きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

鬼平犯科帳 血闘

これまで幾度も映像化されてきた池波正太郎のベストセラー小説「鬼平犯科帳」シリーズを、十代目・松本幸四郎主演で新たに映像化する時代劇シリーズの劇場版。2024年1月放送のテレビスペシャル「鬼平犯科帳 本所・桜屋敷」に続く本作では、主人公の鬼平こと長谷川平蔵の過去と現在を交錯させながら、それぞれの時代で愛する者を救うため立ち上がる平蔵の熱き姿を描き出す。
長谷川平蔵のもとに、彼が若い頃に世話になった居酒屋の娘・おまさが現れ、密偵になりたいと申し出る。平蔵にその願いを断られたおまさは、平蔵が芋酒屋主人と盗賊の2つの顔を持つ鷺原の九平を探していることを知り、独断で調査に乗り出すが……。
テレビスペシャルに続いて、若き日の鬼平・長谷川銕三郎を幸四郎の実子である八代目・市川染五郎が演じた。そのほか平蔵の妻・久栄を仙道敦子密偵・おまさを中村ゆりが演じ、劇場版ゲストとして志田未来北村有起哉松本穂香中井貴一柄本明が出演。(映画・comより)

ここ近年の映画で時代劇と言えば番組でもよく取り上げるコメディ作品が多い印象です。最近のものだと「大名倒産」や「身代わり忠臣蔵」等ですね。或いは戦国時代等を中心とした歴史大作ですね。ただ一方でかつてはテレビのゴールデンタイムでも放送されていたチャンバラものは陰を潜めた感があります。そもそもがこのゴールデンタイムでは全く放送されなくなって久しく今や時代劇とプロ野球中継は地上波ではなく、BSかCSで視聴するものとなりました。かく言う僕もかつては父や祖父と一緒に見ていた「水戸黄門」や「暴れん坊将軍」タイプの王道時代劇を見るのは年に数回あるかないか程度です。

そんな中で「時代劇の灯りよ、再び」とばかりに時代劇専門チャンネルを中心に往年の名作を令和型にブラッシュアップして展開中です。昨年映画が二作品作られた「藤枝梅安」はトヨエツこと豊川悦司を主演に据え、新しい形でアプローチ。そして「藤枝梅安」同様に池波正太郎生誕100年に合わせて「鬼平犯科帳」も十代目松本幸四郎に令和の長谷川平蔵のバトンを託し、今作に至る新鬼平犯科帳を展開しているところです。

久しぶりに見る王道時代劇に胸を躍らせながら先週の水曜日MOVIX日吉津にて鑑賞して参りました。サービスデーとは言え平日水曜日。客入りはまばらでかつ僕よりも年長の男性のみという客層。落ち着いて鑑賞する事が出来ました。

かつては八代目松本幸四郎丹波哲郎萬屋錦之介、そして私も記憶にある…というか現在BSで放送されている平成版では二代目中村吉右衛門と名優達によって演じられてきた長谷川平蔵。新たな平蔵を演じるのは松本幸四郎さんなのですが、歌舞伎の世界に疎い僕。松本幸四郎といえば松たか子のお父さんというイメージが強いですが、現在はお兄さんですね、松たか子さんの。

で、映画が始まって比較的早い段階で出てくるタイトルクレジットが何ともカッコいい!刀を駆使しながらタイトルを表示。サブタイトルの血闘でそのままバッサリ。赤い血に見たてながら文字を見せながら強いインパクトを与えてくれます。

そこからのストーリーは過去と現在を交錯させながら、ストーリーの軸へと迫っていきます。時代劇といえば難しそう…とか敬遠する人もいるでしょうが、至ってシンプル。むしろ時代劇の入門編としても最適なくらいストーリーはわかりやすいし、現代劇を見る様な感覚で楽しめます。基本は勧善懲悪ですからね。

また、江戸の街並みも素晴らしく、あたかも見ている僕らが実際にその時代その場所に居るかの様な映画を通して擬似体験をさせてくれる様です。

長屋に軍鶏鍋のお店から遊郭まで。このセットを近くで見たいと思わせてくれます。それから照明の使い方も凝っていて明暗のバランスがよく取れていましたね。

そして何と言っても壮大な大立ち回り。このテの時代劇と言えばやっぱりそう、殺陣でしょ!都合4回ほど殺陣の場面が出て来ますが、とにかく迫力があります!またスクリーンで見ればテレビで見るそれと異なり、とにかくダイナミック!チャンバラこそジャパニーズアクションっしょ!と見ているこちらの感情を高めてくれるんですよね!

それにしても出ている面々はさすがに一流どころを配しているだけあって演技力バツグンでしたね!

平蔵を演じる松本幸四郎さん、平蔵の若い頃の銕三郎役の八代目市川染五郎さん親子は言うまでもなくですが、脇を固める面々がとにかく素晴らしかったです!

柄本明さんはさすがでしたね!芋酒屋の主人であり裏の顔を持つという人物。名優の演技というのは現代劇でもいいですが、時代劇でより映えるんだなと感じました。柄本時生さんも出ている…という事は?そう、親子共演してるんですよ!ただ、残念ながら直接の共演ではなく、それぞれ別の場面での出演なんですよね、次は是非直接共演を!

それから悪役を演じていた北村有起哉さん。憎たらしかった(褒め言葉です!)同じ組織内であっても一切の容赦はしない。少しでも平蔵に好感を示す発言をすれば斬りつけるというサイコパスっぶり。北村有起哉さんには次は現代劇で連続殺人犯や「孤狼の血LEVEL2」で鈴木亮平さんが演じてた様なヤクザを演じてほしいですね。

また、今作では女性陣の活躍が特筆したいところ。仙道敦子さん、中村ゆりさん、志田未来さんに松本穂香さん。良くも悪くも男性達に翻弄される女性達の存在がかなり作品に重要な意味を与えていたと思います。

それからコメディリリーフ的な兎と呼ばれるお調子者を演じていた浅利慶太さん。キャスト全体の中で彼は比較的若い方ではあるけど、このポジションって矢本悠馬さん辺りでもいけそうなんだよね。お調子者であるが故の空気の読めなさ等が味になっていて良かったですね。

さて、この鬼平犯科帳時代劇専門チャンネルで早くも続編が視聴出来ます。6月8日からは「でくの十蔵」、7月6日からは「血闘の丹兵衛」。この映画が面白かったから見たいんですよね〜、でもね〜、ただでさえサブスク加入しまくってますからね〜、めちゃ迷ってます。

この映画を見てハマった方は加入してみては如何でしょうか?

そのきっかけにまずはこちらの映画を是非劇場でご覧下さい!

オススメです!