きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

記憶屋-あなたを忘れない-

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第22回日本ホラー小説大賞で読者賞を受賞した織守きょうやの小説を、「Hey! Say! JUMP」の山田涼介主演で映画化。大学生の遼一は年上の恋人・杏子にプロポーズするが、その翌日から彼女と連絡が取れなくなってしまう。数日後に再会した彼女は、遼一の記憶だけを失っていた。信じられない思いの遼一は、人の記憶を消せるという都市伝説的な存在「記憶屋」のことを知り、大学の先輩で弁護士の高原に相談して杏子の記憶喪失の原因を探り始める。幼なじみの真希や高原の助手・七海らと調査を進めるうちに、人々の中にある忘れたい記憶やその奥にある思いに触れていく遼一だったが……。ヒロイン・真希役に芳根京子。遼一の記憶を失う恋人・杏子を蓮佛美沙子、弁護士・高原を佐々木蔵之介がそれぞれ演じる。監督は「ツナグ」「僕だけがいない街」の平川雄一朗。
(映画.comより)

数年前の自分だったら素直に見て感動してたんだろうなぁ、こういう映画。
さて、いきなりですが私は一介の名もなき映画ファンです。
そんな私がラジオで映画番組を持ち、こんなブログで映画を好き勝手論じるのは本来おこがましいお話しなのですが、それでも好きだからと映画を見ては偉そうにしゃべっております。
で、それに対して僅かばかりの報酬なんぞも頂けばそれは趣味でもあり仕事であるわけでして。
というわけで仕事として年に数十本と映画を見ればやらしい話し粗を探したり、素直に見るという気持ちが数年前に比べれば削がれているわけです。
目が肥えてきたという言い方も出来ますが、素直さが失われているという方が的確なのかもしれません。
で、今回見た『記憶屋-あなたを忘れない-』です。
一応ホラー小説が原作とはなっているものの、映画はヒューマンドラマと言うのか平たく言えば感動モノです。
もちろんそれが悪いわけではありませんが、安易なお涙頂戴モノは勘弁してくれよ、なんて生意気な事考えてしまうんですよ。

では本作はどうだったか?

実は本作のメガホンを取った平川雄一郎監督の過去作『ツナグ』は割と好きなんですよ。
ベタなつくりではありましたけど、死者との再会や思い残したメッセージを届ける登場人物達のやり取りに涙を流したものです。
本作『記憶屋』にもその『ツナグ』的な展開を期待していました。
ところが、ところがですよ。
正直乗れなかったな~…。
というのがホラーの原作を感動モノにしようとした辺りに生じてしまったアンバランスさがどうしても悪い方向にいってしまったかなという感じです。
更に過去の幼女誘拐事件というサスペンス要素まで出てきて結局どこを主体にしたいのか非常にわかりにくい作りに終始してしまった感があり何とも残念。
更に言えば佐々木蔵之介演じる弁護士が、本来極秘とすべき資料を見せまくったりする辺りにも違和感があるし、記憶屋の正体もわかりやす過ぎて、ハラハラする様な流れも皆無に等しいです。
それでいて中島みゆきの『時代』をエンディングで流して「はい、それらしい雰囲気の映画が出来ましたよ!」て作りがね~。
やはり自分の読み通り10年前だったらこれで良かったかもしれない。
でもこの10年で映画を取り巻く環境も技術も変わってきてますからね。
正直、自分はのれませんでしたね。
ただ、これはあくまで僕が映画に対してはかなりの偏屈者ですからね。
見る人によっては感動出来るかもしれませんので、まずはご鑑賞の上、ご判断下さい。