きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

映画 ふしぎ駄菓子屋 銭天堂

廣嶋玲子原作による人気児童小説「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」シリーズを天海祐希の主演で実写映画化。
新米教師の等々力小太郎は、赴任した小学校の子どもたちから不思議な駄菓子屋「銭天堂」の噂を聞く。怪しげな店主・紅子が選んでくれる駄菓子を食べれば願いがかなうが、食べ方や使い方を間違えると大変なことになるのだという。やがて、銭天堂の駄菓子を買ったと思われる人たちの様子がおかしくなり、小太郎が密かに思いを寄せる雑誌編集者・相田陽子も暴走してしまう。そんな中、小太郎はもう一軒の駄菓子屋「たたりめ堂」の存在に気づく。その店では店主のよどみが人々の悪意を集めて作った駄菓子を売っていた。小太郎は大切な人たちを守るべく、紅子とともによどみを追うが……。
原作でも人気の高い「たたりめ堂」の店主・よどみを上白石萌音が演じ、映画オリジナルキャラクターの教師・小太郎役で大橋和也、雑誌編集者・陽子役で伊原六花が出演。「リング」スマホを落としただけなのに」の中田秀夫監督がメガホンをとり、「ブルーピリオド」の吉田玲子が脚本を手がけた。(映画.comより)

異性にモテたい、頭が良くなりたい、お金持ちになりたい…人間の欲望は総じてないものねだりからきているものです。努力でカバー出来る事もあるだろうけど、その努力とやらは極力したくない。もっと楽して願望を叶えられたらいいのにな〜。そしてその欲望をつつくキャラクターが現れ、登場人物の願望を叶えてあげる。だけど使い方を間違えるととんでもない目に遭ってしまう。藤子不二雄A先生の「笑ゥせぇるすまん」、藤子F不二雄先生の「ドラえもん」等はまさにその典型の作品ですね。

今作もまたそういった要素を含むダークなファンタジー作品。原作は知らないのですが、子供達にらかなり人気のある作品との事。その程度の浅い予備知識で12月20日にMOVIE日吉津にて鑑賞して参りました。

ドラえもん」や「笑ゥせぇるすまん」といった作品を挙げましたが、両作に共通するのは願望を叶える為の道具が登場するという事です。今作ではその道具に該当するのが駄菓子です。昔も今も子供達が大好きな駄菓子。子供であれば駄菓子に心をときめかせ、大人であれば童心を思い出して、ノスタルジックな心境になるであろうアイテムですね。で、出てくる駄菓子というのがこれまたおいしそう。モテたいとか頭が良くなりたいなんて願望を抜きにして普通に食べたくなります。

そしてこの怪しくも魅惑的な駄菓子を売る店主が天海祐希演じる紅子。彼女がまた不思議な魅力を放っているんです。あの「ござんす」という語尾といい異次元からやって来た謎の老女感が天海祐希さんの新たな魅力を捉えていたなと思います。

また、銭天堂に対するたたりめ堂のよどみ。初見だと上白石萌音さんとは気付かないくらい。これまでの清純派イメージを覆す様な怪演。これは彼女の演技力が見事だったという他ありません。

また、主人公・小太郎が思いを寄せる女性・相田陽子を演じていた伊原六花さんもおしゃれになりたいという欲に取り憑かれるあまり暴走する場面での演技は振り切っていて良かったですね。

また、監督・演出を手掛けた中田秀夫さん。ジャパニーズホラーの第一人者というイメージですが、カラフルな色彩を施した作風でこれまでの作品では見られない和製ティム・バートンと言えば言い過ぎかもしれませんが、色使いがポップな作品もハマるんだなと感心しましたね。招き猫のCGなんて可愛かったですもん。「リング」の監督である事を忘れてしまいました。また、その一方でのシリアスなシーンでの仰々しさというか不気味な雰囲気を作り上げる事に関しては真骨頂ぶりが現れていたなと思いました。子供を対象にしているとあって作風全体はポップで明るく、しかしホラー映画監督としての仕事も忘れない。その結果、全体的にバランスが取れていて親子での鑑賞に適した内容だったと思います。

ただ、手放しで全てを肯定する事も出来ずで、それは登場人物がいちいち独り言を発する点ですね。いや、映画なんですから多少は全然目をつぶりますよ。やたらと多いんですよね、独り言が。それから陽子の仕事観の浅さですよね。「周りの人達はみんなオシャレなのに私はダサい。だからオシャレになりたいの」ってところからオシャレモンスターへと化していくのですが、いやそもそも何でファッション雑誌の編集者になったんだよって話しだし、出版社も出版社で面接に来た時点で採用しないだろというツッコミを入れたくなりましたよ。それからモネマネ上手になりたいという女の子の「やれば出来る」って誰のものまね?おじさんにはわかりませんでしたよ。後、とあるキャラクターが人を助けに行く時に扉を開けながら名前を呼ぶのって古い演出だよな。

なんて気になる点が目に入るとどうしても指摘しないわけにはいかなくなる映画でした。

ただこれは映画ウォッチャーとしての厳しい指摘として冬休みのファミリー映画としては楽しめる内容だと思います。

是非劇場でご覧下さい!