きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

トムとジェリー

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多才だがお調子者でドジなネコのトムと、見た目はかわいらしいがずる賢く容赦ないネズミのジェリーが繰り広げるドタバタを描き、1940年の誕生から80周年を迎えた「トムとジェリー」を実写映画化。アニメーションで描かれるトムとジェリーが実写映像に融合し、クロエ・グレース・モレッツをはじめとした俳優陣と共演する。ニューヨークの高級ホテルに引っ越してきたジェリーと、そんなジェリーを相変わらず追いかけるトム。新人ホテルスタッフのケイラが働くそのホテルでは、世界が注目するセレブカップルのウェディングパーティが行われようとしていたが、トムとジェリーのせいで台無しになってしまう。汚名返上のためタッグを組むことになったトムとジェリーが、世界一素敵なウェディングパーティを開こうと奮闘する。ケイラ役のクロエ・グレース・モレッツほか、「アントマン」シリーズのマイケル・ペーニャ、「デッドプール2」のロブ・ディレイニー、「ハングオーバー!」シリーズのケン・チョンらが共演。「ファンタスティック・フォー 超能力ユニット」のティム・ストーリーがメガホンをとった。
(映画.comより)

猫とネズミと言えば永遠のライバル。
でも意外と猫がネズミと戦っている光景を見た事ある人って少ないんじゃないですか?
そしてこの猫とネズミのイメージと言えばやはり『トムとジェリー』からと言う人も多いでしょう。
僕も子供の頃にアニメを見ていました。
しかし、その実内容を覚えてなかったりするのも事実。
なのでこれを機に、とばかりに今回の実写版を鑑賞。
公開週の週末にMOVIX日吉津で見てきましたが、例年の『ドラえもん』が公開延期となり、ファミリー需要を満たすかの様にたくさんの家族連れで賑わっていた印象です。

さて、本作は実写版ではあるものの、画期的なのはトムとジェリーその他動物は全てアニメーションで描かれていた事。
動物と人間が絡むという視点で言えば『テッド』・『パディントン』・『ピーター・ラビット』、『名探偵ピカチュウ』(動物?)等々ありますが、それらは全てCG。
アニメーションと実写の融合と言えば極めて異例でその映像表現を楽しむ作品でもあります。
ちなみにここには子供の頃から慣れ親しんだトムとジェリーのキャラクターを崩したくないというティム・ストーリー監督の思いがあった様です。
そんな監督のトムジェリ愛が詰まった作品。
面白くならないわけがない!

トムとジェリーというこの仲が悪い猫とネズミが現代のニューヨークで巻き起こすスラップスティック・コメディ。
とにかくドタバタだし、あり得ないパターンからとんでもない事態に発展したりする。
そしてトムとジェリーがとにかく可愛い!
トムはメスネコを見たら目が♥️になって執拗にアプローチを仕掛けてみたりその為にピアノを演奏する時だけ実力派のソウルシンガーの様な声になる。
一方のジェリーは舞台となるホテルに住みたいが為にありとあらゆる仕掛けを繰り広げる。
そしてそれに翻弄されるのが人間達。
とりわけ新人ホテルスタッフのケイラはトム達と手を組ながらホテル内で発生する数々のアクシデントに対処していくわけです。

そしてこのケイラこそが主人公とも言える存在なのですが、彼女には彼女の悩みがあり、そんな自分を変えたい為にニューヨークへやって来てホテルで務める事になります。
同年代の人達は社会的に成功していたり、人生を謳歌してるのに自分には何もない。
そんな彼女の葛藤を埋める為のホテル勤務ではあるものの、作中における彼女は非常に機転は効くし頭の回転も早い。
フツーに出来るコなんですよね。
だけどそれを活かす仕事や環境に出会っていないだけでそれさえ見つかればバリバリこなす様なタイプです。
でもそこに寄り添う存在なのが、トムでありジェリーでありそして理解者となるあのホテルのバーテンの彼なんだろうな。

それから結婚を控えたカップルへの提起。
方や新郎は派手でお金のかかる挙式にこだわりメンツを保つ事を重視する一方、新婦は決して派手でなくとも心・愛を感じる式を挙げたい。そんな新婦の気持ちも知らず新郎は突っ走るし、新婦もなかなか自分の思いを告げずに居る。
ひとつに踏み出せない人へ向けてのメッセージ・ひとつに結婚と愛について問う様な強いメッセージ性も内包しています。

それをトムとジェリーがそのやんちゃさも含めながら人間達へ気づかせていく。
そんな内容です。

また、トムとジェリー以外にも様々な動物が登場しますが、全て実写やCGではなく、アニメーションで統一している辺りもポイントかな?
犬・猫・はたまた像の様な大きなものから空を飛び交う鳥から市場で水揚げされた魚に至るまで全てアニメーションという画期的な映像表現。
それに合わせて演技をするキャストの皆さんの表現力にも脱帽しますね。

だけどその一方で突っ込みたい点も。
前半部。
サングラスをかけたトムが盲目の猫を謳いながらピアノ演奏というストリートパフォーマンスをするのですが、ジェリーの妨害により盲目ではないのがバレてしまいます。
その時、聴衆が「何だよ、盲目じゃねぇのか、金返せ!」って言ってたんだけど、いやいや猫がピアノの演奏するだけでスゴくね!と(笑)
我が家で飼ってる猫にキーボードの前に座らせたらキーボードの上に上がり込んで鍵盤の上、歩いて行ったからね…って当たり前か(笑)

なんて突っ込みドコロもありますが、全編に渡ってアメリカン・コメディの王道で気軽に楽しめる内容です。
エンドロールが終わってからもしっかりオチが用意されていますし、久しぶりに明るい映画を見たなという印象です。

家族でもカップルでもお一人でも楽しめる実写版の『トムとジェリー』。
是非劇場でご覧下さい!

シン・ヱヴァンゲリヲン劇場版

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庵野秀明監督による大ヒットアニメ「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズの最新作にして完結編。1995~96年に放送されて社会現象を巻き起こしたテレビシリーズ「新世紀エヴァンゲリオン」を再構築し、4部作で描いた「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズ。2007年に公開された第1部「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」、09年の第2部「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」、12年の第3部「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」に続く今作は、「新劇場版」シリーズの集大成となる。テーマソングは、これまでの「新劇場版」シリーズも担当した宇多田ヒカル。ミサトの率いる反ネルフ組織ヴィレは、コア化で赤く染まったパリ旧市街にいた。旗艦AAAヴンダーから選抜隊が降下し、残された封印柱に取りつく。復元オペの作業可能時間はわずか720秒。決死の作戦遂行中、ネルフのEVAが大群で接近し、マリの改8号機が迎撃を開始した。一方、シンジ、アスカ、アヤナミレイ(仮称)の3人は日本の大地をさまよい歩いていた……。
(映画.comより)

まずはじめに言わせて下さい。
私はヱヴァンゲリヲンに関してはほとんど詳しく知りません。
あくまで今回はとりあえず流行りに乗っかりというライトもライト、超にわかです。
そんな僕が「エヴァが、エヴァが」なんて語ると「お前にエヴァの何がわかるんだ!」とコアなファンからお叱りを受けるのではないか。
それを前置きした上で今回はお話しさせて頂きます。
とはいえ、これまでのシリーズを全く末見で本作を鑑賞するのはあまりに無謀と思い、元々の1月公開に合わせて去年の年末に新劇場版の序・破・Q三部作を鑑賞。
しかしそれだけではとてもじゃないが、理解に乏しくネットでエヴァに関する情報をキャッチしたりエヴァ好きな友人からレクチャーを受けるなどして本作を鑑賞。

ちなみにこんな事を言うと早速コアなエヴァファンからお叱りを受けそうなのですが、かつて90年代に「エヴァを見てる」なんて言えばヲタクとして周囲からいじられなかなか口外出来なかった風潮が少なくとも僕の周囲でありまして、それがこの年までエヴァに触れなかった理由でもあるんですよ。

さて、当初は2020年6月の公開が予定されていた本作。
しかし、新型コロナの影響で今年1月に延期となるもこちらも直前で延期となったのはご存知の通り。
3月8日。異例の月曜日公開となったわけですが、平日にも関わらず初日の興収は8億円。
改めて人気の高さを証明したわけですが、それにしてもネタバレの禁止の声が高かったですね。
今なら好きな人であればあらかた見終わってる事でしょうからこうしてレビューをお届け出来る運びではありますが、それでも細心の注意を払いながらお伝えしますが、そもそもネタバレさせようにも出来ないでしょ?
つまりそれくらい作品をきちんと見ないと…いや見ても正しくなんて理解出来ないのかもしれない内容です。

でも敢えて素人目で言えば異次元的な世界で繰り広げられる全く意味がわからない世界観。
それでいてにわかの僕でもかなり楽しむ事が出来ました。
そしてわかりましたよ、コアなエヴァファンの気持ちが!
それは答えがひとつではない。
だからこそファン一人一人の解釈があってそれをぶつけ合いたくなるんだろうなという事が。
故に本作に関しては極端に賛否両論分かれてるでしょ?
それは一人一人のエヴァに対しての思い入れや愛が生み出しているって事じゃないかな?
例えば宮崎駿とか新海誠
コアなファン以外の心も動かす日本を代表するクリエイターですけど、圧倒的に目にするのが賛の意見ですよね。
もちろん否定的な意見だってあるんだけど全体的には少ない印象です。
それって一般的な人に向けての80点以上の内容を常に提示していると見てるんですね。
ところが庵野秀明はと言えば特に誰かに向けての合格点を見据えてるわけではなく、庵野さん自身の面白い事を具現化してるのではないかなと思います。
シン・ゴジラ』を見た時に感じましたけど、東日本大震災というベースを持ちつつも、ゴジラが現代の東京に襲来した時に国の首脳はどの様な対応を迫られるのか?
それを庵野さんの構想でエンターテイメント性を追及しているなと思ったんですよ。
エヴァの場合、自己の内面というものをフォーカスしてそれを作品の世界観にしている。

今回シンジとゲンドウの関係性を見て強く感じたのがこれまで微妙な距離感で描かれていた父子の関係性に落とし前をつける描写が登場してきますよね。
それもかなりシュールな場所での戦闘シーンという形で(笑)
更にゲンドウの私小説的な語りでの生い立ちを写す場面等。
メタ的な構造で視聴する我々に提示するというのは『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』の時の様な悪夢が一瞬脳裏によぎったけどでもそうではない。
最終的に碇ゲンドウ庵野秀明の生い立ちと重なる様であり、それを見続けた25年来のファンのそれでもありと。
そして長年に渡るエヴァにおいてのミステリーが明かされ、溜飲が下がったのでは?と。
そしてそれぞれが追い続けたエヴァンゲリオンと重なっていく好きな人にとっては最高のラストであり、同時に戸惑いも感じる作品なんだろうなと思いました。

そんな本作を見た僕の最終的な感想です。
今回、僕は取ってつけた様な付け焼き刃的知識と浅い予習だけで本作を鑑賞しました。
そんな僕が見てもめっちゃ心に余韻が残りました。
もし時計の針を25年前に戻せるならその時の俺に言いたい。
エヴァを見ておけ!25年間人生損する事になるぞ!」と。

以上極力ネタバレを避けながら『シン・ヱヴァンゲリヲン劇場版』についてお話ししました。
コアなファンの方は既に見ている事でしょうが、僕みたいなライトな方。
事前の予習をした上での鑑賞を強くオススメします!

ブレイブ 群青戦記

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集英社週刊ヤングジャンプ」で連載された笠原真樹原作の人気コミック「群青戦記」を、「踊る大捜査線」シリーズの本広克行監督が実写映画化。新田真剣佑が単独初主演を飾るほか、三浦春馬松山ケンイチら実力派キャストが集う。スポーツ名門校で弓道部に所属する西野蒼は目立つことが苦手で、弓道場で練習に打ち込むばかりの日々を送っていた。幼なじみの瀬野遥は、そんな蒼のことを心配している。ある日、1本の雷が校庭に落ちた直後、突如として校庭の向こうに城が出現、校内には刀を持った野武士たちがなだれ込んでくる。全校生徒がパニックに陥る中、歴史マニアの蒼は、学校がまるごと戦国時代、しかも“桶狭間の戦い”の直前にタイムスリップしてしまったことに気づく。織田信長の軍勢に友人たちを連れ去られた蒼は、後に徳川家康となって天下統一を果たす松平元康と手を組み、野球部やアメフト部の選抜メンバーたちと共に立ち上がるが……。主人公を導く松平元康(後の徳川家康)を三浦、彼らの前に立ちはだかる織田信長を松山がそれぞれ演じる。
(映画.comより)

タイムリープもの。
それも戦国時代を舞台に、となれば数多あるわけでして古くは『戦国自衛隊』から近年だと『信長協奏曲』や『本能寺ホテル』が代表的なところでしょうか。
信長・秀吉・家康と誰もが知ってる英雄に馴染み深いし歴史ファンのみならず人気の高い戦国時代を舞台に選べば比較的エンターテイメント作品としてまとめやすいのかもしれません。
それにしても気になったのは本作でメガホンを取った本広克行監督。
踊る大捜査線』シリーズを当てた日本を代表する商業映画監督であると同時に映画ファンからはネガティブな印象で語られる残念な作品が多いのもまた事実。
果たして本作は?

鑑賞前の僕の心象からお話しします。
高校生アスリートが戦国時代にタイムスリップして戦国武将と戦う。
その設定の段階でぶっ飛んでるわけですよ。
笑いありアクションあり良い意味でのB級くささを期待して頭空っぽで楽しもう。

ところがこれが開始から僅か数分で裏切られる事になります。
のほほんと高校生逹が日常生活を送る中、現れた野武士の集団。
そこからはカオスです。 
無抵抗・無防備の高校生逹が野武士逹に次々に斬り殺されるという阿鼻叫喚の地獄絵図。
血しぶきが飛び散り、果ては肉片まで飛ぶという全く想像もしなかった描写に息を飲んでしまいました。
とは言え、「本広監督のエンタメ作品でしょ?」とお思いでしょうが、いやいやその想像の遥か上です。
下手なホラーより怖いし、凄惨さで言えば『悪の教典』のそれに近いかもしれません。

そんな序盤ですからね、「これはとんでもない作品かもな。」と僕の期待も高まっていきます。

そして全国大会でも優秀な成績を持つ高校生アスリートが囚われた仲間を救う為、この不条理極まりない状況の中、立ち上がり結束していきます。

主演の真剣佑さんは奇しくも往年の名作『戦国自衛隊』でのお父さん同様に戦国時代にタイムスリップして戦うわけですね。
序盤での無気力な高校生が仲間の死や危機を乗り越え、成長していく過程を演じていくわけですが、三浦春馬さんが演じた徳川家康との接触シーンが良かったですね。

ヒロインの山崎絋菜さん。
彼女はTOHOシネマズで映画を観る際は必ずお見かけする女優さん。『チア・ダン』等でも存在感のある演技をされてましたが、この映画においての強いヒロイン像が彼女の雰囲気にピッタリ合ってましたね。
『チア☆ダン』ではキレのあるダンスを、昨年の『仮面ライダー』の映画ではアクションをと身体能力の高い女優さんですね。
これからも色んな映画に出てほしいです。


と高校生サイドには若手俳優陣を起用している一方、どうしても信長役の松山ケンイチさん・家康役の三浦春馬さんの存在は飛び抜けていましたね。
信長役に関しては最近だと大河ドラマ麒麟がくる』での染谷将太さんが個人的に良すぎてどうしても厳し目になってしまいがちなのですが、松山ケンイチさんによる信長はそれはそれでの味を感じましたし、家康役の三浦春馬さんに関してはとあるセリフが三浦春馬さんのその後を示唆している様でここで僕は目頭が熱くなってしまいました。
このセリフ、徳川家康ではなく俳優・三浦春馬としてのモノなのではないかなと。

また見所となるバトルシーンにも力が入っており、野球部なら野球部のアメフト部ならアメフト部の各スポーツの特色を生かした様な戦法がユニークでしたね。
仲の悪い空手部主将とフェンシング部主将の共闘も見応えありました。
この二人のツンデレ降りは腐女子受けしそうですね。

とこの様に見所たっぷりな本作ではあるものの、僕の初めに感じたテンションが持続出来なかったというのが正直ありまして。

というのが本作でのタイムスリップのトリガーですね。
とある人物が要となるのですが、その人物の扱い方というか描かれ方というか。
一応は信長軍の家臣となってはいるものの、信長に仕えるまでの過程も見えてこないし、そもそも歴史を改変する事の目的や動機がいまいちわからない。
彼にとってメリットがあるとも思えないし、だから見ていて「お前は何がしたいねん?」と終始やきもきしてましたね。

それからラストも無理があるんだよなぁ。
生徒のみならず教師も犠牲になった学校。
いわば凄惨な事件のあった殺人現場ですよ。
にも関わらずまるで何事もなかったかの様な日常に戻る違和感もだし、主人公の彼のその後の顛末よ。
現代の世界では大パニックになってもおかしくないし、親の心境を考えたらいたたまれないよ。
突っ込みドコロをあまりに作り過ぎたんじゃないでしょうか。
そこが個人的には厳しい評価になってしまうかなぁ…。

しかし、園子温顔負けの生々しい描写を果敢にも取り入れ、アスリート対戦国武将というトリッキーな設定に独創性溢れる戦法で視覚的に楽しませてくれたその試み等は称賛したいところです。

是非劇場でご覧下さい!

太陽は動かない

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「怒り」「悪人」などで知られる吉田修一のスパイアクション小説「太陽は動かない」「森は知っている」を藤原竜也主演で映画化。謎の秘密組織AN通信。この組織に属するエージェントは心臓に爆弾が埋め込まれ、24時間ごとに死の危険が迫まるという。エージェントの鷹野は相棒の田岡とともに、死の危険を抱えながら「全人類の未来を決める次世代エネルギー」の極秘情報をめぐって、各国のエージェントたちとの命がけの頭脳戦を繰り広げる。鷹野役の藤原、田岡役の竹内涼真のほか、ハン・ヒョジュ、ピョン・ヨハン、佐藤浩市市原隼人南沙良、日向亘、加藤清史郎らが脇を固める。監督は「海猿」「暗殺教室」「MOZU」など数多くのヒットシリーズを手がける羽住英一郎
(映画.comより)

まずはじめにお伝えするとこの映画。
今の時期大変貴重です。
撮影されたのが二年前。
つまりコロナ禍になる前とあって、これでもかと海外ロケのシーンてんこ盛り!
ブルガリアに行ったり、香港に飛んだり、インドだったり。
尚且つ日本版『ミッション・インポッシブル』か?と思わせる派手なアクションやダイナミックな爆破シーン等も楽しめる。
コロナの影響で洋画の公開が減少している中、洋画アクション好きの需要を満たしているのでは?なんて思いながら見ておりました。
藤原竜也竹内涼真のバディものでありこの二人が体を張って挑むアクションシーンの数々には息を飲みます。

そもそも日本の映画でスパイアクションもの自体少ないでしょ?
過去『海猿』や『MOZU』等で鳴らした羽住監督ですからね。
予告編で見た「ド~ン!」の期待を裏切らないつくりになっていたのではないでしょうか?

しかし、ドラマ末視聴だからでしょうか、映画としてはどうにも大味で映画全体を見た場合、乗り切れなかったきらいが私にはあります。
というのが主人公・鷹野の生い立ちを描くシーンがあります。
彼がAN通信のエージェントになるまでを知る上で初見でも理解出来る様にとの配慮を感じて確かに助かるのですが、その部分に尺を使い過ぎなんですよね。
しかも現状行われている出来事と行ったり来たりな見せ方をするもんだから現行のストーリーを追うのにノイズになる感が否めません。
個人的にはもっとアクションとサスペンスに特化したつくりの方が良かったかな?
もしかしたら原作がそういう流れなのかもしれないけど。

それからこの鷹野の不遇な少年時代から親の居ない子の保護についてを問う描写が見られます。
ここ最近のサスペンス系で多いパターンですが、ストーリーの中に社会的テーマや道徳を盛り込みというパターンですね。
悪くはないですが、本作での佐藤浩市が語るそれは無理があったかなぁ。
そもそもこのAN通信のエージェントって心臓に爆弾が埋め込まれてるんでしょ?
しかもミッションを遂行出来なければ直ちに爆破するという常に死と隣り合わせの過酷な生活を余儀なくされてしまうわけだよね。
佐藤浩市さんは一見言い事言ってる風なんだけど子供を危険な目に遇わせるだけのサイコパスにしか見えなかったんだよなぁ。

で最終的にこの映画の持つテーマは「生きる」という事。
エージェント達は毎日が生きるか死ぬかの過酷な中、日々を戦っているわけですよ。
ミッションをクリアすれば生き延びて失敗すれば例の「ド~ン」ね(笑)
それだからこそその日一日を生き延びる事に非常に大きな安堵があり、しかしまた次の日からはサバイバルな毎日が待っている。
この映画の様に極端ではないものの、我々の毎日だって実は同じでミッションを仕事と置き換えればやがてそれが命取りになりかねなかったりもする。
だからこそ毎日を真剣に生きないといけないし、緊張感を持たなきゃならない。
後から来るヤツに抜かれたり、仕事を失ったり。
ひいてはそれが社会からの抹殺を意味したりもするわけですよね。
だからね~、ちゃんと生きよ。
いい加減な事言って番組打ち切られん様頑張ろ(笑)

ともかく期待が大きかった分やや辛口にもなりましたけど、日本で本格的なスパイアクションを製作したチャレンジングな試みにはリスペクトの思いがありますし、圧巻のシーンの数々は一見の価値はあります!
是非劇場でご覧下さい!

ファーストラブ

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第159回直木賞を受賞した島本理生の同名サスペンス小説を北川景子主演、堤幸彦監督のメガホンで映画化。父親を殺害した容疑で女子大生・聖山環菜が逮捕された。彼女の「動機はそちらで見つけてください」という挑発的な言葉が世間を騒がせる中、事件を取材する公認心理師・真壁由紀は、夫・我聞の弟で弁護士の庵野迦葉とともに彼女の本当の動機を探るため、面会を重ねるが、二転三転する環菜の供述に翻弄されていた。真実が歪められる中、由紀はどこか過去の自分と似た何かを感じ始めていた。由紀の過去を知る迦葉の存在、そして環菜の過去に触れたことをきっかけに、由紀は心の奥底に隠したはずの「ある記憶」と向き合うことになる。由紀役を北川が演じるほか、迦葉役を中村倫也、環菜役を芳根京子、我聞役を窪塚洋介がそれぞれ演じる。
(映画.comより)

このところサイコサスペンスものが多いですよね。
とりわけ最近のものだと殺人事件そのものを全面に打ち出すよりも何故その事件に至ったかの動機であったり事件を犯した人物の内面をフォーカスする様な作品が多い印象があります。
実際映画としてのストーリーを重視するとその手法を用いた方がわかりやすいし、物語に深みが生まれるのも確かですからね。

で、本作『ファーストラブ』。
これまた近年多いベストセラー小説の映画版。
そして毎回の如く原作を読まずに僕も鑑賞に挑むわけですよ。

さて、本作。
一人の女子大生が父親を殺害した事によりストーリーが展開されていきます。
彼女が何故殺害に至ったかの動機を探りやがては彼女自身が負った過去のトラウマへと行き着いてゆく。
それが引いては父娘の微妙な関係性にまで及び幼年期~思春期の生い立ちが如何に人格形成で重要であるかを表出させていく。

そしてこれが操作を続ける公認心理士・真壁由起の過去にも焦点を当てる事によって俄然盛り上がりを見せていくんですよね。
彼女にもまた過去に受けた心の傷があり、故に殺害した環菜の心へもシンクロさせていく。

その結果、浮かび上がるのが倒錯した性的嗜好の歪みなんですよね。
環菜は思春期に年長者からの性的交渉が心の傷を負わせ、由起は父親の買春の事実を知りそれが彼女を苦しめる。
そして共通して父親という最も身近に居る異性への恐怖心。
これは父と娘の関係だからこそ成立するストーリーではあるんだけど、その後の異性間での肉体的な関係含め後々にまで与える影響等非常に生々しく描いており、娘を持つ父親ならば是非本作の鑑賞を薦めたいトコロ!

さて、本作はキャスト陣とりわけ女優さんの姿が印象に残るんですよね。
まずは主演の北川景子さん。
前半では理知的できびきびした姿勢のデキる女性心理士のイメージなのですが、それが一転。
過去の闇が浮かび上がった後は同じ人物であってもまるで別人の様な繊細さが印象に残ります。
とりわけ成人式の日と大学時代の姿はよりそれが顕著なんですよね。
陰のある雰囲気の女子学生像を見事に表現されていましたね。
それにしても北川景子さんがまだまだ女子大生の役をしても違和感がないのがスゴい!

芳根京子さんの環菜役も良かったですね。
父親を殺害した女子大生という難役ですが、内に秘められた闇の部分が彼女の存在全体から感じられました。

そして木村佳乃さんの冷徹な母親。
どこまでも娘を信用せず、また向き合おうともしない救い様のない人物でしたが、何とも言えない目力がありましたね。
リストカットを繰り返す娘同様彼女にもまた闇を感じる場面がありましたね。

男性陣なら中村倫也さんも窪塚さんも良かったですが、板尾創路さんがサイコーでした!
良く言えばストイック悪く言えば感情のない芸術家の父。
元々シュールな芸風で人気を博した板尾さんですからこういったクールな風貌が似合う人なのですが、とりわけ本作では異彩を放つ存在感でしたね!
無感情な上に娘に冷たく教育的に明らかに常軌を逸した行いをしているのですが、そんな冷徹漢を板尾さんが演じる事でかなりリアリティーが生まれたのではないかと思います。
個人的には本作のMVPだったかな?

それにしてもこの映画。
登場人物は総じて闇があったよな。
それは心の闇だったり生い立ちの闇だったり様々ではあるものの。
性的に倒錯したが為に娘を狂わせた父親。
その父親の倒錯した性癖や人間性がトラウマとなった娘。
由起を支えた男性二人も生い立ちに苦しめられ、環菜の母親だって劇中で明かされないが、リストカットの痕がある。
救われない様な闇を抱えていても生きていかなくてはいけないんだな。
それでも人は何かの役割を与えられ、それを活かしながら日々の生活を営んでいる。
最終的にはそんな当たり前の事を打ち出しながらでもどこかに光を見出だそうとする本作のラストシーンを見て自分も前を向かなくてはと改めて気付かされた様な内容でした。

是非あなたも劇場でご覧下さい!

すばらしき世界

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「ゆれる」「永い言い訳」の西川美和監督が役所広司と初タッグを組んだ人間ドラマ。これまですべてオリジナル脚本の映画を手がけたきた西川監督にとって初めて小説原案の作品となり、直木賞作家・佐木隆三が実在の人物をモデルにつづった小説「身分帳」を原案に、舞台を原作から約35年後の現代に置き換え、人生の大半を裏社会と刑務所で過ごした男の再出発の日々を描く。殺人を犯し13年の刑期を終えた三上は、目まぐるしく変化する社会からすっかり取り残され、保護司・庄司夫妻の助けを借りながら自立を目指していた。そんなある日、生き別れた母を探す三上に、テレビディレクターの男とプロデューサーの女が近づいてくる。彼らの真の目的は、社会に適応しようとあがく三上の姿を番組で面白おかしく紹介することだった。まっすぐ過ぎる性格であるが故にトラブルの絶えない三上だったが、彼の周囲にはその無垢な心に感化された人々が集まってくる。
(映画.comより)

先日取り上げた『ヤクザと家族 The Family』そして本作。
共通して言えるのは裏社会で生きた男の堅気としての生き方であり、同時に彼らを受け入れる寛容性について問うというものです。
西川美和監督と言えば2016年に手掛けた『永い言い訳』で夫婦のあり方をリアリティーたっぷりに描き映画ファンの間でも大きな話題を呼びました。
僕もこの作品は当時劇場で鑑賞し、そのストーリー展開の秀逸さや登場人物の感情の機微を非常に生々しく伝え、かなりの衝撃をおぼえたものです。
そんな西川監督が裏社会で生きたこの三上という男をどの様に描き、そして我々に何を投げ掛けてくるのか僕も公開前から楽しみにしていた作品です。

結論から言えば前述の『ヤクザと家族』とはまた違う形での社会風刺と寛容性の是非を巡る問いかけは今の時代にこそ見るべき作品であり、僕の心にも大きな余韻を残してくれました。

本作の主人公・三上を演じたのは日本を代表する名優・役所広司さん。
これまでにも数々の役に挑み高い評価を得てきた役所さんのアウトロー役はこれまたハマっており、50代半ばで出所し、生きる道に奔走する不器用な男をその名演技で魅了してくれました。
とりわけ毎ある事に発せられるドスの効いた恫喝シーンはこれまでの役所さんのイメージとは異なる面があり、意外性はあるものの迫力たっぷりです。
そんな不器用な三上が社会復帰をする為に就活をしたり運転免許を取得する為に教習所へ通ったり。
しかし、我々が当たり前の様に送る日常生活が彼にとっては非常に困難であり、トラブル回避の感情コントロールもままならない。
しかし、次第に彼の理解者も現れ社会復帰が実現するかと思いきや、うまくいかないんです。

それは本人の問題ももちろんあるんだけど周囲の目という大きな壁。
更に生活保護等日本の福祉制度においての法的困難もあったり。

だけどそれでも社会に溶け込もうとする三上の姿にいつしか僕も心を打たれ、応援したくなるんですよね。

それにしても社会って何だろう?
税金を納め家族を守り、労働をする。
そこには他者との共同生活で要求されるルールを守るとか迷惑を掛けないとか当たり前だけど社会で生きるにはいざこざなんて起こしちゃいけないんだよね?
だけど町で市井の人が襲われてたらスルーするものなの?
職場内にいじめがあったら黙認するのが大人?
騒音を発し、ゴミの分別もしない共同生活のルールを守れない人を注意しないの?

触らぬ神に祟りなしとか当たらず障らずトラブルを起こさない様、目立たない様に暮らせば自分に火の粉は降りかからなくとも誰かが困っている事だってありますよね。
三上が暴力的になるきっかけって実は社会の中での不条理に対してであって動機自体は間違った方向ではないんですよね?
ただ、感情のコントロールが効かずその結果取り返しのつかない過ちを犯してしまうわけであって。
実はこの映画って出所した人への寛容性を問うと同時に社会とは?とか大人とは?といった普遍的なテーマを大きく扱っているんですよね。
それが見ている人へ強く訴えかけてくるんですよ。
また、社会復帰を目指す男を好奇の目でカメラを回すテレビ局への風刺とも取れる描写は印象的でした。
僕は社会の片隅であえぐ人を写し出すドキュメンタリー番組はよく見ます。
彼らの生活の実態や何故今の生活を余儀なくされているのかを注視し、自分への戒めにしたりするわけですが、でもこれって人によっては好奇の眼差しで見たりするわけじゃないですか?
報道のあり方としてはこういった生活に身を置く人を写し出す事で社会へ強いメッセージを投げ掛けるべくその使命を追って番組を製作している事だとは思いますが、しかしその一方、如何に視聴者に興味深く関心を集める事が出来るかの面白おかしく煽る報道をする傾向だってあるわけですよね?
そんな報道のあり方に一石を投じた様なメッセージ性も感じましたね。

さて、この映画ですが、僕の心を強く捕らえたのはやはり救われないラストシーンでした。
一歩ずつ社会との繋がりを持ち歩き始めた三上にどこまで神様は残酷なんだろう?
でもね、僕はこのラストだからこそ映画全体の深みをより強めたという印象でしたね。
少年時代から不遇な生い立ちを歩み、手のつけられない不良少年から裏社会へ。
服役後、人生の再スタートを不器用なりに歩んだ彼の人生の無情感が溢れていました。
そして彼の生きた世界に広がる空の光景。
これを写し出す事で物語の終結と共に生きるとは何かを我々に強く投げ掛けていた様でもありました。
儚くも美しい一人の男の物語。
強くオススメします!

樹海村

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「犬鳴村」に続き、実在した心霊スポットを題材に描く「実録!恐怖の村シリーズ」第2弾。自殺の名所として世界的にも広く知られる富士の樹海を舞台に、インターネット上の怪談スレッドで「絶対に検索してはいけない」と語り継がれる通称「コトリバコ」と呼ばれる呪いの箱と、樹海がもたらす負の引力によって巻き起こる狂気と混沌を描く。かつて人々を戦慄させた、古くから伝わる禍々しい強力な呪いが、富士の樹海の奥深くに封印された。それから13年後、樹海で行方不明者が続出する事態が起こり……。主演は「ジオラマボーイ・パノラマガール」「名も無き世界のエンドロール」の山田杏奈と、「相棒 劇場版IV」「僕に、会いたかった」の山口まゆ。引きこもりがちで、なぜかコトリバコの秘密を知っているらしい天沢響を山田が演じ、不可解な発言をする妹の響に嫌悪感を抱く活発な姉・天沢鳴を山口が演じる。そのほか安達祐実原日出子工藤遥神尾楓珠らが共演。前作から続いて清水崇監督がメガホンをとった。
(映画.comより)

かつて『リング』シリーズや『呪怨』等日本のホラー映画が一世を風靡した時代がありました。
とりわけ『リング』からは貞子がホラーアイコンとして注目を集め、日本のホラー=貞子という図式が定着したものです。
しかし、その後約二十年間に渡りホラー映画受難の時代が続きました。
かつてのホラーブームよ再びとばかりに数々のホラー作品を制作するもなかなかヒットには恵まれない。
人気シリーズであった『リング』から貞子を一人立ちさせ、貞子を大々的にフィーチャーした映画だってありましたが、なかなかかつての様なヒットには至りませんでした。
しかし、発想の展開で日本の心霊スポットや都市伝説として語られるホラースポットに着目し、ホラー×地域を打ち出し成功させたのが昨年の『犬鳴村』。
都市伝説やオカルト好きからは非常に名が知れた福岡県の心霊スポットを一躍全国区へ広めたのも記憶に新しいところです。
更に昨年夏にヒットさせた『事故物件』はこれまでありそうでなかったいわくつきのアパート・マンションの一室いわゆる事故物件にフォーカスし、大ヒット。
まだまだホラーもいけるという事を世に証明しました。
その上での本作。
『犬鳴村』に続く村シリーズの第二弾は誰もがその名を知ってるが、今尚多くの謎に包まれている富士の樹海を舞台に数々の恐怖体験が登場人物を襲う王道のホラー作品です。

まずお伝えしておきます。
『犬鳴村』を楽しめたかどうかで本作の評価が変わるかな。
というのも映画のつくり・プロットが『犬鳴村』とほぼ同じなんですよね。
冒頭で一人のユーチューバーが興味本意で樹海に来てカメラを回すなんてのもそうだし、その後の展開に関しても良くも悪くも『犬鳴村』。
いわくつきの集落での過去の忌まわしき習慣を扱う辺りなんて既視感ありありで「あれ、これ犬鳴村じゃないよね?」なんて困惑しましたもん。
しかし、おどろおどろしい映像の数々や人間の醜悪でありながらも誰しもが抱える生々しさと気持ち悪さを秘めたオカルトへの関心への訴求はさすがだなと感じました。
これは『呪怨』の時から一貫してぶれてないですよね。
割と前半部ある人物が車に轢かれるシーンなんかは確かに絶句しましたもん。
その他にも数々の目を覆いたくなる様なホラー映像の数々にさながらお化け屋敷体験が出来る惜しむらくは夏に見たかったなと思いました。

この上なくB級ホラーのエッセンスがホラー好きには響く内容かなと思います。
主要キャスト以外でも安達祐実原日出子國村隼塚地武雅等が名を連ねています。
國村隼さんの約どころなんかはかなり謎が多いですね。
樹海の事をよく知ってる地元の人っぽいけど結局よくわからなかったし、塚地さんなんかはある意味お約束なポジションだった。
ただ、ストーリーに関して言えば少々乱雑さが否めませんでしたね。
登場人物が多すぎて整理がしづらい所もありましたし、もう少しコンパクトにまとめてもよかったかなと思います。

さて、そんな本作のテーマ。
それは「人はいつ死ぬかわからない」でしょうか。
これは國村隼さん演じる件の謎の人物から発せられます。 
富士の樹海と言えば我々はやはり自殺という言葉を連想します。
実際、この映画でも自殺者云々なんて言葉はよく飛び交ってますし、実際の樹海だってそういう場所なのかもしれません。
しかし、自殺は自らがその命を絶つという事である一方、不慮の事故による死はいつどこで誰に降りかかるかわかりません。
そしてその可能性は誰にだってあるという事。
この映画ではホラー映画特有の「呪い」という文言を大きく打ち出しつつも交通事故・放火による火災・古井戸に落ちての衰弱死等思わぬ所から遭遇する事故死が多く描かれています。
呪いの箱というわかりやすいアイテムを用いる事でストーリー的に広げやすいという側面ももちろんあるでしょうけど、同時に誰にでも遭遇する可能性のある事故死への示唆という目的もあったのではないかと思います。

そして昭和の初めまであったとされる忌まわしき因習なんかは差別への問題提起ですよね。
差別という問題は古今東西あらゆる面にあり、つい最近も一人の政治家の問題発言が国際的な場面で物議を醸しましたよね。
これから益々グローバルな時代へと突入する中、差別というのが如何に古臭くそして低俗なものであるかホラー映画という媒体を通じて見ている人へ投げ掛けている様でもありました。

さて、そんな社会性も秘めているこの映画。
ラストシーンも非常に気になるつくりでした。
これは次シリーズへの導入か、はたまた?
最後まで目が離せない究極のホラーエンターテイメント!
あなたもこの目で刮目せよ!