きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

ボブ・マーリー ONE LOVE

ジャマイカが生んだ伝説のレゲエミュージシャン、ボブ・マーリーの波乱万丈な人生を映画化した音楽伝記ドラマ。
1976年、カリブ海の小国ジャマイカは独立後の混乱から政情が安定せず、2大政党が対立していた。30歳にして国民的アーティストとなったボブ・マーリーは、その人気を利用しようとする政治闘争に巻き込まれ、同年12月3日に暗殺未遂事件に遭う。2日後、マーリーは怪我をおして「スマイル・ジャマイカ・コンサート」に出演した後、身の安全のためロンドンへ逃れる。名盤「エクソダス」の発表やヨーロッパツアーを経て、世界的スターの階段を駆け上がっていくマーリーだったが、その一方で母国ジャマイカの政情はさらに不安定となり、内戦の危機が迫っていた。
「あの夜、マイアミで」のキングズリー・ベン=アディルがボブ・マーリー役で主演を務め、「キャプテン・マーベル」のラシャーナ・リンチが妻リタを演じた。「ドリームプラン」のレイナルド・マーカス・グリーンが監督を務め、プロデューサーにはボブ・マーリーの妻リタ、息子ジギー、娘セデラが名を連ねた。(映画・comより)

ボヘミアン・ラプソディ」を皮切りに近年、製作される傾向にあるレジェンドアーティストの伝記映画。過去に番組では「ロケットマン」、「リスペクト」といった作品を取り上げてきました。

そして今年2024年。あの伝説のレゲエミュージシャン、ボブ・マーリーの伝記映画「ボブ・マーリー ONE LOVE」が公開。僕は特にレゲエという音楽が大好きというわけでもないし、ボブ・マーリーについても詳しくは知らない。だけどこの映画の公開はスゴイ楽しみにしてたんですよね。というのが前述の音楽伝記映画がおしなべて良作だったという事で期待はかなり高かったんですよ。

そういう事もあって前回紹介した「ミッシング」と同日の5月18日にMOVIX日吉津で鑑賞。「ミッシング」より先に見たのですが、順番逆の方が良かったな。…というのが「ミッシング」見終わった後、かなりヘビーな感情を抱きながら帰宅の途についたわけですからね。どうせならレゲエの心地よいリズムを体に刻んで帰りたかった…なんて後悔先に立たず。映画のレビューに入っていきましょう。

まず映画の冒頭ではボブの息子・ジギーのコメントから始まります。彼やボブの妻であるリタ等のマーリーファミリーが製作には深く関わっており、息子ジギーならではの父・ボブへの敬意と映画への情熱を感じるコメントによって気持ち良く映画の世界へと導かれていきます。

さて、ボブ・マーリーと言えば?ですが誰もが口を揃えてレゲエの神様とかジャマイカの英雄と答える事でしょう。

もちろんそれは間違っていませんじ、彼が居なければレゲエという音楽がこんにち程ポピュラーなものにはなっていなかったかもしれません。

しかし、今作ではいち人間としてのボブ・マーリーの姿を捉え彼がどの様に音楽に向き合っていたかが伝わる作りとなっています。

「ONE LOVE」や「NO WOMAN, NO CRY」等の名曲の製作背景更には名盤『EXODUS』の製作過程から世界中での反響等ファンなら胸が熱くなる事必至のエピソードが非常に細かく丁寧に描かれており、ボブ・マーリーをよく知らない僕からすると非常に勉強になりました。更には僕の音楽ライブラリーにはボブのCDやレコードが一枚もないという状況ですが、この『EXODUS』のLPはマジで欲しいなと思いました。なんて考えたらボブ・マーリーを知る為の入門編として打ってつけの映画なんだなと感じましたし、更には劇中で描かれる様々なエピソードに「これボブの事知ってたらもっと楽しめたんだろうなぁ」なんて悔しく思いましたよ。

また、舞台が1976年からの三年間となっており、当時のジャマイカの政情の不安定さとそれに否が応でも巻き込まれるボブ・マーリーといった具合に世界史の現代史的知識も要されるというと小難しいのかな?と思われそうですが、決してそういうわけではなく、70年代後期の不安定な南方の小国・ジャマイカの情勢を映像を通じて理解する様な内容であり、一国を担う世界的スーパースターが政治的に利用。更には彼が強い影響力を持つが故に銃撃されてしまうその描写がボブ・マーリーという人物を知る上での重要なファクターとして機能していました。

また、妻リタとの間で起きる浮気発覚からのあれこれの場面。近年の日本では不倫のスキャンダルが後を立たず文春砲を食らえばどれだけ第一線で活躍していても一発退場となる。不倫によるイメージの失墜が極めて厳しい状況にあります。もちろん時代も国も違うわけですが、酒・セックス・薬物による弊害というのはいつの時代もどこの国においても共通なんだなと感じた次第です。

それからボブ・マーリーの曲を聴いて感じた事。今でも人気のレゲエという音楽。しかし、こんにちレゲエと称される楽曲とボブの歌うそれでは全くタイプが違うなと感じました。これは僕の友人のレゲエシンガーから聞いた話しですが、こんにち主流となっているのはいわゆるダンスホールレゲエと呼ばれるもので時代の変遷を経て形が作られていったもの。クラブシーン等を中心に幅広い層から支持を得てはいますが、レゲエって本来もっとゆったりした音楽なんですよね、そんな彼女はダンスホールとはまた違うラバーズ・ロックと呼ばれるタイプの曲を歌っています。

と受け売りによるプチレゲエ講座をしたところで今回のレビューを締めさせて頂きます。

レゲエもボブ・マーリーも知らないという人も是非見て頂きたいそんな素晴らしい伝記映画でした!

是非劇場でご覧ください!