きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者

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人気アニメ「クレヨンしんちゃん」の劇場版28作目。「ラブライブ!」「宝石の国」などの話題のアニメを送り出してきた京極尚彦が監督を務め、脚本を「婚前特急」「そこのみにて光輝く」などの実写映画を手がけてきた高田亮が担当する。地上の落書きをエネルギーに浮かぶ王国「ラクガキングダム」は、時代の流れで地上から落書きがめっきり減ったことで崩壊の危機に直面。人間たちに無理やり落書きをさせる「ウキウキカキカキ作戦」を決行し、地上への進撃を開始する。一方、ラクガキキングダムのお姫様は、描いたものが動き出すという王国の秘宝「ミラクルクレヨン」を持ち出し、決死の覚悟で地上に託す。ミラクルクレヨンを手にしたしんのすけは、実体化した落書きたちと力をあわせて平和のために立ち上がるが……。
(映画.comより)

毎年恒例の『クレヨンしんちゃん』の劇場版。
例年は4月半ばに公開されてきましたが、今年はコロナの影響を受け、9月公開。
例年は『名探偵コナン』というキラーコンテンツと同じ週に公開される為、動員ランキングでの1位はずっと阻まれてきましたが、今年は遂に初登場1位に!おめでとうございます!(もっともコロナの公開延期による1位なのでおめでとうとも言いにくいところではありますが。)
さて、毎年しんちゃんの映画を紹介し、その都度称賛してきた私ですが、しんちゃんの映画は常にクオリティが高い!
現に『アッパレ戦国大合戦』であったり、『オトナ帝国の逆襲』であったりとアニメ映画の領域を超えて長く語られるであろう名作を世に送り出した実績もありまして、僕も毎年楽しみにしております!

で、満を持しての公開となった最新作。
結論から言いますね。


これ、映画『クレヨンしんちゃん』シリーズでも屈指の作品では?少なくともここ数年のしんちゃんの映画ではダントツの出来映えだと断言出来ます!

しんちゃんの映画の魅力と言うのはメインターゲットである子供はもちろん、一緒に足を運んだ親の側へも深いメッセージを与えてくれる点だと思いますが、本作ではその傾向がより色濃く出ておりました。

とりわけ本作を見て感じたのは子供の創造性そしてそれに向き合う大人というテーマでしょうか。
子供は自由に落書きという手法で自己を表現します。
そしてそれは時に独創性に満ちていて感性を刺激するものだってあるかもしれない。
だけどこの落書きというものはあくまで子供が何の縛りもない空間であるからこそ描けるものであって、例えば大人の監視や検閲等の縛りがあればうまく表現できなくなります。
本作において感じたのは子供の自由な表現力を尊重する風潮になりつつあるも、逆に大人が窮屈な空気を作り上げる事への警鐘とも取れるシーン。
ここはお子さんを連れて映画を見てるお父さん・お母さんへも刺さったのではないでしょうか。

それから身勝手な大人への警告。
いや、これは根っから性根の悪い人ではなく誰しもそうなるという可能性を示唆するものなんですが、ネタバレになりますので詳しくは話せませんが、しんちゃんによって助けられる町の大人達。
誰もが、しんちゃんに感謝をします。
しかし、状況が変わった時にしんちゃんへと責任をなすりつけ責め立てる大人達。
幼稚園児相手になんてひどい奴らだと映画を見ていたら思うのですが、それはあくまで僕がただ映画鑑賞するだけの傍観者だからであって人間誰しも自らの身の危険が及んだ場合、どんな思考に陥り、どういう行動を取るかなんてわからないものです。
この映画を通じて自我の崩壊や暴走といったものを突きつけられた感がありました。
そしてそれが奇しくもこのコロナ禍の状況だとよりリアルで残酷なんですよね。

と、この様に大人が見た場合非常に深いメッセージが盛り込まれております。

一方、子供達にとってはひたすら楽しい冒険活劇になっています。
サブタイトルにもあるほぼ四人の勇者が『ドラクエ』調のRPGさながらにパーティーを組んで冒険をするわけですが、彼らのキャラクターが良いんですよね。
しんちゃん流の笑いもふんだんに盛り込まれておりいちいちニヤニヤさせてくれます。
そして泣けるんですよね。
仲間との絆っていうとありきたりだし歯の浮く言葉ではありますけど、このほぼ四人の勇者たちにもそれが芽生えていくんですよ。
そして王道ではありますけど、少年漫画等でよく見た自己犠牲による仲間の救出とか連係プレーによりピンチを脱するチームワークなんかを見ると必然的に彼らの応援をしたくなる…つまりは感情移入しちゃうんですよね。

そして前作の『新婚旅行ハリケーン』での90年代J-POPも然りですが、今回も親世代のノスタルジックを刺激する小ネタが盛り込まれておりまして、『マツケンサンバ』のイントロ流れた瞬間、「ん?今一体何が起こった?」なんて戸惑っちゃいましたよ(笑)
ゲスト声優のりんごちゃんが絡んでくるんですがね。
そのりんごちゃんもきゃりーぱみゅぱみゅも作品に華を沿えていて良かったですよ。

大人も子供も楽しめる映画クレヨンしんちゃん
前述の様に今年は特に映画として一見の価値はあるクオリティとなっています。
是非オススメです!