きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

るろうに剣心 最終章/The Final

f:id:shimatte60:20210429172751j:plain

和月伸宏の人気コミックを佐藤健主演&大友啓史監督で実写映画化した大ヒットシリーズ「るろうに剣心」の完結編2部作の第1弾。原作では最後のエピソードとなる「人誅編」をベースに、剣心の十字傷の謎を知る上海マフィアの頭目・縁との戦いを描く。日本転覆を企てた志々雄真実との死闘を終えた剣心たちは、神谷道場で平穏な日々を送っていた。そんなある日、何者かが東京中心部を相次いで攻撃。やがて剣心は、ある理由から剣心に強烈な恨みを持つ上海の武器商人・縁との戦いに身を投じていく。キャストには緋村剣心役の佐藤健、神谷薫役の武井咲相楽左之助役の青木崇高、高荷恵役の蒼井優斎藤一役の江口洋介らおなじみの俳優陣が再結集。新たなメンバーとして、シリーズ史上最恐の敵となる縁役を新田真剣佑、かつての剣心の妻で、剣心が不殺の誓いを立てる理由となった女性・雪代巴役を有村架純がそれぞれ演じる。
(映画.comより)

00年代以降の日本の映画シーンにおいてひとつのトレンドとなったのが、人気漫画の実写化です。
特に若い世代に人気の高い作品は知名度もあり、人気の若手俳優を起用し、話題性を集めるには持ってこいのコンテンツです。
しかし、この実写化が相次ぐと目も当てられない様なお粗末なものも生まれやすくこういった作品が公開される度にネットが荒れるという事象を招いてしまったのも事実です。
しかし、そんな実写化作品の中でも大成功を収め、シリーズ化も成し得た数少ない作品が『るろうに剣心』でした。
申し分のない見事なキャスティング・日本映画では類を見れない豪快なアクション等々がその大きな成功要因でしょう。
そしてこの実写版の『るろ剣』も今回がラスト。
最終章と銘打ち2部構成の前後編で公開です。

かつて幕末の世に「人斬り抜刀斎」として恐れられた伝説の剣客・緋村剣心
額の十字傷の謎に迫るつくりであり、また彼が何故人を殺める剣から人を守る剣へと切り替えたのかその変遷を辿りつつ、現れた剣心への復讐を胸に現れた男との対決をメインに。
涙あり手に汗握る怒涛の展開に決して飽きさせる事のない138分間でした。

これまでの三作でもそのアクションシーンには大きな定評がありました。
しかし、本作ではこれらを大きく上回る様な怒涛のアクションシーンに息をのみます。
佐藤健新田真剣佑の二大俳優がとにかく魅せる!
とりわけ真剣佑演じる縁の感情のぶつけ方からは気迫がひしひしと感じられ、その情念が剣心にぶつけられていきます。
とにかくカッコいいです!

そして劇中で明かされる悲劇的なエピソードが更に作品を盛り上げてくれてましたね。
そこに登場してくるのが有村架純演じる巴なのですが、彼女の存在が6月公開の『The Beginning 』で大きくクローズアップされていきます。

それから個人的にアクションが光っていたのは土屋太鳳演じる巻町操なんですよね。
土屋太鳳さんと言えば日体大をこの春卒業したというバリバリの肉体系女優なんですよね。
例えば映画だと『トリガール!』ドラマの『チア☆ダン』等スポーティーな作品でその身体能力を発揮していましたが、殺陣を伴う本格的なアクションと言えば『るろ剣』くらいですよね。
本作では彼女のアクティブな面が遺憾なく発揮されておりまして、かなり魅了されましたね。
惚れたはれたの恋愛映画よりもこういう作品にもっと出てほしいですね。これは綾瀬はるか然りなのですが。

ただ、一方で気になった部分もあるのでお伝えするとドラマパートの見せ方かな~なんて言うと偉そうですいません。
というのが、過去の剣心に因縁を持つヴィランが現れ、再び剣を振るう事になった剣心。
その死闘は前述の様に縁の情念とそれを迎え撃つ剣心の感情がスクリーンから溢れ出る様で見応え抜群です!
しかしその過程で本来『The Beginning 』で使うべきシーンを出しすぎたんじゃないかなと。
そもそも本作で『Beginning』より『Final』を先に公開したのにはやはり相応の理由があると思うんですよ。
人斬り抜刀斎と恐れられた緋村剣心の物語に落とし前をつけ、そして彼のそもそものエピソードを打ち出していくという狙いが。
これまでの前後編映画にはなかった試みだし、大友監督の斬新な発想力の賜であると確かに思います。
しかし、本作では次作のシーンはほどほどに…むしろぼんやりでも良かった様な気がするんですよね。
何なら有村架純の出演は次作まで取っておいてもよかったくらいですよ。
それが結構な尺を使って次作絡みのエピソードを盛り込んでくるもんだから見る側のハードルが上がるだけな気がするんですけどね。

なので次作は私もかなりハードルを高くして鑑賞する事になりそうです。

何てやや辛口な事も言いましたが、しかし全体的に復讐が如何に虚しくはかないものであるか、また人を殺めてきた剣心が人を救う事に生涯を捧ぐその贖罪と彼の人としての強さが盛り込まれた非常に見応えある最終章でした。

尚、本作ですが、これまでの劇場作品や原作を知らなくとも楽しめるつくりとなっていますので安心してご鑑賞下さい。