きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

映画ネメシス 黄金螺旋の謎

横浜の探偵事務所ネメシスを舞台に、広瀬すず演じる探偵助手の美神アンナと、櫻井翔演じる天才探偵を自称する風真尚希、そして江口洋介演じる探偵歴30年の大ベテラン栗田がさまざまな依頼に挑む人気ドラマ「ネメシス」を、ドラマシリーズの総監督も務めた入江悠のメガホンで映画化。
探偵事務所ネメシスに、誘拐されたペットの犬を奪い返してほしいとの依頼が飛び込んでくる。かつてない超高額な報酬を前に、早速調査を開始したアンナと風真だったが、「窓」と名乗る正体不明の男が現れてから、大切な仲間たちが次々と生命の危機にさらされていく。
神奈川県警捜査一課の勝地涼中村蒼富田望生、メネシスをサポートするチームネメシスメンバーの大島優子上田竜也、奥平大兼、加藤諒南野陽子真木よう子など、ドラマ版のキャストに加え、映画版キャストとして佐藤浩市が正体不明の男「窓」を演じる。脚本を「アンフェア」シリーズの原作者である秦建日子が担当。(映画・comより)

普段ドラマは見ないのですが、この様にドラマの映画は割と見るきんこんです。まぁ、これは番組やるからって所が大きいですよね。以前であればスルーしてたであろう映画も限られた選択肢の中から…みたいな感じで。

でもこういう「劇場版〜」とか「〜THE MOVIE」みたいな物でも当たりを引く事もありますので馬鹿には出来ない…果たして今作は如何でしょうか?

ドラマは見ないけど映画は見るという僕みたいな人は割と居ると思います。そうなってくるとドラマの内容はダイジェストでも抑えておいた方が良いのでは?なんて思います。その辺りは今作の場合、全く問題ありません。主要キャストの関係性や舞台設定等は冒頭でしっかりと映されます。数分間で理解が出来ますのですぐに作品に溶け込んでいくでしょう。

さて、このキャストで僕は一抹の不安を覚えてしまいまして。というのが広瀬すず櫻井翔の組み合わせって2018年の『ラプラスの魔女』を思い出してしまったんですよ。東野圭吾を原作とするサスペンスでしたが、どうにもストーリーが単調で盛り上がりに欠けたし、すずちゃんと櫻井君の相性が噛み合ってなかった気がしたんですよ。途中で寝ちゃいましたね。個人的にはその年のワースト映画だったと記憶しています。そんなネガティブな印象からスタートして鑑賞しましたが、不安はすぐに払拭されました。

基本コメディベースでサクサクとストーリーは進むし、二人の組み合わせも良い…というか江口洋介さんの存在がやっぱり大きいなと。江口さんといえばですよ。この番組では過去に『線は、僕を描く』の時に話した様に若手キャストの時には父の様に時にはアニキの様にと絶妙な立ち位置で作品をまとめてくれる貴重な存在だと思ってまして。今作でもほぼ同様のスタンスで作品になくてはならない重要なキャストだなと感じました。

で、ストーリーの方はというとこれがなかなかカオス描写に溢れていましたね。悪夢にうなされる広瀬すず演じるアンナが現実と夢の間で揺れ動きそこからの謎を暴いていくというもの。

この夢でのシチュエーションというのがなかなかインパクトのある映像を見せていくんですよ。何しろ身近にいる人が次々に殺されていく。その殺害のシーンがなかなかショッキングなものだったりするんですよね。

で、この夢なのか現実なのかが映像的に次第にわからなくなる。そんなトリッキーな見せ方が楽しかったです。そしてこのパターンで言うとまさに先日紹介した『エブリシング・エブリウェア・オールアットワンス』。そう、あのエブエブですよ! エブエブにおけるミシェル・ヨーよろしく広瀬すずちゃんが翻弄されていくんですよね。そういえば特殊能力を繰り出すすずちゃんはカンフーマスターになったエブエブ作中のミシェル・ヨーに通ずるものがありましたもんね。

で、マルチバースと現実世界の見分けが次第にわからなくなる様な錯覚を生んだエブエブのカオスっぷりがまさか日本のドラマ映画で展開されるなんて!しかもエブエブを見て二週間やそこらで(笑)

『22年目の告白』という私も好きな作品を手掛けた入江悠さんが手掛けているだけあって並のサスペンスは作らんなと感じた次第です。

と割と映像的には楽しめる反面、不満も多く出てしまったのは事実。というか仕掛けが凝ってるだけにもったいないと思う面が多々あったんですよね。

まず、アンナの悪夢とそこにまつわる謎を軸にしたのはいいんだけどそれ以外のエピソードがおざなりになった点が気になりましたね。それは笹野高史演じる老人男性が依頼として持ち込んだ犬の捜査であったり、詳しくは言えませんが、真木よう子(すみません、役名失念してしまいました)の一件の黒幕はどうなったんだ問題もあるし、そもそも彼女が追っていた社会派な格差問題というのが作品の中で結びついていくのかを注視していたのですが、結局そこまで繋がってこなかったし、尺を埋める為にあれやこれやと詰め込み過ぎた結果それをうまく回収出来ていないのが残念でしたね。

後、橋本環奈ちゃんとか豪華なキャストを出すのはいいけどうまく活かしきれていなかったなと。唯一謎多き男・窓の佐藤浩市さんくらいですよ。ただ、これも佐藤浩市さんの演技が光るからなんですよ。キャラクターの活かし方云々とはまた別問題で。

後、櫻井君がラップするくだりあったけどあれはちゃんと見せた方がいいんじゃないかな?僕は別に嵐のファンというわけではないですが、櫻井君のラップが上手いというのは多くの人が納得する部分じゃない?m-floのVERVAL仕込みですよ!

前半は割と見応えあった分後半の不満点の方が上回ったのがもったいなかったというのが正直なところです。

でもこれは映画好きな僕なりのうるさい感想であって櫻井君やすずちゃん、ドラマのファンはもっと純粋に楽しめるかもしれませんね。