見た目は赤ちゃんだが知能は大人の主人公ボス・ベイビーの活躍を描いた、ドリームワークス・アニメーションによる映画「ボス・ベイビー」の続編。ボス・ベイビーと兄ティムが繰り広げた、赤ちゃんvs子犬のバトルから30年。ボス・ベイビーは今や正真正銘のエリート社長、一方のティムは2人の娘を育てる専業主夫となり、別々の人生を歩む兄弟はすっかり疎遠になっていた。ある日ベイビー株式会社に、悪の天才博士が世界征服を企んでいるという情報が入り、再びボス・ベイビーとティムの力が必要となる。その任務を伝えるため2人の前に現れたのは、新たに「ボス・レディ」に任命されたティムの娘ティナだった。ボス・ベイビーとティムは世界中の赤ちゃんを洗脳しようとする博士の計画を阻止するべく、スーパーミルクで赤ちゃん返りして潜入捜査に乗り出すが……。「マダガスカル」シリーズのトム・マクグラスが前作に続いて監督を務め、英語オリジナル版ではアレック・ボールドウィン、日本語吹き替え版ではムロツヨシがボス・ベイビーの声を続投。(映画・comより)
喋る赤ちゃん、会社を経営する赤ちゃんとその斬新な発想と終始飽きさせない軽妙な脚本が功を奏しドリームワークス最大のヒットとなった『ボス・ベイビー』が大ヒットしたのは2018年。今回三年振りに新作が公開されました!とは言え、前作でストーリー上では一応の完結を迎えていました。果たして続編はどの様に作るのか?その点に注目しながら今回は鑑賞しました。
なるほど、こう来たか!というのが、前作に登場したボス・ベイビーとティムの30年後。すっかり成長してオッサンになった二人はそれぞれ別の人生を歩んでいた。そして結婚をして家族を築いたティムの子供を契機に…と、要は大人になった二人の物語なんですよね。
そしてこれがまぁ面白い!オッサンの彼らがまさかの赤ちゃん返り。30年前にも舞台となったベイビー株式会社でのミッションに挑むというわけです。
前作同様のスピード感やトリッキーな仕掛けの数々。敵とされるキャラクターの陰謀等等見ていてとにかくわかり易く、楽しい!当然子供向け映画ですから、当たり前っちゃ当たり前なんですが。
でもこれがね〜、ただの子供向けと侮るなかれ。大人にも刺さるメッセージやテーマがふんだんに盛り込まれ、非常に深い内容だったんですよ。
まずひとつに大人になった兄弟という視点。前作ではタッグを組んだティムとボスベイビー。兄弟なんだけど全く正反対の二人。だけどぶつかり合いながらも互いに成長していったんですよね。しかし、大人になると違う道を歩み、住む場所も変わり、滅多に顔を合わせる事だってなくなってくる。これは兄弟をお持ちの方であれば心当たりのある人は多いのではないでしょうか?子供の頃は大の仲良しであっても大人になれば、疎遠になる事だってある。そんな時に試されたティムとボスベイビーによる兄弟の絆。そこは是非見て頂きたい所だなと思います。
そしてそれぞれの生き方がもたらす苦悩や憧れの描き方なんかもよく捉えていたなと感じました。かたや、ティム。妻と二人の娘に囲まれた専業主夫。はたから見ると幸せな家庭の良き父であり、夫。だけど思春期を迎える娘との距離感に頭を悩ましていたり、自らの生き方を全うする弟への羨望の思いもあったりします。
一方のボスベイビー。彼は子供の頃からの予想通りと言うべきか大企業の経営者として大成功を納めます。ティムの家には自家用ジェットでやってくるし忙しさ故のタイムスケジュールにも余念がない。誰の目から見ても分かる社会的大成功者なのですが、常に孤独。ティムの様な家庭があるわけでもないし、心を許せる親友が居るわけでもない。だからこそティムの生活は自分にはないもので憧れる。あれ程歪みあうティムにも思わず心境を吐露する場面だってあるんです。
これはそのまま我々に置き換えても同じ事が言えるのではないでしょうか。
そして次に子供は大人になるけど、大人は子供にはなれないという当たり前なんだけど、誰しも一度は考えた事のあるテーマですね。正直僕は本作を見てスーパーミルクが欲しくなりましたよ(笑)出来るなら今のマインドを持ちながら子供時代に戻りたい!なんて。でもどれだけそれを願っても叶わない事なんだし、だったらどうするか、というと今を頑張るしかないって事ですね。楽しかった子供時代の思い出を胸に今を生きていきましょう!
更には父と娘の繊細な心の機微を描いていたのも印象的でした。前述の様に大人のティムは娘とのコミュニケーションに頭を悩ませてました。父離れをしたい娘とまだまだ娘との時間を大切にしたい父親。それがミッションを通して次第に解決していく過程は見て頂きたいですね。
それにしても今回から登場したボス・レディのキャラクターは良かったですね!実年齢的には赤ちゃんなんだけど大人から子供になった二人を上手くコントロールしていくしっかり者。日本版だと多部未華子さんが声を担当しているのですが、すごい雰囲気がピッタリ合ってましたね。
更なる続編を示唆する様なエンド。正直、一作目で完結していたから続編に関しては慎重に考えてました。でもこの分だと次はどの様な展開を見せてくれるのか期待が高まって参りました。
一作目同様、本作も非常にオススメです!
是非ご覧下さい!