きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

ウォンカとチョコレート工場のはじまり

ティム・バートン監督×ジョニー・デップ主演の大ヒット作「チャーリーとチョコレート工場」に登場した工場長ウィリー・ウォンカの始まりの物語を描くファンタジーアドベンチャー
純粋な心ときらめくイマジネーションを持ち、人びとを幸せにする「魔法のチョコレート」を作り出すチョコ職人のウィリー・ウォンカは、亡き母と約束した世界一のチョコレート店を開くという夢をかなえるため、一流のチョコ職人が集まるチョコレートの町へやってくる。ウォンカのチョコレートはまたたく間に評判となるが、町を牛耳る「チョコレート組合」からは、その才能を妬まれ目をつけられてしまう。さらに、とある因縁からウォンカを付け狙うウンパルンパというオレンジ色の小さな紳士も現れ、事態はますます面倒なことに。それでもウォンカは、町にチョコレート店を開くため奮闘する。
若き日のウィリー・ウォンカを「DUNE デューン 砂の惑星」「君の名前で僕を呼んで」のティモシー・シャラメが演じた。「ラブ・アクチュアリー」の名優ヒュー・グラントウンパルンパを演じ、サリー・ホーキンスやオリビア・コールマン、ローワン・アトキンソンら演技派俳優が共演。監督は「パディントン」シリーズのポール・キング、製作は「ハリー・ポッター」シリーズのデビッド・ハイマン。(映画・comより)

番組始まって以来初の二本立てでお送りする今回の「きんこんのシネマ放談」。二本目は05年に公開され大ヒットとなった『チャーリーとチョコレート工場』の前日譚となる今作『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』です。先に紹介した『あの花が咲く丘で君にまた会えたら』と同日にMOVIX日吉津にて鑑賞。今作の方を先に見たのですが、『あの花が』で涙を流した後にハッピーな気持ちになる為に今作を見るなんて流れもいいかもしれませんね。

さて、まずは『チャーリーとチョコレート工場』ですよ。ティム・バートン×ジョニー・デップの組み合わせにより当時大ヒット。ティム・バートンによるカラフルかつ毒っ気たっぷりの世界観とジョニー・デップが放つウィリー・ウォンカの怪しげな雰囲気が何ともクセになり僕も大好きな作品です。

そしてあのウィリー・ウォンカはどの様にしてあの巨大なチョコレート工場のオーナーになったのかを描いているのが今作です。

クレジットにもある様にティム・バートンではなく『パディントン』シリーズのポール・キングが監督。『ハリーポッター』シリーズのプロデューサーであるデビッド・ハイマンが製作。そしてウィリー・ウォンカ役はハリウッドの若手人気俳優・ティモシー・シャラメ。つまり前日譚ではありますが、『チャーリーとチョコレート工場』とはキャストも製作陣も一新した別物と解釈して見る事をオススメします。

そんな今作ですが、ジョニー・デップのウォンカ像とは全く異なるティモシー・シャラメ流のウォンカを見せてくれました。毒っ気は全くなくチョコレートで人々を幸せにするいや出来る事を信じてどこまでも真っ直ぐな姿を見せてくれます。ジョニー・デップウォンカが父親に冷遇された為にその結果、ひん曲がった性格になっていたのに対し、シャラメウォンカはマザコン?いや、亡き母の思いを秘めながらチョコレートと向き合いそして自身の作ったチョコレートで皆を笑顔にするべく奔走する。なんて言うとジョニー・デップのウォンカが好きな人にはあの独特なブラック寄りのウォンカが好きだったのに〜なんて言われるかもですが、だから。別物として楽しみましょう。

そして「パディントン」シリーズで鳴らしたポール・キングならではのイギリス・ロンドンを思わせる街並みを背景に鮮やかな色彩とほんのちょっとのブラックユーモアも織り交ぜながらストーリーを転がしていく。

更に特徴的なのがミュージカルの体裁を取っており劇中ではストーリーに沿う形での歌曲が色を添えてくれます。とりわけ冒頭ではシャラメウォンカが軽やかに歌い街を闊歩するのですが、時間にして3〜4分程度。この間に彼の出自であったり現在置かれている状況を伝えてくれ、更には微かな希望すらも失っていく過程までを見せていきますが、この流れが絶妙。非常によく出来ていましたね。

そしてこれは『パディントン』がそうであった様に悪役とされるキャラクターがただ憎たらしいだけではなくどこか愛嬌があります。もちろんウォンカにとっては邪魔な存在だし、ひどい事もしている。警察署長や牧師といったいわゆる聖職者とされる人達も買収する姑息さがありますが、どこかマヌケな所があって憎めない。それでいてウォンカと共に酷い目に合わされてる人達が協力し合いながらしっかりと落とし前をつけてくれるんです。見ている人の溜飲を下げてくれますが、それすらもほっこりとさせてくれるんです。まぁ、この辺りはファミリー向けに作られているから悪役をあまりにも非道な連中にし過ぎない様な配慮があるかもしれませんね。

そして今お伝えした様な仲間達との逆転劇はとにかく見ていて痛快。ウォンカと彼らは望まぬ形で冷遇される境遇に追いやられるのですが、その状況を脱する為にそれぞれの知恵を出し合い持ち前の特技を活かしながらその状況を脱する為に動く。あそこまでの過酷さは出ませんが、ある意味『カイジ』の世界観に近いかもしれませんね。そしてそのきっかけとなるチョコレートにも様々な意味を持たせてくれていたし、時に現実世界での何かを表すメタファーにもなっていました。

それからヒュー・グラントによるウンパルンパのキャラクターも良かったですね!ロマンティックコメディの帝王として世界中の女性を虜にしたヒュー・グラントの新たな一面を見せてくれましたよ!今後もこういったコミカルなキャラクターとか悪役等も見てみたいですね。

そして牧師の役を演じていたのはローワン・アトキンソン。そう、あのMr.ビーンですよ!出番こそ少ないですが、強烈なインパクトを残してくれる。健在ぶりを証明していましたね。

それにしてもこの作品に出てくるチョコレートのまぁ美味しそうなコト!劇場によっては特典としてチョコレートが配られていたそうですよ、羨ましい!

ジョニー・デップのウォンカとは全く別のウィリー・ウォンカを演じたティモシー・シャラメMCUやDC等に代表されるヒーロー物には出ないと公言している様ですが、今後も彼のイメージに合ったキャラクターで様々な作品に出てもらいたいですね。差し当たっては3月に公開の『DUNE/砂の惑星』の続編を楽しみにしています。