きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

樹海村

f:id:shimatte60:20210218165405j:plain

「犬鳴村」に続き、実在した心霊スポットを題材に描く「実録!恐怖の村シリーズ」第2弾。自殺の名所として世界的にも広く知られる富士の樹海を舞台に、インターネット上の怪談スレッドで「絶対に検索してはいけない」と語り継がれる通称「コトリバコ」と呼ばれる呪いの箱と、樹海がもたらす負の引力によって巻き起こる狂気と混沌を描く。かつて人々を戦慄させた、古くから伝わる禍々しい強力な呪いが、富士の樹海の奥深くに封印された。それから13年後、樹海で行方不明者が続出する事態が起こり……。主演は「ジオラマボーイ・パノラマガール」「名も無き世界のエンドロール」の山田杏奈と、「相棒 劇場版IV」「僕に、会いたかった」の山口まゆ。引きこもりがちで、なぜかコトリバコの秘密を知っているらしい天沢響を山田が演じ、不可解な発言をする妹の響に嫌悪感を抱く活発な姉・天沢鳴を山口が演じる。そのほか安達祐実原日出子工藤遥神尾楓珠らが共演。前作から続いて清水崇監督がメガホンをとった。
(映画.comより)

かつて『リング』シリーズや『呪怨』等日本のホラー映画が一世を風靡した時代がありました。
とりわけ『リング』からは貞子がホラーアイコンとして注目を集め、日本のホラー=貞子という図式が定着したものです。
しかし、その後約二十年間に渡りホラー映画受難の時代が続きました。
かつてのホラーブームよ再びとばかりに数々のホラー作品を制作するもなかなかヒットには恵まれない。
人気シリーズであった『リング』から貞子を一人立ちさせ、貞子を大々的にフィーチャーした映画だってありましたが、なかなかかつての様なヒットには至りませんでした。
しかし、発想の展開で日本の心霊スポットや都市伝説として語られるホラースポットに着目し、ホラー×地域を打ち出し成功させたのが昨年の『犬鳴村』。
都市伝説やオカルト好きからは非常に名が知れた福岡県の心霊スポットを一躍全国区へ広めたのも記憶に新しいところです。
更に昨年夏にヒットさせた『事故物件』はこれまでありそうでなかったいわくつきのアパート・マンションの一室いわゆる事故物件にフォーカスし、大ヒット。
まだまだホラーもいけるという事を世に証明しました。
その上での本作。
『犬鳴村』に続く村シリーズの第二弾は誰もがその名を知ってるが、今尚多くの謎に包まれている富士の樹海を舞台に数々の恐怖体験が登場人物を襲う王道のホラー作品です。

まずお伝えしておきます。
『犬鳴村』を楽しめたかどうかで本作の評価が変わるかな。
というのも映画のつくり・プロットが『犬鳴村』とほぼ同じなんですよね。
冒頭で一人のユーチューバーが興味本意で樹海に来てカメラを回すなんてのもそうだし、その後の展開に関しても良くも悪くも『犬鳴村』。
いわくつきの集落での過去の忌まわしき習慣を扱う辺りなんて既視感ありありで「あれ、これ犬鳴村じゃないよね?」なんて困惑しましたもん。
しかし、おどろおどろしい映像の数々や人間の醜悪でありながらも誰しもが抱える生々しさと気持ち悪さを秘めたオカルトへの関心への訴求はさすがだなと感じました。
これは『呪怨』の時から一貫してぶれてないですよね。
割と前半部ある人物が車に轢かれるシーンなんかは確かに絶句しましたもん。
その他にも数々の目を覆いたくなる様なホラー映像の数々にさながらお化け屋敷体験が出来る惜しむらくは夏に見たかったなと思いました。

この上なくB級ホラーのエッセンスがホラー好きには響く内容かなと思います。
主要キャスト以外でも安達祐実原日出子國村隼塚地武雅等が名を連ねています。
國村隼さんの約どころなんかはかなり謎が多いですね。
樹海の事をよく知ってる地元の人っぽいけど結局よくわからなかったし、塚地さんなんかはある意味お約束なポジションだった。
ただ、ストーリーに関して言えば少々乱雑さが否めませんでしたね。
登場人物が多すぎて整理がしづらい所もありましたし、もう少しコンパクトにまとめてもよかったかなと思います。

さて、そんな本作のテーマ。
それは「人はいつ死ぬかわからない」でしょうか。
これは國村隼さん演じる件の謎の人物から発せられます。 
富士の樹海と言えば我々はやはり自殺という言葉を連想します。
実際、この映画でも自殺者云々なんて言葉はよく飛び交ってますし、実際の樹海だってそういう場所なのかもしれません。
しかし、自殺は自らがその命を絶つという事である一方、不慮の事故による死はいつどこで誰に降りかかるかわかりません。
そしてその可能性は誰にだってあるという事。
この映画ではホラー映画特有の「呪い」という文言を大きく打ち出しつつも交通事故・放火による火災・古井戸に落ちての衰弱死等思わぬ所から遭遇する事故死が多く描かれています。
呪いの箱というわかりやすいアイテムを用いる事でストーリー的に広げやすいという側面ももちろんあるでしょうけど、同時に誰にでも遭遇する可能性のある事故死への示唆という目的もあったのではないかと思います。

そして昭和の初めまであったとされる忌まわしき因習なんかは差別への問題提起ですよね。
差別という問題は古今東西あらゆる面にあり、つい最近も一人の政治家の問題発言が国際的な場面で物議を醸しましたよね。
これから益々グローバルな時代へと突入する中、差別というのが如何に古臭くそして低俗なものであるかホラー映画という媒体を通じて見ている人へ投げ掛けている様でもありました。

さて、そんな社会性も秘めているこの映画。
ラストシーンも非常に気になるつくりでした。
これは次シリーズへの導入か、はたまた?
最後まで目が離せない究極のホラーエンターテイメント!
あなたもこの目で刮目せよ!