きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

ビートルジュース ビートルジュース

ティム・バートン監督が、自身の出世作となった1988年の映画「ビートルジュース」の35年後を描いたホラーコメディ。
死後の世界で「人間怖がらせ屋」を営む推定年齢600歳のビートルジュースは、かつて結婚を迫るもかなわなかったリディアのことをいまだに忘れられずにいた。リディアは自身の霊能力を生かしてテレビ番組の司会者として活躍しているが、私生活では一人娘アストリッドとの関係に頭を悩ませている。アストリッドは幽霊の存在を信じておらず、母の霊能力もインチキだと思っているのだ。ある日、数世紀前から死後の世界の倉庫に封じられていたビートルジュースの元妻ドロレスが復活し、ビートルジュースに対して復讐を企てる。一方、アストリッドが死後の世界に囚われてしまい、リディアは最終手段としてビートルジュースに助けを求めるが……。
前作に続いてビートルジュースマイケル・キートン、リディアをウィノナ・ライダーが演じ、リディアの娘アストリッド役でジェナ・オルテガビートルジュースの元妻ドロレス役でモニカ・ベルッチが新たに参加。(映画・comより)

ティム・バートン。独創的な映像表現で「チャーリーとチョコレート工場」等等数々の作品を世に放ってきた世界的な映像クリエイター、映画監督です。

そんな彼の出世作となったのが1988年の前作「ビートルジュース」でした。

今回36年振りの続編という事で事前の予習を、と思いU-NEXTにて視聴。

死後の世界と現世を結ぶファンタジーでもあり、コメディでもあり楽しく見ました。

そんな予習も済ませた上でいよいよ今作の鑑賞。

9月28日、MOVIX日吉津にて見てきましたが、公開週の週末の昼間にしては客入りは少し淋しく。あまり興行が芳しくないのかななんて気をかけつつ、本編上映に臨んだところです。

さて、いわゆる続編・リブートものとなると作品自体が前作との関連やリンクする部分が気になるところです。また前作未視聴であっても鑑賞に支障がないかもポイントです。ましてや前作から時間が経過していれば尚更です。

結論を言います。ストーリー自体は前作未視聴であっても楽しめるかと思います。しかし、前作を見ていればより深く楽しめる、いや楽しみ方が全然違うと言うべきかもしれません。

まず、ビートルジュースなるキャラクターに関しては、三回名前を呼んではいけないというストーリー上のたてつけであったり、劇中に登場する屋根裏部屋や舞台となっている町のミニチュア等は前作を見ていないとその捉え方に大きな差が生まれる事は間違いないし、そもそもリディアという女性だって前作ありきのキャラクター。ましてや彼女の娘・アストリッドの存在にしても前作でのリディアとビートルジュースの関係を見た上でないと深みに欠けるのかもしれません。

と、なると見なくても良いとは言いましたが、早々に前言を撤回しますが、すべからく見るべきと言っておきましょうか。

さて、ティム・バートンにとっては独創的なアイデアやアートワークが詰まった秀作にして出世作となった作品その続編となる今作では死後の世界という何ならホラーの題材としてはうってつけの素材を使いながら思いっきりコメディにしているそのセンスを36年経過しても尚、一切の妥協もブレもなく、表現しています。

そしてそれをどの様にしてこちらの世界に来たのかを亡くなり方を活かしながら表していたのが、まず面白かったです。

例えばサメに食われて死んでしまった人はこちらの世界でもサメに食われっ放しだし、首にやりが刺さった人…と言うかゴーストと言うべきでね。この場合はやはり同様の死に方をしたのかと見ている側に想像させてくれる。奇抜で毒っ気のあるユーモアセンスで不謹慎という言葉を吹き飛ばしてくれる痛快さがあります。

また、地下鉄のホームでは車掌がDJよろしくMCで盛り上げ、ホームの客や電車内の乗客がディスコパーティーを繰り広げる。こちらの元ネタは「ソウルトレイン」なのですが、音楽としてのソウルと魂のソウルをかけているんですね。で、このパーティーが楽しそうだから、そちらの世界も悪くないななんて思わせてくれます。

とこの様にパロディも交えながら、ティム・バートン流のユーモアがとにかく効いていて、映像的にも楽しいです!

また、ビートルジュースのキャラクターがとにかく不謹慎かつお下劣、でもそこがサイコーなんですね。基本的には下ネタとブラックユーモアなんですが、こういうアクの強いキャラだと不快感なく楽しめるんですよね。そこはマイケル・キートンの快演によるモノも大きいんですけどね。

で、ふと思ったんですよ。「あれ?このノリ、少し前にも見たぞ。」…なんて思い出しましたよ。デッドプールですよ!そう、俺ちゃんですよ。

こういうノリ、アメリカの人は大好きなんだろうねぇ。日本では興行が振るわなくとも本国では大ヒットみたいですからね。

ところで思ったんですが、死後の世界とかゴースト(幽霊)って日本だとホラーに結びつけがちだと思うんですよ。で、実際ジャパニーズホラーのヒットというのは定期的に生まれているし。

でもあまりこれらの題材でのコメディって見かけないよな?アメリカだと今作もだし、「アダムス・ファミリー」とかね。コメディではないけど、ディズニー・ピクサー作品の「リメンバー・ミー」も死後の世界や亡くなった人と再会する話しだったのに、決して怖いとか暗いと思わせる作品ではなかったですしね。

こういうのもまた、日本とアメリカの死者に対する考え方の違いなのかなとふと思ったところで今回は締めさせて頂きます。

ティム・バートン特有のカラフルな映像世界と理屈抜きでコメディを楽しみたい方はオススメです。

でも、作風は好き嫌いが出やすいかなという事はお伝えしておきます。