きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

インサイド・ヘッド2

人間が抱く「感情」たちの世界を舞台に描き、2016年・第88回アカデミー賞で長編アニメーション賞を受賞したディズニー&ピクサーのアニメーション映画「インサイド・ヘッド」の続編。
少女ライリーを子どもの頃から見守ってきたヨロコビ、カナシミ、イカリ、ムカムカ、ビビリの感情たちは、転校先の学校に慣れ新しい友人もできたライリーが幸せに暮らせるよう奮闘する日々を過ごしていた。そんなある日、高校入学を控え人生の転機に直面したライリーの頭の中で、謎の警報が鳴り響く。戸惑うヨロコビたちの前に現れたのは、最悪の未来を想像してしまう「シンパイ」、誰かを羨んでばかりいる「イイナー」、常に退屈&無気力な「ダリィ」、いつもモジモジして恥ずかしがっている「ハズカシ」という、大人になるための新しい感情たちだった。
前作に続いてメグ・レフォーブが脚本を手がけ、「モンスターズ・ユニバーシティ」のストーリースーパーバイザーを務めたケルシー・マンが監督を担当。(映画・comより)

これまで数々の喋る◯◯を作り出してきたディズニー・ピクサー作品。

例えば喋るおもちゃと言えばご存知「トイ・ストーリー」、喋る車と言えば「カーズ」、火や水が感情を持ったのが、昨年大ヒットした「マイ・エレメント」。そして喜びや悲しみ、怒りといった感情が意志を持ち、人間の脳内での動きを描き大きな話題となったのが2015年の「インサイド・ヘッド」でした。ライリーという女の子の感情をうまく擬人化し、独自の表現方法で世界中での大ヒットに繋げました。

あの「インサイド・ヘッド」から9年。今作は成長したライリーが思春期ならではの複雑な感情を持ち、感情のキャラクターも増加。果たしてどんな物語が描かれるのか?

前作も劇場で鑑賞し、そのクリエイティブな映像アプローチに感嘆したワタクシ。8月4日にMOVIX日吉津で鑑賞して参りました。

さて、前作から9年。その間前作には全く触れていない為にストーリー等完全に忘れていた部分が大いにあります。

しかし、その辺りもストーリーを追っていくうちに次第に思い出しながらと同時に思春期を迎えたライリーに心情を寄せながら見ていくうちに自分の中で懐かしい感情が呼び起こされていく事に気付きます。それは自らの思春期の体験、それに至るまでの心理的な動機です。

例えば新しい環境に身を置いた時に新しいクラスメイトや先輩と仲良くする為にイメージ良くふるまうそんな経験は誰しもあるのではないでしょうか。それと同時に起こりうる事。それはそれまでに仲良くしていた友達と距離を置くという事です。

決して当該の友人が嫌いになったわけではないのに、新しい友人に好意的な印象を持ってもらいたいが為に前の友人によそよそしくなってしまう。で、そういう時に限って前の友人が空気読めない事を言ってしまいひやっとしてしまう。あるあるですよね。そんな時に感情がどの様に動くのかといった描写が非常にしっくり形で描かれています。

なのでこの作品。今まさに思春期を迎えている少年少女はもとより思春期なんて遠い過去…なんていうオジサン・オバサン世代にもかなり深い共感性が生まれるのではないでしょうか。

また、誰にでもひとつや二つあるでしょう。黒歴史ですね。こちらの描き方なんかもわかりみが深すぎて相変わらずこのシリーズ。うまく見せてくれるななんて感心させられます。

また、シンパイ、イイナ、ダリィ、ハズカシという新キャラクターもライリーが成長したからこそ生まれたキャラクターとしてよく機能していましたね。

敵というわけではないですが、ヨロコビ、カナシミ、ムカムカ等前作から出ているメインキャラクターとの対立構造を作り出しているというその筋書きも秀逸だなと思いました。

で、更にはナツカシというコメディリリーフ的なキャラクターもユニークでしたね。ナツカシだから過去を振り返るキャラ。そういう事もあってキャラデザがおばあちゃんというわかりやすさ。ライリーはまだ若いからあまりナツカシというキャラクターは出てこない方がいいよというところから顔をのぞかしてはすぐに追い出されてしまいます。ちなみにワタクシ、齢40過ぎればしょっちゅうこのナツカシが心に浮かんで参ります(笑)

と、この様に前作同様に人間の感情のあるあるを非常に巧みにストーリーに絡ませながら納得させてくれます。

しかし、個人的には前作程作品にのれなかったといのが正直な感想です。

というのが感情の起伏というものをスマートに見せ過ぎたせいで、前作でいうところの記憶の消去という悲劇性に乏しかったのが大きな要因でしょうか?

脳内での感情の冒険活劇というところに舵を切り過ぎた感が否めなく、それが僕の中でのカナシミという感情が芽生えず何なら少々ダリィという感情が劇中に浮かんでは消え浮かんでは消えを繰り返してしまいました。

前作は映画の内容同様にヨロコビそれからカナシミという感情が僕の中では動いていたんですけどね。

で、これまで二作品には現れていないモヤッという感情も居ましたね。このまま大きな山場も感情を刺激するサプライズもなく終わってしまうのかと。

幸いイカリとかムカムカという感情は出なかったのは救いでしたけど。

ただ、これで次作を見ないという事ではなく、また続編があれば見たいなと思っています。

その時は僕の中ではヨロコビを大暴れさせてほしいななんて思っています。

なんて今回は大喜利っぽくなりましたけど、天下のディズニー・ピクサー作品ですから、作品全体のクオリティは裏切りません!

是非劇場でご覧下さい!