東野圭吾のベストセラー小説を木村拓哉と長澤まさみの共演で映画化した「マスカレード・ホテル」のシリーズ第2弾。原作小説のシリーズ第3作をもとに、ホテル・コルテシア東京に再び潜入した刑事・新田浩介と優秀なホテルウーマン・山岸尚美が難事件に挑む姿を描く。警察に届いた1通の匿名ファックス。その内容は、都内マンションで起きた殺人事件の犯人が、大みそかにホテル・コルテシア東京で開催されるカウントダウンパーティ「マスカレード・ナイト」に現れるというものだった。パーティ当日、捜査のため再びフロントクラークとしてホテルに潜入した警視庁捜査一課の刑事・新田浩介は、コンシェルジュに昇進した山岸尚美の協力を得て捜査を進めていくが、500人の参加者は全員が仮装して顔を隠していた。限られた時間の中、素顔のわからない殺人犯を捕まえるべく奔走する彼らだったが……。前作に続き「HERO」の鈴木雅之監督がメガホンをとった。
(映画.comより)
テレビ局製作…なんて十把一絡げにするのはよくないかもしれませんが、テレビドラマの延長の様な映画には適さないTHE MOVIE的な商業映画があります。その代表格がフジテレビであって、コアな映画ファン程毛嫌いしてしまう様な作品が量産されてきたイメージがあります。しかし、2019年に公開された『マスカレード・ホテル』の印象は悪くなかったです。全てをホテルの内部という密室劇にする事で求心力がありましたし、そのホテルのラグジュアリーな雰囲気をスクリーンいっぱいに映し出し、効果的な劇板と共に映画的に贅沢な見せ方をしていて楽しませてくれました!
更にストーリーやキャストにしても『オリエンタル急行殺人事件』の様な華々しいキャストと手の込んだシナリオ運び等エンタメ性は非常に高かったです!フジテレビ所属の演出家にして『王様のレストラン』、『ショムニ』、『HERO』映画では『プリンセス・トヨトミ』や『本能寺ホテル』等を手掛けてきた鈴木雅之氏が監督という事でテレビ的な悪い癖が出てしまったのも否めないですが、全体を通じては悪くはなかったです。
そして今回、二年ぶりにあのコンビが帰ってきました!木村拓哉演じる潜入捜査官・新田浩介と長澤まさみ演じるホテル・コルシア東京のホテルウーマン山岸尚美。当初はギクシャクしていた二人が事件の究明に向け、協力する内にいつしか最高のバディになるそんな昔『HERO』で見た様な二人の関係性だけどお客様を誰よりも信じるホテルマンと常に疑いの目を向ける刑事というその対極にある職業の二人がバチンとハマっていく過程が楽しかったのですが、本作でももちろんその流れ。ホテル内にある理髪店を見た新田が髪を整えるくだりや相次ぐ「客ではなくお客様です。」のやり取りなんかは前作を見ていたらニヤリでしょう。更には前作にも出てたさんまさんの扱いとかもそうですね(笑)
そしてやはりホテルのロビーに見る華やかさもスクリーン映えするんですよね!三谷幸喜作の『THE有頂天ホテル』等もそうでしたが、ホテルって建物自体は見かけても宿泊する機会が少ない人には非日常的な空間なんですよね。そんなホテルにやってくる客…失礼、お客様の顔触れや人間模様等も盛り込まれていてそれぞれが豪華なキャストの面々によって演じられています。
そんなホテルを舞台に起こるミステリー。もちろんかこれが軸になってストーリーが展開するのは前作同様なのですが、前作ってぶっちゃけね犯人わかりやすかったんですよ。何だったらその人物が登場しただけで「あれ、もしかして?こいつ犯人じゃね?」みたいなね。豪華キャストの中、特別出演という形でフィーチャーして案の定その人が犯人、言わば「古畑任三郎」パターンですね。あくまで前作は顔見世興行的な形態だったのでそれで良かったですよ、むしろ木村拓哉さんとその犯人役の人の絡みが貴重だった感じですし。
で、本作はと言うとこれがガッツリ本格的推理サスペンスなんですよ。展開が読めない!とにかくね〜、怪しい人物がワッサワッサ出てくるんですよね!そこから更に登場人物が多いんで頭を整理する難易度も上がっていました!しかもその犯人には悲しいエピソードがあって…という東野圭吾原作ならではなんですが、こちらも現代の社会で議論となる様なテーマが含んでいます。
正直、サスペンスとしての完成度で言えば前作以上。作品としてのクオリティも高くなったと思います。更にアルゼンチンタンゴの舞踏シーンや更に前作を踏襲していますが、中世ヨーロッパの絵画を思わせるエンドでのアートワーク等品もあったし、オシャレ感もありました!
ただ、前作同様にやはりテレビドラマ的な癖が出ちゃいましたね。謎のピエロがフロントに現れた時の動揺ぶりとかホテルサイドと警察サイドそれぞれの違いを明確にする為、会議のシーンを比較的に映し出す等の良い面はありました。ただ、どうにも解せないのが、新田と山岸の二人が対峙した時に周囲に居たロビー客が一斉にその場を離れるだとかロビーや廊下で他の客…いや、お客様の耳に入るくらいの声で事件についてどうこう話すシーンはどうよ?潜入捜査の意味ねぇだろ?後、犯人キャッチの意外性はありましたが、やや唐突過ぎな感はありましたでしょうか?せめて当該人物にその動機に繋がるものを示唆してくれた方が良い伏線になったと思うんですけどね。
いやはや最後はツッコミ気味で終わりましたが、何度も言う様に前作以上に面白くなっています!
是非劇場でご覧下さい!