田中圭、吉田鋼太郎、林遣都の共演で3人の男たちの恋愛を描いたテレビドラマで、2018年の新語・流行語大賞トップテンに選出されるなど社会現象的な人気を獲得したラブコメディ「おっさんずラブ」の劇場版。ドラマでの三角関係をグレードアップさせた、おっさんたちによる「五角関係」の恋愛バトルが描かれる。春田創一が上海、香港転勤から1年ぶりに日本へ帰ってきた。黒澤武蔵をはじめとする天空不動産第二営業所のメンバーたちが春田を歓迎する中、天空不動産本社で新たに発足したプロジェクトチーム「Genius7」のメンバーが春田たちの前に現れた。リーダーの狸穴迅は、春田たちに即刻営業所から立ち去るよう言い放つ。狸穴の側に本社に異動した牧凌太の姿を目にして激しく動揺する春田を新入社員のジャスティスこと山田正義が元気づける。そして、あの時に終わったはずだった黒澤の恋心にもふたたび火がついてしまい……。田中、吉田、林らドラマ版のキャストに加え、劇場版で新たに登場する狸穴役を沢村一樹、ジャスティス役を志尊淳がそれぞれ演じる。
(映画.comより)
今回はちょっと異色な、でも大ヒットしている人気ドラマの劇場版『おっさんずラブ』です。
元々は2016年の年末にテレビ朝日が単発のドラマとして放送したものが反響を呼び、昨年春に連続ドラマとなり大ヒット。
社会現象的な話題を集めたのは記憶に新しいですね。
しかし、しかしです!
お恥ずかしながらワタクシこのドラマ一度たりとも見た事がありません。
テレビドラマそのものを見る事も最近はとんとなくなりましたし、テレビ朝日系は山陰地方では視聴出来ません。(もっともケーブルテレビを契約していれば問題ないですが。)
なので社会現象的大ヒットなんて言われてもピンと来ないわけでして。
しかし、それではいけないとドラマを全部見れ………ばよかったのですが、僕のスケジュールがそれを許さずとりあえずダイジェスト版だけ目を通しました。
したがって例によってと言うべきか超にわかです。
そんな超にわかの僕の視点で見た『おっさんずラブ』という事をご留意下さいませ。
田中圭、吉田鋼太郎、林遣都といったドラマ版からのお馴染みメンバーにこの劇場版では沢村一樹、志尊淳といった面々が加わった文字通りの男祭りなこの映画。
同性愛をテーマに人気俳優達が巻き起こす恋愛模様がひたすら目を引きます。
日本で同性愛を取り扱ったドラマって思えばありそうでなかった。
そんな斬新さがとにかく受けたんだろうなと見ていて思いました。
もちろんヒットした要因はそれだけではないんでしょうが。
で、ベースに同性愛というのはありつつもオフィス内の群像劇としてもこの劇場版では楽しめるんですよね。
会社内でのおっさん達のラブコメなわけですから、会社ネタも当然あるわけで。
池井戸潤の様なシリアスさはもちろんありませんが、組織でのプロジェクトの進行とボーイズ・ラブBLがうまく絡んでいます。
で、このBLってところなんですが、この映画の表面を見るとその要素が非常に強いのは確かです。
でもその実、BLそのものをフォーカスするのが本質ではないんですよね。
これは脚本を手掛けた徳尾浩司さんによると「男性同士の恋愛の中で萌えを提示するよりは、男女の恋愛同様の恋愛ドラマを描く」そこに起点があるというわけです。
つまり性的マイノリティーの恋愛だからと特殊なものとして扱うのではなく、あくまで男女間のフラットな恋愛模様を描く様にしたと。
日本ではまだまだ同性愛、ゲイといった性的なマイノリティー に対して理解が及ばないという現状かと思います。
しかし、そうではなく好きになと相手がたまたま同性であったとかもっと恋愛って自由でいいんじゃない?て事なんです。
ちなみにそれは同性愛だけではなく、極端な年の差恋愛なんかにも当てはまるかと思います。
そんなメッセージ性を理解した上でこの映画を見るとまた違った楽しみ方が出来るのではないでしょうか。
では映画の内容について触れていきましょう。
この映画でメガホンを取ったのは瑠東東一郎監督。
元々はバラエティ畑の人ですが、ドラマ版の演出も手掛けていた人です。
バラエティ出身だけあってドラマにその娯楽性を持ち込み、エンターテイメントに仕上げたその手腕は確かなもので故に老若男女が楽しめる大ヒットドラマを生み出したのでしょう。
全編通して笑いが絶えず、劇場内を和やかに雰囲気にさせていました。
しかし、映像面に関して言うと特別目新しさはなく、悪い意味でテレビドラマの粋から抜け出せてないんですね。
香港でロケをしたり、特撮さながらの爆発やそこからの救出劇等お金をかけているはずなのにスクリーンでの醍醐味が味わえないんです。
いや、確かに香港での指輪を巡るトラブルやら廃工場に閉じ込められた社長令嬢とのくだりなど面白いんですよ。
でも、わざわざ映画にする程か?なんですよ。
あ、断じてドラマ映画だからと否定しているわけではないですよ。
ドラマ映画にも『コンフィデンスマンJP』の様な初見でも楽しませる仕掛けたっぷりな良作がある事はこのブログでもお伝えしましたから。
要はテレビドラマの枠でおさまる話しを頑張ってスケールアップさせなきゃ感が全面に出てそれが空回りしちゃってるんですよね。
なんてテレビドラマではなく映画ばかり見ている僕からすると正直しんどかったですね。
でも、全体的には超がつく程のバカっぷりを見せてくれたので嫌いにはなれません。
このところ、邦画のコメディが続いてますが、何も考えずに頭空っぽで楽しめるのが人気なんでしょうかね。
だってヘンに高尚なものより気軽ですもん。
よほどじゃない限り見終わった後に気まずくなる事もないでしょうしね。
この秋の映画鑑賞に一考してみては如何ですか?