きんこんのシネマ放談

映画をこよなく愛するきんこんが鑑賞した映画をズラズラっと紹介していく映画ブログ

THE FIRST SLAM DUNK

1990年から96年まで「週刊少年ジャンプ」で連載され、現在に至るまで絶大な人気を誇る名作バスケットボール漫画「SLAM DUNK」を新たにアニメーション映画化。原作者の井上雄彦が監督・脚本を手がけ、高校バスケ部を舞台に選手たちの成長を描き出す。
湘北高校バスケ部メンバーの声優には、宮城リョータ役に「ブルーロック」の仲村宗悟三井寿役に「ガンダムビルドダイバーズ」の笠間淳流川楓役に「ヒプノシスマイク」の神尾晋一郎、桜木花道役に「ドラえもん」の木村昴赤木剛憲役に「僕のヒーローアカデミア」の三宅健太を起用。1990年代のテレビアニメ版も手がけた東映アニメーションと、「あかねさす少女」のダンデライオンアニメーションスタジオがアニメーション制作を手がける。
ロックバンドの「The Birthday」がオープニング主題歌、「10-FEET」がエンディング主題歌を務め、作曲家・音楽プロデューサーの武部聡志と「10-FEET」のTAKUMAが音楽を担当。(映画・comより)

公開前から何かと話題のそれも悪い意味での話題が多かった「スラムダンク」の映画。とりわけ話題になったのは、前売り券発売後の声優発表ですね。映画版『スラムダンク』はアニメということで、90年代にテレビで放映されていたアニメ版の声優がこの新作映画も続投するものとみていたファンは多かった事でしょう。しかし、前売り券の発売開始後に「前アニメとは声優陣を一新するとアナウンスされ、前アニメ版の延長を念頭に思い描いていたファンがガッカリしたなんて聞きます。更には予告編の映像を見てコレジャナイなんて失望した人も居た事でしょう。実は私、「スラムダンク」はど真ん中世代なのですが、アニメはそこまで熱心には見ていなくて…。そんな僕からしても絵柄の違いには確かに違和感は覚えましたね。果たして映画「スラムダンク」はどうなるのか?公開前は期待と不安が交錯するそんな心境で鑑賞に臨みました。

さて、「スラムダンク」ファン或いは僕みたいにそこまで熱心ではないものの、連載当時にかじった程度に原作を読んだとかアニメを見たという人に問いたいのが、あなたはアニメ派?原作派?そこなんですが、実はこの映画を見る上で非常に重要になってきます。

というのが今作「THE FIRST SLAM DUNK」は井上雄彦先生が『週刊少年ジャンプ』連載にあたって当初構想していたスラムダンクであり、だからこそ「THE FIRST」と冠しているんですね。

つまり原作派かアニメ派かで大きく見方が変わってくるというわけです。

元々井上先生は桜木花道を主人公にギャグ要素を盛り込んだバスケ漫画を描きたかったのではなく宮城リョータを主人公に据えたシリアス一辺倒な作品にしたかった。しかし少年誌でそれでは受けないだろうという編集者の提言によりよく知られるところの「スラムダンク」が出来上がった。つまりは井上先生からすると本意のものではなかったんですね。

それを時を経て関係者による熱烈なアプローチもあり、製作されたのが今作。だからこそリョータの目線が中心になり、桜木や三井、流川等がサブに据えられている。この辺りの背景を押さえておくと本作の見方には大きな変化が生まれるのではないでしょうか。

そこにせめてものファンサービスという意図があったのかどうかはわかりませんが、人気の高い山王戦を大々的に扱いながら劇的な試合の展開を画面いっぱいに表してくれます。

リョータのヒューマンドラマパートはとにかく波瀾万丈な成長期をしっかり映し出していましたね。将来を嘱望されていた兄の死と母との軋轢、心を閉ざしたリョータ少年の姿を非常に感情的に描いておりました。それだからこそなんでしょうかリョータが主人公でも決して違和感はない…どころか本作においてはリョータ以外に考えられない。それくらい宮城リョータの物語になっていましたね。

もちろん桜木にも見せ場はありましたし、安西先生へのプニプニもありましたよ(笑)

また、音楽面も非常にハマっていました。WANDS大黒摩季の方がスラダンっぽいと言う人も居そうだしそれもわかりますよ。だけど井上先生は大のロック好きという事でThe Birthday10-FEETを起用。それがまためっちゃカッコいいんですよ!エッジの効いたギターが映えるロックとスポーツってめっちゃ相性が良いんだなと改めて感じました。とりわけ山王に圧倒的な点差で押される湘北。安西先生のあの有名なセリフは正にここで出てきますが、湘北の反撃に出る辺りで流れる「第ゼロ感」がめっちゃエモい!まぁ、高揚感を煽る煽る!この辺りのシーンを見る為にリピートする人も居るんじゃないかなと思いました!で、これは劇場の音響とスクリーンでしか得られないカタルシスがありますからね、断言します!

そしてラストはしっかりと次に繋がる様な素晴らしいエンド!鑑賞前に抱いた一抹の不安はどこへやら心から満足したきんこんでした。

これは推測なんですが、例の前売り券発売後の声優発表とか公開一ヵ月前の情報解禁等色々ありましたが、もしや製作側でもかなりの苦闘があったのではないかななんて思ってます。それこそ公開延期になるか否かくらいの。しかしそれを乗り越えて素晴らしい作品を届けてくれたその背景には諦めたらそこで試合終了スピリットがあったから?なんて勝手に想像しています!

スラムダンクの予備知識なしでも楽しめる何ならこの映画きっかけに原作に触手してみては?なんて僕は強くオススメしたいと思います!

是非劇場でご覧下さい!