きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

レジェンド&バタフライ

木村拓哉綾瀬はるかの共演で織田信長正室濃姫の知られざる物語を描く、東映70周年を記念して製作された歴史大作。
格好ばかりで「大うつけ」と呼ばれる尾張織田信長は、敵対する隣国・美濃の濃姫と政略結婚する。信長は嫁いで来た濃姫を尊大な態度で迎え、勝ち気な濃姫も臆さぬ物言いで信長に対抗。最悪な出会いを果たした2人は、互いを出し抜いて寝首をかこうと一触即発状態にあった。そんなある日、尾張今川義元の大軍が攻め込んでくる。圧倒的な戦力差に絶望しそうになる信長だったが、濃姫の言葉に励まされ、2人は共に戦術を練って奇跡的な勝利を収める。いつしか強い絆で結ばれるようになった信長と濃姫は、天下統一へと向かって共に歩み出す。
映画「るろうに剣心」シリーズの大友啓史が監督を務め、「コンフィデンスマンJP」シリーズの古沢良太が脚本を手がけた。(映画・comより)

キムタクが演じる信長が兼ねてから話題となっていましたが、遂に公開となりました!東映70周年の記念作品という事で20億円の製作費を投じた歴史大作。僕は信長もキムタクも大好きなので非常に楽しみにしていた作品でした!

で、そんな私ですが、昨年末T-JOY出雲にてマスコミ・業界関係者向けの試写会があり、そちらでまず最初に鑑賞して参りました!その日はエフエムいずもで夕方の番組があった為、少し遅れての入場。遅刻時間は約15分。しかしそこからでも十分に楽しく鑑賞する事が出来ました。

まずはキムタクの信長について。これまで数々のドラマや映画で主演を張り大ヒットを生み出してきたキムタクこと木村拓哉さん。主演がキムタクというクレジットだけで大ヒットが約束される一方、何を演じてもキムタクなんて事も言われてきました。これは一流俳優の証でもあるとは思うのですが、ネガティブな意味で言われる事も多いです。では今作ではどうなのか?はっきり言ってこれまでのキムタクイメージとは全く違う織田信長の人物像を完全に演じきっており、実に堂々とした姿が印象的でした。

一方での綾瀬はるか演じる濃姫綾瀬はるかさんと信長と言えば2017年の「本能寺ホテル」が思い出されますが、あの作品で綾瀬さんが演じていたのはタイムスリップしてしまう現代の女性。言語や立ち振る舞い等に特に強い意識をする必要もなくナチュラルに演じられた事かと思いますが、今作の場合は信長の正室であり、しかも史実でその人物像等がはっきり明かされていない分かなり想像で補完した濃姫になるわけです。演じる難しさがあったとは思いますが、綾瀬はるかさんクラスになると流石なもので勝ち気で気の強い濃姫を見事にご自身の物にされていたなと思います。

るろうに剣心」シリーズ等で知られる大友監督作品とあって全体的にアクションのシーンには引き込まれます。戦国時代の話しですから、合戦の場面ももちろんなのですが、キムタクと綾瀬さんによる殺陣のシーンは見せてくれますね!とりわけ綾瀬さんのアクションはやはり引きつけられます。これを見るだけでも綾瀬さんのキャスティングは見事に成功しているなと感じますし、アクションありきでの配役だからこそ綾瀬はるかさんだったのかななんて思います。他にアクションで見せる女優さんだと土屋太鳳さんや清野菜奈さん等も良いとは思いますが、このお二人のアクションはまた別の作品で期待したいと思います。

また、信長のストーリーという事で尾張のうつけ者から成り上がるまでの展開がとにかくスピーディーかつ爽快感を与える様な描き方で非常に楽しませて頂きました!

また信長を語る上で欠く事の出来ない歴史トピックをしっかり出してくるのですが、比叡山焼き討ちのシーンはかなり怖いし、信長のサイコパスっぷりとこれでもかとばかりに映し出しています。この比叡山焼き討ちシーンはかなり真に迫っていて僕は引きつけられました。また、長篠の合戦後死屍累々と横たわる人と馬を横切る信長のダークヒーローっぷりなどを見るとなるほどキムタクのこれまでのイメージを大きく覆すまたそんなキムタクを撮ろうという気概が製作陣にあったであろう事がよくわかります。これまで数多くのドラマや映画で色んな俳優さんが演じた信長を見てきましたが、個人的にはかなり好きな信長がキムタクのそれでした。

だからこそ本能寺の変を迎える辺りではもうすぐ見納めかという淋しさがありましたね。

だが、ここで大きな事件が。

業火の中、それでも明智光秀の群勢に対峙する信長。キムタク信長にとっても最大のハイライトシーンです!で、ここが何と言ってもドラマチックな作りとなっています!

それこそが信長と濃姫のもうひとつの未来を思わせる様なものでして、劇中に海を見た濃姫が発したある言葉が伏線となっているんですね。

信長が世を統べる為に魔王とならなければ…。人としての信長と濃姫が純愛を重ねていれば?

信長は本能寺の変に遭遇する事もなかったし、劇中で描かれた明るい未来があったのかもしれない?レジェンドとして歴史に名を残すのかバタフライとして自由を謳歌し、伸び伸びと暮らしていくのか?その選択の上に待つ結末というのは実は紙一重なのかもしれないなんて事を思いました。

更にラストも良かった!信長の壮絶な死と燃え盛る本能寺の炎の音と共にエンドクレジットが流れるそこには主題歌というものは存在しない。ただ静かに物語の幕を閉じていく。何てドラマティックで余韻の残るエンディングなんだと感動しましたね!ここって非常に重大なポイントでして、もしこの流れで主題歌だったら違和感あったかもしれないです。それは仮に自分が好きなアーティストの曲であってもね。

キムタク信長と綾瀬はるか濃姫はベストキャスティングでしたし、音尾琢真さんの秀吉に斎藤工さんの徳川家康等光るキャスティングでした!アクションも十分楽しませて頂きました!

ちなみに1回目は年末の試写会そして全国公開後には時代劇好きな父と見に行きましたが、親父も感動しきりでしたね!

強くオススメします!是非劇場でご覧下さい!