付随して言えば小学生への性教育というデリケートな内容にも踏み込んでいました。もっともその性教育をするのが童貞の山路というのがネタになってましたが(笑)それにしても山路の童貞いじりが頻繁に出てきましたね。身近なメンバーはもちろん外国人から小学生にまで。てか小学生って童貞って意味わかってんのかな?まぁ、わかってるから使ってるだろうしオジサンの時代とは違うか。

後、木南晴夏が演じた韓国人の女性が作品を盛り上げていた。一見鼻持ちならない韓国人女性なんだけど実は彼女にも彼女の事情があったり仲間思いであり例のセクハラ親父の乗ったタクシーに飛び乗ったりと正義感の強い女性なんですよね。それにしてもマリブの指摘した韓国人の使う日本語への指摘はネトウヨが感情移入しちゃうのでは?なんて思いましたね。彼女の使う日本語。それは日本人を服従させるものという事。もちろん全ての韓国人がそうだとは思わないけど反日感情を抱いた韓国人が日本語を使うさまってマリブが指摘した正にそれなのかな?旧統一教会の問題がめくれた今日本人を洗脳し財産を巻き上げる同教団が使う日本語と日本への歩み寄りが奇しくも通ずるものがあるかなと。それにしても木南晴夏の韓国人役はピタリとハマってましたね。てっきり向こうの女優さんを起用してるのかなと思ったくらいです。

そしてこの映画の帰着点として落ち着かせたのはドラマが放送されていた2016年と今では大きくその価値観が変わりました。その間には元号改元にコロナ禍といったわかりやすい出来事もありましたが、様々な要素が重なった結果の変化なんですよね。しかしどんなに価値観が変わろうとも身近にいる家族や友達との時間は変わらないしそういう当たり前の幸せを大切にしていこうという事ですよね。

7年経ってからの映画化ではありましたけど、その時間の経過が非常に活きた映画化の成功例ではないでしょうか。今ひとつ興行成績は振るわない様ですが続編があれば見に行きたいです。

オススメです!