きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

99.9 刑事専門弁護士 THE MOVIE

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2016年と18年にTBS「日曜劇場」で放送された松本潤主演の人気ドラマ「99.9 刑事専門弁護士」の劇場版。常に事実だけを追求し、99.9%逆転不可能と言われる刑事事件で最後の0.1%まであきらめずに真実を追求し、無罪を勝ち取ってきた型破りな弁護士・深山大翔。斑目法律事務所の刑事事件専門ルームは、室長から所長へと昇格した敏腕弁護士・佐田篤弘のもと、新人弁護士の河野穂乃果も加わり、事件に挑む日々を送っていた。ある日、15年前に起きた天華村毒物ワイン事件に関する依頼が舞い込む。事件には謎の弁護士・南雲とその娘エリが関わっていた。村の青年・守の協力を得て、事件を徹底的に調査していく深山たちだったが、思わぬ罠が彼らを待ち受けていた。深山役の松本潤、佐田役の香川照之らテレビ版でおなじみのキャストに加え、新人弁護士・穂乃果役で杉咲花が参加。(映画・comより)

2022年年明け最初に見た邦画がこちらの作品でした。毎度ながらドラマを普段見ない私。予習とばかりにSPドラマだけ見て鑑賞に臨んだ次第です。

当初の印象としては、松本潤主演のアイドル映画という認識で大方の予想通りと言うべきか劇場での客層も概ね30〜40代くらいの女性が中心。俺みたいなオッサンぼっち客も居なくはないが、かなり少なかったですね。なので、本編開始前の企業CMや予告編の劇場内が明るかった時間帯は何となく気まずかったです(笑)

アイドル映画…イメージとしては良い語られ方はしないものですが、どんな物なのかと鑑賞したらこれがですね、ただのアイドル映画として語るには忍びないなかなかどうして事件物のサスペンスエンターテイメントとしては良く出来ていたなと思いました。

木村ひさし監督となれば、それこそ『TRICK』の様なシリアスに偏りがちなサスペンスにコメディ要素をふんだんに取り入れた独自の世界観を持つイメージ。そんな木村ひさし節がこれでもかとばかりに詰め込まれ、レギュラー版のドラマ未見であっても問題なく楽しむ事が出来ました。

正直、松潤の親父ギャグの応酬はすみません、個人的には合いませんでした。ただ、杉咲花ちゃんのぶっ飛んだ演技は新たな一面を見た様で良かったですよ!何なら親父ギャグを無理やり笑う林家パー子師匠の様な笑い方が個人的には特にハマりましたかね(笑)てか何でしょう、登場人物がほぼほぼテンション高い(笑)

木村ひさし組で言えば数年前に記録的大敗を喫した某作品で今回の杉咲花ポジションだった木村文乃さんが出てましたけど、あの時の無駄にテンション高いキャラクターに違和感がありましたが、今回の方がナチュラルで個人的にはこちらの方が良かったですね。その他香川さんも半沢キャラとコミカルさが融合したナイスキャラでしたね。まぁ、ドラマ見てた人には今更何言ってんだ?って話しかもしれませんが?

また、登場するお店の名前だったり、登場する小ネタ的なキャラクターやセリフにちょいちょいパロディを挟んでくるので元ネタがわかる人は思わずニヤリとしちゃうそんな木村ひさしワールドが全開です!事件の捜査をする際に再現ドラマを作ったりする点に違和感を覚えたとしてもこういう世界線での話しと割り切れば見方も違います。要は金払って映画を見る以上は楽しんだもん勝ちって事ですよ(笑)

で、本作がただ単にテンション高い登場人物達がボケて突っ込んでのありきたりな事件を解決するだけの話しならそこまで賞賛もしないんでしょうが、個人的なポイントとしては公表こそされてませんが、出てくる事件が実際に起こった事件と限りなく近く割と真に迫っていたなという点でしょうか。

名張毒ワイン事件と和歌山毒物カレー事件ですね。詳しくはお伝え出来ませんが、両事件と本作で扱う事件というのがあまりにも共通点が多いんですよ。

祭りの会場で起こっている点、冤罪の疑い更に真犯人として流布してる説等等。恐らくですが、これらの事件の詳細から作品に全く架空の事件として落とし込み、ストーリーに仕上げているのではないかと思っています。そういう意味では一見、ドラマ派生のエンタメ性重視のコメディサスペンスに見えますが、例えば『凶悪』とか『冷たい熱帯魚』、『全員死刑!』等に代表される実際の事件をベースにした社会派スリラーサスペンスのそれに近いかなと思いましたね。コメディをベースにしてるという意味では『後妻業の女』とかかな?

また、ラストの展開なんかはもし前述の特に後者の事件で同様の進展があれば?という想像を掻き立てられる所があり、興味深い内容でした。

なので、ドラマの劇場版だから〜とかアイドル主演だから〜といった偏見は捨てるべき映画だと思いましたね。

突っ込みたい点もそりゃ確かにありましたよ。それに木村ひさしの生み出すギャグがとにかく合わないという人も居るでしょうが、お伝えした様に映画なんて楽しんでなんぼ!

まずはご覧になってみては如何でしょうか?