きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

事故物件 恐い間取り

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「事故物件住みます芸人」として、実際に9軒の事故物件に住んだ芸人・松原タニシの実体験を記したノンフィクション「事故物件怪談 恐い間取り」を亀梨和也主演で映画化。監督は、「スマホを落としただけなのに」「貞子」の中田秀夫が務めた。売れない芸人・山野ヤマメは「テレビに出してやるから事故物件に住んでみろ」と先輩から無茶ぶりされ、テレビ出演と家賃の安さから殺人事件が起きた物件に引っ越す。その部屋は一見普通の部屋だったが、部屋を撮影した映像には謎の白いものが映り込み、音声が乱れるなどといった現象が起こった。ヤマメの出演した番組は盛り上がり、ヤマメは新たなネタを求めて事故物件を転々とする。住む部屋、住む部屋でさまざまな怪奇現象に遭遇したヤマメは「事故物件住みます芸人」として大ブレークするが……。
(映画.comより)

時代を反映してなのか今年はホラー映画がヒットする傾向が強いですね。
春先にヒットした『犬鳴村』に『スマホを落としただけなのに』の続編、海外だと『ミッドサマー』等。
そしてホラーと言えばという代名詞の様な監督・中田秀夫監督が次に手掛けたのは事故物件です。
ところで皆さん、事故物件に住んだ事ってありますか?
実は自分はかつて住んだ事は…ないものの限りなく怪しい物件に遭遇した事はありますね。
お金がないから家賃の安い部屋を探して、不動産屋さんの内見で見た物件。
自分では霊感はない方だとは思いますが、そのアパートに入った瞬間「あ、ヤバい」てのは感じましたね。
うまくは言えないんだけどその空間に漂う空気感みたいなやつね。
実際部屋にも足を踏み入れましたが、パッと見は普通なんですよ、ただ怪しい不穏な雰囲気は感じまして、結局住むのはやめました。

なんて自分はチキンだったので例え貧乏で初期費用や家賃を極力抑えたいにも関わらずその部屋には住みませんでしたが、(ちなみに本作でも触れられていますが、事故物件の場合不動産業者はその旨伝えなければなりません。しかし次に住人が居り、その人が退去した後は伝える義務はなくなるとの事。自分の場合、そのケースに該当したのかもしれません。)

ところでこの映画の元である松原タニシさん。
事故物件サイトの大島てると並びその界隈(どの界隈だ?)では非常に有名な芸人さん。
彼が経験した事故物件でのエピソードを元にこの映画が作られたわけですが、中田秀夫監督の真骨頂とばかりの仕掛けがとことん怖くそして楽しませてくれます。
とりわけワンルームで一人暮らしの経験があるとよりその恐怖にリアリティが生まれるんですよね。
この映画で描かれているのは亀梨和也演じる売れない若手芸人・ヤモメがテレビの企画で事故物件を転々とするんですが、ひとつひとつの物件の間取りが詳細に出てくるんですよ。
自分も引っ越し経験はかなりあり、その都度不動産情報を見てワクワクしてたもの。
いや、映画自体は非常に恐いんですよ。
でもあの当時のワクワク感が思い出させたりもする。

それにしても中田監督の見せ方はさすがですね!
このところ、『貞子』シリーズや『スマホを落としただけなのに』等がジャパニーズホラー映画ファンの間では不評だった様ですが、本作はかつて『リング』で慣らした中田監督の手腕がここぞとばかりに出てきます。
事故物件に現れる霊の実態。 
彼らが何故成仏出来ずに物件に居座り続けるのかというバックボーンも描かれてますが、ここかなり生々しいんですよ。
背景がわかる事でその部屋で不遇にも亡くなった人達の怨念とその恐ろしさを伝える上で非常に効果的なシーンだったと思います。

それからホラー特有のものなんですが、恐いと同時に妙に笑えるなんて所もありまして。
ホラー映画でありがちな怖さを全面に打ち出しながら、何故かそのシリアスな場面が笑えるみたいなヤツですね。
これってホラーに限らず極限の緊張感の中に生まれる不思議な現象。
例えば間違っても笑ってはいけない場面にちょっとした物に目がいって笑いをこらえるのに必死になるというアレにも通じるものがありますね。
もっとも映画の場合は敢えてそういう緊張と緩和のバランスを作り出しているんでしょうけど。
それから本作は松竹芸能松原タニシさんが元となっている事もあり、松竹を中心に芸人さんが多数出演していたり、前半部はお笑いライブであったりテレビ業界であったりとお笑い界の舞台裏的な描写もよく登場してきます。
大阪・東京とふたつの舞台で展開されますが、大阪は安田大サーカスの団長さん・東京はよゐこのお二人とバラエティー番組のMCもガッツリ松竹芸人さんなんですよね。
松竹の気合いが感じられます(笑)

更に現在大人気ドラマ『半沢直樹』でも絶大な存在感を見せつけている江口のりこさんの怪演が見られたり、ヒロインの奈緒さんの儚げな雰囲気も本作にマッチしているし、主演の亀梨さんの売れない芸人という意外だけどかなりハマっていたキャラクターも新境地を見せてくれてました。

ホラーは恐いから苦手という方もおられるでしょう。
怖さとまた違う視点で本作を楽しんで見るのも一興ですし、その要素はふんだんにあります!
オススメです!
あ、ホラー苦手な方はくれぐれもどなたかとご一緒に鑑賞して下さい!