きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

マトリックス レザレクションズ

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1999年に公開され、革新的な映像技術とストーリーで社会現象を巻き起こしたSFアクションの金字塔「マトリックス」。2003年に公開された続編「マトリックス リローデッド」「マトリックス レボリューションズ」で3部作完結となった同シリーズの新たな物語を描く、18年ぶりとなるシリーズ新章。主人公ネオを演じるキアヌ・リーブスが過去作と変わらず同役を担当するほか、トリニティー役のキャリー=アン・モス、ナイオビ役のジェイダ・ピンケット・スミスらが続投。ネオを救世主と信じ、世界の真実を伝え、彼を導くモーフィアス役を「アクアマン」のブラックマンタ役で知られるヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世、ネオの宿敵スミス役をドラマ「マインドハンター」のジョナサン・グロフが新たに演じ、ニール・パトリック・ハリスクリスティーナ・リッチらが扮する新キャラクターも登場する。シリーズの生みの親であり、過去の3作品を監督しているラナ・ウォシャウスキーがメガホンをとった。(映画・comより)

ハイ、新年一回目の『シネマ放談』はかつての革新的な映像技術で全世界を席巻したあの『マトリックス』の18年ぶりの新作です。とは言えワタクシ、実はこれまで『マトリックス』シリーズを見た事がなかった為、本作鑑賞にあたって「これはいかん!」とばかりに過去作をまとめてアマゾンプライムビデオで鑑賞。こういう時はホントVODは有難いです。

99年の『マトリックス』〜03年の『マトリックス レボリューション』を見て率直に感じた事としては今でも通用する当時としては画期的だったVFXの技術に感嘆しつつ、哲学的な思想も織り交ぜた深みのあるストーリーに酔い、でもはっきり言って難解過ぎるその内容は僕みたいな馬鹿ではかなり理解に悩みました。しかし、キアヌリーブスによるあのお馴染みのマトリックスポーズやキレッキレのアクション等等非常に楽しませて頂きましたよ。

その上での新作の鑑賞ですが、僕は思いました。過去三作からどの様な展開で新作が製作されているのか、という事です。というのが99年〜03年までに作られた三作は三部作としてとりあえず完結してるんですよね。これを果たしてどう繋げるのかまたは新作でもあの斬新な映像が楽しめるのか興味は尽きませんでした。

その結果を言いますね。本作に関して言えばいわゆる三部作と別の世界線で描かれている。何だったら過去作を完全に切り離して俯瞰的な視点で捉えながらもメタ的なセリフや描写も三度登場してくる。僕みたいなライトな層ならさほど気にはなりませんでしたけど、シリーズに思い入れの強い人が見たらかなり戸惑いと不満の残る作りだったんじゃないかなと思いました。

前提として言えば『マトリックス』シリーズは03年の『マトリックス レボリューションズ』でストーリーとしては完結しており、続編の製作予定はなかった様です。しかし、これは劇中でまさかの形で明かされるのですが、大人の事情で製作を促され、作られたという事だそうです。

そんな事情はさておいても製作する以上はかつての人気シリーズに恥じない物は作って欲しいものなんですが、正直言えば『マトリックス』らしさって言うのかな、かつての様なセンセーショナルな物は感じられないんですよね。そりゃこの20年の間に映像技術は進化しているので、耐性がついて何を見ても余程の事でないと驚かないというのはありますよ。にしてもですよ。目新しさは感じられないし、何なら20年前とさほどの進化を感じないんですよ。

キアヌリーブスも20年分の年齢を重ねているので、アクションも特殊能力のCGでカバーされてしまったのが残念なところ。いや、仕方ないとは思うんですよ。でもこれなら敢えて新作をつくらずとも別の形で今のキアヌ・リーブスが光る様な作品を新たに作った方が良かったと思います。もしくはこれは『ロッキー』シリーズから『クリード』のパターンに倣い次の世代に託す的な見せ方もありだったかもしれないし。

それからこれはファン向けの仕様にする辺りの心遣いなのかもしれませんが、過去作の映像を使い過ぎなきらいは否めませんでしたね。確かに見てたら「あ〜、あのシーンがここに繋がるのね〜」みたいな発見があって面白かったですけど少々くどいかななんて思いました。

それから『マトリックス』のイメージを色で例えたら電飾系の緑更に劇中はやや薄暗い色彩なんですけど、今回はあまりあの薄暗さを感じられず、よくあるハリウッドのアクション映画のひとつにしか思えない印象だったのが残念。あの世界観を本作でももっと打ち出して欲しかったなというのが正直なところです。

何て不満をたらたらと述べてしまいましたが、個人的に詳しく言えませんが、ビルから人が〜みたいなシーンは面白かったですね。あれなんかはかなり凝ってたなと感じました。それからやっぱり過去の『マトリックス』イズムを感じる点としてはあの人がまさかの〜みたいなあの矢継ぎ早に繰り出されるトリッキーな映像はまだまだ枯れてないなと感じました。

尚、本作ですが、ハリウッドのあるあるですが、エンドロールが流れても決して席を立たない事を強調してお伝えします。それからこれまで『マトリックス』シリーズを全く見た事がないという人には初見で見ない事を勧めます。私が正にそうでしたが、過去三作を見てから鑑賞しないとただでさえ難解な内容。殊更ちんぷんかんぷんになるかと思います。

どうやら映画ファンからの評価は賛否両論の様ですが、是非ご自身の目で確認して下さい!