きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

ドラえもん のび太の宝島

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国民的アニメ「ドラえもん」の長編劇場版シリーズ38作目。ドラえもんひみつ道具「宝探し地図」を使って宝島を探していたのび太は、太平洋上に新しく出現した島を発見。ノビタオーラ号と名付けた船で島に向かうが、その途中で海賊に襲われ、しずかがさらわれてしまう。海賊に逃げられた後、宝島の秘密を知る少年フロックとオウム型ロボットのクイズと出会ったのび太たちは、しずかを助けるために宝島を目指すが……。人気俳優の大泉洋が、のび太たちを襲う海賊船の船長シルバーの声優を務める。監督はテレビ版の演出を手がけてきた今井一暁。脚本を「世界から猫が消えたなら」などで知られる映画プロデューサーで小説家の川村元気が担当。星野源が主題歌と挿入歌の2曲を書き下ろした。
(映画.com より)

さて、毎年春の恒例行事・大人おひとり様のドラえもん映画をして参りました。
思えば『のび太と緑の巨人伝』(08)以来毎年見ております。
ドラえもん映画を見ると春の到来を感じるんですよね~。
最近ではレイトショーでも上映したりと大人のドラ好きの要求にも応えてくれてるので助かってます(笑)

そんなドラえもん映画の最新作『のび太の宝島』ですが、いや~、良かった!
正直去年の『南極カチコチ大冒険』は私個人としてはすっきり出来なかったというか消化不良感が否めなかったんですよね。
しかし、その点今年は私の期待を大きく上回る出来となっておりました。天晴!!

水田わさびドラえもんとなって随分経ちますが大山のぶよ時代のリメイクと純新作が毎年程好く作られていました。
しかし、昨年の『南極カチコチ大冒険』に続いて本作は新作です。
しかも脚本には川村元気が関わっているというあたり東宝の本気を感じさせます。

実際ストーリーは非常にシンプルでありながらも大人へも訴求する様なメッセージ性の強いものでした。
とりわけ印象深かったのが敵キャラですね。
ドラえもんの映画と言えばそのポップな作風に反して屈強で闇を抱える悪役が登場するのが特徴的です。
そんな悪のベールをまとった敵キャラが世界征服、宇宙侵略、人類殲滅等を目論んでのび太達の前に立ちはだかってきました。
しかし、本作の敵キャラはこれまでのドラえもん映画で見られた禍々しい暗黒キャラではなく我々と同じ人間です。
そして自分の子供達を愛する良き父でもあるのです。
本作で起こす暴走もある事実を知る事により子供達を守ろうと取った行動から引き起こすのです。
動機は純粋しかし、そのやり方を間違ってしまうが故に大混乱を招いてしまうのです。

そんな誰の身にも起こりうる事象をこのシルバーという男のフィルターを通して描いているのが印象深いです。

人間の本質的な面を彼の取る選択から写し出し我々に問題を提起させる辺り本作の奥深さそして川村元気の脚本力に感嘆するばかりです。

続いて面白かったのが本作でのドラえもんの位置付けです。
いつも秘密道具を出してくれる頼りになるドラえもんですが、本作ではいじられキャラに転化。
というのものび太達と共に戦うフロックという少年です。
彼は頭脳明晰でコンピューターの操作はお手の物。
実は彼、両親共に優秀な科学者であり、技術者であったりでその偉大な遺伝子を受け継ぐのですね。
作中では彼の天才ぶりが次々に発揮されドラえもんが霞む程なんですよ。
するとドラえもんが一気に愛らしいだけの猫型ロボットになるんです。
フロックの相棒のロボット・クイズからはタヌキなんておちょくられるしのび太ジャイアンスネ夫もいじる側に回っちゃったり(笑)
そしてそれによって気付くんですよ。
ドラえもんってめっちゃ可愛いやん!(笑)って。

また、前述のオウム型ロボット・クイズがいい味出してました!
このクイズ。
自分が言いたい事は全てクイズにしてしまうんですよ。
危機的な状況でもクイズの出題で答えるものだからやきもきしてしまうのですが、それによって映画のストーリーを追う以外の楽しみを生み出してました。
それはクイズに参加するということ。
パンフレット内にもこのロボット・クイズからの出題が盛り込まれていたりでそういう試みはお子様も思わずニンマリではないでしょうか。

続いて遊び心を感じたのはのび太の部屋。
ドラえもんのび太の会話のバックには八頭身でスタイルの良いドラえもんポスター!
更にドラえもんが寝る押し入れには「金曜7時ドラえもん」なんてちゃっかりレギュラー放送の番宣してたり(笑)
でも憎めないんですよね。
余談になりますが昔の『こち亀』で背景にアグネス・ラムや太田裕美へのファンメッセージがあったりスタッフ間のやり取りを背景の黒板にさりげなく書いてたりとか僕好みの演出です(笑)

それから昭和から続くドラえもん映画の時代の変遷とでも言うのでしょうか平成版わさびドラえもんとしての変化も面白かったです。

夏休みのある日いつもの空地で宝島がこの世に実在するというのび太
もし見つからなかったら鼻でカルボナーラを食べると言うのです。
「鼻でスパゲティを食べる」、「目でピーナッツを噛む」などの体を張ったホラを吹くのはのび太の十八番ですが、ここに来てカルボナーラというスパゲティの品目が出ましたよ。
のび太の恐竜』の1980年当時ならスパゲティで良かったのでしょうが、2018年の『のび太の宝島』ではカルボナーラとより具体性を強めてきましたからね。
それによって厚みが出た様な気がします。
それから最近はレギュラー放送を見ないから気付かなかっただけかもしれませんが野比家のテレビってブラウン管から薄型に変わってるんですね。
国民的アニメにも時代の流れが!なんて感動したりしています(笑)

それから本作てのジャイアンスネ夫はカッコいい!
ジャイアンが再三男らしさという言葉を口にしてるので本作ではそんな彼らの男っぷりも見逃せないポイントですよ!


まだまだ見所たっぷりなドラえもん最新作ですが、大人も子供も楽しめるアドベンチャー大作です!
星野源の主題かもキャッチーでお子様にもきっと受けてるのでしょうね。